« シューマン 「幻想曲」ハ長調op.17 名盤 ~幻想と情熱~  | トップページ | シューマン 「交響的練習曲」op.13 名盤 »

2009年9月23日 (水)

シューマン 「クライスレリアーナ」op.16 名盤 ~クララへ捧ぐ~ 

B0106921_20364011
シューマンのピアノ曲で「幻想曲」と並ぶ傑作は、やはり「クライスレリアーナ」でしょう。一般的に人気が高いのはむしろ後者かもしれません。シューマンはこの作品をショパンに献呈しましたが、作曲過程の段階では恋人のクララに捧げました。当時、クララの父親の反対によって、会うことさえ思うようにならなかった未来の妻への情熱と愛をこめて作曲したのです。そのことはクララへの手紙で明らかです。「貴女はこの曲の中に自分の姿を発見して、きっと微笑むでしょう。ときおりは僕の<クライスレリアーナ>を弾いて下さい。いくつかのパッセージには激しい愛が含まれて居ます。貴女と僕の生活が含まれているのです・・・・」

「クライスレリアーナ」というのは、「クライスラーに関すること」という意味です。E.T.A。ホフマンの小説の主人公クライスラーの満たされなかったロマンスを我が身の現状に置きかえて、愛するクララへの想いを一層つのらせた曲なのです。なんともセンチメンタルなロマンティストじゃありませんか。まるで僕みたいだ!?

この曲は8曲の小曲から構成されていますが、第1、3、5、7、8曲は動的な曲で、第2、4、6曲は静的な曲です。全ての曲は有機的に連続している為に、この中のどれかの曲を抜き出して演奏する事は不可能です。

この曲は演奏によって、かなり異なった印象を与えられます。下手な演奏だと曲の真価は伝わりませんが、優れた演奏だと比類の無い傑作に聞こえるのです。演奏家の力をそのまま映す鏡のように怖い曲なのですね。ともあれ、色々なピアニストがこの曲に挑戦していますのでご紹介します。

Cci00021 アルレッド・コルトー(1935年録音/Dante盤) コルトーはいまだに熱烈なファンがいる大ピアニストです。なにしろこの人ほど下手クソでこの人ほどロマンティックなピアノを弾く人は現代には世界の何処にも存在しないからです。この演奏もやるせなくなるほどに濃厚な浪漫の香りを湛えた実に味わい深いものです。早い曲は指が回らずに音形がグチャグチャなのですが、それでも曲を聴かせてしまうところが凄いです。Dante盤の復刻は優秀なので充分に鑑賞が可能です。

51lod210vsl__ss500_ ウラジーミル・ホロヴィッツ(1969年録音/CBS SONY盤) ホロヴィッツのシューマン演奏の中でも特に素晴らしい演奏です。全盛期の絶美のタッチから噤み出される演奏にはただただ聞き惚れるしか有りません。あの真っ直ぐに指を伸ばして弾く変わったスタイルだからこそ、かくも繊細な音が出てくるのでしょうか。この人のピアノは本当に千変万化。しかも早い曲でも音符を弾き飛ばすことは決して有りません。それぞれの音の表現の意味深さは他の有名ピアニストを何人連れてきても敵わないと思います。同世代や後輩のピアニストがこの演奏を耳にしたら、この曲を弾くのが嫌になってしまうのじゃないかと思えてしまいます。

61ez9sietxl__ss500_ ウィルヘルム・ケンプ(1972年録音/グラモフォン盤) シューマンから楽譜を贈られて弾いたクララのピアノはこんな感じじゃなかったかとまたまた勝手に思っている演奏です。演奏効果を狙うような派手さの全く無いピアノだからです。演奏会場ではなく、我が家で恋人(か妻)にでも優しく弾いてもらいたくなるような演奏ですね(もちろんそんなことは無理な相談ですけれども)。裏を返せば、コンサートで聞くには物足りなく感じるであろう演奏では有ります。速い第7曲などは中間部ではなんだかバッハのように聞こえてしまいじれったくなります。優しさや愛情だけではこの曲はやはりどうにもなりません。

51mmmcehxil__ss500_ マルタ・アルゲリッチ(1983年録音/グラモフォン盤) 自由奔放で多彩な表現と、速い曲を超快速で弾くのは彼女の良くあるパターンです。初めて聴く時には、とても興奮させられるのですが、何度も聴くとだんだんと飽きてしまいます。しかも第7曲などは余りに速過ぎるので一つ一つの音形が聞こえなくなっています。好き嫌いで言うと正直難しいところです。そうなるとホロヴィッツ・シンドロームとでも言いましょうか、ホロヴィッツを越えられる演奏などというものは存在し得ないのではないかと思えてしまうのです。

Medium_image_file_url ワレリー・アファナシエフ(1992年録音/DENON盤) 確かに「鬼才」と呼ばれるだけあって一筋縄では行かない演奏です。異型の曲を、それ以上に異型に演奏しています。アルゲリッチと同様に速い曲では必要以上に速く弾くので、やはり音形が聞こえなくなっていますが、最も驚かされるのは第8曲の異様な遅さです。何か重たいものを地面に引きずるかのような進みには唖然とします。第2曲の遅く重苦しい気分も独特です。一度取り付かれると、この演奏には麻薬のような魅力が有るかもしれません。ロベルトとクララもこの演奏には驚いているのではないでしょうか。

51ng8mv49ll__ss500_ エレーヌ・グリモー(1998年録音/DENON盤) この当時録音したブラームスの協奏曲第1番はザンデルリンクの伴奏指揮の素晴らしさと相まってそれは見事な演奏でした。独奏曲もやはり優れていました。その期待をもって聴いたところ、やや期待はずれといったところしょうか。このような一癖も二癖も有る様な破格の曲というのは若手にとってはなかなか難しいのでしょうね。とは言え、確かなテクニックに支えられた、正攻法で等身大のシューマンの印象は決して悪くはありません。それになによりも彼女は美人なので全てを許せてしまいます。

694 マウリツィオ・ポリーニ(2001年録音/グラモフォン盤) デビューから40年という長い時が過ぎたポリーニが、一体どのようにシューマンの難曲を聴かせてくれるのだろうかという興味で聴いてみました。けれども答えはよく分かりませんでした。テクニック的にはまだまだ上手いものの、若い時のあの凄みは有りません。ピアノの音にかつての「幻想曲」のような力こぶは感じられないので良いのですが、かと言って音楽に優しさとか愛情が感じられるという訳でも有りません。ポリーニはこれから先はどんなピアニストになるのでしょうね。

これらの中で他の演奏を断然圧倒しているのはホロヴィッツです。奇跡的な完成度のシューマンと言って良いのではないでしょうか。こんな演奏が存在すると、その他の演奏家は非常に分が悪くなりますが、もう一人選ぶとすれば僕はアファナシエフを上げたいです。この演奏も「クライスレリアーナ」を愛好する人にとっては必聴だと思います。

|

« シューマン 「幻想曲」ハ長調op.17 名盤 ~幻想と情熱~  | トップページ | シューマン 「交響的練習曲」op.13 名盤 »

シューマン(器楽曲)」カテゴリの記事

コメント

ホロヴィッツの1969年録音の「クライスレリアーナ」はまさに天才の成せる演奏としか言い様がありません。この演奏を知ってしまうと他の演奏はどれも物足りなく聴こえます。
晩年のホロヴィッツのイメージを吹き飛ばす物凄い演奏です。

投稿: オペラファン | 2009年9月24日 (木) 00時05分

私のブログURLで~~~~す!!!
クライスレリアーナは最初はホントによくわからなくてですね、凄みばかりが気になって???の曲だったのですよ。。。
シューオタのくせに~~~って怒らないでください!!!
しかも、ローベルトが自画自賛した数少ない曲だというのに・・・
(´;ω;`)ウウ・・・
だって解らなかったんだもの・・・すっごく生々しい曲だし、とくに静的な2・4・6曲が難しくて、多分は原因は音が聞き取れなかったのではないか・・・と思っています。
もちろん今では大好きな曲です。

さ~てこの曲のオススメってえらく難しいです。ワタシ的には再びケンプさんってことになるのかな。ある日、突然、音が聞こえてきたんですよね。その時のCDがケンプさんだったというだけで意味はありません。
コルトー盤とっても興味あります。
いい情報をありがとうございました。

投稿: はるりん | 2009年9月24日 (木) 00時07分

オペラファンさん、こんにちは。

ホロヴィッツの演奏は本当に凄いです。聴けば聴くほどにその凄さがわかりますね。全ての音符が大胆かつ繊細にコントロールし尽くされて圧倒的です。

投稿: ハルくん | 2009年9月24日 (木) 22時52分

はるりんさん、こんにちは。

「クライスレリアーナ」はやはりシューマンの大傑作ですね。なのでショパンに献呈したのでしょう。でもこの曲を捧げられたクララって相当にピアノが上手かったのでしょうね。並みの腕前ではとても弾けないですよね。

コルトー盤は一度は聴く価値が有りますが、どのように感じられるかは保証の範囲外ですからね。一応お断りしておきます。(笑)

投稿: ハルくん | 2009年9月24日 (木) 22時59分

はるクンさん、saraiです。こんにちは。

この曲はシューマンのピアノ曲では、アナログディスクの時代から聴き続けてきた曲です。まずはホロヴィッツ。しばらくは何ともよく分からない曲でした。続いて、アルゲリッチ。何度か聴いてようやく分かってきました。
その後、CDでケンプとかも聴きましたが、断然、アルゲリッチが何度聴いても素晴らしい。今では、いつも携行しているIPODに入れてあります。
今では、ホロヴィッツの演奏も素晴らしいと思いますが、何といってもアルゲリッチ。まだ、飽きるほど、聴いていません!
アルゲリッチの「子供の情景」、「クライスレリアーナ」のCDはsaraiの宝物といってもいいCDです。
ちなみにこの2曲はシューマンのピアノ曲ではsaraiの一番好きな曲です。

投稿: sarai | 2009年9月25日 (金) 10時52分

ハルくんさん、こんにちは。

わたしもシューマンは好きなのですが(オーケストレーションの難しさを別にすれば)、でもなにか自分自身に不全感が残るというか、自分はシューマンの音楽をつかみきれていないのじゃないかという思いが残るのです。これが嫌いな作曲家だったら、それっきり聴かなければ済むことですが、シューマンは、でも好きなのです。

で、その作曲家(作品)のどういうところが好きと思うかによって、どういう演奏を名演と感じるかも意見が分かれる場合があるでしょうが、シューマンを聴くとき、わたしはまさにそう感じるのです。

いまのわたしは、即興曲風にさらりとシューマンを聴くのが好きですけれど、また感性が変わりそうな気がします。

投稿: かげっち | 2009年9月25日 (金) 12時36分

saraiさん、こんにちは。

アルゲリッチはホロヴィッツと双璧でしょうね。ただ僕はホロヴィッツの方が断然好きなだけです。あとアフェナシエフも本当に凄いです。この3人がやはりこの曲では群を抜いていると思いますよ。

投稿: ハルくん | 2009年9月26日 (土) 23時31分

かげっちさん、こんにちは。

不全感が残るというのはかげっちさんの心優しいご性格からでしょう。自分の考え、理解、行動が完全と思えば強い自信につながるのでしょうが、それは往々にして自分以外を否定する考えに成りかねませんよね。
僕の場合はシューマンの演奏はロマンティックの度合いで好き嫌いがほぼ決まります。ですので余り「さらり」よりは少し(たくさん?)「べたべた」のほうが好きかなァ・・・

投稿: ハルくん | 2009年9月26日 (土) 23時49分

やっぱり!(笑)たぶんハルくんさんより私のほうが、たいていの曲について「さらりとした演奏」を好むのではないかと思います。繰り返しになりますが、シューマンの場合にどれくらいロマンティックに演奏するのがよいのか(orこぶしをまわせばよいのか)、私自身が測りかねているので、ちがう演奏に接して納得すれば尺度が変わるかもしれないと思います。

投稿: かげっち | 2009年9月27日 (日) 21時49分

かげっちさん、こんにちは。

ロマンティックな曲はより浪漫的に、透明感のある曲はさらりと、というのが僕の好みなのです。女性については適度に浪漫的な人が好みですかねぇ。あまり淡白過ぎる人だと物足りないかもです。僕は浪漫的性格なものですので。って誰もそんなこと聞いてない!?(笑)

投稿: ハルくん | 2009年9月27日 (日) 23時11分

こんばんは。

拝読した直後、西独盤を見つけたので、最初アルゲリッチ/DGを入手。
続けて貴殿1位のホロヴィッツ、グールドの経験から初期盤を。

ホロヴィッツ盤の深奥さに惹きつけられマス。暫く毎夜聴いてました。
アルゲリッチも素敵ですが、録音が嗜好に合わないのか音が綺麗過ぎて、いま一歩近づけナイ感じデス。

投稿: source man | 2010年3月20日 (土) 21時55分

source manさん、こんばんは。古い記事へのコメントを頂きまして有り難うございます!

アルゲリッチ盤はとても評価が高いのですが、記事にも書いたように、速いパッセージを余りに速く弾き飛ばすので旋律線が聞き取れないのが少々不満です。その点ホロヴィッツはシューマネスクな音の変化がちゃんと聞き取れます。もちろん好みの問題なのですが、僕はホロヴィッツのほうが好きなのです。

投稿: ハルくん | 2010年3月20日 (土) 22時10分

昨日拝見致しましたが、はるさんのブログはすごいですね。私なんかより10倍は聴き込んでおられると思います。

クライスレリアーナは一見(一聴)雑な構成で、私も最初はあんまり良さがわかりませんでした。ノベレッテンもそうですが、シューマンの小品集の魅力は構成美というより、破調というか乱調というか、一言で言えばロマンなんでしょうけど、多少、クセのある曲であることは確かですね。

クライスレリアーナの終曲はとても好きな曲です。これ、ところどころ音符がスカスカなんですね。曲想にどういう意図があったのかわかりませんが、中間部のわかりやすい和声はとても気持ちがいいです。

多少はしゃいでもちゃんとサマになっているというところがシューマンのいいところですよね。それでもノベレッテン以降はあまりハメをはずさなくなっていきますから、やはり若さというべきでしょうか。

投稿: NY | 2012年2月 4日 (土) 03時17分

NYさん、こんばんは。
こちらへもコメントをありがとうございます。

僕はピアノ曲は決して幅広く聴けているわけではありません。でもシューマンの何曲かは本当に大好きですので演奏も色々と聴いてみました。

シューマネスクな世界って、やはり「ロマン」ですよね。それは夢のような世界であって、形式や構成美はむしろ邪魔するように思います。
小品も良いですが、「幻想曲」「交響的練習曲」それにこの「クライスレリアーナ」の3曲が断然聴きごたえが有って好きです。この時代には物凄いインスピレーションのほとばしりを感じますよね。

投稿: ハルくん | 2012年2月 4日 (土) 03時50分

アルゲリッチはたまに勢い余ってテンポが乱れますね。それが持ち味と言えばそうなんでしょうけど、確かに第7曲なんかではちょっと極端に思えます。楽譜を知らないと旋律線を追うのは難しいでしょう。

アルゲリッチはなんであんなに速く弾けるのか長年わからなかったのですが、あれはたぶん脱力の問題で、力が余分に入っているとピアノは上手く弾けないものなんですね。そういう意味では柔軟な女性のほうが有利なのかもしれません。とにもかくにも、彼女は別格的に上手いピアニストなので私などはただ驚くばかりです。

クライスレリアーナはそれほど難曲ではありませんが、何を弾いてもアルゲリッチはただ上手いというのとは違って、音楽に冷たい感じがしない(いつも熱い?)ところが偉大だと思ってます。

投稿: NY | 2012年2月 6日 (月) 23時26分

NYさん、こんばんは。

アルゲリッチの若いころは、本能、感性に任せて自由自在に弾きまくる印象でした。凄みを感じて、有無を言わせぬ説得力が有りましたし大好きでした。
それがいつの頃からか、どうも頭で考えた「劇場型」に感じられるようになり、驚くほど面白いのだけれども、ある種の「あざとさ」を感じてしまい、余り好きとは言えなくなりました。
でも、たぶんピアノを弾く人にとっては、「あんな風に弾いてみたい」という、あこがれの存在なのでしょうね。

投稿: ハルくん | 2012年2月 6日 (月) 23時48分

アルゲリッチも歳を重ねてからはソロを控えて室内楽に回りましたね。やはり若い頃のピアニズムをずーっと維持するのはいくら天才でも不可能なんでしょう。

シューマンではクレーメルと組んだヴァイオリンソナタ集なんかはとてもいいですよ。地味な曲なので、アルゲリッチみたいな知名度のある人が取り上げないと誰も聴かなくなっちゃいます。

クライスレリアーナも地味な曲集だと思ってましたが、意外に人気は高いんですね。私はシューマンのピアノ曲ではクライスレリアーナの他に交響的練習曲、ピアノソナタ3番、ノベレッテンあたりが好きなんですが、幻想曲は残念ながらあんまり聴いてないのでこれから聴き込んでみます。謝肉祭とか道化になると遊び心が強すぎてたまに聴けばいいやとか思ってしまいますが。

投稿: NY | 2012年2月 8日 (水) 23時19分

NYさん、こんばんは。
いつもコメントをありがとうございます。

シューマンのヴァイオリン・ソナタ集でのピアノは素晴らしいですね。僕もあれは大好きですよ。同じコンビでも、ベートーヴェンの演奏は腰が座らずに浮ついた感じがして余り好きではありませんでしたが。

ハ長調の「幻想曲」は大好きなんです。お薦めはリヒテルですね。ホロヴィッツも良いですが、アルゲリッチは全くの期待外れでした。

投稿: ハルくん | 2012年2月 8日 (水) 23時36分

あまり有名ではないですが、ピアノ曲の3つのロマンス(作品28)をご存じでしょうか。過渡期の佳品だと思います。私はこういう影のある曲が好きです。残念ながら録音は少ないと思います。シューマンの全集で有名な伊藤恵さんは弾いておられるかも。

クララ作曲のロマンスも最近弾かれるようになりましたけど、さすがに旦那の作品水準には遠く及ばないと言わざるを得ませんね。クララの作品集は楽譜も出回ってますが、私はいまひとつ手が出ません。

投稿: NY | 2012年8月31日 (金) 00時19分

NYさん、こんにちは。

3つのロマンス-作品28というのは、余り記憶に無かったので、YouTubeで聴き直してみました。3曲続けてみると、一曲のソナタみたいですね。
常に物思いに耽るようなシューマンの雰囲気はとても好きです。

クララの作品は何かの曲を聴いたように思いますが、やはり余り面白くは感じませんでした。

投稿: ハルくん | 2012年9月 1日 (土) 00時07分

伊藤恵さんのシューマン全集は偉大な業績ですね。のべ20年かかったそうです。私は3枚しか持ってませんが、どれも過度な情緒におぼれない知的な解釈で素晴らしい。こういうライフワーク的なものを残せる方は稀ですね。クライスレリアーナやロマンスはまだ聴いていないのでこれからが楽しみです。ピアノソナタ1番のCDがあったのでさっき聴いてましたが、若書きで冗長な曲にもかかわらず、引き締まった演奏でした。たいがいこの曲はダレてしまいますからねえ。最近は芸大の先生になっておられるようです。

投稿: NY | 2012年9月14日 (金) 22時47分

NYさん、こんにちは。

伊藤恵さんは「シューマンは恋人です」と仰られるほどですから、相当に思い入れが深いのでしょう。それでなければ全集なんて作れませんからね。ただ僕は聴いたことが有りません。これは問題ですね。(汗)

我が家にあるソナタ1番のCDはポリーニです。この人のシューマンは透徹した感じが好きですね。シューマンはロマン的な演奏が好きなのですが、こういう古典的な作品には、やはりダラダラしない演奏が良いです。

投稿: ハルくん | 2012年9月15日 (土) 10時18分

この頃はクライスレリアーナに限らず、動画でいろいろな演奏が聴けるのですが、テンポが速すぎるピアニストが多いですね。アマチュアのほうが丁寧でかえって好感がもてる演奏だったりします。あまりパラパラすると旋律線が崩れてちりめんじゃこのような音符の羅列に。。。。ロマンスとか「道化」(作品26)とか過渡的な作品はもう少し影のある弾き方のほうがいいのではないかなあと思ってます。道化の第4曲(間奏曲)などは陰影が美しい最高傑作の小品だと思いますが、こういう曲はベテランが味わい深く弾いてほしいです。

クララの人気に押されてかどうかわかりませんが、中年期以降のシューマンは鬱々としてピアノから遠ざかっていきますので、まさに男はつらいよって感じでしょうかね。

投稿: NY | 2012年9月19日 (水) 21時37分

NYさん、こんばんは。

最近はピアニストに限らず、弦楽も指揮者も総じてテンポが速いですね。上手いのは良いとしても、ロマン派の音楽などは、やはり陰影の深さをたっぷり味あわせてくれないと不満です。
特にシューマンの陰鬱な雰囲気が全く感じられない演奏は最悪です。
シューマンはピアノから遠ざかっても、管弦楽曲などで素晴らしい曲を多く書いてくれたのが嬉しいです。

投稿: ハルくん | 2012年9月19日 (水) 23時18分

リヒテルのようにホロヴィッツの凄さが理解できなくてイマイチ嵌らないのですが、ヒストリック・リターンのショパン・バラード第1番とクライスレリアーナだけはホロヴィッツに止めを刺すんですよね。ホロヴィッツのクライスレリアーナはLP時代から聴き続けていて他の演奏は聴く氣が起こらないというかアルゲリッチも2・3度聴いただけで要済みでした。第1曲や第7曲を聴いただけでドイツ・ロマン派の幻想の世界に体がループしてしまいそうです。

投稿: シーバード | 2013年1月23日 (水) 12時32分

シーバードさん、こんにちは。

ホロヴィッツのバラード1番とクライスレリアーナは最高ですからね。

リヒテルとホロヴィッツは間違いなく20世紀を代表するピアニストですね。あとはミケランジェリとバックハウスもです。曲によってはルービンシュタインも加えたいです。
もちろん彼らはレパートリーによって好き嫌いが有りますので、だれが好きとは中々言えませんが、みな真に偉大な演奏家だと思います。

投稿: ハルくん | 2013年1月23日 (水) 22時53分

 ハルくんさん、こんばんは。
 僕はシューマンの作品の中ではピアノ・ソナタや謝肉祭、ウィーンの謝肉祭の道化あたりが好きで、クライスレリアーナはあまり好みではないのですが、ある意味で最もシューマンらしい曲と言えるかもしれませんね。
 ハルくんさんがオススメされているホロヴィッツ盤は僕も持っています。ロマンティックなシューマンとしては最高級だと思います。
 ところで、ホロヴィッツの指伸ばし奏法(勝手に命名)についてです。他の人があの真似などしようものなら汚い音しか出ないばかりか、指に負担がかかりすぎて壊れ、一生ピアノが弾けなくなってしまいます。あの奏法で長年ピアノを弾き続け、しかも圧倒的な演奏をすることができたのはホロヴィッツくらいではないでしょうか(おそらく、筋肉が非常に強かったのでしょう)。その点でも彼は唯一無二の存在だったと思います。

投稿: ぴあの・ぴあの | 2013年7月10日 (水) 23時47分

ぴあの・ぴあのさん、こんにちは。

「クライスレリアーナ」は案外好き嫌いが分れるようですね。
仰る通り、最もシューマンらしい曲だと思いますが、不思議と自分でピアノを弾かない人がこの曲を好む傾向が有るような気がします。自分もその一人ですが。

ホロヴィッツは肉体的に普通では無かったのでしょうか。ピアノの先生はあんな弾き方は教えないでしょうから、どういう過程であのような奏法になったのでしょうね。それを解析した研究家は居るのかな。

投稿: ハルくん | 2013年7月11日 (木) 00時49分

 たびたび失礼します。
 ホロヴィッツは、フランス系ピアニスト(コルトーとか)に特によく見られる指の先ではなく腹に近い辺りで打鍵する奏法を習い、それを下敷きに、独特な奏法を生み出したようです。やはり「速さ」や「正確さ」よりも「音」を重視したためではないでしょうか。とはいえ、彼の場合は「速さ」や「正確さ」もかなりのレベルで達成できてしまったのですが…。まったく、恐ろしい人です(笑)。

投稿: ぴあの・ぴあの | 2013年7月13日 (土) 00時16分

ぴあの・ぴあのさん、こんにちは。

自分はピアノは完全な遊びでしか弾いたことが無いので、奏法についてはわかりません。
実際に聞こえてくる音しか判りませんが、ホロヴィッツとミケランジェリは出てくる音そのものが既に芸術と言う気がしますね。
ホロヴィッツは正に20世紀を代表するピアニストだったのでしょうね。
興味深い知識をどうもありがとうございました。

投稿: ハルくん | 2013年7月13日 (土) 07時04分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: シューマン 「クライスレリアーナ」op.16 名盤 ~クララへ捧ぐ~ :

« シューマン 「幻想曲」ハ長調op.17 名盤 ~幻想と情熱~  | トップページ | シューマン 「交響的練習曲」op.13 名盤 »