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2012年2月16日 (木)

ブルックナー 交響曲第9番 サヴァリッシュ/ウイーン・フィルのライブ盤

このブログを読まれていると、古い録音盤が大半なので、さぞや古い奴だとお思いでしょう。それは否定できませんが(苦笑)、大きな理由は新盤が高価だからです。価格と感動は決して正比例はしませんので、どうしてもコストパフォーマンスの高い古いCDを、それも中古店で購入することが多くなります。

まあ、そうは言いましても新盤を聴きたいと思うこともあります。そんな新盤の試聴記として「新盤アワー」のスタートです。

Buru9_sawa

今回は、最新の録音ではありませんが、Altusから昨年12月にリリースされたCDです。NHK交響楽団を約40年間に渡り指揮して、日本の音楽ファンに大変親しまれましたが、すでに現役を引退した、ウォルフガング・サヴァリッシュさんがザルツブルク音楽祭でウイーン・フィルを指揮したブルックナーの交響曲第9番です。これは1983年のライブ録音です。(ALT222/3)

このCDは、何といってもオーケストラがウイーン・フィルです。出身のミュンヘンの楽団やウイーン交響楽団を指揮する機会が多かったサヴァリッシュさんは、ウイーン・フィルからずいぶんと熱望されていたにもかかわらず、指揮台に登った回数はかなり少なかったそうです。

サヴァリッシュさんは、ウイーン交響楽団からブルックナー・メダルを授与されたほどですので、ブルックナーは得意のはずです。けれどもCDにはほとんどめぼしいものが見当たらず、実際に聴いた記憶が有りません。N響の定期でも取り上げていたこととは思いますが、これもまた記憶が定かではありません。そんな中で、ブルックナー最晩年の傑作、交響曲第9番をウイーン・フィルとの演奏で聴くことが出来るので、どうしても聴いてみたくなりました。

それでは、演奏を聴いてみましょう。

第1楽章冒頭のトゥッティが力強く奏されます。幾らか荒々しいほどです。その後のピチカートはあっさりとしていますが、弦楽で主題が歌われる部分では、テンポが速めです。呼吸が浅いというほどではありません。テンポは速めですが、歌いまわしが大きく、彫が深い印象です。この辺りは非常に遅いテンポで息がし辛くなるチェリビダッケとはまるで正反対です。後半のフォルテの音は荒々しいほどに迫力が有り、必ずしも美しさを意識して響せてはいません。カラヤンが指揮したライブCDのような騒々しさは感じませんが、相当に壮絶な印象です。

第2楽章はかなり速く、何かに追い立てられているような緊迫感があります。金管もティンパニも強奏強打されて凄まじいかぎりですが、悪く言えば幾らかドタバタ感が残ります。中間部はウイーン・フィルとしては標準的な美しさで、寂寥感の表出も普通という感じです。

第3楽章も前半のトゥッティが迫力充分ですが、やはり無機的なうるささは感じません。その後に押し寄せるであろうドラマティックな演奏を予感させます。果たして、感情一杯に大きく歌わせますが、ブルックナー特有のはかなさとか、この世の終わりのような雰囲気はそれほど強く感じさせません。どちらか言えば現世的な演奏かもしれません。終結部は壮大に盛り上がって聴きごたえ充分です。

まとめてみると、ヴァントやチェリビダッケのようにひたすらハーモニーを整えて、響きを豊かに膨らませるようなタイプのブルックナーでは有りません。しいて言えばヨッフムや、同じN響にゆかりの深いマタチッチのように豪快タイプの演奏です。それも相当にドラマティックです。けれども、ブルックナーの本質から外れているようには少しも感じられず、中々にユニークな名演奏だと思います。少なくとも自分にとっては、シューリヒト/ウイーン・フィル盤やヨッフム/ミュンヘン・フィル盤のような奇跡的な名演奏には及びませんが、この個性的なブルックナーは、時々取り出して聴きたくなるような、ある種の「毒」を持っている気がします。

録音は極めて明瞭で分離が良いです。雰囲気を感じる音ではありませんが、コンサート会場の比較的ステージ寄りの席で聴いているような臨場感が有って楽しめます。

<過去記事>ブルックナー 交響曲第9番 名盤

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