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2011年8月18日 (木)

~サマースペシャル・名曲シリーズ~ メンデルスゾーン 交響曲第3番イ短調「スコットランド」

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今日もまあ暑かったですね。(大汗) でも、お盆を過ぎると夏ももうじき終わりだなぁと思います。昼間はまだまだ暑くても、朝なんかは気温が段々に下がってくるからです。さて、スコットランドにちなんだ曲が続いたところで、もう一曲聴きましょう。とすれば、やはりこの曲かな。

メンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」です。メンデルスゾーンは20歳の時に初めてイギリスに渡り、スコットランド地方を旅しました。その時にこの曲の作曲を始めましたが、途中で中断したこともあって、全曲が完成したのは、その13年後の33歳になった時でした。この人には第4番「イタリア」や第5番「宗教改革」が有りますが、実際には、この第3番が最後に完成した交響曲です。番号は出版された順につけられたからです。ですので、この交響曲は、青春の息吹のような爽やかさと、円熟した作風とが上手く同居しています。曲のタイトルは、もちろんスコットランド旅行中に書き始めたからです。

第1楽章アンダンテ・コンモート 悲哀に溢れた幻想的で長い序奏部分は荒れてしまった古城を想わせます。まるで滝廉太郎の「荒城の月」みたいです。そして序奏が終わって主部への移り方は、実に美しく素晴らしいです。徐々にクレッシェンドして盛り上ってゆきますが、ここは北海の荒々しい海を想わせます。

第2楽章ヴィヴァーチェ・ノン・トロッポはスケルツォ楽章にあたります。スコットランド民謡を思わせるような軽快な主題がとても魅力的ですね。

第3楽章アダージョはメンデルスゾーンの魅力全開の、息の長いメロディが非常に美しくロマンティックです。中間部の峻厳な雰囲気も素晴らしいです。

第4楽章アレグロ・ヴィヴァッチェシモでは、音楽が情熱的に躍動しながら行進しますが、明るさと同時にどこか暗さを感じさせます。また幾らか攻撃的なようにも感じます。長い主部が終わると終結部では、全く新しい主題によって壮大で高らかに勝利の歌が歌われて曲を結びます。

この曲の愛聴盤ですが、古いファンなら誰でもご存じの定番です。これですっかり満足しているということでもあるのですが、ともかくはご紹介しておきます。

417jhqpb0wl__sl500_aa300_ ペーター・マーク指揮ロンドン響(1957年録音/DECCA盤) マークは日本のオケにも度々客演しましたし、この演奏もかつては高く評価されていました。けれども最近ではすっかり忘れ去られた感が有ります。非常に残念です。改めて聴いてみると、本当に若々しく瑞々しい演奏なので、若きメンデルスゾーンの異国への旅における喜びが余すところなく表現されていると思います。DECCAの録音も年代を感じさせないほどに秀れているので不満は感じません。

D0ed6f6c7 オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管(1960年録音/EMI盤) 昔から「スコットランド」と言えばクレンペラーと言われるほどの定番中の定番です。遅いテンポでゆったりと構えているので、メンデルスゾーンの持つ音楽の明るさが減衰している印象です。常にクールで熱く成り過ぎないのです。でも、この曲にはむしろ適していると思います。特に第2楽章の遅さは、このテンポだからこそ、あのチャーミングなメロディが生きるのだと思います。他の部分も甘さ控えめで落ち着いた大人の魅力です。こんなメンデルスゾーンは、ちょっと他の指揮者には真似が出来ないでしょう。

3198070030 オットー・クレンペラー指揮バイエルン放送響(1969年録音/EMI盤) ミュンヘンでのライブ録音ですが、オーケストラは優秀ですし、スタジオ盤を上回るほどの出来栄えです。ところが、ひとつ問題が有ります。クレンペラーは、この曲の終結部が気に入らなかったようで、自分で勝手にコーダを書き換えてしまいました。それは短調のまま静かに終わるので、確かに面白いと思います。でもメンデルスゾーンが13年かけて書き上げたものに手を加えるというのは、如何なものかなぁという気がします。聴き慣れているせいもあるでしょうが、個人的にも通常版のコーダは好きです。従って、これはあくまでもセカンドチョイスとせざるを得ません。

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メンデルスゾーン」カテゴリの記事

コメント

ハルくん、こんにちわ

メンデルスゾーンの交響曲第3番ですか、私の好きな曲の1つです。ただし、持っている録音は、上げられているマーク指揮のもので満足していて、後は古いトスカニーニ指揮のもの等です。

クレンペラーのライブ盤は、氏が手を入れた楽譜を使用ですか。「ブルックナー:交響曲第8番」の録音でも大幅に削除したことは有名ですね。氏は作曲家ですし、師匠格であったマーラーは、演奏する曲に大幅な手を入れていましたし。当時と現在とは楽器も奏法も、また、演奏会場も、人の心も異なるのですから。

投稿: matsumo | 2011年8月19日 (金) 19時16分

matsumoさん、こんにちは。
いつもコメントをありがとうございます。

マーク盤を愛聴されていらっしゃるんですね。この演奏は本当に素晴らしいですよね。

クレンペラーのライブ盤は、ちょっと手を加えるというレベルではなく、本当に改作しています。なので僕はファーストチョイスには出来ません。
でも昔はこういう改作は随分許されたのでしょうね。

投稿: ハルくん | 2011年8月19日 (金) 20時55分

 ハルくんさん、こんにちわ。

サマースペシャル・名曲シリーズ~。いよいよメンデルスゾーンの「スコットランド」ときましたね。イ短調という調性は通常、冷やっこい気がしますが、この交響曲は清々しいです。
また、歯並びが綺麗な美人と例えるのも変でしょうがメロディーも親しみやすく、嫌味が全くない美しい交響曲ですね。

クレンペラーは終結部を書き換えて短調で静かに終わらせる。という話は初めて知りました。

名盤は手にしていませんが、カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で、録音:1971年ベルリン、イエス・キリスト教会で聴きました。

投稿: たつ | 2011年8月19日 (金) 22時29分

たつさん、こんにちは。

「スコットランド」はイイですよね。
「イタリア」ほど熱っぽくなく、ヴァイオリン協奏曲ほど甘くはなく、あの清々しさは何とも魅力的ですね。本当に北欧の景色のように美しい音楽だと思います。

カラヤン盤は以前聴いたことが有ります。とても美しい演奏ですが、自分の好みで言うとテンポがやや速過ぎるように感じました。

投稿: ハルくん | 2011年8月19日 (金) 23時28分

クレンペラーの《スコットランド》、たしか持っていたはずです。
ずっと昔、クレンペラーのCDを集めていたことがあって(何がきっかけか覚えていませんが)、私にしては珍しく同じ指揮者のCDが20枚くらいたまりました。
《スコットランド》は、定番中の定番なんですね。曲自体が好きなので、久しぶりに聴いてみます。

そういえば、この《スコットランド》と同時期に書かれたピアノ曲で、《スコットランド・ソナタ/Scottish Sonata》と言われている曲があります。
本題は《幻想曲嬰へ短調》で3楽章構成のソナタ。”幻想曲”らしい雰囲気があり、メンデルスゾーンにしては陰翳が濃くて、長調の曲よりも濃厚なロマンティシズムがあります。
この叙情感や荒々しい力強さは、交響曲と相通じるものを感じます。でも、第2楽章はとても可愛らしい曲想です。
メンデルスゾーンのピアノ作品のなかでは、やや異色かもしれませんが、とても好きな曲です。

Youtubeにペライアの若いころのライブ映像があります。
バッハを弾くペライアとは違った趣きがあって、面白いです。
http://www.youtube.com/watch?v=786RVhOXF5w

投稿: yoshimi | 2011年8月20日 (土) 23時52分

yoshimiさん、こんにちは。

クレンペラーにハマるとはさすがはyoshimiさんですね。スコットランド、是非またお聴きになられてみてください。

スコットランド・ソナタのご紹介をどうもありがとうございます。とてもロマンティックで情熱的ですね。確かにいつものメンデルスゾーンのイメージとは違います。全然知らなかったです。ペライアの演奏も素晴らしいですね。

投稿: ハルくん | 2011年8月21日 (日) 18時27分

これも夏にうってつけの曲です。クラ吹きの私が、死ぬまでに一度でいいからやってみたい交響曲の一つです(特に2楽章)。スケルツォを2楽章に持ってくるところ、それもイ短調の1楽章に対してヘ長調で続けるところ、憎いです。あれ?うちにあるレコードは誰の演奏だったろうか。

「フィンガルの洞窟」も、この曲に近い立ち位置なのではないでしょうか?

投稿: かげっち | 2011年8月25日 (木) 13時20分

かげっちさん、この曲の第2楽章はお吹きになりたいことでしょう。
でも余り速過ぎるテンポだと、旋律の良さを充分に味わうことができないですね。(その点、クレンペラー盤の遅さはイイんですよ~)
かげっちさんなら、どれぐらいのテンポで演奏されたいでしょうね?

投稿: ハルくん | 2011年8月25日 (木) 22時11分

そうです、早すぎても遅すぎてもいけません。出だしのクラは16分音符にスラーがかかっていますが、後の方でスタッカートの16分音符も出てきます。美しく粒を立てて16分音符を聴かせられる範囲で、軽快なテンポがよいですね。

第1主題の後半「た~ららったった~~~」に、tuttiの第1主題が覆い被さり呑み尽くす・・・と見えて、実はクラがロングトーンから対旋律に復帰する、というところがたまりません。←実にマニアックな聴き方ですが

実は第1楽章も、テンポが早すぎると正確に弾くのが難しく、かえって緊迫感をそこねてしまいそうに思います。あの第2主題のクラも良いなぁ・・・←涎が出てきた

投稿: かげっち | 2011年8月26日 (金) 12時13分

かげっちさん、さすがはクラリネット・プレーヤーとしての聴かれ方ですねー。

やはり指揮者にはメンデルスゾーンならではのロマンティクな雰囲気や美しさ、爽やかさを十分に出してもらえるようなテンポ設定を期待したいです、

投稿: ハルくん | 2011年8月26日 (金) 14時24分

ハルくん、こんにちは。
『スコットランド』は、名曲ですね。冒頭の和声、メロディーが聴こえると、もう、気分はスコットランドですね。と、いっても、スコットランドへ行ったことありませんが・・・
さて、『スコットランド』の愛聴盤ですが、次の3枚は、どれも好きで落とせません。お馴染みのクレンペラー、若きアバド・ロンドン響、そしてノリントン・シュトットガルト。ノリントンは、響きが美しくロマンチックで、最近のお気に入りです。

投稿: ひらけん | 2011年8月27日 (土) 15時21分

ひらけんさん、こんにちは。

「スコットランド」は、本当に素晴らしい名曲ですよね。もちろん僕も行ったことは有りませんが、この曲は写真で見る風景をそのまま想い起させられます。

アバド、ノリントン、どちらも聴いたことはありませんが、ノリントンがお気に入りなんですね。一度聴いてみたいなぁ。
どうもありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2011年8月27日 (土) 22時02分

アバドもいいですよ。ちょっと明るすぎるかもしれませんが。

投稿: かげっち | 2011年9月 6日 (火) 12時58分

かげっちさん、再びコメントをありがとうございます。

かげっちさんもアバドお好きなんですね。「イタリア」のほうは一度聴いたことがあるのですけれども、こちらは無いんですよ。
「明る過ぎる」というのがちょっと気にはなりますが。

投稿: ハルくん | 2011年9月 6日 (火) 21時02分

こんばんは。

なんとなく、この曲を聴きたくなって
所有のバーンスタイン&NYP(1964年録音)を聴きました。

演奏も録音もベストではありませんが
第3楽章の美しさに心トキメキました。
やはり名曲はいいものですね。


メンデルスゾーンは最近見直し(聴き直し)している作曲家です。

もっとも交響曲第2番は冗長で、マーラーのような感動はありませんでした。

これなら交響曲第1番の方がイイですね。

投稿: 影の王子 | 2014年4月19日 (土) 22時10分

影の王子さん

この曲はやはり名曲ですね。

第2番は交響曲と言うよりカンタータという感じですが、そういう意味では面白いと思います。マーラーの2番と比べては気の毒ですが、でもマーラーがこの曲からヒントを得たのではないかと思えて仕方が有りません。
1番も5番も良いですが、やはり3番が最高です。

投稿: ハルくん | 2014年4月20日 (日) 14時22分

マークもクレンペラーもこの曲らしい雄大な演奏で素晴らしいです。
カラヤンの演奏は速いというよりはテンポをいじりすぎて作為的かな、と思います。
私の隠れ名盤はおそらく誰も評価しないでしょうが、ドラティ盤です。これはマーク、クレンペラーほどの自然さはないですが、登山に臨む男らしい演奏だと思っています。

投稿: ボナンザ | 2014年6月 3日 (火) 23時11分

ボナンザさん

マークとクレンペラーは本当に素晴らしいですね。カラヤンが作為的なのは何の曲を演奏しても変わらないように思います。

ドラティ盤は聴いたことがありませんでした。ドラティらしい活力が有る演奏なのでしょうか。
それでは、私の隠し玉も一つ。ドホナーニ/VPO盤です。ウイーン・フィルの美音をDECCAの録音が十全に捉えていて中々に素晴らしいです。

投稿: ハルくん | 2014年6月 3日 (火) 23時51分

ドホナーニ盤は昔のレコ芸で読者の選ぶ名盤として評価されていたのを覚えています。カラヤンBPOとは違った趣の美しい演奏ですね。
ドラティ盤はフィンガル、イタリアとカップリングということからおわかりのようにかなりテンポが速めですが、軽くならず、重厚感ある熱演だと思います。
逆にスコッチに熱演は向かないと思う人にとってはだめかも知れません。
三曲とも力強いので・・・。
録音はマーキュリーなので問題ないと思っています。

投稿: ボナンザ | 2014年6月 5日 (木) 22時13分

ボナンザさん

ドラティ盤、”テンポが速めで重厚感ある熱演”というのは興味をそそられますね。一度聴いてみたいです。
ありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2014年6月 6日 (金) 00時07分

こんばんは。

有名なヴァイオリン協奏曲「ホ短調」がなかったので
ここに書かせていただきます。
といっても、もう1曲のヴァイオリン協奏曲「ニ短調」です。
1822年13歳の時のヴァイオリンと弦楽のための協奏曲です。
1951年にメニューインによって発見されました。
伴奏が弦楽だけなのは確かに物足りませんが
ヴァイオリンの美音を堪能させてくれる良い曲だと思います。
これは個人的にプッシュしたい曲です。
CDはグリュミオー、クレーメルなどがあります。

投稿: 影の王子 | 2017年4月 4日 (火) 20時09分

影の王子さん、こんにちは。

そうなんです。何とメンコンの記事が無いのですよ!
というのもCDが余りにも溜まってしまい、記事がアップ出来なくなってしまったからです。
以前から、なんとか試みようとは思うのですが実現していません。

メニューインはメンデルスゾーンでは他にヴァイオリン・ソナタの普及にも努めましたね。
ニ短調のコンチェルトは聴いていませんが、とても良さそうですね。いずれ聴きたいと思います。
ありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2017年4月 5日 (水) 13時11分

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