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ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調op.125 「合唱」 名盤

Beethoven 年末に「第九」を聞くという習慣も、聞けば日本のみでなくヨーロッパなどでも段々増えているとか。果たして日本から逆輸入の文化として定着するのでしょうか。それにしても日本では12月にはオケコンサートも「第九」一色です。東京は最も著しく、在京オケは揃って数回づつコンサートを行いますから、プロオケだけでも全部で40回前後。アマオケも同じように演奏するので、第九の演奏会数は50~60回以上なのではないでしょうか。第九だけはチケットも良く売れますので、おそらく東京エリアだけでも延べ10万人くらいの人が第九を聴きに行く勘定です。確かにこの曲は、荒波にもまれた一年に禊を行う気分で聴いて、来る新年を迎えるにはとてもふさわしい音楽だと思います。「苦悩を突き抜けて歓喜へ」とは未曾有の景気悪化まっただ中の今年の年末には特にぴったりでしょう。とはいえ、僕の財布も不景気なので、コンサートへ行く代わりにCDで「第九」三昧と行くことにしました。

Cci00054 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル(1942年録音)(写真はターラのフルヴェン戦時中録音集) ファンには有名な戦時中の演奏です。僕が高校生の頃にカラヤンの次に買ったLP盤がこの演奏でした。その二つの演奏の余りの違いに愕然としました。すっきりスタイリッシュなカラヤンと壮絶極まりないフルトヴェングラー。どちらに感動したかは言うまでもありません。感受性豊かな若い頃にこの演奏に出会ったことが自分がクラシック音楽にのめり込む大きなきっかけになったと思います。さすがに今では滅多に聴くことは無いですが、クラシックファンならば一度は聴いておくべきだと思います。少々大げさに言えば人生観さえ変わるほどの凄さだからです。

Cci00058 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管弦楽団(1951年録音/グランドスラム盤) 最も有名な戦後バイロイト再開の年の記念演奏会の録音です。戦時中演奏のあれほどの壮絶さは無いですが、限りなくスケール壮大な演奏です。というか単に「壮大」などとひと言では表現できない正に「宇宙的なまでの広がり」を持った演奏なのです。本家EMIの海外References盤の音も悪くは無かったですが、平林直哉さんのグランドスラム・レーベルによる初期LPからの復刻盤が非常に音が良いのです。MYTHOSの復刻盤よりも良いような気もします。いままで団子状態だった弦楽の細かい刻みまで聞き取れるので感動新たです。これはファンには是非のお薦めです。余談ですが、朝日カルチャー講座の後に一度お話の出来た平林さんはいかにも誠実そうな印象でした。氏の仕事ぶりも全く同じ印象です。

なお、同じ日の放送局正規録音として昨年オルフェオからCDがリリースされましたが、まったく同じ演奏ではありません。ということはEMI盤には編集部分が有るのだと考えられます。けれどもオルフェオ盤は残念ながらEMIリファレンス盤と比べても音は落ちますし、平林盤と比べれば更に落ちるのでEMI盤以上の存在意義は感じません。

520ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウイーン・フィル(1952年録音/ターラ盤) フルトヴェングラーのウイーン・フィルとの第九の録音は幾つか有りますが、最もドラマティクな演奏としては、この’52年のニコライ記念演奏会が挙げられます。1楽章の遅さと音のタメは驚くほどです。但し、それが逆に音楽の流れを悪くさせているようにも思います。ですので、個人的には流れと勢いのある’53年のほうを好みます。また独唱陣の出来も余り良いとは言えません。録音としても’53年のほうが優れています。

Cci00054bヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウイーン・フィル(1953年録音/独グラモフォン盤) ウイーン・フィルとの第九の録音の中で演奏・録音のバランスが一番取れているのが’53年のニコライ記念演奏会で、これは「ウイーンフィル150周年記念」として発売されました。’52年ほどのドラマティックさは有りませんが、非常に流れの良さを感じます。録音も良いので、べルリン・フィル盤でもバイロイト盤でも聴けない、ウイーン・フィルの持つ弦の柔らかな味わい、美しさを味わうことが出来ます。

263ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管(1954年年録音/OTAKEN盤) 大学生の頃ですが、フルトヴェングラーが亡くなる直前のルツェルン音楽祭の第九がバイロイトよりも凄いという評判を聞いて、どうしても聴きたくなりプライヴェートLP盤を購入しました。学生の身には随分と高価でしたが、実際に聴いてみてその噂通りの素晴らしさに本当に驚きました。但し音はかなり悪かったです。それが時を経て、いまから10年近く前にターラからオリジナルテープからの復刻CDが出た時には、その余りに明瞭な音に驚愕したものです。演奏の真価がようやく明らかになり、その時には本当にバイロイト盤よりも上だと思いました。今聴いているのはターラ盤よりも自然な音造りのOTAKEN盤です。これはどちらで聴いても満足できると思います。

以上、フルトヴェングラーの5種類があれば正直第九はもう充分と思わないでもありません。事実、これまで他のどの第九の演奏を聴いてもフルトヴェングラーの良くて半分位の感動しか得られなかったからです。決して「感動」だけが鑑賞の尺度では無いとは思いますが、感動の無い第九などは聴きたくも無いですし、録音状態の良し悪し以外でフルトヴェングラーの彫りの深い表現を超えるものにはいまだに出会ったことがありません。とは言え、他の演奏を全て否定してしまうのもどうかと思いますので、自分の好みでCDを幾つか挙げてみたいと思います。

Cci00055b カール・ベーム指揮ウイーン交響楽団(1957年録音/フィリップス盤) 後年のグラモフォン盤の2種の録音ではなく、まだまだベームが壮年期で若い時代の演奏です。モノラル末期の録音なので音質も明快です。’70年代のグラモフォン盤と比べると、テンポもずっと早めで、ぐいぐいと畳み掛けるような勢いと生命力があります。円熟したグラモフォン盤よりもこちらのほうが好きだと言われる方も多いと思います。ただし自分自身はグラモフォン盤の余裕とスケールの大きさ、それにウイーン・フィルの音色の美しさを好みます。

240 ブルーノ・ワルター指揮コロムビア響(1959年録音/CBS盤) ワルターもフルトヴェングラーの第九と比較されて随分と割を食ったと思います。ところが、現在改めて聴き直してみると、これほどまでに指揮者の意図が伝わって形になっている演奏は極めて稀だということが分かります。第3楽章や、終楽章の歓喜の歌が弦楽で静かに歌われる部分の美しさは、ちょっと他には有りません。ワルターのベートーヴェンで素晴らしいのは、何も「田園」だけでは有りません。

Cci00055 フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプチッヒ・ゲバントハウス管(1959年録音/edel盤) コンヴィチュニーのベートーヴェンは学生の頃に廉価盤のLPで良く聴きました。安っぽくひどいデザインのジャケットでしたが演奏はどれも一級品でした。曲によっては一番好んだ演奏も有ったほどです。CD化されたこの全集も第一に選びたいほどです。第九も実に素朴な味わいであり、よく言われるようにまるで古武士の如き質実剛健な響きがなんとも魅力的です。合唱団、歌手陣も共にバランスがとても良いです。

Cci00059 ハンス・シュミット-イッセルシュテット指揮北ドイツ放送響(1970年録音/ターラ盤) このCDはステレオ盤の方です(別のモノラル盤も有ります)。多少のざらつき感は有りますが奥行きの有る良好な録音なのが嬉しいです。どうもこの人はスタジオ録音の場合の柔和なイメージが強く、かなり誤解されているようです。ライブでも虚飾の無い実直なスタイルに変わりはないですが、力強さがまるで違うのです。この演奏も3楽章だけはあっさりしていますが、その他の楽章は非常に彫りが深く、剛健な北ドイツ放送響の音を充分に楽しめます。DECCA録音のあの穏やかなウイーン・フィル盤とは次元の異なる貴重なCDです。

41f7t1kscml__sl500_aa300_ カール・ベーム指揮ウイーン・フィル(1972年録音/グラモフォン盤) 30年以上も前の学生時代に聴いた時には、フルトヴェングラーに比べて随分生ぬるいと感じてしまい余り気に入りませんでしたが、現在改めて聴いてみると、やはり演奏の素晴らしさに感銘を受けます。何と言ってもウイーン・フィルの響きが美しいですし、音の緊張感にも決して欠けたりしません。テンポは幾分ゆったり気味ですが、実に堂々として立派であり、安心して身を任せられます。やはりベームは本当に偉大な指揮者でした。そのベームの第九の代表盤だ思います。

287 ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送響(1982年録音/オルフェオ盤) クーベリックも実演になると相当に人の変わる指揮者でした。スタジオ録音でも大抵バランス良くまとめてはいましたが、ライブの激しさを知るファンにとってはどうも物足りなさを感じることが多かったです。「第九」にもベルリンPOとのDG録音が有り、とてもよい演奏でした。ですが、やはり手兵のバイエルン放送とのライブ盤で聴きたいと思います。残響の多い録音なので所々に生々しさに欠けて聞こえる部分も無いわけではないですが、演奏自体は実に素晴らしいです。第1楽章の気迫、ドラマはフルトヴェングラーに中々迫りますし、第3楽章、第4楽章の弦のしなやかな美しさなどは最高です。合唱もとても良く録れていて非常にスケールが大きいです。

Cci00057 カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ベルリン・フィル(1989年録音/グラモフォン盤) ジュリーニは不思議な指揮者で昔からイタリア的でもドイツ的でもない。何を振ってもジュリーニ的なのです。ベルリンPOも既にインターナショナルオケ化した後なのでこの演奏は決してドイツ的な音ではありません。第1楽章は遅めのテンポですが暗さは無く、およそ「苦悩」という雰囲気は生まれてきません。第3楽章も流麗で美しいですが神秘的ではありません。終楽章の合唱は力みの無いあっさりしたものです。後半になると少しも熱くならずにスケール大きく包み込むという、いかにもジュリーニ的な演奏です。

こうして並べてみると、ほとんど重量級の演奏が並んでしまいました。僕の好みははっきりしています。ドイツ的で重厚かつ激しい演奏が好きなのです。重厚なだけでも激しいだけでも駄目なのです。そうなると演奏は案外絞られます。フルトヴェングラーの中ではバイロイト盤とルツェルン盤が双璧。ウイーン・フィルとの録音では’53年盤をとります。フルトヴェングラー以外では、1にイッセルシュテット/北ドイツ放送響、2にクーベリック/バイエルン放送響、それに捨てがたいのが、ベーム/ウイーン・フィルとワルター/コロムビア響というところです。

それでは皆様、どうぞ良いお年をお迎え下さい。

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コメント

私も最初に購入した第九のCDはカラヤン=ベルリン・フィルの演奏でした。迫力のあるオケとカラヤンの流麗な表現に圧倒され、当時は何度も聴いていました。
しかし、その後、バーンスタイン=ウィーン・フィルや朝比奈=大阪フィル等の演奏に触れ、様々なスタイルがあるということとカラヤンの表現に違和感を覚え始めました。
そんな中、巷で評判のフルトヴェングラー=バイロイト祝祭管(EMI)のCDを聴きました。しかし、正直に書くと、世間が大騒ぎする程の感動は覚えずに、音の悪さの印象が残りました(特に第1楽章)。
その後もいろんな第九のCDを購入して聴いていますが、なかなか理想的名演には巡り合えていません。
むしろ実演で朝比奈=大阪フィルや朝比奈=新日フィル、フルネ=都響で聴いた第九に感動を覚え、今でもよく覚えています。
第九はどうも実演向きの曲かなと思っています。
CDでよく取り出して聴くのは、ハルさんも挙げられているコンヴィチュニー=ゲヴァントハウス管ですね。古き良きドイツの響きが素晴らしく、コンヴィチュニーの表現もオーソドックスながら第九の曲の素晴らしさを素直に伝えていると思います。
この年末は第九をまだ聴いていないので、どのCDを選ぼうか迷っているところです(^^;)。

投稿: たろう | 2008年12月28日 (日) 19時19分

たろうさん、こんばんは。
コメントをいつもありがとうございます。

第九に限らず大合唱入りの曲は実演向きと言えるでしょうね。ただ私の場合は運悪く実演の第九で感動したことは有りません。
ゲヴァントハウスの第九も70年代初めにマズア指揮の生演奏で聴きましたが、オケの古武士風の音は健在だったものの、指揮のつまらなさにはがっかりしました。

バイロイトはグランドスラム盤をお試しになることをお薦めします。LP復刻なのでノイズはどうしても残りますが、音の良さはEMI盤の比では有りません。ルツェルン盤はお聴きになりましたか?こちらはオリジナルテープ使用なのでノイズは有りません。この方が更にお薦めかもしれません。

投稿: ハルくん | 2008年12月28日 (日) 20時33分

こんばんは。

私の好きな演奏が沢山あって嬉しいです。
フルトヴェングラーでは52年のニコライ・コンサートがバイロイトをも上回る演奏だと思っているのですがいかがでしょう?
ステレオ録音ではクーベリックがダントツで好きですね。

投稿: dokuoh | 2008年12月28日 (日) 22時16分

dokuohさん、コメントありがとうございます。

52年のニコライ・コンサートですね。
推進力よりも何度も念押ししながら進む(進まない?)感じがユニークです。クナの63年のブラ3のお好きなdokuohさんが評価するのはとても良く分かります。
終楽章の低弦のレチタティーヴォとか非常に素晴らしい部分も多々有りますが、逆に終楽章で音が混濁するとか、ソロ声楽アンサンブルが荒いとかの欠点も有ると思います。
私としては録音状態と演奏の完成度から言ってバイロイト盤や記事で挙げた53年のニコライ演奏会盤のほうがやはり良いなぁ、と思っています。でも正直言うと本当に一番好きなのはルツェルン盤かもしれません。

クーベリックは本当に良いですよね。でもイッセルシュテット/NDRの70年盤も凄く良いですよ。

投稿: ハルくん | 2008年12月29日 (月) 00時29分

第九・・そう来たか(笑)
世の中に名曲数多ある中で第九はそれほど聴き比べていないのですが、第九はそもそも、歌にしても楽器にしても、あちこちで極限に近い技巧が要求される難しい曲だと思います。だから私は、ライブで勢いに任せて熱狂的に聴くぶんにはよいのですが、録音で聴くとたいていの演奏には満足のゆかない部分があるのも仕方ないと思っています。
そういう意味では70年代後半からの録音のほうが、総じてオケは上手い(ただし、イコール良い演奏ではないことは勿論ですが)。個人的にはフルトヴェングラーの指揮(特にテンポ感)はついて行けないので、クーベリックがよいですね。フルトベングラー的なテンポ設定を厳しく批判したはずのワインガルトナーの演奏を今日聴くと、同じ批判をワインガルトナー自身に向けたくなるのも面白いです。
好きとは言いませんが、プラハの春音楽祭のフィナーレで演奏されるチェコ語の4楽章も興味深いですよ。

投稿: かげっち | 2008年12月29日 (月) 16時33分

第9に関してフルトヴェングラーのバイロイトでのライブは、やはり避けて通れない録音だと思います。なお、私もグランドスラム盤を重宝しています。当然1942年のベルリンでのライブや1954年のルツェルン音楽祭のライブも聴いています。
しかし、ステレオ録音で聴きたい時は、マタチッチ指揮NHK交響楽団の1973年のライブ録音に手が伸びます。迫力満点でカラヤンの演奏は吹っ飛びます。

投稿: オペラファン | 2008年12月29日 (月) 20時49分

暫く外に出ていましたので久し振りに読ませて頂きました。
51年のバイロイトの第9がLP化されたのはフルトヴェングラーの死後4年後の54年になってからでした。当初、彼は自分のこの演奏に不満でレコード化する意思が無かったと言われていたようで、生前にはOKが出なかったとのことですが(一説ではレッゲがカラヤンに肩入れしていたのを快く思っていなかったとも言われている)、私たちにしてみれば世評の高い演奏が、今出るか今出るかと首を長くして待っていましたから東芝からそのレコードが出た時の喜びは、格別のものがありました。それも片面一楽章づつの二枚組みのセットでエンジェルマークのゴールドラベル、当時としては箱入り仕立ての立派なものでした。拍手と足音入りは、その後日本盤(TOCE6510)だけに入ったとか聞いていますが、これはもうなんと言っても世界遺産そのもので間違いなく素晴らしい演奏に違いありません。初期LPだけが持っている良い音ですので、今もそのまま大事に持っています。
オルフェオ盤の出現により、本番とリハの継ぎはぎ論議が喧しいですが、EMI盤の価値がそれによって下がるものではなし、全体から受ける感動は人それぞれですので、お好きな方を聴かれれば良いのではなかろうかと素人の私は考えます。
吉田秀和氏とか故大岡昇平氏、遠山一行氏などはパリやバイロイトでフルトヴェングラーの演奏をリアルタイムで直に聴かれているよしで、なんとも羨ましい限りです。特に吉田先生の「音楽紀行」には当時のヨーロッパの人たちのフルトヴェングラー観がどんなものだったかをよく知ることが出来ますので、未だでしたらお読みになることをお勧めします。
他の盤のことはまたの機会にして、一先ずこの辺で・・・
どうぞ良いお正月をお迎えになってください。

投稿: ISCHL | 2008年12月30日 (火) 01時03分

かげっちさん、コメントありがとうございます。

はい、第九で来ましたよ~(笑)

フルトヴェングラーについていけませんか!? テンポが最も普通に近く演奏にキズも少なく録音が良いのがルツェルン盤ですが、それでも駄目なのでしょうか?

終楽章「歓喜の歌」については、日本語版が傑作です。「いざいざ行かん~♪」などと思わず吹き出します(笑)昔々の演奏録音で聴きましたが、最近でも毎年のように日本語で歌っているアマチュア団体が有るようです。

投稿: ハルくん | 2008年12月30日 (火) 01時11分

オペラファンさん、コメントありがとうございます。

マタチッチ/N響は当時FMとTVで見聴きしました。おそらくは日本で演奏された最も素晴らしい第九だったのではないでしょうか。
私が生演奏で聴いたマタチッチではワグナーの管弦楽曲集が圧巻でした。N響のあんな音は以来聴いたことが有りません。

投稿: ハルくん | 2008年12月30日 (火) 01時19分

ISCHLさん、こんにちは。

久々にコメント頂き大変嬉しく思います。
お時間有れば是非その間の既記事についてもコメント下されば幸いです。

バイロイトの第9が世界遺産とのご意見に全面的に賛成です。フルトヴェングラーでも様々な演奏が現れて、部分的には別の演奏が優れる場合も有ります。しかしバイロイト盤のレコードとしての歴史も含めて考えた場合には、これほど重要な録音は無いと考えるのです。おっしゃられるようにオルフェオ盤の放送局録音とEMI社の録音の価値は別物だと私も思います。そして初期LP、あるいはその優れた復刻CDの音質を含めての私の比較評価は記述した通りです。

他の盤、特にルツェルン盤についてのご意見は是非お聞きしたいと思いますので宜しくお願いします。

投稿: ハルくん | 2008年12月30日 (火) 01時42分

ハルくんさん、こんばんは!
今回は第9ですね!

第9も曲を楽しむうえではいろいろな選択肢があるとは思いますが、フルトヴェングラーは別格ですねえ。これはうぐいすが初めて買った第9のLP、という思い入れもあるのですよ。凄絶なティンパニの轟音に圧倒される'42年盤や、端正で終楽章コーダもばっちり決まってる'54年盤もいいのですが、なんだかんだいいながらもバイロイトの'51年盤に戻ってきてしまいます。やはりこれも至宝ですね!

12/31に帰省いたしますので、今回のコメントがおそらく今年最後になります。今年も終盤になってハルくんさんと出会えましたが、それによって新たな発見をさせていただく機会がありました。
従来うぐいすはハンガリーの音楽家に共通する部分、分かってるようで分かってないような感じだったのです。以前にいただいたハルくんさんのコメント、ロイスマンとシゲティの共通性に言及していたのを読んで、なんとなく見えてきたような気がします。とても参考になりました。どうもありがとうございました!

それではまた、今後もお邪魔させていただきます。来年もよろしくお願いいたします。

投稿: うぐいす | 2008年12月31日 (水) 00時14分

うぐいすさん、ご丁寧なご挨拶をありがとうございます。本年はありがとうございました。

ハンガリー系演奏家の音の特徴についてのお話は楽しかったですね。私も同じように従来漠然ととらえてはいましたが、うぐいすさんとのやり取りの結果で新たに気が付いた部分も有りました。こちらこそ来年もどうぞ宜しくお願い致します。

投稿: ハルくん | 2008年12月31日 (水) 08時01分

大晦日になってしまいましたね、今年も聴けなかった録音、奏けなかった曲がたくさんありました(笑)
第九に限らないのですが私は、原曲に指定のないところでテンポを揺らすことに関してできるだけストイックでありたい(必然性に確信が持てる場合に限る)という主義なんです。と言ってもメトロノームのように厳格なテンポを望むという意味ではないんですが。この意味で、フルトヴェングラーはテンポを揺らしすぎる、あるいは譜面に指定がないLuftpause(一瞬の間)を取りすぎる、という印象なんです。
原曲の指定を尊重して演奏するということは実は非常に難しく、安易にテンポを設定すると易しくなります。フルトヴェングラーの時代には、指揮者の指示に関係なく「安易に演奏したがるオケ」が普通であったということなので、録音によっては「指揮者が望んだわけではないが妥協した設定」ということもあるかもしれません(フルトヴェングラーはそんな妥協しなさそうですけど)。
ショパンなんか弾く時には奏者がテンポを揺らすのが当然でしょうが、「ロマン派のドアを叩き、開き、覗いたが、足は踏み入れなかった」Beethovenの場合には、テンポにしても強弱指定にしてもストイックに解釈したい、というのが私のtasteなのです。
きょうは第九を聴こうかしら、それとも・・・ではよいお年をお迎えください。

投稿: かげっち | 2008年12月31日 (水) 11時29分

かげっちさん、今年はたくさんのコメントありがとうございました。

ベートーヴェンの適正なテンポとは?これはおそらく意見は様々。答えは一つでは無いでしょう。振り手、聴き手それぞれに委ねるしかないと思います。ただベートーヴェンは「ロマン派のドアに決して足は踏み入れなかったが、魂はすっかり入り込んでしまった」というのが私の実感です。(笑)

フルトヴェングラーのテンポ設定は私にとって、新古典派のブラームスはNG、ロマン派のシューマンはOK、ブルックナーはNG、そしてベートーヴェンはOK。なかなか複雑です。ただし彼以外の人でこのようにテンポを動かしてOKになる人はおそらく居ないでしょう。ですので、古典派に適正な規律正しいテンポで感動が100%のクーベリックやイッセルシュテットよりも感動が120%のフルトヴェングラーを上位に置きたいと思うのです。人により受止め方も様々。これが音楽鑑賞の面白いところですね。

それでは良いお年を!

投稿: ハルくん | 2008年12月31日 (水) 12時09分

今年もあと数時間で終わりますが、この秋以降、私が未知だったハンス・ギレスベルガーのモーツァルト、イザベル・ファーストのブラームスのCDなどの在処を教えて頂くことが出来、本当に有り難うございました。
正月の楽しみが出来たことを嬉しく思っています。
来年もまた貴兄がお好きなアドルフ・ブッシュを始めとして、いろいろ素晴らしい音楽家のことについて、沢山お話が出来たら良いなと願っております。どうぞ宜しくお願いいたします。
 ルチェルンの第9は、THARA盤が94年だったか店頭に出た時に直ぐ手に入れて聴きました。第一印象は音がそれまでのフルトヴェングラーのレコードに比して、格段と鮮烈に響いたことに先ず驚きました。バイロイトの演奏を単純にディオニュソス的と捉えるなら、ルチェルンの演奏はアポロン的と言うか、壮年の覇気とでも言ったら良いのか、決然とした意思を秘めた演奏だなと直感したものです。場違いを顧みずアルマ・マーラーの「私の生涯」からの一節を引用すると、自分の内面には一切のものが内在している。グスタフ・マーラー、オスカー・ココシュカ、グローピウス・・そのすべてが真実であったし、いまも真実なのです」と、フルトベングラーは最晩年、このなかのココシュカと深交があったことに思いを巡らせて見ると、アルマの言う「私にとってすべてが真実」という言葉が、急に身近になって、バイロイト、ルチェルンの二つの第九はそれこそ余計なことを考えずに「一つの真実」として私たちの心のうちに受容すれば良いのだと思うのですがどうでしょうか。
戦時下の第9もその意味で、空襲(わが家は焼滅)に怯えたり、房総沖から低空で飛んでくるグラマン戦闘機の機銃掃射に恐怖を覚えたわが身の少年時代を想起して聴くと、ある種の戦慄を覚えるのです。
そういえばTHARA盤にはフルトヴェングラーのベートーヴェンの交響曲についての講釈が二分半位入っているのが嬉しいですね。

フルトベングラーのベートーヴェン演奏についてはまた改めてお話する機会もあると思いますので楽しみにしています。

では今年はこの辺りで、どうぞ良いお年を迎えて下さい。

投稿: ISCHL | 2008年12月31日 (水) 18時55分

ISCHLさん、こちらこそ毎回とてもご丁寧なコメントを頂きましてありがとうございました。この様な素適な出会いが有ったことを考えると、半年前にブログを思い立って始めてよかったなぁ、とつくづく思います。

フルトヴェングラーの演奏に真実でないものは一つとして無いとは思います。とは言え、楽団、コンディションなどの違いで出来栄えの差はどうしても生まれることでしょう。

第九に関して言えば、戦火の中の42年盤、ドイツ国民の誇りの象徴であるバイロイト再開記念の51年盤はその置かれた状況の下での最高の記録に他ならないと思います。
それに対してルツェルン54年盤は、既に余命の少なさを薄々意識していたであろうときに最後の不死鳥のごとく全精力を使い果たした演奏だと思っています。最も巨大な広がりの有る演奏はバイロイト。逆に彼としては最もインテンポに近く結晶化した演奏がルツェルンだと思います。そこにはそれまでの演奏には無い何か澄み切った彼岸のような雰囲気を感じてしまうのです。
その演奏をTHARAやOTAKENのような最上の音質で聴くことの出来るのが本当に嬉しく思います。

来年も様々なご感想・ご意見をお聞きするのをとても楽しみにしています。宜しくお願い致します。
それでは良いお年をお迎え下さい。


投稿: ハルくん | 2008年12月31日 (水) 21時09分

こんばんは。

先日、別で書き込んだ【イッセルシュテット/北ドイツの第9(Tahra)が結構好き】というのは、51年の演奏です。

貴blogで知ってから、70年のを聴きたくて聴きたくて...。オークションでたまに見かけても毎度の高値で断念。

昨日中古屋で、初めて見るジャケットのイッセルシュテット/北ドイツの第9が在り、裏を見ると1970、しかもCinCin盤。直感で迷わず購入。帰宅して調べたら同音源と判り大興奮。

先程聴きました。コレ、スゴいですホント。自然な音質もイイ。演奏が進むにつれて力強さが段々増してくる感じがLive感を味わえるし、何より美しく強い響きに惹き込まれます。クーベリック/バイエルンと双璧か、愛聴盤としては上になりそです。Tahra盤の高値が納得です。

投稿: source man | 2010年4月 2日 (金) 23時30分

source manさん、こんにちは。

またまた古い記事へのコメントを頂きましてありがとうございました。大変嬉しいです。

イッセルシュテットの70年録音盤をお聴きになられたのですね。これ、本当にいいでしょう?DECCAのスタジオ盤とは全然違いますからね。僕もクーベリックのLIVE盤以上に好きですよ。この人のこういう演奏が広く世に知られていないというのは実に気の毒です。

投稿: ハルくん | 2010年4月 3日 (土) 07時29分

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受信: 2008年12月29日 (月) 16時22分

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