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2011年9月 3日 (土)

モーツァルト ピアノ協奏曲第18番変ロ長調K.456

ウイーン時代のピアノ協奏曲の六つ子作品、第14番から第19番までの五男坊は、ピアノ協奏曲第18番です。この曲は、ウイーンの盲目の女流ピアニスト、マリア・テレジア・フォン・パラディスの注文によって書かれました。従って、全体は女性的な曲に仕上がっていますが、第2楽章の変奏部分では荒々しく男性的な一面も現れます。

モーツァルト自身もこの曲を自分のレパートリーとして演奏会で演奏しましたが、その会場に臨席した皇帝ヨーゼフ2世は「ブラヴォー、モーツァルト!」と叫んだと言われています。また、やはり会場に居合わせた父モーツァルトのレオポルトも作品の美しさに涙を流したそうです。

ウイーン前期の10番台のピアノ協奏曲には、第15番や第17番以外にも名作が目白押しなので、もしも20番以降の曲しかお聴きになられていないとすると絶対にもったいないと思います。是非ともじっくりお聴きになられてほしいです。

第1楽章アレグロ・ヴィヴァーチェはオペラ・ブッフォ的な楽しさに溢れた曲です。そんな中に時折織り込まれている音の翳りに中々惹かれます。

第2楽章アンダンテ・ウン・ポコ・ソステヌート この楽章は素晴らしく魅力的です。「フィガロの結婚」でバルバリーナが歌う「カヴァティーナ」に良く似た主題と5つの変奏から成りますが、何しろ哀しくも美しい主題ですのでこの曲の一番の聴きどころと言えます。

第3楽章アレグロ・ヴィヴァーチェはロンドですが、優美さと楽しさと重さとが次々に表情を変えて現れるという、これも充実した楽章です。

それでは、僕の愛聴盤のご紹介です。

671ゲザ・アンダ独奏/指揮、ザルツブルク・モーツァルテウム室内管(1965年録音/グラモフォン盤) 全集盤からの演奏です。1楽章のテンポは中庸ですが、音の切れや充実感はアンダとしては特別に優れたものとは感じません。2楽章は悪くは有りませんが、曲の素晴らしさにやや追いついて行けていないように感じます。3楽章は一応及第点の演奏です。というわけで、アンダならばもっと期待したいところです。また録音のせいかも知れませんが、オケの音も何となく痩せている気がします。

2edebf2ef962870ed7a190d588ced904ダニエル・バレンボイム独奏/指揮、イギリス室内管弦楽団(1972年録音/EMI盤) やはりEMIの全集盤に含まれていますが、これは素晴らしい演奏です。1楽章では楽しさの中に多彩なニュアンスの変化と陰りが散りばめられていて、他の人とは充実感がまるで異なります。白眉は2楽章で、バルバリーナの哀しみが涙と共にこぼれ落ちるようです。変奏での激しさにも圧倒されます。3楽章は一転して優雅さの極みです。タッチと表現の自由自在さが正にモーツァルトを感じさせます。イギリス室内管も美しく優秀です。

Fi2546314_0e アンネローゼ・ シュミット独奏、マズア指揮ドレスデン・フィル(1976年録音/独edel盤) 全集盤からの演奏です。この曲でも、マズア率いるオケ伴奏の響きの美しさと古典的な造形性が際立ちます。シュミットのピアノは相変わらず質実剛健で女々しさというものを感じさせません。男勝りというほど荒いわけでは有りませんが、男性的と言えるかもしれません。けれども2楽章の深い哀しみの表情には心を打たれます。オケ伴奏と一体になった美しいハーモニーを奏でています。変奏部分にはやや堅苦しさを感じますが、これが彼らの純ドイツ流なのでしょう。

Mozart_serkin ルドルフ・ゼルキン独奏、アバド指揮ロンドン響(1986年録音/グラモフォン盤) BOX選集に含まれています。第17番でも感じましたが、アバドはオペラっぽい曲の演奏は非常に上手いと思います。これはイタリア人の本能でしょうね。ですので1楽章は魅力充分です。ゼルキンのピアノもゆったりと構えて大人の味わいが有ります。ところが聴きものの2楽章はアバドの指揮が意外に薄く、心に響いてきません。ゼルキンのピアノは逆に表情の濃さを意識しています。変奏部分のテヌートで重く引きずるところなどは、少々やり過ぎのような気もしますが、凄みが有ってユニークです。3楽章はピアノ、伴奏ともに美しく楽しいです。

ということで、この曲に関しては、僕が聴いた限りではバレンボイム盤が群を抜いて魅力的だと思います。

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モーツァルト(協奏曲: ピアノ 第10~19番)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは

この18番、とっても好きな曲で、やはり第二楽章が
タマリマセン。
バレンボイム盤しか持っていませんが、何度聴いても
色褪せることのない名演だと思います。

投稿: メタボパパ | 2011年9月 3日 (土) 23時38分

メタボパパさん、こんばんは。

この曲は、やっぱり第2楽章の魅力に尽きますね。本当に素晴らしいです。
バレンボイムの演奏が、また素晴らしくって、この曲の魅力を更に増幅させているように思います。
僕もLP盤時代からの愛聴盤です。

投稿: ハルくん | 2011年9月 4日 (日) 00時43分

ハルくん、こんばんは。
さて、またもや、バルバリーナとは的を得てます。ロマンチックな夜でしょうかね。何か探しているのかな!?
演奏は、今日、時間があったので聴き比べしたところ、バレンボイム旧盤がピアノ、オーケストラとも、良かったかな。新盤のBPOより、旧盤のECOの方がアンサンブルも良かった気がします。ゼルキン盤を推したいところですが、バレンボイムのようなテクニック、上手さは、ないかな。

投稿: ひらけん | 2011年9月 4日 (日) 23時29分

ひらけんさん、こんばんは。

僕はバレンボイムの旧盤が非常に気に入っていることもあって、新盤は聴いていません。
バレンボイムの天衣無縫の弾き方がツボにはまった時には、中々他の人には真似ができませんね。オーケストラの指揮も本当に素晴らしいです。

投稿: ハルくん | 2011年9月 5日 (月) 00時02分

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