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2010年12月11日 (土)

ゲヴァントハウス弦楽四重奏団 来日公演 ~世界最古のカルテット~

Sq001 ゲヴァントハウス弦楽四重奏団のコンサートへ行ってきました。会場は東京の紀尾井ホールです。考えてみたら室内楽のコンサートへは最近はほとんど行っていません。昔はスメタナSQとか、カール・ズスケのベルリンSQとかへよく聴きに行ったのですけれど。

ゲヴァントハウスSQはこれまで生で聴いたことは有りませんが、懐かしいカルテットです。学生時代にベートーヴェンの作品18(第1-6番)のレコードを愛聴しました。もちろんメンバーはすっかり入れ替わっていますが、当時第2ヴァイオリンを弾いていたカール・ズスケの息子のコンラート・ズスケが現在の同じパートを担当しています。と思ったら当時のヴィオラ奏者の息子がやはり現在の同じパート奏者ですし、当時のチェロ奏者の息子が現在の第1ヴァイオリンのフランク=ミヒャエル・エルベンです。うーん、ゲヴァントハウスSQってのは歌舞伎の家元みたいに世襲制度なのかな?さすがに結成200年を超える世界最古の弦楽四重奏団は伝統芸能(?)なのですね。

今日の曲目は、ハイドンの弦楽四重奏曲第80番、モーツァルトの第17番「狩り」、ベートーヴェンの第8番「ラズモフスキー第2番」と、ドイツ音楽の真髄のようなプログラムです。

さて演奏を聴いた感想ですが、正直言って前半は退屈でした。母体団体のゲヴァントハウス管弦楽団のような純ドイツ風の堅い音がハイドン、モーツァルトには耳あたりがきついのです。少なくとも室内楽ではもっとウイーン風の柔らかい音のほうが好きです。それに柔らかくは無いにしても、ハイドンのあの透徹した音も出ていませんでしたし、モーツァルトの音楽の「愉悦」も全然感じられません。その点では、後半のラズモフスキー第2番は良かったです。彼らの音楽はベートーヴェンのほうにずっと適性を感じます。作品59のラズモスキー3曲の中でも最も荘厳で後期の作品に近い雰囲気を持つこの曲を充分に味あわせてくれました。奇しくも、この団体が1977年に埼玉県の坂戸文化会館で演奏したラズモスキーのライブ録音が有りますが、音の造りは少しも変わりません。伝統の重みですね。但し今日の演奏の方が全般的にテンポは速まっていました。緊迫感が増しています。好みで言うと昔の重圧感が好きなのですけれども、今日の演奏も素晴らしかったと思います。

アンコールは2曲。これは非常に素晴らしかったです。1曲目は「ひばり」の第2楽章ですが、ハイドンの透徹した音が見事に出ていました。前半の音とは全く異なります。これは前半は調子が出ていなかったのか、曲の弾き込み不足が原因なのかは分かりません。そして2曲目はベートーヴェンの第13番の第2楽章ですが、これこそが今夜の最高の聴きものでした。もの凄い快速で緊迫感を持って弾き切る実力は圧巻です。でもそういうのはもっと新しく若い団体に任せておけば良いことで、彼らにはかつてのゲルハルト・ボッセ時代のような渋い演奏をしてくれたらなぁ、と個人的には思うのです。このことは母体のゲヴァントハウス管弦楽団についても同じです。まぁ、こんなことを言うと時代錯誤と言われそうですが。

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演奏会(オムニバス)」カテゴリの記事

コメント

 こんにちわ。
ゲヴァントハウス弦楽四重奏団の公演をお聴きになられたそうですが、ライヴはいいですね。
私は弦楽四重奏団の公演は10年くらい前に安田弦楽四重奏団に行ったのが最後です。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲はラズモフスキー第3番以降の作品以外はCDも手にしていませんし、聴くこともありませんでした。
ちなみに一番の好みは14番で、特別の思い入れをもって聴きます。
今回、こちらのブログを拝読し、ラズモフスキー第2番は聴いたこともなくCDがありませんでしたので、あるサイトで無料配信していましたバリリ弦楽四重奏団の演奏で聴いてみました。
この第2番を初めて聴いて、第3番に劣らない芸術性の高い音楽に「目から鱗」でした。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲といえばラズモフスキー第3番からと、思っていましたが、ちょっと認識不足でした。
遅れて出会えた名曲.......。
これは感謝申し上げなければいけません。
これからも、色々な情報をいただき音楽の範囲を広げていきたいと思っています。

 ありがとうございました。

投稿: たつ | 2010年12月11日 (土) 22時01分

たつさん、こんばんは。

ご丁寧なコメントを頂きましてありがとうございます。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の最高傑作は14番か15番のどちらかでしょうが、ラズモフスキーも絶対にはずせません。2番も3番も素晴らしいですが、個人的には特に1番が好きです。音楽が凝縮された2番、3番はシンフォニーでいえば「運命」に、音楽に広がりのある1番は「英雄」に相当しそうです。もしも1番もまだ聴かれていらっしゃらなければ、そちらも是非聴かれてみてください。

投稿: ハルくん | 2010年12月11日 (土) 23時16分

こんばんわ。

いやはや、ラズモフスキー第1番。期待にワクワクします。

さっそく、ブログで提供されていましたブッシュ弦楽四重奏団をダウンロードして聴きました。
綺麗なメロディーがありますし、第2楽章は不思議なリズムが気をひきました。第3楽章、第4楽章も暗くはない(ところどころ憂いがある)メロディーが繰り返され親しみやすい作品ですね。
後期弦楽四重奏曲を予言させるかのようにガッチリしている印象をもちました。
ラズモフスキーの3曲とも素晴らしいということを発見できたことは、大収穫でした。

ということで今日は、いい一日でした。
どうも、ありがとうございました。

投稿: たつ | 2010年12月12日 (日) 20時21分

最近、室内楽もけっこう聴くようになりましたが、
ゲヴァントハウスは、そのリファレンスというべき
存在なので、実際に聴いてみたかったです。
もともと私もベートーベンのものがとても
好きなので、更に残念ですね。

投稿: 四季歩 | 2010年12月12日 (日) 20時39分

たつさん、さっそくラズモの1番を聴かれましたか。長い曲ですが、歌謡調の旋律も多く出てきて親しみやすいですよね。その割に飽きが来ませんし。
ブッシュ四重奏団とはまた良い演奏で聴かれました。僕の一番好きな演奏と言ってよいぐらいです。アドルフ・ブッシュの素晴らしいヴァイオリンをじっくり堪能されてください。

投稿: ハルくん | 2010年12月12日 (日) 23時12分

四季歩さん、こんばんは。

そうですね、ゲヴァントハウスSQはドイツ音楽ファンにはとても人気が有りますね。
別の機会に是非足を運ばれるといいですね。僕も室内楽をもっと聴きに行きたくなりました。

投稿: ハルくん | 2010年12月12日 (日) 23時17分

ハルくん、こんにちわ

弦楽四重奏団のコンサートですか、いいですね! 弦楽四重奏曲第8番は好きな曲の1つです。

12/31(金)には東京文化会館・小ホールにて、「第7番~第16番」の連続演奏会が開かれるそうなのですが、どなたか行かれる方はいらっしゃるのでしょうか。私はさすが、7時間も椅子に座っていたら、お尻が痛くなって、音楽を聴くどころではなくなりそうなのと、大晦日と言うことで行けそうもありませんが。

そう言えば、同弦楽四重奏団が1916年に録音した第14番の覆刻CD、持っています。

なお、宣伝ですが、私のホームページには、第7番~第16番、大フーガのmp3ファイルがありますので(第10番以外はブッシュSQです)、ご興味ある方はお聴き下さい。

投稿: matsumo | 2010年12月21日 (火) 19時46分

matsumoさんも、弦楽四重奏がお好きなのですね。しかしゲヴァントハウスSQの1916年録音とは凄いですね!さすがに伊達に最古のカルテットではありませんね。

ブッシュSQの録音はほとんど愛聴していますが、実に素晴らしいですよね。僕も来年にはベートーヴェンの四重奏の全曲特集をしたいと思っているところです。

matsumoさんのホームページもゆっくり拝読させていただきます。今後ともよろしくお願いします。

投稿: ハルくん | 2010年12月21日 (火) 23時12分

ハルくん、こんにちわ

ブッシュ弦楽四重奏団、いいですよね。しかしながら、ベートーベンの弦楽四重奏曲においては、第1・9・13番は2種類の録音が残っていると言うのに、第10番が残っていないのは全く残念です。なお、私のホームページにあるブッシュSQ.のmp3ファイルはCDのリッピングではなく、LPから作成したものですので、CDと比較するのも良いと思います。

ベートーベンの弦楽四重奏曲全曲を取り上げるのですか、それは楽しみです。私は第7番以降では、第二次世界大戦前後ではブッシュ弦楽四重奏団の録音が、CD時代では古典四重奏団の録音が好きです。と言っても、後者は第12番以降の曲しかないですが。

投稿: matsumo | 2010年12月22日 (水) 18時53分

matsumoさん、こんばんは。

第二次大戦前後ではやはりブッシュSQでしょうね。ブダペストSQの1940年代の演奏も好きですが、やはり欠けている曲が有ります。
CD時代の演奏は余り聴いていませんが、所有の演奏を改めて聴き直してみるつもりです。

投稿: ハルくん | 2010年12月22日 (水) 23時07分

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