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2011年6月 2日 (木)

モーツァルト ピアノ協奏曲第7番「3台のピアノのための協奏曲」ヘ長調K.242

ピアノ協奏曲第6番に続いて作曲されたのは、「3台のピアノのための協奏曲」です。この曲は、ザルツブルクの名門貴族ロードゥロン伯爵の夫人アントニーナと2人の令嬢のために書かれました。最初の版の献辞には、「貴婦人であるロードゥロン伯爵夫人と、その令嬢たち、アロイジアとジュゼッピーナに。彼女たちの最も献身的な召使いヴォルフガング・モーツァルト。」と記述されていたそうです。

各ピアノ・パートは3人の技量に合わせて書かれているので、第1と第2ピアノはある程度難しく、第3ピアノはかなり易しく書かれています。そのわけは第3ピアノは未熟なジュゼッピーナ用だったからです。

さて、3台のピアノ協奏曲と言うと随分華やかな音をイメージしますが、実際は、曲が伯爵親子の為に書かれた社交的な内容なので、そこには3台のピアノで演奏しなければならない音楽的な必然性は全く無いと思われます。それにモーツァルトにしては、この曲は特別な傑作とも言えません。ただ、だからといって駄作というわけでもありません。聴いていて楽しく美しく、とても心地の良い音楽です。モーツァルトのピアノ協奏曲に駄作は1曲たりとも存在しないのです。彼自身も、この曲は何度か演奏したそうです。

それにしても、第1番から4番までの習作と、この「3台のピアノのための協奏曲」や、第10番「2台のピアノのための協奏曲」を、どうして全集に含めないのかなぁ、と思うのですが。

第1楽章アレグロは、本当に楽しいです。パトロンと一緒に楽しくピアノを奏でるウォルフィの姿が目に浮かぶようです。

第2楽章アダージョは、非常に美しい音楽です。この楽章だけ取り出して聴いても、うっとりとさせられます。

第3楽章テンポ・ディ・メヌエットでロンド形式ですが、通常のフィナーレのような躍動感は無く、実に優雅です。いかにも伯爵令嬢たちのために作られたという印象です。

この曲は全集盤にはほとんど入っていないので、僕の所有するCDは一つだけです。

Mozart_2_pianos_3_pianos

ダニエル・バレンボイム、ウラジーミル・アシュケナージ、フー・ツォン独奏/バレンボイム指揮イギリス室内管(1972年録音/DECCA盤)

この曲には、ピアノ演奏にカラヤンやショルティが参加したものや、元ドイツ首相のシュミット氏が参加したものなどと、楽しいものが様々です。けれども、この3人の名手の演奏の美しさは格別です。元々曲が、独奏者が張り合うようには書かれていないので、音だけで聴いていると、僕にはどれが誰のピアノなのだかは分かりません。どの音も綺麗でうっとりだからです。3人が心から楽しんで弾いている雰囲気でいっぱいです。指揮をしているのはバレンボイムなのですが、ピアノも含めて余りバレンボイムらしい粘り気は感じません。とてもサラリとしているので、これはアシュケナージの音のイメージです。たぶんバレンボイムがアシュケナージに合わせたのでしょうね。それにしても、この美しい演奏で聴いていると、本当はこの作品は傑作だったのではないかと思えてくるから不思議です。

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モーツァルト(協奏曲: ピアノ 第01~9番)」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん、おはようございます

我が家にある全集中、ヘブラーとアシュケナージのものは、それぞれ第1番から第4番、それと複数台のピアノのための協奏曲を含んでいます。アシュケージの全集では、ハルくんさんご紹介のものと同じ録音が入っています。バレンボイムが指揮していたのですね。言われてみれば...というところでしょうか。
さて、3人のピアニストの並び順については書かれたものがありませんが、外れ承知で推測しますと、向かった左(ヴァイオリン群のある側)からアシュケナージ、バレンボイム、フー・ツォン、というのはどうでしょう。推測結果に自信がある訳ではありませんが、左側のピアノの音が一番柔らかく優しい響きで、真ん中はダイナミック感があり(それと指揮がしやすいだろうと思い)、右側のピアノは音の粒がきっちりしていて綺麗。
もしかすると、全部外れかもしれませんが、とにかく夫々素敵なピアノで、この曲を一層惹き立てていると思います。これに気付いたことも、ハルくんさんのブログのお蔭と感謝します。HABABI

投稿: HABABI | 2011年6月 4日 (土) 06時33分

HABABIさん、こんにちは。

さすがはHABABIさん、推測理由に説得力がありますね。恐らく右の第3ピアノはフー・ツォンだと思いますが、第1と第2が判りかねます。DECCA録音ということもあり、当時のバレンボイムのEMI盤での音と違うように感じます。音質だけではどちらもアシュケナージに聞こえます。(笑) 曲もアマチュア向けに易しく書かれているので、このレベルのプロだと差が出ないのでしょうね。
ありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2011年6月 4日 (土) 13時05分

この曲、聴いたことがないので、
ぜひ聴いてみたいのですが、
出ているCDも少なそうですね(汗)

私の趣向からいうと、ピアニストの技巧が
前面に出た曲よりは、こういう曲を
巨匠が心こめて弾いたもののほうが
好きです。

しかし3台というのは、コンサートでは
ありえないでしょうね。

投稿: 四季歩 | 2011年6月 4日 (土) 20時39分

四季歩さん、こんばんは。

確かにこの曲は存在が良く知られている割にCDが少ないですね。ご紹介しておいてなんですが、特別に優れた曲では無いからでしょうか。曲としては第10番の「2台のためのピアノ協奏曲」のほうが優れていると思います。
なにはさておき、是非お聴きになられてみてください。

投稿: ハルくん | 2011年6月 5日 (日) 02時06分

ハルくんさん、こんにちは

ピアニストの並び順に関し、ネットで調べてみたところ、LPの解説で分かったとして、第1:アシュケージ、第2:バレンボイム、第3:フー・ツォンと書いているものを見付けました。また、この曲の第3ピアノに関し、主に伴奏の音を弾いているとの記事も見付けました。そうすると、真ん中のピアノが第3ピアノに相当します。しかし、第1や第2に合わせるため、随分忙しそうで、ちっとも簡単ではなさそうに聴こえますが。
このCDの他に、ヘブラーのCDや、LPで持っているメニューイン・ファミリーやカザドュジュ・ファミリーの演奏録音でも、第1、第3、第2の並び順になっています(但し、主旋律を先に弾いている方を第1として)。

以上より、向かって左から、アシュケナージ、フー・ツォン、バレンボイムの順に並んでいることになります。果たして、これが正解かどうか。
この録音の頃のバレンボイムのピアノの音は細身だったのですね。HABABI

投稿: HABABI | 2011年6月 5日 (日) 14時42分

HABABIさん、こんにちは。

実は我が家のシステムでは左から2番目と3番めの位置がかぶって聞こえます。なので第3ピアノは右端と思っていました。
ですが第1アシュケナージ、第2バレンボイムとなれば、この二人の掛け合いがメインですので正解のようですね。
第1、第3、第2の順が多いというのはステレオ効果の面でそう並ぶ気がします。
色々とお調べ頂きましてどうもありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2011年6月 5日 (日) 15時40分

ひらけんです。コメント第2番です。私のハルくんのブログとの出会いは、モーツァルトの三台のピアノのためのコンチェルトでした。出会いの曲としては地味?でしたが、家のCDを探した結果、一枚だけありました。最近購入したカサドシュ盤です。私の家のオーディオでも左右のスピーカーからはっきりと三台のピアノがアンサンブルしているのがわかり、ピアノの配置など目の前に浮かびました。こういう楽しみ方もあるのか、と発見しました。また、曲は、終盤の舞曲風の弦ピッチカートのところが楽しく、弦とピアノが絶妙ですね。

投稿: ひらけん | 2011年7月16日 (土) 17時55分

ひらけんさん、こんにちは。
またのコメント大変嬉しく思います。

この記事で見つけて頂いたのですね。
カサドシュのモーツァルト演奏は大変素晴らしいと思いますが、残念ながらこの曲の録音は持っていません。
色々な聴き方で楽しまれたとのこと、良かったですね。

投稿: ハルくん | 2011年7月17日 (日) 09時57分

ハルくん、おはようございます。
今日から三連休です。芸術の秋には少し早いですが、朝からクラシック音楽三昧です。モーツァルトのピアノコンチェルト20番の素晴らしい記事がアップされていたので、そっちをと思いましたが、コメントは20番は所有盤が沢山あるので夜までおいといて、まずは三台のための~です。
この曲に一度コメント(稚拙ですが)してますが、その後収集したもので、バレンボイム新盤にボーナスDVDがついていましたのでピアノの並びについて情報提供です。
ピアノはシフ、バレンボイム、ショルティで、指揮ショルティ:ECOです。ピアノの並び(パート)は、三人とも観客を背にしていまして、左から、ショルティ(主に伴奏)、バレンボイム(伴奏、主旋律)、シフ(主に主旋律)。
ライブですので、指揮者がコンサートマスターの近くということを考えると当然ですし、バレンボイムのパートがショルティ、シフとそれぞれ絡むので、このような並びかもしれません。
ちなみに一番・二番・三番、主旋律・伴奏というより高音域・中音域・低音域にピアノパートを分けているような気がします。
ちなみに演奏は、楽しくアンサンブルする様子(真ん中のバレンボイムが左右のピアノをよく見ている)が伺えますし何よりショルティの笑顔が良いです。

投稿: ひらけん | 2011年9月17日 (土) 07時46分

ひらけんさん、こんばんは。

僕はこの曲の映像は見たことがありませんので、貴重な情報をありがとうございます。
なるほど、高―中-低音という並びは非常にステレオ効果が高くて実演向きのようですね。案外モーツァルトの意図を当てているかもしれませんね。
あのショルティの笑顔、楽しそうですね。(笑)

投稿: ハルくん | 2011年9月17日 (土) 23時32分

新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

元旦なので、愉しい曲を・・・と思い
例のバーンスタインBOXからこの曲を聴きました。
アーサー・ゴールドとロバート・フィッツデイルという2人に加え
バーンスタインが(おそらく第3?)ピアノを弾き
ニューヨーク・フィルを指揮してます。
1968年の録音です。

若書きの曲なので、いささか単調ですが
そこはモーツァルト、第2楽章はなかなか美しいです。

なお、作曲家自身の2台のピアノへの編曲版もあり
ペライヤ&ルプー盤があるそうです。

投稿: 影の王子 | 2015年1月 1日 (木) 10時31分

影の王子さん、あけましておめでとうございます。
こちらこそ今年もよろしくお願い致します。

この曲は単調に思える部分もありますが、2楽章などは非常に美しいですし、やはり良い曲だと思います。

バーンスタイン盤というのは知りませんでした。でもレニーが演奏を好みそうな曲ですね。
2台編曲版のペライア&ルプー盤も聴いていませんが、あの二人なら素晴らしい演奏であるのは間違いところでしょうね。

投稿: ハルくん | 2015年1月 1日 (木) 15時16分

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