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2011年5月26日 (木)

モーツァルト ピアノ協奏曲第6番 変ロ長調K.238 

モーツァルトは17歳の1773年に、初自作のピアノ協奏曲第5番を作曲しましたが、それからまた3年間はピアノ協奏曲を作曲しませんでした。けれども、20歳となる1776年から翌1977年にかけて、第6番から第10番までの5曲を立て続けに書き上げました。ここまでが、生まれ故郷ザルツブルク時代の作曲です。

その5曲のうち、第7番は「3台のピアノのための協奏曲」、第10番は「2台のピアノのための協奏曲」と変則です。ですので、独奏ピアノの協奏曲としては、6番、8番、9番となります。その中で第6番はかなり目立たない存在です。けれども、よく耳を傾けてみると、何ともチャーミングな曲なのです。女性的と言えないこともありませんが、それぐらい優雅で美しい曲だと思います。

第1楽章アレグロは力強さよりも、優雅さを感じさせます。とても魅力的です。

第2楽章アンダンテ・ウン・ポコ・アダージョは、全体を幸福感が覆っていますが、モーツァルトとしては、特別に優れているとは感じません。平均的な出来栄えでしょうか。

第3楽章ロンド・アレグロは、愉悦感に溢れた本当にチャーミングな名作です。モーツァルト自身が「もう楽しくて仕方がない!」と感じているようです。この楽章は僕はとっても好きです。

それでは、僕の愛聴盤のご紹介です。第5番と演奏家は同じなのですが、お気に入りの演奏が異なるのは面白いです。

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ゲザ・アンダ独奏/指揮、ザルツブルク・モーツァルテウム室内管(1962年録音/グラモフォン盤) やはり全集盤に含まれています。この曲でも、素朴なピアノの音がとても好みです。硬質なのですが、現代の楽器の響きのように無機的な冷たさを感じることがありません。表情のニュアンスの変化は相変わらず魅力的なのですが、この演奏では特にテンポの良さが際立っています。決して速すぎることなく、曲の典雅な雰囲気がとてもよく生かされています。僕にとっては、ほぼ理想的な演奏に思えます。

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ダニエル・バレンボイム独奏/指揮、イギリス室内管弦楽団(1973年録音/EMI盤) やはりEMIの全集盤に含まれています。バレンボイムは曲によってはテンポが遅過ぎて引き摺り気味なのが気になることがありますが、この曲ではそれが逆にプラスに働いています。それぞれのフレーズを心から慈しむかのようにゆっくり進めるので、この曲の持つ優雅さや愉悦感を倍増させる結果をもたらしています。ピアノのフィンガリングには幾らか凸凹を感じさせますが、独特の表現が何とも魅力的です。

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アンネローゼ・ シュミット独奏、マズア指揮ドレスデン・フィル(1977年録音/独edel盤) 全体的にテンポがかなり速めです。ピアノもオーケストラも歯切れの良さと爽快感は見事なのですが、この典雅な曲にしては、ちょっと速過ぎのような気がします。特に第2楽章などは味気なさを感じてしまいます。この曲に関しては、もたつくぐらいにゆったりとしたバレンボイムのほうがずっと好きです。

というわけで僕の好みでは、アンダ盤とバレンボイム盤を取りたいと思います。

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モーツァルト(協奏曲: ピアノ 第01~9番)」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん、おはようございます。

ご紹介頂いているモーツァルトの初期のピアノ協奏曲については普段あまり聴いていないので、偶には聴いてみようと思い少し聴き始めました。
アンダの演奏は、LPで1枚、第3番~第5番のものしか持っていないのですが、ピアノのちょっと金属的な音が面白く、他の作曲家の録音でも同様の響きを出しているので、これは、アンダの特徴と思います。リストも得意にしてそうに思ったのですが、意外にも少ししか録音が見つかりませんでした。
モーツァルトの初期のピアノ協奏曲を聴こうと思ったら、やはり全曲録音BOXで聴くことになりますが、我が家には、同じバレンボイム録音の他、ヘブラー、シフ、アシュケナージが独奏ピアノを担当しているのものがあります。先ほど、第6番をヘブラー/ロヴィツキ指揮/ロンドン交響楽団で聴きました(第2楽章が始まってすぐ、第21番を連想しました)。ヘブラーのピアノは、音は柔らかいですが、芯がしっかりしていて聴きやすいものと思います。この人のバッハ(フランス組曲)も好きですね。HABABI

投稿: HABABI | 2011年5月29日 (日) 08時00分

HABABIさん、おはようございます。

アンダの音はちょと独特に聞こえますね。でも硬質なのですが、決して無機的ということでは無いので嫌いではありません。

僕はモーツァルトの演奏家を選ぶときには、試しに20番台のどれかの曲を聴いてみて、もしも気に入った場合に全曲盤を購入します。シフは聴いていませんが、ヘブラーとアシュケナージは、全曲盤が欲しくなるほどではありませんでした。同じように他のピアニストも大抵は今一つに感じることが多いです。中々に難しいものです。

投稿: ハルくん | 2011年5月29日 (日) 12時19分

こんばんは!

アシュケナージの旧盤
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮
ロンドン響の1968年録音のDECCA盤は
とにかくオケが最美の極致‼
センスの塊と言っていいかもしれません。
これはモーツァルトのピアノ協奏曲のCDで特筆すべき名演です。
僕の中でこの指揮者の株は上昇中です。

投稿: 影の王子 | 2017年11月 8日 (水) 20時30分

影の王子さん、こんにちは。

アシュケナージ独奏&ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮の協奏曲は20番を持っていてとても素晴らしいのですが、カップリングがアシュケナージ弾き振りの24番なのです。
これは特にどうということは無いのでこの6番とのカップリング盤が欲しいです。
ハンス・シュミット=イッセルシュテットには結構録音も残されていて有り難いですね。

投稿: ハルくん | 2017年11月 9日 (木) 12時47分

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