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2010年1月14日 (木)

チャイコフスキー 交響曲第2番ハ短調「小ロシア」op.17 名盤

毎日寒い日が続いています。来週の大寒を過ぎれば寒さも段々と和らいで春に向かうのでしょうか。余りに寒いのでブルックナー&マーラー特集をまたまたお休みしてチャイコフスキーです。真冬にはチャイコがほんとにスキ~です。

Tch00189042 第1番「冬の日の幻想」は素晴らしい名曲ですが、第2番も非常に好きな曲です。この曲は副題として「小ロシア」もしくは「ウクライナ」と呼ばれますが、これはチャイコフスキー自身が付けた訳では有りません。この曲はロシア(ウクライナ)民謡が頻繁に使われているので、そう呼ばれたのでしょう。第1楽章のホルン独奏による序奏はロシア民謡「母なるヴォルガ」を元にしています。ダイナミックな第1主題もやはりロシアを感じさせますし、第2主題では再び「~ヴォルガ」が使われます。第2楽章は静かな行進曲ですが、軽い足取りがバレエに登場する王侯貴族達のステップを思わせます。第3楽章はスケルツオに当たりますが、中間部はまたまたバレエ音楽のようです。第4楽章はスケール大きく開始されますが、主題がどことなくムソルグスキーの展覧会の絵の「キエフの大門」を思わせます。そういえばキエフはウクライナの古都ですね。余談ですがウクライナの人はロシアが嫌いなんだそうです。大国に物を言わせて力づくでウクライナを併合したからでしょう。逆に日本は好印象なんだそうです。それはかつて憎き大国ロシアを東の外れの小国日本が日露戦争で打ち破ったからです。これはウクライナに駐在した友人から聞いた話なので本当のことでしょう。

なんだか曲の話で無くなりましたが、僕の愛聴盤をご紹介します。

Tccci00011 エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(1967年録音/Aulos盤) これは世界で最初のチャイコフスキー交響曲全集の中の録音です。以前、全集盤については記事にした事が有ります。これはあたかも旧ソヴィエト連邦体制下の精密な器械体操選手を思わすような演奏で、非常に若々しくスピード感に溢れていて爽快です。終楽章などはその緊迫感ある演奏に圧倒されます。但しその分晩年のような余裕は有りません。それでも個々の楽器の歌い回しはロシアの情緒たっぷりですし、むしろこちらの方を好む方も多くいらっしゃると思います。現在はメロディアからのライセンスでAulosが発売していますが、マスタリングは良好です。

Sve2 エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団(1990年録音/CANYON盤) サントリーホールで行われた全曲チクルス演奏会の録音で、所謂「東京ライブ」です。キャニオンの録音は優秀なのでスタジオ録音に遜色が有りません。スヴェトラーノフの指揮はロシア風たっぷりですし、オーケストラは優秀、その上ライブ演奏ならではの高揚感が有りますので、本場のロシア音楽をとことん堪能することが出来ます。特に4楽章が迫力と情感両方に溢れていて感動的です。このCDは現在は廃盤ですが、全集であれば海外盤で出ています。どの曲も素晴らしい演奏なのでお薦めです。

Sve2live エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団(1993年録音/CANYON盤) 東京ライブの3年後に今度はモスクワでスタジオ録音が行われました。ライブに比べるとややおとなしい印象です。第2楽章は少々テンポが遅すぎる気もしますし、第3、第4楽章も高揚感においてどうしてもライブに劣る気がします。もちろんこのCDのみを聴けば録音は優秀ですし、本場のオーケストラで存分にロシア音楽を味わえて満足出来るのですが、東京でのライブ盤は更にその上を行くということです。ちなみにこの93年盤も廃盤です。困ったものです。

Tcha2 ウラジミール・フェドセーエフ指揮モスクワ放送響(1999年録音/Relief盤) ロシア国立響と並ぶ優秀なモスクワの2大オーケストラですので、素晴らしいチャイコフスキーが味わえます。「母なるヴォルガ」のところのホルンも上手く、このような味わいは本場ロシアのオケ以外ではちょっと聴くことは出来ないでしょう。僕はこういうロシア民謡のような曲を自国以外の楽団で聴く気にはどうしてもなれないのです。第2楽章はスヴェトラーノフよりもかなり速いですが、軽快で楽しいバレエの感じはこちらの方が良く出ています。第3楽章は互角。第4楽章は早いテンポで迫力にも欠きませんが、豪快な感じはスヴェトラーノフの方がより出ています。このあたりは好みの問題でしょう。

これらはロシアを味わうのにどれも充分満足出来ますが、ベストを選ぶとすればスヴェトラーノフの東京ライブです。その他では昔LP盤で聴いていたロジェストヴェンスキー/モスクワ放送響の演奏が有りますが、現在は廃盤なのでぜひ再発売して欲しいと思っています。

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コメント

こんにちは。福岡方面とちがって瀬戸内では積雪がありません。しかたなくこういう音楽を聴いて冬を味わうこの頃です。

「ウクライナの人はロシアが嫌い」は聞いたことがありますが、ロシアの人はウクライナをどう思っているのでしょうね、例えばウクライナの旋律を演奏する時に違和感があるのかないのか・・・?

そういえば日露戦争のとき、日本海海戦の敗軍の将となったロジェストベンスキーの孫(?)が同姓の名指揮者でしたよね。

投稿: かげっち | 2010年1月15日 (金) 12時30分

かげっちさん、こんにちは。

ロシア人はウクライナのことを何か見下すようなところは有るかも知れませんね。どうしても本国と属国の歴史ですから。でも音楽については違和感とかそういうものは無さそうな気がしますけど。まあ実際にロシア人に尋ねてみないと分かりませんね。若いロシア美人のお友達?でも出来た時には聞いてみることにします。(笑)

マエストロ、ロジェストヴェンスキーがバルチック艦隊提督の孫だという事は知りませんでした。よくご存知でしたね。

投稿: ハルくん | 2010年1月16日 (土) 09時28分

こんばんは!

バーンスタイン盤でしか聴いてませんが、なかなか良い曲ですよね。
いささか情緒には乏しいもののメリハリが効いて退屈しません。
「交響曲」を聴いた・・・という充実感があります。
第1やこの曲あっての後期3大交響曲ですね。

投稿: 影の王子 | 2018年2月 9日 (金) 21時35分

影の王子さん、こんにちは。

第2番はとても好きです。
ロシアの情緒が何とも魅力です。

ぜひ一度ロシアの団体の演奏でお聴きになられてみてください。さらに魅力が増して感じられるのではないかと思います。

投稿: ハルくん | 2018年2月13日 (火) 12時34分

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