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2009年8月 1日 (土)

ドヴォルザーク 「スラヴ舞曲集」作品46&72 名盤

Pos_kati_4 ドヴォルザークの作品の中でも、非常に人気の高い珠玉の名曲集と言って良いでしょう。僕自身も大好きです。この舞曲集は、とても変化に富んで飽きさせませんが、それはこれが「スラヴ舞曲集」だからでしょう。というのも、「スラヴ」とは非常に大きな民族のカテゴリーで、現在のロシア、ウクライナからポーランド、チェコ、スロヴァキア、セルビア、クロアチア、ブルガリアまで含まれます。ですので、単に狭いボヘミア地方の舞曲集では無いのです。とは言っても作品46は大半がボヘミア舞曲ですので、チェコ&スロヴァキアの音楽と考えても悪いことは有りません。それに対して作品72は完全に「スラブ舞曲集」です。元々はブラームスの「ハンガリー舞曲集」に続く「柳の下の二匹目のどじょう」を狙ってピアノ連弾用に書かれましたが、ドヴォルザーク自身が管弦楽に編曲したこともあり素晴らしい作品となりました。第1集と第2集それぞれが8曲づつの合計16曲です。

「スラヴ舞曲第1集 作品46」

第1番「フリアント」は急速なテンポで激しいボヘミア舞曲です。ドヴォルザークは交響曲でも第6番のようにスケルツォ楽章にこのフリアントを取り入れている場合があり、非常に特徴的です。それもそのはず語源は「目立ちたがり屋」なのですね。きっと村の祭りで派手な連中がこの踊りを踊ったのでしょう。

第2番「ドゥムカ」は哀愁漂うスローな曲です。これは実はウクライナの舞曲なのですね。但し中間部は速いモラヴィア舞曲になっています。

第3番「ポルカ」はボヘミアの楽しい曲です。そういえば昔「老人と子供達のポルカ」なんて曲が流行りましたが、あれもポルカなのですかねぇ?

第4番「ソウセツカー」は収穫祭の後の踊りでボヘミアのワルツです。スローで哀愁と喜びの気分が交錯しますが、とても好きな曲です。

第5番「スコチナー」は早いテンポのボヘミア舞曲です。心が躍ります。

第6番「ソウセツカー」もやはり哀愁と喜びの気分が現れている曲で好きです。

第7番「スコチナー」はモラヴィア地方の民謡を題材にしているそうです。スケールも大きく魅力的で、この曲は非常に好きなのです。

第8番「フリアント」やはり第1集の絞めはフリアントです。初曲と終曲にもってくるだけあってやはりボヘミアの代表的な舞曲なのでしょう。チェコのオケのコンサートのアンコールにもよく使われます。

「スラヴ舞曲第2集 作品72」

第1番「オドゼメック」も急速なテンポのボヘミア舞曲ですが、中間部ではテンポをぐっと落として叙情的になり非常に魅力的です。

第2番「ドゥムカ」こそはこの曲集の白眉であり、単独でも広く愛されている名曲中の名曲です。なんという哀愁漂う絶美のメロディなのでしょうか。ヴァイオリン独奏にも編曲されていますが、そういえばこの曲は弾いたことが有りませんでした。そのうちに弾いてみたいです。

第3番「スコチナー」、第4番「ドゥムカ」、第5番「シュパチールカ」、「ポロネーズ」と続きますが、中では第5番シュパチールカが魅力的なボヘミア舞曲であり、途中からチャルダーシュのように盛り上がるのも楽しく、シンフォニックなアレンジがまた最高です。

第7番「コロ」はセルヴィアの大勢で輪になって踊る輪舞曲です。フリアントのように激しく楽しい曲なので大好きです。この曲もアンコールでよく演奏されます。

第8番「ソウセツカー」 第2集の終曲はゆったりとした曲が選ばれました。やはり第1集で大成功したので第2集では気分に余裕が生れたのでしょうね。

ということで僕の愛聴盤のご紹介をします。

Dvo_tah ヴァーツラフ・ターリッヒ指揮チェコ・フィル(1950年録音/スプラフォン盤) 少々古い録音ですが、この演奏は一度は聴くべきです。なぜなら「ターリッヒを聴かずしてチェコの演奏を語ること無かれ」だからです。後輩の指揮者達と比べると随分おらかな印象ですし、テンポも遅めです。けれどもこのゆったりと素朴な音にチェコの演奏の原点を聞く気がします。録音は良好ですが、24bitリマスターの最新盤は高音が固いので好みません。出来れば旧盤をお勧めします。

Cci00007m カレル・シェイナ指揮チェコ・フィル(1959年録音/スプラフォン盤) ターリッヒ、アンチェル時代のチェコ・フィルの副指揮者だったカレル・シェイナは余り知られた存在ではありません。けれども、やはり同国人ならではの血の通った指揮ぶりにはとても安心させられます。アンチェルやノイマンと比べるとずっと素朴で豪快な印象を強く受けるので、この曲集の場合にはそれがむしろプラスに感じられます。

Cci00007 ズデニェック・コシュラー指揮チェコ・フィル(1979年録音/スプラフォン盤) コシュラーの旧録音です。この人は必ずしも晩年の演奏が優れている訳でもないですし、若いころから天才的な表現力を持っているかと思うと、案外平凡な演奏をしたりと実に不思議な指揮者でした。この録音はチェコ・フィルの美音を生かしている点では後述のノイマン盤に引けを取らない名演奏ですが、素晴らしい新盤が有るので存在価値はいま一つです。

Tulqa_354773_l ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1985年録音/スプラフォン盤) 何といってもオーソドックスな名演奏であり、一番安心して聴くことが出来る名盤だと思います。リズムの切れ、楽器バランスの良さ、職人的な上手さには文句が有りません。実はこれは大変なことなのです。チェコ・フィルの美音を忠実に捉えた録音も優れています。ノイマン/チェコ・フィルの来日コンサートのアンコールで聴いた生の音を思い起こさせます。

Cci00008 ズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキア・フィル(1987年録音/ナクソス盤) 前述のチェコ・フィルとのスプラフォン盤の影が薄くなるほどの驚くべき名演奏です。私見ではコシュラーはスロヴァキア・フィルと最も相性が良く、「新世界より」や「我が祖国」に曲のベストを争う名盤を残しています。彼らはお互いに心から信頼し切った、謂わば最高の夫婦関係にあったのでしょう。羨ましい限りです・・・(?)。スロヴァキア・フィルは技術的にも優れていますが音色はローカルの味わいを持ち、決して「宮廷舞踏」では無い、農民達の素朴な踊りを感じさせてくれます。また作品72-2の「ドゥムカ」が最も美しいのもこの演奏です。録音も優秀ですし、これは廉価ナクソスレーベルの中でも飛びぬけて価値の高い名盤ですので絶対のお薦めです。

他ではセル/クリーヴランド管(CBS盤)やクーベリック/バイエルン放送響(グラモフォン盤)も悪くは有りませんが、僕はやはり本場の純血の演奏を好みます。中でもコシュラー/スロヴァキア・フィル盤とノイマン/チェコ・フィル盤の二つには充分過ぎるほど満足しています。

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コメント

ジャケットの女性の写真で選んだ・・わけではないのですね?念のため(笑)

9つの交響曲の第3楽章だけ集めて「スラブ舞曲集第3(余り1)」と称したレコードを作ってもよいのではないでしょうか?(第1の第2は8曲なので、余り1とか・・・)

投稿: かげっち | 2009年8月 2日 (日) 17時52分

かげっちさん、こんばんは。

ジャケットの女性の写真につられて衝動買いすることは無いとは言えません。しかし演奏の評価とは話が全く別です!(たぶん、おそらく、もしや、やはり。。。)(笑)

面白いですよね。ドヴォルザークのスケルツォ楽章はスラヴ舞曲、チャイコフスキーのそれはよくバレエのワルツ。それが上手くハマって魅力的なのですよね。

投稿: ハルくん | 2009年8月 2日 (日) 18時17分

スラブ舞曲には、2拍子と3拍子が錯綜したようなリズムがよく出てきますよね。46-1が典型ですが。それから46-1の4小節目とか、同じくトリオの4小節目には、3拍子の2拍目にアクセントがついています。こういう部分をどんなふうに踊るのか知りたいと思っています。

投稿: かげっち | 2009年8月 3日 (月) 14時15分

かげっちさん、こんばんは。

民族舞曲をモチーフに芸術作品を作ったわけですから、この曲で踊っていたとは限りませんが、非常に興味深々ですよね。若い娘さん達の躍動する姿を想像するだけで胸が高鳴りますね。

投稿: ハルくん | 2009年8月 3日 (月) 22時41分

こんにちは。

拝読した当時、検索して聴いてみたのですが、作品46の第1番が余りにも元気な曲調なので通してこんな感じなのか!?と、聴かず嫌いならず半端聴き嫌いになってしまい...苦笑。

ところが先日、入手するならと決めていたコシュラー/スロヴァキア盤のゴールドCDを。ブックオフの500円棚は侮れまセン。

作品46、72ともに第2番でムムムっと引き込まれ、以降は舞曲といってもドヴォルザークの面目躍如な哀愁に酔えます。

想像を掻き立てられるスロヴァキア・フィルの音色、打楽器陣が合奏全てにおいて乱れずバシっと決めてくれるのも心地良いです。

ジャズオーケストラやクラブでは絶対に踊れない自分でも、こういう曲でなら拒否反応が出ず輪に入って行けそうです笑。

入手したのは先週で、夜聴こうと思っても寒さから今聴くような曲では...と躊躇し苦笑、今週は気温が少し戻ったのでココぞばかり昨夜に聴きました。

投稿: source man | 2017年11月28日 (火) 11時11分

source manさん、こんばんは。

スラヴ舞曲集良いでしょう!
哀愁漂うメロディが素敵です。ブラームスのハンガリア舞曲集と甲乙つけがたいくらいですね。

コシュラーとスロヴァキアフィルがまた素晴らしいでしょう!こういう隠れ名盤を知ると「ウッシッシ」とニンマリしたくなりますね。(笑)

投稿: ハルくん | 2017年11月28日 (火) 23時50分

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久し振りに海賊盤CDに手を出してしまった。 ドヴォルザーク スラブ舞曲 作品46&作品72(全曲) ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1993年3月ドヴォルザークホールでのライブ録音 面白かった!正規盤でないので現在のデジタル録音比べて、やはり落ちるものがあるが聴き苦しさは無かった。 チェコ音楽の総本山のオケが自国以外の指揮者でスラブ舞曲の全曲演奏。この当時、チェコフィルとサヴァリッシュには、よほどの強い信頼関係があったのでしょう。 ドイツの名指揮者サヴァリッシ... [続きを読む]

受信: 2009年8月 1日 (土) 21時17分

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