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2011年1月29日 (土)

ラフマニノフ 交響曲第2番ホ短調op.27 名盤 ~ロシア音楽紀行~

本当に毎日寒いですが、寒い寒いとばかりも言ってはいられませんので、寒さに負けずに「暖炉にあたった気分でロシア音楽を聴きましょうシリーズ」の第6回と行きましょう。前回に続いてラフマニノフです。今回はシンフォニーです。と、ここまで読めば、もう皆さんは「ハハん、あの曲ね。」と察しがつくでしょう。そうです、交響曲第2番です。

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ラフマニノフというとピアニストのイメージが強いですが、管弦楽作品も書いていますし、自作の演奏のために指揮台にも立っています。交響曲は3曲を残しましたが、その中で最も人気の高いのが第2番です。個人的には色々なモティーフが絡み合っていて近代交響作品として更に優れているのではないかと思う第3番も好きなのですが、やはり第2番の甘い旋律でロマンティックに迫られると抵抗できずに身も心も奪われてしまいます。

この曲はまるで映画音楽のような暗く甘いムードを持って情緒綿々と歌われます。いきなり第1楽章からそんな雰囲気でいっぱいです。第2楽章はアレグロ・モルトですが、このリズムは馬の駆けるイメージですね。雪原を疾走する馬でしょう。第3楽章アダージオはこの曲の白眉である甘くとろけるような旋律で延々と歌われる楽章です。第4楽章アレグロ・ヴィヴァーチェは非常に活力が有りますが、なんだかクラシックというよりはブロードウェイ・ミュージカルみたいです。

この曲は長大なので、以前は短縮版で演奏されるのが普通でした。現在は完全版で演奏されていますが、それを世に広めた功労者はアンドレ・プレヴィンです。但し完全版での演奏をプレヴィンに助言したのは他でもないムラヴィンスキーだったそうです。

この曲を余り好きでない方からは「映画音楽みたいだ」とケチをつけられますが、それぐらいにムードの有るのがラフマニノフの音楽の魅力ですので、理屈抜きで楽しめば良いでしょう。けれどもさすがにこの曲を幾つもの演奏で聴き比べてはいません。

それでは愛聴盤のご紹介です。

71axcpozgml_ac_sl1200_ アンドレ・プレヴィン指揮ロイヤル・フィル(1985年録音/TELARC盤) この曲を世に広めたプレヴィンには、この10年前に初めて録音をしたロンドン響との演奏(EMI盤)が有ります。完全全曲盤という価値は有りましたが、正直言って少々生ぬるくBGM的な印象と記憶しています。EMIのぼやけた録音もマイナスだったかもしれません。その点で、この新盤はテラークの優秀録音のおかげで、ずっと彫りの深い演奏に聞こえます。プレヴィンらしいロマンティックな味わいはそのままに、細部に楽曲へのこだわりや意味深さを感じられる結果となり、その聴き応えは旧盤を大きく凌駕します。プレヴィンなら間違いなく新盤を選ぶべきです。

417vxknth3l__sl500_aa300__2 マリス・ヤンソンス指揮サンクトペテルブルグ・フィル(1993年録音/EMI盤) 今では非常に人気のあるマリス・ヤンソンスですが、以前に全曲録音を行っています。この演奏はことさらに過剰に歌い上げていないところが、好みの分かれ目だと思います。ムード的で無い、映画音楽を感じさせない演奏とでも言いましょうか。サンクトぺテルブルク・フィルの優秀さも際立っていて、非常に聴きごたえが有ります。個人的には、とても好きな演奏です。但しEMIの録音が後述のスヴェトラノフ盤と比べて少々くすんだ印象で聴き劣りがするのがマイナスです。このCDには名曲「ヴォカリーズ」が管弦楽版で入っているのは大変嬉しいです。

560 エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ロシア国立響(1995年録音/ワーナーミュージック盤:CANYON原盤) ロシアものとくればやはりこの人が登場しないわけには行きません。緩徐部分はずいぶん遅いテンポでたっぷりと歌い上げます。その割に1楽章の中間部は大迫力なので、リムスキー・コルサコフのようでもあります。3楽章は期待通りに雰囲気いっぱいに歌ってくれます。うーん、ラフマニノフ!終楽章も期待通りに派手なミュージカルさながらです。録音も優秀ですのでオーケストラの美しい響きをふんだんに味わえます。スヴェトラーノフには1960年代のメロディア録音も有りますが、これはキャニオンによる再録音で、自分が所有しているのは写真のワーナーミュージックによるライセンス全集盤です。2番単独盤でも出ていました。

Rachmaninov_chan9665 ヴァレリー・ポリャンスキー指揮ロシア国立響(1997年録音シャンドス盤) 知る人ぞ知るロシアの名指揮者ポリャンスキーの演奏はユニークです。情緒綿々とオーバーに歌い回すのがラフマニノフの音楽だと思っていると、認識を大きく覆されます。”常識的な”ラフマニノフの演奏からは最も遠いところに有ります。静かに、心の奥にゆっくりとゆっくりと浸みこんでくるような、いじらしいほどの美しさを持ちます。虚飾が無い分、内面に訴えかけてくる深さは計り知れないほどです。特に魅力を感じるのは第1楽章と第3楽章です。第2、第4楽章ではスヴェトラーノフの豪放な迫力には及びませんが、緩徐部分の美しさにはやはり胸を打たれます。ちなみにこのロシア国立響は、スヴェトラーノフの楽団とは別の団体です。

というわけで、いずれにも特徴が有りますが、今は好んでいるのはプレヴィン/ロイヤル・フィル盤、それにポリャンスキー/ロシア国立響盤です。ポリャンスキー盤について詳しくは<関連記事>を参照ください。

<関連記事>
ラフマニノフ 交響曲第2番 ヴァレリー・ポリャンスキーの名演 

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ラフマニノフ(交響曲)」カテゴリの記事

コメント

ハルくん、こんにちわ

上げられている「スヴェトラーノフ指揮ロシア国立響」ですが、「哀~Sorrow」と言うCD、持っています。これ、アルビノーニ:アダージョン、ベート-ベン:葬送行進曲、ワーグナー:ジークフリートの葬送行進曲 等が入っているものですが、これ、なかなか、面白いです。氏の晩年の録音らしいのですが。

投稿: matsumo | 2011年1月29日 (土) 16時35分

ハルさん、こんにちは。

東京は相変わらず厳寒だそうですね。こちらはチャイコフスキーもラフマニノフもマッチしない気候が続いています。

同曲で私が所有しているCDは、デュトワ=フィラデルフィア管(デッカ)です。

ヤンソンスもスヴェトラーノフも未聴ですが、恐らくデュトワの演奏はどちらかというとヤンソンスの指揮の特徴に似ているかもしれません。

デュトワの指揮は、ロシアの香りを全く感じさせないもので、オケの華麗な響きを活かした演奏になっています。

多分、デュトワの指揮は、ハルさんには物足りないかもしれません。

私もロシア臭をしっかり感じさせてくれるスヴェトラーノフの指揮の演奏を一度聴いてみたいと思います。

東京は寒さが続くそうですので、お風邪等召しませんよう、ご自愛下さい。

投稿: たろう | 2011年1月29日 (土) 19時54分

 ハル君さん、こんにちわ。

ついに、きましたね。待ってましたよ。ラフマニノフの2番!!。
寒い時に暖めてくれる。いや、もっと聴く者の心も体も芯からアッツクしてくれますね。
今日は、手にしている2枚を聴いてしまいました。
1枚はラトル指揮ロサンゼルス・フィルハーモニーの演奏と、もう1枚はアシュケナージ指揮コンセルトゲボー・オーケストラの演奏です。
どちらもラフマニノフの傑作ですので、一緒に萌え萌えに萌える音楽ですね。
音楽については、ハル君さんが仰られているとおりですので、私ごとき者がのたまう幕ではありません。
で、ラトルは1984年録音ですので、今ほど有名になる前と思いますが、「多少、生ぬるな湯」的な印象を受けます。
一方、アシュケナージは思い切りよくメリハリをつけながら紅潮していきますので、聴いていて熱くなります。しかし、行け行けドンドンになり過ぎない情熱ですので、いい演奏と思いました。2番は、LONDONからの全集です。

今日は、横浜も寒い夜ですが、これを聴いたら寒さとは無縁な音楽の部屋にて萌えです。

名古屋は低温のようですね、インフルなどにならないよう、ご自愛ください。

投稿: たつ | 2011年1月29日 (土) 22時13分

matsumoさん、こんにちは。

へえ、こんなCDが有ったのですね。
あのスヴェトラノフが自分で選曲したとは驚きです。哀しい曲ばかり集めたとはユニークですね。

投稿: ハルくん | 2011年1月30日 (日) 08時51分

たろうさん、こんにちは。

そうですか、まあエアコンをガンガンにしてロシア音楽を味わってください。(笑)
日本は厳寒ですが、もう少しすればだんだん温かくなることでしょう。

デュトワは、ロシアの香りを全く感じさせませんか。この曲は華麗な響きというのも悪くはないでしょうが、おっしゃる通り自分の好みでは無いかもしれませんね。

たろうさんも長期赴任で体調などにどうぞお気をつけ下さい。

投稿: ハルくん | 2011年1月30日 (日) 09時09分

たつさん、こんにちは。

この曲いいですよね。本当に甘く甘くうっとりさせてくれますよね。アシュケナージ盤は聴いたことがありませんが、とても良さそうですね。機会あれば是非聴いてみたいと思います。

ありがとうございます。たつさんも流行中のインフルエンザにどうぞお気をつけ下さい。

投稿: ハルくん | 2011年1月30日 (日) 09時15分

こんばんは。初「第2番」はマゼール、ベルリン・フィルでした。その後、プレヴィンのEMI録音によるものも聴きました。共に「ヴォカリーズ」も取り上げてます。デュトワも持ってますが、フィラデルフィア管はラフマニノフゆかりのオケということでこのコンビはそんなにバター臭くない。
私にとって初全集となったアシュケナージ、コンセルトヘボウは国内盤2957円と3000円弱で購入し、今だ唯一の全集でもあります。こんな素晴らしい作風のラフマニノフを指揮しているのに今まで嫌いだったのが後悔しています。プレヴィンは好きな指揮者ですし、N響でも取り上げている十八番ではあるが、「完全全曲版」と明記されているEMI盤は話題性はあるもののアシュケナージのテクニカルに及ばない。
そのアシュケナージはラフマニノフのピアノ曲からスタートし、指揮者として管弦楽曲まで取り上げ、現在、国際ラフマニノフ協会の会長です。ラフマニノフ作品を普及させようとする意気込みや大家の血が入ったサウンドは今持ってる中で私もそうだし、評論家の推薦度でも競り勝っている大切な全集です。

この日は日中、東京は雪がちらちらと舞いました。

投稿: eyes_1975 | 2011年1月30日 (日) 20時10分

eyes_1975さん、こんばんは。

プレヴィンのEMI盤は手放して以来聴いていませんが、余り良い印象は残っていません。(もっとも、良ければ手放したりしませんが)
アシュケナージ盤は評判がいいですね。スヴェトラーノフ盤と評価は二分しているんじゃないでしょうか。でも、僕はさほど評判にならないMヤンソンス盤も好きなのですけれど。

投稿: ハルくん | 2011年1月30日 (日) 21時56分

私は、どうもラフマニノフのメロディに
弱いようです。
シンフォニーでもピアノコンチェルトでも
腰くだけですね(笑)
この曲は、まだ一枚しか持っていません。
尾高忠明さんのです。
尾高さんの出世作になった曲で、このCDがアメリカでヒットしたことで一躍世界で有名になったそうです。
そういう話もあって、この演奏は気に入っています。

投稿: 四季歩 | 2011年1月30日 (日) 23時44分

こんばんは

子供の頃から何度も聴いている大好きな
曲で、演奏はハルくんさんのお気に召さ
ないプレヴィン盤です。
小学生の頃からこの演奏でしか聴いてい
ないので、逆に他の演奏を受け入れない
ようです。
もう、刷り込まれちゃったのですかね。

投稿: メタボパパ | 2011年1月30日 (日) 23時56分

四季歩さん、こんばんは。

ラフマニノフのメロディに弱くないという人がいたら苦手ですね。やはり、どの曲も腰くだけになりますよ。

尾高さんの演奏は聴いたことがありません。有名なんですね。いちど聴いてみたいです。

投稿: ハルくん | 2011年1月31日 (月) 00時08分

メタボパパさん、こんばんは。

プレヴィン盤がお好きだったのですね。
それは大変失礼いたしました。
確かに好き嫌いというのは理屈では無いですから、この演奏一筋というのはあるのでしょうね。

投稿: ハルくん | 2011年1月31日 (月) 00時11分

私も「生ぬるい」プレヴィン盤が好きです。
プレヴィン盤がお好きな方がいて本当に安心しました。これで安心して寝ることが出来ます。
尾高忠明さんは、以前、NHK交響楽団の定期演奏会で、この作品を演奏して、たいへんいい演奏でした。私はこの時の放送の録画をDVDにして大切にしています。

投稿: オペラファン | 2011年1月31日 (月) 00時22分

オペラファンさんも、プレヴィンがお好きでしたか。ファンは多いのですね。これは本文に余計なことを書いてしまいました。

尾高さんの演奏も人気が有りますね。尚更聴いてみたくなりました。

投稿: ハルくん | 2011年1月31日 (月) 00時32分

おはようございます。
私はアシュケナージ/ACO盤に一票を投じます。
演奏の素晴らしさもさることながら録音の良さも負けず劣らずで素晴らしいです。

投稿: kenken | 2011年1月31日 (月) 09時17分

kenkenさん、こんにちは。

やはりアシュケナージ盤なんですね。とても素晴らしい演奏のようですので、これは是非とも聴いてみないといけませんね。
ありがとうございます。

投稿: ハルくん | 2011年1月31日 (月) 18時20分

こんばんは。
尾高さんの指揮によるものが話題になっているようですね。余計な事かも知れませんが、去年の3月には、札幌交響楽団でこの作品を指揮しておられましたよ。

投稿: sasa yo | 2011年1月31日 (月) 21時42分

sasa yoさん、こんばんは。

尾高さんはこの曲を相当得意にしているようですね。
札幌交響楽団のロシアものや北欧ものは、ある意味本場ものという気がします。やはり土地の空気感が似ているからなのでしょう。

投稿: ハルくん | 2011年1月31日 (月) 22時43分

ラフマニノフの2番ですかぁ・・・、先日ポリャンスキーのチャイコフスキーがなかなかということだったのでもしかしたら・・・と思い聴いてみました。NMLにあったので。これはこれでなかなか良い。逆にチャイコフスキーの演奏スタイルが見えたような気がします。(まだ聴いていません)私はこの曲ではマゼールがベルリンフィルと演奏したものが大変気に入っておりました。実はまだプレヴィンも聴いたことがありません。ロンドン響もロイヤルフッィル盤も・・・。今度機会があったら聴いてみることにいたしましょう。なにせ今プレヴィンにははまっているのですから。得にR・シュトラウスに。 いやぁ、ヤンソンスとスベトラーノフについてはまったくコメントできません、聴いてないのですから、いやいや申し訳ない、変なコメントになってしまいました。

投稿: matuyasu | 2011年2月 3日 (木) 14時24分

matuyasuさん、コメントありがとうございます。

ポリャンスキーのラフマニノフが有るのですね。それは是非ともCDで聴いてみたいです。チャイコフスキーのほうは聴後のご感想を楽しみにしています。

僕は残念ながらマゼール/ベルリン・フィルは聴いていません。プレヴィンは、機会あれば一度お聴きになられてみてください。RシュトラウスはウイーンPOとですからね。やはり最高でしょう。


投稿: ハルくん | 2011年2月 3日 (木) 21時58分

こんにちは。

初体験は世評高いザンデルリング/POでしたが嗜好に合わず。SKDとのブラームスみたいで、ラフマニノフはもっとメロディアスに響いて欲しい。スヴェトラーノフ/Canyonは求めていたモノが在りました。コレされ在れば盤です

投稿: source man | 2011年2月 5日 (土) 10時40分

source manさん、こんにちは。

ザンデルリンクはしばらくロシアで指揮をしていたせいか、ロシアものや北欧のシベリウスとかの録音も多くありますが、残念なことにドイツもののように感銘を受けたことはありません。世評というのは意外とあてにならないものだと思います。
その点、スヴェトラーノフはちょっとケチのつけようのない演奏ですよね。

投稿: ハルくん | 2011年2月 5日 (土) 16時13分

こんにちは。

札響定期の尾高-ラフマニノフを聴いた知人が絶賛していました。このオケは確かにチャイコフスキー・シベリウス・ラフマニノフ・グリークなどが好きという奏者が多いです。使命のようなものを感じるのかもしれません。ラフマニノフはオーケストレーションが分厚く、効果的に弾くには力業も必要そうです。好きでなきゃやってられない、という種類の曲だと思います。

ザンデルリンクは時々テンポが緩すぎてイライラします。私だけかもしれませんが。

投稿: かげっち | 2011年2月 7日 (月) 12時31分

かげっちさん、こんにちは。

北海道の気候と北欧のそれは似ているでしょうから、住んでいる人の気質も似てくると思うのですよね。それで共感を覚えるんじゃないでしょうか。

ラフマニノフは好きか嫌いかはっきり分かれるでしょうね。チャイコフスキーもそうかもしれません。こういう音楽はホントに好きじゃなければ、やってられないでしょう。ボクは大好きですが。

投稿: ハルくん | 2011年2月 7日 (月) 22時26分

手元に交響曲全集が4種(オーマンディ・プレヴィン・ウエラー・アシュケナージ)旋律の美しさに惹かれてつい買い集めてしまいます。演奏はそれぞれのアプローチがあり、なかなかベストを決められません。第一楽章をスローテンポで開始する演奏が多いようにおもいます。この曲は第一交響曲の満たされぬ思いと第三交響曲の煌びやかな世界の中間にあり、ラフマニノフの作風の転換期にあるとおもいます。自分の中の満たされぬ思いのたけを完全に吐露したとうに思えてなりません。(第一番の第4楽章コーダが不完全燃焼でおわったところから第二番の第一楽章が始まる気がしてなりません)僕は3曲を一気に通して聞きます。それにより第二番の立ち位置がなんとなく分かる気がします。これは単なる映画音楽みたいなものでははく、ラフマニノフの感情を吐露した作品のような気がします。

投稿: k | 2014年10月12日 (日) 21時41分

Kさん

ラフマニノフのシンフォニーについては、自分はスヴェトラーノフで100%満足してしまい、他の演奏は余り聴いていません。

ハリウッドの映画音楽がラフマニノフの影響を受けたと言って良いのでしょうね。しかしラフマニノフの音楽の根幹はロシアの風土や自身の内面と深く結びついていますね。そういう観点からもスヴェトラーノフの演奏は非常に優れていると思います。

投稿: ハルくん | 2014年10月13日 (月) 14時01分

オーマンディのCBS録音の3枚組
交響曲3曲+パガニーニ狂詩曲+ヴォカリーズ+交響的舞曲

交響曲第1番は未聴ですが、何度も繰り返して聴いています
(宇野先生の月評では推薦ではありませんでしたが)。

交響曲第2番はプロ・アマ問わず最近とみに演奏会多いですが
曲自体もよく出来ていると思います(この盤はカット有)。
カラヤンもバーンスタインも眼中になかった曲ですが
時代が曲に追いついたのでしょうか?
それにしても、オーマンディ&フィラデルフィアは良いです!

投稿: 影の王子 | 2018年3月13日 (火) 21時05分

影の王子さん、こんにちは。

オーマンディのラフマニノフというとピアノ協奏曲の録音が思い出されますが、作曲者自身とも共演をしていますのでやはり多くの物を得ているのではないでしょうか。
それらからはロシア風というよりはハリウッド風の印象は受けますが、それだけロマンティックに美しく演奏しているからでしょう。
シンフォニーの演奏を聴いたことが無いので聴いてみたいですね。ありがとうございます。

投稿: ハルくん | 2018年3月14日 (水) 11時48分

ハルくんさん、こんばんは。

この愛すべき交響曲ですが、中々演奏の難しい指揮者泣かせの作品でもありますね。構成力に難があるため、魅惑溢れる旋律に耽々溺々としてしまうと冗長で甘ったるく食傷気味の後味の悪い演奏になりがちです。かといって、折角の美しいメロディーをあっさりと流してしまうとそれこそ薄味の水っぽいものとなってしまい、この曲の美味しい所をまるで味わえずに終わってしまいます。

こうした落とし穴にはまらず、真に満足のゆく演奏というのは意外に少ないと感じております。私は基本的に1970年代以前の演奏をどの曲も愛好しているのですが、この曲に関しては良いと思える演奏はありませんでした。80年代以降、雨後の竹林のようになされた多数の録音の全てを聴いたわけではありませんが、それでも数々の演奏を聴き、その中で私が最も気に入ったのはデ・ワールト指揮のオランダ放送po.によるEXTONレーベルの録音です。

決して濃厚べったりな演奏ではありませんが、構成感の確かさが素晴らしく、特に長大な第1楽章の緊張感の保持による盛り上がりは聴きごたえがあります。下手な演奏ですとバラバラに空中分解してチグハグな印象となりかねない楽章ですが、徐々にヴォルテージが増してゆき、クライマックスへ到達する様は痛快ですらあります。

他の楽章もそれぞれ素晴らしいのですが、お目当ての第3楽章も存分に歌われていながらやりすぎず、胸やけになることなく美しい旋律に浸らされます。オケの技術や合奏力もレベルが非常に高く、このあまり著名とは言えないオケの実力のほどには驚かされます。

あと、幸いなことに音質もデジタル録音としては極めて優秀で、この作品の録音の中でもおそらくは最優秀だと思われます。

決して民族色の濃さで聴かせる演奏ではありませんが、作品自体の魅力は存分に堪能させられる演奏だと思います。この録音を聴いて、デ・ワールトという指揮者の実力を見直した次第です。

投稿: げるねお | 2020年6月 9日 (火) 18時41分

げるねおさん、こんにちは。

デ・ワールトは誰かのコンチェルトの伴奏指揮したレコードぐらいしか持っていません(確か)。
確かに地味で目立たない指揮者の中にも良い人は居ますよね。

ラフマニノフの2番でその後に購入して気に入ったのはプレヴィンがロイヤルフィルを指揮した再録音盤です。もしかしたらワールト盤と似ているかもしれません。

投稿: ハルくん | 2020年6月10日 (水) 17時05分

アルゼンチンのテノーレ・ドランマティコ、ホセ・クーラが、シンフォニア・ヴァルソヴィアをふった録音、大穴盤と申して宜しいかと存じます。この曲の情緒てんめんとした歌謡的な息の長い旋律を、このポーランドのオーケストラが明るく艶やかに歌うのに、仰天しました次第です。優れた指揮者はオーケストラの国籍を、選ばないと言う事でしょうか。

投稿: リゴレットさん | 2020年12月 7日 (月) 10時41分

リゴレットさん

ラフマニノフは極めてロシア的な要素とハリウッド的な要素が有るので、国籍は問わないかもしれないですね。あのロマンティックな甘さや孤独感などが充分に感じられさえすれば。
ご紹介ありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2020年12月 7日 (月) 11時49分

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