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2011年10月15日 (土)

ヤノフスキ/ベルリン放送交響楽団 2011日本公演 ~秋の夜はブラームス~

Berlin_brahms_consert

「秋の夜はブラームス」。これは、ブラームスの音楽を愛する人の合言葉ですね。日を追うごとに肌寒さを感じてくる秋の夜、人恋しくなったときに聴く音楽として、これほどふさわしいものは有りません。そんな昨夜は、ブラームスのコンサートを聴きに行きました。演奏は来日中のベルリン放送交響楽団で、指揮はマレク・ヤノフスキです。そしてプログラムは、ブラームスの交響曲第3番、第4番という、これこそ秋の夜のコンサートにピッタリの曲です。

「ベルリン放送交響楽団」という名前は、実は誤解しやすいのです。戦後ベルリンが東と西に分かれた時代に、それぞれに全く別の団体が存在したからです。オールド・ファンにはなじみが有りますが、東独の団体はかつてヘルマン・アーベントロートやハインツ・レーグナーが指揮しました。西独の団体はフェレンツ・フリッチャイや若きロリン・マゼールが指揮しました。東独の団体は昔も現在も同じ名前なのですが、西独の団体は現在はベルリン・ドイツ交響楽団と名前が変わっています。

ということで、今回来日しているのは旧東独の団体です。北の街ハンブルクに生まれ育ったブラームスの音楽の暗く、厚い響きを再現するのにはやはりドイツ北部の街のオーケストラが適しています。とは言っても、同じベルリンのオーケストラでありながら、現在のベルリン・フィルハーモニーは既にドイツ人だけでなく、世界中から選りすぐりのプレーヤーが集まっていますので、伝統的なドイツの音とは言えません。その点、今日のステージの上のこのオーケストラを見渡すと、大半がドイツ人団員のようです。それには安心します(ホッ)。意外に美女が多いのにも感心します(ドキドキ)。

前置きが長く成りましたが、プログラム前半の曲が第3番です。演奏はというと、弦楽器がベースになって管楽器をブレンドさせる音造りがいかにもドイツ・スタイルです。ヤノフスキがしきりに管楽器の音を抑えるようなしぐさをしていたのが印象的でした。弦楽は最前列から最後列まで実に同じような音が出ています。日本のオケだと中々こうは行きません。ヤノフスキのテンポは好みで言うと幾らか速めに思いましたが、音楽の流れが良くて悪くありません。それでも刻むリズムが堅牢なので、決して前にのめりません。さすがにドイツ人たちです。個々のプレーヤーが飛びぬけて優秀という印象では有りませんが、全体としてまとまったときに大きな魅力となるのです。いい第3番でした。

後半の第4番では、1楽章の前半が何とも安全運転(ならし運転?)のようで、アレレという感じ。ところが後半に入ると突然ギアが入った(速くなるわけではありません。気持ちがです。)ようで、音の表情が豊かになり惹きつけられました。この曲はアマチュア・オケで演奏したことが有りますが、弾いていると非常に興奮する曲なんです。それが往々にして爆演になってしまう原因なのでしょうが、やはりブラームスの演奏は、このように「内に秘めたる炎」であって欲しいです。1939年生まれのベテラン・マエストロ、ヤノフスキさんは職人タイプですが、特別な才気に富んだ印象は有りません。それでもオーソドックスな演奏というものは、下手に表現意欲旺盛な演奏よりも好ましく思うことが有ります。昨夜はそんな演奏を楽しみました。

それにしても、本当に3番と4番は好きですね。ブラームス「らしい」最高のプログラムでした。僕が指揮者なら、更に前プロに「悲劇的序曲」でも加えちゃうんですけどね。現代のプレーヤーからはブーブーでしょうけど、昔のプログラムは今よりもずっと長かったんですよ。

アンコールはシューベルトの「ロザムンデ」からあの静かな「間奏曲」でした。秋の夜の音楽会の余韻に浸れる、良い選曲でしたね。

11月には、このブログで晩秋のブラームス特集をしてみたいと思っています。

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ブラームス(交響曲第1番~4番)」カテゴリの記事

コメント

ハルさん、こんにちは。
この時期にブラームスプログラムのコンサート、羨ましいですね。良く考えてみると、私はブラームスのシンフォニーをライヴで聴いた機会があまり多くありません。4番ですと、大分前にジャン・フルネの指揮と都響で聴いた記憶はありますが。
私は昨夜ブルーノート東京で、カナダの若手ヴォーカルであるソフィー・ミルマンのライヴを聴いてきました。秋の夜、ジャズのヴォーカルもとても素敵でした。

投稿: たろう | 2011年10月15日 (土) 13時20分

ハルくん、こんにちわ

ヤノフスキですか。確か、デジタル録音の黎明期の1982年にドレスデン国立歌劇場管弦楽団を指揮した「ワーグナー:指輪」全曲を出して、日本で名前を知られた人だったと思います。しかしながら、この頃は、まだ、ショルティ、ベーム、カラヤン等の指輪の録音がメインで、あまり、氏の指揮は良い評価されていなかったのですが、あれから、30年近く経ったので、きっと、良い指揮者になったのでしょうね。

投稿: matsumo | 2011年10月15日 (土) 16時54分

たろうさん、こんにちは。

おおっ、ジャズ・ボーカルときましたか!なるほど秋にはイイですね~。あと、タンゴなんかも秋にはとても良いですよ。
こうしてみるとブラームスだけでは有りませんね。

投稿: ハルくん | 2011年10月15日 (土) 17時45分

matsumoさん、こんにちは。

以前、このブログにヤノフスキの「指輪」は力みが無くて良いようなことを書かれた方がいらっしゃいました。妙に奇をてらった演奏をしないのが美徳の人かもしれません。

投稿: ハルくん | 2011年10月15日 (土) 17時49分

 ハルくんさん、こんにちわ。

コンサートでブラームスの3番、4番を聴かれたとのこと、羨ましい限りです。
本当に「秋の夜はブラームス」の季節ですね。
コンサート情報をパソコンで探していましたが、ブラームスのこのコンサートを探せませんでした。
神奈川県内を探していたせいかも知れませんが、分かっていれば是非、足を運びたかったです。
このところブラームス様々になっていますが、執念が足りず行けなくて残念でした。

投稿: たつ | 2011年10月15日 (土) 20時08分

たつさん、こんばんは。

そうでしたね。ブラームスの3番と4番がとてもお好きなのでしたよね。2曲とも本当にブラームスらしい名曲です。
僕も以前より東京の会場は遠くなったのですが、それでも終演後にちゃんと電車で帰れますからね。やはり東京に聴きに行くことは多いです。

投稿: ハルくん | 2011年10月15日 (土) 20時33分

ハルくん、こんにちは。
ブラームスのコンサートとは、良いですね。哀愁ですかね。ちなみに、コンサートのチラシを見ると、ブラームスより、ピアニストの河村さんが気になって仕方がないのですが……(不謹慎ですね)
私は昨日、国立音大でフィガロの結婚を聴いてきました。観てきました。若者のハツラツとした演奏で秋祭りの雰囲気でした。
秋の夜長はブラームスですが、フィガロのバルバリーナのカヴァティーナもピッタリですし、昼は賑やかな収穫祭気分の曲、例えばレスピーギのローマの祭を聴きながら酔っぱらうのも良いですよね。

投稿: ひらけん | 2011年10月16日 (日) 14時23分

ひらけんさん、こんばんは。

不謹慎なことはありません。若い美人に弱いのは世の男性の常ですよ。(笑)
でも、河村さんの出演したコンサートには行っていません。残念!

そうですね。ブラームス以外にも、色々と季節感に合う曲を探して聴くのも楽しいですね。

投稿: ハルくん | 2011年10月16日 (日) 19時46分

嗚呼うらやましい、忙しくて家で聴く時間さえありません。

死ぬ前に一曲だけ交響曲を聴かせてやる、と言われたら、この3番かなと思います。

投稿: かげっち | 2011年10月24日 (月) 12時10分

かげっちさん、こんにちは。

随分とお忙しいようですね。そんな中をコメント頂きましてありがとうございます。

死ぬ前の一曲だけのシンフォニーですか?
それは難しいなぁ。第9、ブル9、マラ9、ブラ3、シベ7・・・うーん、まだまだ有りますねぇ。これじゃ、いつまでたっても死ねませんや。(笑)

投稿: ハルくん | 2011年10月24日 (月) 21時14分

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