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2011年7月17日 (日)

モーツァルト ピアノ協奏曲第13番ハ長調K.415

ウイーンに引っ越したモーツァルトが、「予約演奏会」の為に作曲した3曲のピアノ協奏曲、第11番、第12番、第13番の中で最後に作られたのが第13番ハ長調です。言うなれば3兄弟の三男坊です。ところがこの末っ子は、すこぶる出来の良い優等生です。長男も次男もとても魅力的ですが、三男の魅力にはさすがの兄貴二人も脱帽です。

モーツァルトはこの曲に、オーボエ、ホルンの他に、ファゴット、トランペット、ティンパニーまで使っていますので、非常に壮麗な響きを生み出しています。

第1楽章アレグロは、編成の大きさが最も生かされています。冒頭の弦によるフーガに始まり、展開されて気宇壮大にオーケストラが鳴り渡る様は、まるで「ハフナー」か「ジュピター」をも思わせるほどです。ピアノ・パートも華麗にテクニッックを駆使してとても聴き応えがあります。

第2楽章アンダンテは、実は作曲の直前に亡くなったヨハン・クリスティアン・バッハのオペラ「誠意の災い」序曲から、そっくり流用しています。これは、追悼の意を示すために違いありません。但し後半に転調しながら、ほの暗さから徐々に寂寥感を感じさせる部分などはモーツァルトそのものとなっていて非常に素晴らしいです。

第3楽章アレグロは、ウイーンに意気揚々と乗り込んできたモーツァルトの気分が良く表れています。実に楽しい楽章です。

それでは、僕の愛聴盤のご紹介です。

671 ゲザ・アンダ独奏/指揮、ザルツブルク・モーツァルテウム室内管(1967年録音/グラモフォン盤) 全集盤への演奏です。何故かこの曲は録音がパリッとしません。その為か、演奏もそんな風に聴こえてしまいます。モーツァルテウム管の演奏も雑に感じられますし、ピアノもどうも鈍く、いつものアンダの魅力が感じられません。水準の高いアンダの全集の中では珍しく、余り出来の良くない演奏だと思います。

2edebf2ef962870ed7a190d588ced904ダニエル・バレンボイム独奏/指揮、イギリス室内管弦楽団(1967年録音/EMI盤) EMIの全集盤に含まれています。バレンボイムの演奏は、堅苦しいところが無く、型にはまらない自在さを感じさせるのが最大の魅力です。自分にとっては正にモーツァルトのイメージそのものなのです。バレンボイムとしては平均的な出来栄えに思いますが、他のピアニストでは聴けない良さが有るので、存在価値が高いのです。2楽章の哀愁漂う雰囲気も非常に素晴らしいです。

Fi2546314_0e アンネローゼ・ シュミット独奏、マズア指揮ドレスデン・フィル(1976年録音/独edel盤) 全集盤からの演奏です。導入部で、マズア/ドレスデン・フィルがとても充実した響きを聞かせてくれます。シュミット女史のピアノは相変わらず堅実ですが、1楽章などは速めのテンポで実に立派に弾き切っています。2楽章も淡々としてはいますが、しっとりとした情緒を感じさせます。3楽章ではアレグロ部の躍動感とアダージョ部の寂寥感との対比がとても効果的です。この演奏はとても気に入っています。

Michelangeli15 アルトゥーロ・ベネディッティ・ミケランジェリ独奏、ガーベン指揮北ドイツ放送響(1990年録音/グラモフォン盤) 何しろ録音の数の少ないミケランジェリですが、90年代にもなってモーツァルトのコンチェルトを何曲か聴けるとは思ってもいませんでした。第15番とのカップリングのこの録音は、かつての目の覚めるような鮮やかなテクニックはだいぶ影を潜めた感じですが、一つ一つの音を細心の注意を払って弾くスタイルは少しも変わりません。ゆったりとしたテンポで本当に音楽を慈しんでいます。この人は誰の曲を演奏しても全部ミケランジェリですが、そこがいいんですね。

この曲に関しては、オーケストラとトータルでシュミット/マズア盤が一番気に入っています。それとバレンボイムとミケランジェリも捨てがたいです。昔、アナログ盤で聴いていたのはハスキル/パウムガルトナーでしたが、現在CDは持っていません。久しぶりに聴き直してみたいものです。

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モーツァルト(協奏曲: ピアノ 第10~19番)」カテゴリの記事

コメント

今晩は、ハルくん。三連休いかがお過ごしでしょうか?
私は三連休中日の今日、東響定期の演奏会。ピアノコンチェルトではありませんが同じモーツァルトつながりでお許しくださいね。
交響曲25番Kイヤミ…いえいえ183『アマデウス』の冒頭の曲で幕開けです。
クラリネットもフルートもトランペットもトロンボーンもチューバもなく、何故こんなに力強い音楽が生まれるんでしょ?続きまして、ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K364。お初にお目にかかる曲でした。何事も初体験とは新鮮なもの。独奏者が2人というのは不思議な感じでした。協奏交響曲というスタイルも知りませんでした。おぉ、もし独奏者が晶子様とハル様で、指揮者がチューさんだったら。こりゃもう、鼻血のみならずヨダレも付いちゃいそうですねぇ。
かように暑い夏の夜、Seikoの妄想は続くのでありました。
冗談はともかく、諏訪内晶子さんには、素晴らしい演奏活動で、先の汚名を返上してほしいと心から思います。だって彼女は容姿だけじゃない、紡ぎ出す音も美しくしなやかなんですもの。

投稿: From Seiko | 2011年7月17日 (日) 21時25分

Seikoさん、こんにちは。

三連休は初日にJリーグの試合を久しぶりに観戦しました。二日目は普通に買い物でしたが、今朝は女子ワールドカップをTV応援して感動の嵐でした。というわけでサッカー観戦中心の三連休でしたよ。

モーツァルトのコンサート良かったですね。交響曲25番は素晴らしい名曲ですし、協奏交響曲K364も本当に良い曲です。ヴァイオリンとヴィオラが交互にほぼ同じメロディを弾くので、ヴィオラ・プレイヤーにとっては非常に嬉しい曲です。昔は楽譜を買って練習しましたよ。諏訪内晶子さんとの競演などは、Seikoさんの妄想の中でしかあり得ませんが、万一そんなことが起きたら舞台上で鼻血ブブブーの出血多量死間違いありません。(笑)
仰るとおり彼女のヴァイオリンは本当に素晴らしいので、名演奏でぜひとも汚名返上をして欲しいです。

投稿: ハルくん | 2011年7月18日 (月) 10時10分

こんばんは。

モーツァルトのピアノ協奏曲は全て傑作といっていいと思いますが
この曲も実に素晴らしいです。
何とも言えない品の良さを感じるし
澄み切った川の流れを連想させます。

「深みが無い」という意見があるかもしれませんが
美しさに徹した曲つくりだからこそ
モーツァルトの優悦があると思います。

投稿: 影の王子 | 2016年4月19日 (火) 23時52分

影の王子さん、こんにちは。

本当にモーツァルトのピアノ協奏曲は全て傑作だと言えますね。
シンフォニーあたりと比べてみれば、正に奇跡です。
13番はそれ以降と比べれば地味な存在ですが、ハスキルが愛奏していたことからも大変魅力的な作品です。深みが無いなどと評するのは大きな間違いです。
10番台の曲はもっともっと演奏会で取り上げて欲しいですね。


投稿: ハルくん | 2016年4月21日 (木) 11時12分

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