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2009年12月30日 (水)

~年末ご挨拶~ ベートーヴェン「第九」 ヘルベルト・ブロムシュテットの交響曲全集から

2009_last 早いもので今年もあと二日を残すのみとなりました。いつもブログにお越し頂く皆様方にはこの1年間大変お世話になりました。コメントを頂いている方も、そうで無い方も、全ての皆様に心より感謝致します。

また最近は自分の記事をアップするのにアップアップとなり、ブログお仲間の方にお邪魔する機会も減ってしまい申し訳なく思っております。来年は新規一転お邪魔する機会を増やしてコメントをもっと書かせて頂きたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

ということで、今年も締めくくりとなりましたが、ここはやはり「第九」しかないでしょう。進行中のブルックナーとマーラーの特集(略してブルマー特集?何となく怪しい名前のような・・・!?)は新年に持ち越しです。

第九はCDで聴いてももちろん感動しますが、本物の大合唱で味わうのはまた格別です。僕は先日、みなとみらいで日フィルの第九コンサートを聴いてきました。東京音大の合唱団でしたが、若人の真摯な歌声というのはいつ聴いても感動させられます。その感動の余韻を残したまま、家でCDの第九を楽しみます。昨年の年末にも記事にしました。
<旧記事>ベートーヴェン 交響曲第9番 「合唱」 名盤

今年はその中で触れなかった演奏をご紹介します。

0184442bcヘルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管)(1975-80年録音/Berlin Clasiics盤)

このベートーヴェンの第九はブロムシュテットが1975年から1980年にかけて録音を行った交響曲全集に含まれているものです。1970年代と言えば、シュターツカペレ・ドレスデンに多くの名人奏者が居た時代で、ドイツ音楽の演奏にかけては、あのウイーン・フィル、ベルリン・フィル以上に魅力的な音を響かせていた時代です。決して数多くない録音の中でも、ザンデルリンクとのブラームス、サヴァリッシュとのシューマン、ヨッフムとのブルックナーといった各交響曲全集やケンペとのRシュトラウス管弦楽曲全集などの正に記念碑的な名盤が目白押しです。

そしてこの時代にベートーヴェンの交響曲全集を録音したのが他でもないヘルベルト・ブロムシュテットです。この人は元々からオーケストラを自然にドライブして指揮者の個性というのを感じさせませんが、ここではあたかもSKドレスデンが一人で勝手に鳴っているような演奏で、それは『SKドレスデンの音を楽しむベートーヴェン交響曲全集』です。このいぶし銀の音のファンにとってはかけがえの無い全集盤だと思います。第九についても全くそういう演奏で、ここにはフルトヴェングラーのような劇的さは有りません。けれども古典的で肥大化され過ぎない造形を持つとても素晴らしい演奏だと断言できます。特に終楽章が力演で、ドレスデン歌劇場合唱団とライプチヒ放送合唱団の混成チームが非常に素晴らしく、テオ・アダムやペーター・シュライヤーというソリスト陣も大変豪華です。どうぞそれらを極上のドイツの音で楽しんで下さい。

なお、この全集はブリリアント・レーベルからも廉価なライセンス盤で発売されていますが、本家のベルリン・クラシックス盤の方が中低音の充実したSKドレスデンらしい音造りのマスタリングですのでこちらをお薦めします。僕の持っているのは旧盤ですが、現在は写真のボックスセットで出ています。

『第九だけ聴ければ良いや』という方の為には国内盤で分売もされています(以前は徳間から。現在はキングから。)
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それでは皆様良い年をお迎えください!

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ベートーヴェン(交響曲全集)」カテゴリの記事

コメント

私は、今朝「第九」の聴きおさめかなあ、
と思いながら、
フルトヴェングラーの「第九」を
聴きました。
いいですよね、「第九」は。

拙ブログで「本を読もう」というカテゴリーを増やしました。
大好きな開高健の本を最近読んで、それが良いので紹介したくなったのです(笑)
一度のぞいてください。

投稿: 四季歩 | 2009年12月30日 (水) 14時43分

ハルさん、こんにちは。

今年も楽しいブログを有り難うございました。いつも参考になる各曲の推薦盤へのコメントを興味深く拝読しています。

私もあまり多くないCDの中から気付いたものがあれば、来年も拙文ながらコメントをさせて頂きたいと思っています。

どうぞ宜しくお願い致します。

大晦日の今日は、第九は第九でもマーラーの第九を聴こうかと考えています。

では、良い年をお迎え下さい。

投稿: たろう | 2009年12月31日 (木) 13時53分

四季歩さん、こんにちは。

年の納めに「第九」というのは実に良いですよ。苦悩ー葛藤ー静寂(平安)-歓喜という流れが見事に全曲にまとまっています。これは名曲を越えた名曲だと思います。

「本を読もう」ですね。是非覗かせて頂きます。

投稿: ハルくん | 2009年12月31日 (木) 13時57分

たろうさん、こんにちは。

南の国への海外出張の合間にも、しばしば頂くコメントを大変ありがたく思っています。

たろうさんのお好きなブルックナーやマーラー特集は当分の間続きますので(笑)、コメント頂けるのを楽しみにしております。来年も宜しくお願い致します。
それではどうぞ良いお年を!

投稿: ハルくん | 2009年12月31日 (木) 14時16分

ハルくんさん。こんばんは。o(*^▽^*)o
本当に今年はお世話になりました。m(_ _)m
ありがとうございます。
いや~。いろいろな出会いがあるものだなぁ(・_・)....
って感じです。w(゚o゚)w

私の今年の第九は
フルトヴェングラー/バイロイト
コンビチュニー/ゲヴァントハウスでした。

来年もよろしくお願いします。
ヨッフムでブルックナーの猛勉強したいところですが、
どうも忙しくなりそうです。
(´Д`;≡;´Д`)アワアワ

投稿: はるりん | 2009年12月31日 (木) 22時11分

はるりんさん、こんばんは。

こちらこそ今年はお世話になりました。
ありがとうございます。

フルトヴェングラーとコンビチュニー、どちらも素晴らしい第九ですね。

ヨッフムでブルックナーの猛勉強もいいですね!でもシューマン・イヤーですし、お忙しいことでしょう。まあブルックナーイヤーになりましたら、ということで。(笑)

それでは良いお年をお迎えください。

投稿: ハルくん | 2009年12月31日 (木) 22時49分

こんにちは。

ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団
のベートーヴェンの交響曲全集の新譜ですが
シュターツカペレ・ドレスデンとの全集
N響を指揮した「エロイカ」
バンベルグ響の来日公演の「田園」「第5」
が圧倒的に素晴らしいブロムシュテットで
ライプツィヒ・ゲバントハウスですから
「期待するな」という方が無理でしょう。
しかし、聴こえてきたのは・・・
ライヴ収録のせいか?「風呂場の響き」的な締まりのない音響。
「自分の耳がおかしいのか?」と思い
同じオケのシャイー盤で同一曲で複数比較。
同じ会場かはわかりませんでしたが、こちらはセッション録音。
全然迫力が違う!!!
このオケの少し暗くそして重厚な響きにノックアウトされます。
デッカの優秀録音だと如何にすばらしいオケかと唸らされます!
演奏の優劣は問うていません。
自分の演奏を「商品として出す」ことへの「良心」は残念ながら
シャイー>ブロムシュテットではないか?と思っただけです。
もちろん、人の感性はそれぞれですので逆の感想を持たれても不思議ではありません。
ただ、「商品」として聴く以上は「結果が全て」です。

投稿: 影の王子 | 2017年10月29日 (日) 15時42分

影の王子さん、こんにちは。

録音された音源をスタジオモニターで聴くとほとんど皆、音が良く聞えます。なのでマエストロもOKを出したのかもしれません。ところがそれを一般家庭で聴くと印象が大きく変わりますし、機器との相性も起きてきます。難しい問題ですね。

ブロムシュテットがシュターツカペレ・ドレスデンと本国で行ったライブ録音の第九を聴きましたが中々に素晴らしい印象です(まだじっくりとは聴いていませんので)。いずれ記事をアップします。

投稿: ハルくん | 2017年10月30日 (月) 12時48分

乱文・長文、失礼いたしました。

ザンデルリンクのブラームスの交響曲全集の新盤も過大な残響で
「素晴らしい演奏だと頭では判るが、耳が実感できない」
一番困るCDでした。

最終パッケージの責任を演奏家に問うのは筋違いでしょうね。
しかし、こちらはそれでしか判断できないので
本当に難しい問題ですね。

投稿: 影の王子 | 2017年10月30日 (月) 23時11分

影の王子さん。こんにちは。

私もザンデルリンクのブラームスの交響曲全集新盤は確かに残響過多で好みませんが、あれを『ドイツの奥深い響き』などとの好意的な評も見受けられました。歴然とするシュターツカペレ・ドレスデンとの力量の差を誤魔化す為ではないかなどと、ついついうがった見方さえしてしまいそうです。
音の問題は演奏家よりもむしろプロデューサーの責任でしょうね。

投稿: ハルくん | 2017年11月 1日 (水) 12時51分

ハルくん様

年が明けても、コロナの話題ばかり。状況が良くなっているのならいいのですが、日に日に悪くなる一方です。
人類最期の年になるのではないか、余計な事を考えてしまいます。

子供の時から気が滅入ったら、ベートーヴェンの交響曲を聴きます。
今年が、ナポレオン・ボナパルト没後200年に当たることを御存知の方も多いかと思います。
ナポレオンといえばベートーヴェン。
今回はピエール・モントゥーのベートーヴェン交響曲全集を購入し、聴き終えたら気が滅入っていたことなど忘れてしまいました。
ウィーン・フィルと手兵ロンドン交響楽団を振ったもので、全曲ステレオ録音。
演奏はモントゥー流のキリリと引き締まったもので思わず背筋を正されてしまいました。

僕は一人の作曲家の交響曲を立て続けに聴くのが好きです。交響曲はその年齢の作曲家の結晶であるからです。ベートーヴェンでも有名な第3番や第5番、第9番しか聴いていないのであれば、想像を絶するような彼の生き様は語れません。
マーラーにしても第1番から未完に終わった第10番まで聴き通せば、死を恐れ続けた彼の生涯が視えてくるような気がします。

以上、新年早々長文になりました。
コロナにお気を付けて、この楽しいブログを続けていただける事を願っています。
ハルくん様の御健勝をお祈りしています。

投稿: motosumiyosi | 2021年1月11日 (月) 22時22分

motosumiyosiさん

ベートーヴェンの交響曲は単売も全集も幾つか入手していて、モントゥーの全集もその中に有ります。残念なのは全部ウイーン・フィルで統一してくれていたらなぁと思います。まあこれは好みということで。

年末にベートーヴェンのピアノソナタ全曲を実演で順番に聴きましたが、同じようなことを思いました。同様なベートーヴェンのシンフォニーやカルテットの演奏会は有りますが、マーラーではちょっと無理ですね。(笑)

投稿: ハルくん | 2021年1月13日 (水) 22時46分

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