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2011年5月15日 (日)

モーツァルト ピアノ協奏曲協奏曲第1番~第4番(K.37、39、40、41)

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今回からは、モーツァルトのピアノ協奏曲の特集です。実は、僕がモーツァルトの素晴らしさに目覚めたのもこのジャンルでした。クラシックを聴き始めた高校生の頃は、モーツァルトの音楽は綺麗だけれども、どうも聴きごたえが無いように思っていました。それが大学に入ってすぐ、たまたま名曲喫茶で耳にしたピアノ協奏曲第27番(K.595)を聴いて、脳天に電気が走ったのです。それ以来、この人のピアノ協奏曲を順番に聴いていきましたが、どの曲をとっても魅力的に感じました。ですので、あの時は正に「目からうろこ」のきっかけだった訳です。それにしても、独奏ピアノがオーケストラを従えて華やかに演奏するピアノ協奏曲というスタイルは、モーツァルトの音楽の粋と魅力が最もストレートに表されているように思います。

神童モーツァルトにとって一番重要な楽器がピアノだっただろうということは、その作品の多さから想像がつきます。協奏曲の分野では全部で27曲有りますが、これはヴァイオリンや管楽器と比べると相当な多さです。けれども、驚かされるのは、およそ全ての曲が魅力的な作品であることです。もちろん第20番以降の素晴らしさは圧倒的ですし、10番台も傑作ばかりです。モーツァルトのシンフォニーは第41番まで有りますが、初期の作品が必ずしも飛び切り魅力的とは言えないのに対して、ピアノ協奏曲の充実ぶりは驚異的です。

1767年に、当時11歳のモーツァルトは生れ故郷のザルツブルクで4月から7月にかけてのわずか3か月そこそこの間に4曲のピアノ(クラヴィーア、あるいはチェンバロ)協奏曲を作曲しました。ピアノ協奏曲第1番から第4番(K.37、39、40、41)です。但しこれらは全て習作で、モーツァルト自身の作曲ではなく、他の人の作品の編曲です。譜面書きも、パパモツのレオポルトの協力が相当あったと考えられています。

4曲の原曲は楽章ごとに作曲家がまちまちですし、作品としてもチェンバロ・ソナタやヴァイオリン・ソナタなどと随分多彩です。ところが実際に聴いてみると、モーツァルトの作品として見事にまとまっていますし、非常に魅力的です。この4曲を全集の中に含めずに、5番以降のみを録音する演奏家も多く存在します。もちろん、それはそれで理解できるのですが、省いてしまうには余りに「もったいない!」作品ばかりなのです。

僕が、特に好んでいるのは、まず第1番K.37の第1楽章です。始まったとたんに、あの天馬空を行くようなモーツァルトのアレグロのとりこになってしまいます。そして、それ以上に愛してやまないのが、第4番K.41の第2楽章です。この緩徐楽章は、あの大傑作K.488の第2楽章を想わせるような哀愁が漂う、大変にロマンティックな音楽です。

それでは僕の愛聴盤をご紹介します。

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ゲザ・アンダ独奏/指揮、ザルツブルク・モーツァルテウム室内管(1968-1969年録音/グラモフォン盤) たしか世界で最初のモーツァルトのピアノ協奏曲全集だったと思います。ですので、オールド・ファンにはとても人気が有ります。御年配の方が、レコード店でこの演奏を絶賛していたのを記憶しています。アンダのタッチは素朴で硬質だと思いますが、音にメカニカルな感じが無く、有機的な肌触りを感じます。とくに、重くならない音での右手のスケールや音の粒立ちはとっても好きです。問題は左手の和音です。録音のせいなのかどうかは分りませんが、どうも荒く聞こえます。乱暴にさえ感じるこの音はどうしてなのでしょう。それ以外は、非常に良い演奏だと思います。モーツァルテウム室内管も、さすがはモーツァルトの生まれ故郷の楽団です。技術的に最上とは思えませんが、モーツァルトに対する愛情をとても感じます。もっとも、それはアンダが自ら指揮しているせいも有るのでしょうけれども。

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ダニエル・バレンボイム独奏/指揮、イギリス室内管弦楽団(1974年録音/EMI盤) EMIの全集盤の中に含まれています。バレンボイムはこの全集の後にベルリン・フィルとも新録音を残しましたが、そちらは、どうも演奏が脂ぎって聞こえます。その点、若い時代の旧録音は、ロマンティックな性格を持ちながらも、さほど脂ぎって聞こえません。むしろ厳格な型にはまらずに、自由に飛翔するようなピアノの印象がモーツァルトの音楽の本質にとても適していると思います。部分的に音の粒に凸凹を感じなくも有りませんが、基本的には軽妙なピアノ・タッチが実に心地よいです。それでいて、僕の好きな第4番K.41の第2楽章などでは、ロマンティシズム全開となっているのが、たまらない魅力です。イギリス室内管も優秀で、このような音楽を演奏させると抜群です。

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コメント

こんばんは

バレンボイム盤は14番以降しか持っていませんが、旧盤の方が新盤よりモーツァルトに合っているというのは同感です。
初期の作品はペライヤ盤しかありませんが、モーツァルトの声があちらこちらから聴こえてくるような気がします。

投稿: メタボパパ | 2011年5月17日 (火) 00時01分

メタボパパさん、こんばんは。

ペライアは後期の限られた曲しか聴いていませんが、とても美しいですね。初期の曲の演奏もぜひ聴いてみたいです。
ありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2011年5月17日 (火) 22時32分

こんばんは。saraiです。

今度はモーツァルトのピアノ協奏曲ですね。ハルくんさん同様、大好きです。ただ、4番まではあまり聴いていません。バレンボイムの全集で以前聴いただけ。
実はちょうど、ペライアの全集BOXを聴き始めたところです。3番、4番あたりはなかなか良いですね。ただ、5番以降はやはり素晴らしく充実しているのも確かです。今、8番まで聴いたところ。しばらく、楽しめそうです。

投稿: sarai | 2011年6月11日 (土) 23時28分

saraiさん、こんにちは。

5番以降は全て名曲と言っていいですよ。
ボクも今回改めてじっくり聴きなおしていますので、ご一緒に順に全曲を楽しんでいきましょう!

投稿: ハルくん | 2011年6月12日 (日) 11時55分

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