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2011年11月 6日 (日)

テミルカーノフ/サンクトぺテルブルグ・フィル 2011来日公演

St_petersburg_phil

サンクトぺテルブルグ・フィルハーモニーが来日していますが、今日は横浜みなとみらいホールに聴きに行ってきました。このロシアの名門オーケストラを前回聴いたのは、ちょうど3年前の2008年ですが、そのコンサートについては「サンクトぺテルブルグ・フィル来日公演」の記事にしています。この時には、本当に素晴らしい「悲愴交響曲」を聴くことができました。今回は同じチャイコフスキーでも交響曲第5番を聴けるので、とても楽しみにしていました。

このオーケストラはロシア最古の楽団であり、ソビエト連邦時代には、レニングラード・フィルハーモニーの名称で、かのムラヴィンスキーが50年間の長きに渡って率いたオーケストラとして、その名を知られています。

ムラヴィンスキーの後を引き継いだユーリ・テミルカーノフは、先代が余りに偉大であったために大いに苦労したことが想像されます。実際に人気の上では(地元では知りませんが)凋落しました。けれども前回のコンサートを聴いた限り、オーケストラの実力は全く落ちておらず、テミルカーノフの円熟した指揮ぶりが素晴らしかったです。翌年に聴いたゲルギエフのマリインスキー劇場管弦楽団よりもオケの実力は上だと思いました。スヴェトラーノフも居ない今、ロシアの最もロシアらしい音を聴くことが出来る最高のコンビなのは間違いありません。

今日のプログラムは、前半がラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、後半がチャイコフスキーの交響曲第5番と、ロシア音楽のファンにとっては嬉しい組み合わせです。それではコンサートの様子をお伝えします。

前半のラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、ピアノ独奏はロシア出身のルーステム・サイトクーロフという人です。恥ずかしながらこのピアニストは名前も知りませんでした。ですので期待値はそれほど高くは有りません。ところが!最初の和音から中々の手ごたえです。音も美しいですし、この難曲を弾きこなすテクニックに不足は感じません。そして何よりも、オーケストラの合い間に奏でるロマンティックな旋律が何ともデリカシーに富んでいます。ラフマニノフの暗甘い音楽を心から堪能できました。オーケストラの分厚い響きも素晴らしかったです。ラフマニノフはやっぱりロシア音楽なんですよね。こういう音での伴奏は、滅多に聴けません。う~ん、ラフマニノフ!

後半のチャイコフスキーの交響曲第5番も、結論から言うと非常に素晴らしい演奏でした。本場もの嗜好の自分にとっては、これ以上のチャイコフスキーを現在、生で聴くのはまず難しいです。導入部は遅く、主部に入ると徐々にテンポを上げてゆきます。速い部分では切迫感を感じるほどに追い上げます。そして再びゆったりとしたテンポで大きく歌い上げます。要するに緩急の巾が極めて大きいのです。アゴーギグもふんだんに取り入れます。けれども唐突な感じは全く有りません。僕はこういうチャイコフスキーが大好きです。テミルカーノフの熟達した職人技には本当に感心します。金管の迫力も相当なものなのですが、決して騒々しくはなりません。どんなフォルテシモの場合でも響きのバランスが保たれて美しさを失いません。かつてのロシアの名指揮者達である、ムラヴィンスキー、スヴェトラーノフ、ロジェストヴェンスキー(はまだ現役か)のチャイコフスキーは実演の場合、金管のバランスのタガが外れてしまい、余りの音量に騒々しくなることが往々にして有りました。テミルカーノフはその点、よくも悪くも冷静です。演奏がヒートアップしても、指揮者は冷静さを失いません。ところが聴衆は充分に興奮させられます。これは大したものです。ということで、今回もまた、素晴らしいチャイコフスキーを堪能しました。演奏後の聴衆の拍手は当然凄かったです。

ちなみにこのコンビが1992年にRCAに録音したCDが有って素晴らしい演奏でしたが、今日の演奏は感興の高さがそれを上回り、更に素晴らしかったです。

アンコールは2曲。エルガーの「愛の挨拶」とチャイコフスキーの「白鳥の湖」から「四羽の白鳥の踊り」です。エルガーの弦楽がいじらしいほどの美しさで感激しました。

テミルカーノフさんは現在73歳ですが、まだまだ日本に来てくれることでしょう。その時には何を置いても、また聴きに行きたいと思わずにいられません。

<旧記事> 「チャイコフスキー 交響曲第5番 名盤」

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チャイコフスキー(交響曲)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。それは耳の幸福でしたね。

「実演の場合、金管のバランスのタガが外れてしまい、余りの音量に騒々しくなることが往々にして有りました」

私も感じることがありました。ロシアのオケの特徴のように思っていました。それを統制しきるとは、なかなか厳しい指揮者なのでしょうか。

投稿: かげっち | 2011年11月 9日 (水) 12時29分

かげっちさん、こんにちは。

ブルックナーやマーラーでさえ、騒々しい音の演奏が評判が良かったりするのは理解できません。「迫力」と「騒音」の違いは絶対に区別したいですね。
ただ、ロシアオケの金管の騒々しいほどの迫力は実は嫌いではありません。余りに度が過ぎて耳に刺激的なのは閉口しますけれど。その点、この人のバランス感覚は素晴らしいと思います。騒々しくなるぎりぎりのところで踏み留まるからです。細部の表現などを聞いても、非常に厳しいトレーニングを強いる指揮者だと想像できますね。

投稿: ハルくん | 2011年11月 9日 (水) 22時49分


こんばんは。

もしや、と思ってましたが、やっぱりハルくんさんもいらしてたんですね~
私も行きましたよ!みなとみらいホール。

3年前の来日の際、サントリーホールでの5番を聴いて心身震えるほどに興奮し、思わずその後に続く4番、6番のチケットも買ってしまい、追っかけよろしくついには横須賀までついていってしまったこのペアです。
今回も本当に素晴らしかったですね!
おっしゃるとおり、テミルカーノフはどこまでも冷静な指揮者だと思います。
今回の演奏を聴いて、やはりチャイコフスキーはこれ以上のものはないな、と私も再認識です。
エルガー、テミルカーノフさん、お好きですよね。
大欲張りですが、今回ニムロッドも聴きたかったな~なんて。3年前、ニムロッドの美しさを前に涙止まりませんでした。

投稿: micchik | 2011年11月13日 (日) 20時03分

micchikさん、こんばんは。

あ~micchikさんもみなとみらいで聴かれていたんですね!
僕は3年前には「悲愴」しか聴いていませんが、本当に素晴らしかったですからね。今回は5番聴きたさに、やっぱり行ってしまいました。またまた素晴らしかったですね~。

アンコールは今回の「朝の挨拶」にもしびれましたが、前回の「ニムロッド」も素晴らしかったですね。エルガーはホント好きなんでしょうね。

投稿: ハルくん | 2011年11月13日 (日) 22時32分

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