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2011年2月 4日 (金)

カリンニコフ 交響曲第1番ト短調&第2番イ長調 ~ロシア音楽紀行~

早いもので立春を迎えました。今日の東京はとても暖かく感じました。北国ではまだまだ厳しい寒さと雪に見舞われているものとは思いますが、陽射しが随分と明るくなってきたのを感じられますし、もう少し我慢すれば本格的な春がやってくることでしょう。そこで、「暖炉にあたった気分でロシア音楽を聴きましょうシリーズ」の第7回は最終回として、春の訪れを感じる名曲を聴くことにします。

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ヴァシリー・カリンニコフというと、何年か前に交響曲第1番がロシア音楽ファンの間で静かなブームになりました。けれども、それ以前にこの曲を聴いたことの有るのは、よほどのマニアのみだったと思います。

カリンニコフは19世紀後半の1866年に生まれましたが、20世紀になってすぐの1901年にこの世を去りました。それは彼が僅か34歳のときです。貧しい警察官の家に生まれながらも、子供の時から音楽の才能に恵まれて、14歳で町の聖歌隊の指揮者になったそうです。その後、モスクワで金銭の苦労をしながらも音楽を学び、チャイコフスキーに認められます。ようやく本格的な音楽の仕事を初めて間もなく、元々体が丈夫ではなかった彼は結核の病に侵されてしまいます。そこで、やむなく療養のために温暖なウクライナのヤルタに住みながら作曲を行いました。彼が残した2曲の交響曲もそこで書かれました。その後、彼はウラル山脈の山荘に移りますが、とうとう病が治ることは無く生涯を閉じてしまいます。

この2つの交響曲作品は師であるチャイコフスキーの影響をかなり強く受けています。ロシアの民謡をもとにした旋律は、さしずめチャイコフスキーの初期の交響曲のようです。管弦楽の響きも随分似ているように感じます。但し、チャイコフスキーが荒涼とした冬のロシアの大地を想わせるのに対して、カリンニコフはもっとずっと爽やかで、それはまるで春の息吹を感じさせるかのようです。曲想も若々しいので、「早春の譜」とか「青春の詩」というイメージがぴったりです。正にそこがカリンニコフの魅力です。僕はチャイコフスキーの初期のシンフォニーでは第1番「冬の日の幻想」と第2番「小ロシア」が大好きですが、カリンニコフの二つの交響曲にも抗しがたい魅力を感じます。哀愁漂う旋律の第1番のほうが一般の人気は高いですが、第2番も内容はよく似ていますし、聴くほどに魅力が増してゆく点で、この2曲はどちらも大切にしておきたい音楽です。

CDは、やはり1番と2番をカップリングしたもので聴きたいです。幸い素晴らしいCDが有りますのでご紹介します。

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エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(ヴェネツィア盤)

2曲の録音時期は幾らか離れていて、第1番が1975年、第2番が1968年ですが、ロシア・メロディアの録音は1965年あたりからかなり進歩したので、録音の差異はほとんど感じません。ヴェネツィアによるリマスターも優秀ですし、鑑賞には全く問題ありません。それにしてもスヴェトラーノフに、このようなロシアものを演奏させると本当に素晴らしいです。旋律の情緒的な歌いまわしは最高ですし、何しろロシアの素朴な田舎の空気そのものを感じさせます。そしてフィナーレで金管を力強く吹かせるところはチャイコフスキーのシンフォニーと全く同じスタイルです。カリンニコフの師からの影響を改めて感じさせてくれる演奏です。

この曲を他の指揮者で聴いたことは有りませんが、スヴェトラーノフの演奏は大変に魅力的ですので、これ1枚でも不満は感じていません。ですが、もしもゲルギエフが手兵のキーロフ管と録音をしてくれたら、是非とも聴きたいと思います。実現すると良いのですが。

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ロシア音楽(ムソルグスキー、ボロディン、カリンニコフなど)」カテゴリの記事

コメント

ハルくん、こんにちわ

この曲、いいですよね。私は大昔、Bee-Yan'g氏氏のホームページにupされていた音源でこの曲を知り、そして、廉価盤CD「ナクソス」で最も売れているもの?と言うことで、そのナクソス盤を入手しました。その後、コンサートでも聴きましたし。

と言うことで、他の録音は聴いたことが、このナクソス盤で満足しています。

投稿: matsumo | 2011年2月 5日 (土) 14時06分

matsumoさん、こんにちは。

ナクソスのクチャル盤はベストセラーでしたね。この曲の広い普及にとても貢献したと思います。もっとも自分は一度も聴いていないのですけれども。

投稿: ハルくん | 2011年2月 5日 (土) 16時18分

こんばんは

ご無沙汰しております。
カリンニコフ興味持ちました!
聴いてみます^^
ゴロヴァーノフ/ボリショイ劇場管のをダウンロードしました。
明日が楽しみです。

投稿: kurt2 | 2011年2月 5日 (土) 23時21分

kurt2さん、こんばんは。

カリンニコフはいいですよ~。
初めてでしたら、より馴染みやすい1番から聴かれることをお勧めします。ダウンロードであれば幾つか演奏を探されてお聴きになられると良いと思います。

投稿: ハルくん | 2011年2月 6日 (日) 00時17分

こんばんは。

第1番、TV放送の録画、ネーメ・ヤルヴィ指揮N響で聴きました。
なんと、全編が魅力で満ち溢れているのでしょう!
1度聴いただけで気に入りました。
指揮者が完全に曲を手中に収めているのが伝わります。
どの部分も意味の無い箇所などありません。
第1楽章の美しい歌はもちろん、終楽章コーダの迫力ときたら!
いままでこの曲を聴いていなかった自分を恥じました。
ブルーレイに保存したのはいうまでもありません。
曲のすばらしさもさることながら
N響を完全にドライブした父ヤルヴィ、偉大なり!

投稿: 影の王子 | 2016年12月21日 (水) 23時52分

影の王子さん、こんにちは。

こういう名曲があるのは驚きですね。
ロシア音楽ファンがこれを聴かなければ勿体ないというものですね!

親父ヤルヴィはスコッティッシュ管と録音した1、2番のCDも評判が良いみたいですね。
あと、記事を書いた後で聴いた、ウクライナのオケと録音をしたクチャル盤は曲想に実にマッチした感じで良かったです。というかこの曲が静かなブームになるのに大いに貢献したCD(ナクソス盤)ですので良かったら一聴してください。

投稿: ハルくん | 2016年12月22日 (木) 17時21分

テオドール-クチャルのナクソス盤名演奏ですよ。

投稿: ドクターペイン | 2018年5月28日 (月) 09時52分

ドクターペインさま

7年前の記事ですので当時は他に聴いていませんでしたが、その後にクチャル盤はNHKFMで聴きました。とても美しい良い演奏ですよね。

投稿: ハルくん | 2018年5月28日 (月) 12時50分

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