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2009年7月25日 (土)

ドヴォルザーク 交響曲全集 名盤  ~愛~ 

Naoekabuto ドヴォルザークは交響曲を全部で9曲書いています。さすが後期の第7番、第8番、第9番「新世界より」の3曲は傑作でクラシックファンに広く愛好されています。ところが第6番以前の作品はどうかと言えば、一般的にはほとんど聴かれていないと思います。確かに音楽の充実度において、かなりの差が有るのは事実です。それでも後期の3曲や「チェロ協奏曲」、弦楽四重奏曲「アメリカ」などを好んでいるドヴォルザークのファンであれば、是非とも全曲を聴いて頂きたいと思います。何と言っても、ここには作曲家ドヴォルザークの「音楽愛」「故郷ボヘミアへの愛」が満ち溢れているからです。

ドヴォルザークの交響曲は、最初に第6番から出版されましたので、現在の第6番が以前は「第1番」でした。ちなみに現在の第7番が「第2番」、第6番が「第3番」、第8番が「第4番」、「新世界より」が「第5番」と少々ややこしいのです。古い中古のLP盤にはそのように記載されているものがまだ残っています。

曲の充実度としては、円熟の「7番」「8番」「新世界より」に次いでは「4番」「5番」「6番」が優れています。特に「6番」には録音の種類もそれなりに有りますし、単独で聴いてみてもとても美しく魅力ある曲です。激しい舞曲のフリアントを用いた第3楽章の躍動感にはわくわくします。

「第4番」「第5番」にも「第6番」に準じた魅力を感じます。美しく叙情的ですが、立体的な部分との対比も曲に変化を感じさせます。第6番を楽しめる方なら、間違いなく気に入ることと思います。

しかし「第1番」「第2番」「第3番」になると、さすがに習作の印象が強く、音楽に未成熟さを感じてしまいます。

とはいえ第1番「ズロ二ツェの鐘」には若い時代にしか書けないような青春の瑞々しい息吹がとても感じられて個人的に好んでいます。ズロ二ツェというのはドヴォルザークが若い頃に住んでいた町で、確かに鐘が有ったそうです。たとえ「若書き」の未熟さはあっても、ファンには是非とも聴いて頂きたい作品です。

僕自身、全集盤は滅多に聴くことは有りませんが、1年に1度ぐらいは気が向いて順に聴くことが有ります。そして、何かとても懐かしさを憶えて心が満たされます。ドヴォルザークのファンにはそれで充分なのです。

全集盤は種類も限られていますが、ここで幾つかをご紹介しておきます。

449 ラファエル・クーベリック指揮ベルリン・フィル(1970年代/グラモフォン盤) 僕がまだ学生の時に最初にアナログLP盤で購入した全集です。現在はもちろんCDで出ています。当時は後述のノイマン盤かこのクーベリック盤の選択しかありませんでしたが、当時大好きだったクーベリックの選択で迷いませんでした。確かに初めのうちは気に入っていたのですが、友人の購入したノイマン盤と聴き比べているうちにベルリン・フィルの余りにも立派でぶ厚い響きに段々と違和感を感じるようになりました。「こりゃボヘミアの空気とは違うなぁ」という気がしたのです。やはりボヘミア音楽の演奏には素朴さを残して置いて欲しいと思うのです。もっともドイツ的な重圧さを持つ第7番の演奏だけは例外的に今でも好んでいます。

Cci00051b ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1970年代/スプラフォン盤) ノイマンの一回目の全集です。学生当時に友人の家で何度も耳にしたこの演奏は、スプラフォン録音のあの幾分硬めでかつ素朴さを感じるチェコ・フィルの音を満喫出来ました。その音の印象がCD化されても変わりが無いのは嬉しいです。ノイマンの指揮にも全体的に若々しい覇気が感じられて素晴らしいですし、この演奏はドヴォルザークが愛したボヘミアの自然を大いに連想させてくれます。唯一問題が有るとすれば第8番です。どういうわけだか演奏が少々「がさつ」なのです。この曲以外の演奏が非常に良いのでとても残念です。

Cci00052 ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1980年代/スプラフォン盤) ノイマンの二回目の全集です。DENONのスタッフがプラハに乗り込んでデジタル録音された音は一回目の純スプラフォン録音と随分違いを感じます。けれども、むしろこちらの方がより本物に忠実な音だと思います。というのは実際に生で聴いたノイマン/チェコ・フィルの音は非常にきめ細かく繊細な美音であり、それはこの録音の音に近いと記憶しているからです。演奏も全曲ともまとまりが良く失敗作が有りません。但しその分、旧盤と比べて個性がやや薄く感じられるのも事実です。もしもノイマンの新旧盤のどちらか一つ選ぶとすると大変に難しい選択ですが、個人的には新盤の方を上げるでしょうか。

これ以外に、今後入手したいと思っているのは廃盤ですがズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキア・フィルの70年代のOPUS録音、それと最近のウラジミール・ヴァーレク指揮プラハ放送響の二つです。ヴァーレク盤を既にお聴きになられた方はご感想をお聞かせ下さると嬉しいです。

(補足)
ノイマン盤の選択を、当初の旧盤から新盤へ変更しました。
ヴァーレク盤を購入しました。記事は下記リンクから。

<後日記事>
イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル ドヴォルザーク 交響曲全集
ウラジミール・ヴァーレク指揮プラハ放送響のドヴォルザーク 交響曲全集

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コメント

ハルくんさん、こんにちは。
5番は学生の頃にエアチェックしたカセットがどこかにあるだけ、6番は仲間が演奏したライブで知るだけですが、作曲者らしさは変わるところありませんね。一言でいうと「なつかしい響きのする音楽」です。その秘密は何だろうと考えてみました。
弦では1)各楽器の比較的低い音域で厚みを感じさせる面(特にヴィオラ・チェロ)と、2)1stヴァイオリンが高い音域で踊る部分が私には印象的です。3)ホルンや木管に伸びやかな旋律が頻出するのも好きですが、4)伴奏にまわった管楽器の演出も冴えています。5)頂点では金管が炸裂しカタルシス感もあります。師匠ブラームスの音楽と似ていますが2)3)5)は違いますね。またチャイコフスキーと比べると1)4)が違っているように思います。ともかく故郷に帰りたくなる音楽です。

投稿: かげっち | 2009年7月25日 (土) 13時24分

かげっちさん、いつもコメント有り難うございます。

さすがはかげっちさん、音楽的な分析は見事です。
「故郷に帰りたくなるような懐かしい音楽」、正にそのとおりですね。恐らく「メロディ」と「和音」がキーとなり、そのように感じさせるのではないでしょうか?「爽やかさ」「優しさ」「哀愁」をとことん味合わせてくれる点では古今随一だと思うのですが。

投稿: ハルくん | 2009年7月25日 (土) 20時34分

こんなふうに分析的に聴いてしまうのは悪い癖なのかもしれませんが、どうしても考えてしまうのです。
「なつかしさ」という意味では弦楽セレナーデも大好きですし(木管セレナーデとは大違い!)、ユモレスク(有名なやつ)や「母の教え給いし歌」のような小品も素敵です。彼がアメリカに永住できなかった理由がわかるような気もします。

投稿: かげっち | 2009年7月28日 (火) 12時43分

かげっちさん、こんにちは。

弦楽セレナーデは本当に素晴らしい曲ですよねー。ユーモレスクも小品ですが本当に故郷や昔を思い起こさせる名曲です。それにスラブ舞曲集の作品72の2のホ短調も昔から大好きな曲です。
どの曲も「暗い」というのとは違いますね。やはり「哀愁」「懐かしさ」です。
やっぱり僕はドヴォリスト??ですよ。

投稿: ハルくん | 2009年7月29日 (水) 07時18分

こんにちは。そうそう、Op.72-2をあげるのを忘れていました。今もそうかわかりませんが、学生の頃、スラブ舞曲集のオケ編曲のポケットスコアは入手がとても難しく、東京文化会館の蔵書を閲覧して半分ずつ二回に分けてコピーした記憶があります。その時の野望は72-2の木管五重奏版を編曲したいということでした。

投稿: かげっち | 2009年7月29日 (水) 12時15分

ハルくんさん、saraiです。
ドヴォルザークの交響曲全集って、うなってしまいます。私は基本的に7,8,9番だけで、あとはケルテスで5番を聴いただけ。あとは聴いたことありません。一番好きなのは8番です。これは子供の頃から聴いてました。昔は何故か、ドヴォルザークはワルターで聴いて満足してました。最近はジュリーニばっかし。最後のロイヤル・コンセルトヘボウ盤はさすがにテンポがスロー過ぎますが、フィルハーモニアとシカゴはお好みでシカゴの8番は最高です。あまり、チェコの指揮者は聴いていないので、今後の課題ですね。

ところで、ハルくんさんの膨大なページをざっと読ませていただきました。驚嘆です!私もそれなりのクラシック音楽のファンを50年以上続けていますが、ここまでは聴きこんでいません。特に古い演奏家とローカルな?演奏家はほとんど聴いていない感じですね。まったく、恐れ入りました。ポピュラーな演奏家が意外に話題に取り上げられていませんが(例えば、ジュリーニ、バーンスタイン、カラヤン、アバード、ムーティ、ハイティンク、クライバーなどなど)、これは恣意的にお好みで除外されたのでしょうね。
まあ、ポピュラーな演奏家はここ以外でたくさん取り上げられているので、まったく聴いたことのない盤は大変、今後の参考になります。
ところで、ハルくんさんは一体、どれくらいのCD、アナログディスクを所有されているんですか?管理が大変でしょう。私はCDが1000枚を超えたところで棚に並べるだけの管理が限界に達し、oracleを使って、PHPでプログラミングした自分専用のデータベースを作成しています。これでやっと2重に購入する間違いをおかさなくなりましたし、演奏家や作曲家で自由にCDの検索が行えるようになりました。ハルくんさんはどうしていますか?

あと、リスニング環境はいかがですか。私はQUADの真空管アンプ&CDプレーヤとTANNOYのスピーカを8畳(実質6畳)の防音室で鳴らしています。つまり、オーディオマニアでもありますが、ハルくんさんはいかがですか。
是非、ブログの本文でもご紹介ください。盤友はオーディオも話題のひとつですものね。

では、また。

投稿: sarai | 2009年7月29日 (水) 13時25分

かげっちさん、こんばんは。

「作品72の2」でしたら木管アンサンブルでもイイでしょうねぇ。次回はスラヴ舞曲集のとっておきのCDをご紹介しますので、どうぞ期待してください。

投稿: ハルくん | 2009年7月29日 (水) 21時28分

saraiさん、こんばんは。

ドヴォルザークの交響曲全集は多分に趣味的な音楽ですので、楽しめるかどうかはその人に依ると思います。でも一度はお聴きになられて欲しいと思います。

もちろん僕も昔はポピュラーな演奏家を中心に聴いていましたが、いつの間にか古い演奏家と自国(ローカル)の演奏家が多くなりました。特に僕のいわゆる「本場もの嗜好」はほとんど信仰に近いのです。(笑)

昔はLPが400枚位有りましたが、それはほとんど処分しました。CDは現在1000枚位ですね。但し中古店で買ってまた処分した数がどれ位あるかは全く分かりません。
所有リストは主要な交響曲、協奏曲、オペラが有るだけで後は記憶ですが、今まで重複買いはほとんど有りません。多くの種類を集めているのは好きな曲だけで、1~2種類の演奏しか無い曲もたくさん有りますよ。

僕はオーディオマニアでは全然無くて、昔のヤマハのNS1000Mに普及型のDENONのプリメインアンプとSONYのCDプレーヤーが有るだけです。余裕が有ればsaraiさんクラスのシステムが欲しいとは思っていますが。

それではまた。


投稿: ハルくん | 2009年7月29日 (水) 21時50分

驚きました。私もスピーカーはヤマハのNS1000Mを今だに愛用しています。アンプとCDプレーヤーはDENONの、ごく普通のものを使用しています。
スピーカーは大昔、ワーグナーのオペラを聴く為に低音に底力があるものと思いNS1000Mを選びました。
現在、スピーカーを買い換える余裕もない(買い換える理由もない)のでおそらく死ぬまで今のままでしょう。

投稿: オペラファン | 2009年7月30日 (木) 16時10分

オペラファンさん、こんばんは。

本当ですね、お互いNS1000M仲間同士でしたか!
30年使ってもいまだにデジタルソースをパリッと鳴らす実力には感心しますね。アンプとCDプレーヤーはグレードアップしたいと思うのですが、スピーカーはまだ使えそうです。

投稿: ハルくん | 2009年7月30日 (木) 22時06分

こないだから聞いてるんですが、スイトナー/ドレスデンのいいですよ。89はこの指揮者が時々見せる激しいところも出てましてね。セルほど精緻じゃないんですが、ぐっと前のめりで、歌もいっぱいあって。録音も6以降ですがシャルプラテンらしくすごく立派。

投稿: gkrsnama | 2013年1月20日 (日) 18時29分

gkrsnamaさん、初めまして。
コメントを頂きましてありがとうございます。

国民楽派の曲については、自国演奏家へのこだわりが人一倍強いために、たとえスイトナーのように好きな指揮者でもドヴォルザークは聴いたことが有りません。でも素晴らしいと言う話は以前からお聞きしています。
機会あれば是非聴いてみたいですね。
どうも有難うございました。

また何でもお気軽にコメント下さい。
楽しみにお待ちしております。

投稿: ハルくん | 2013年1月21日 (月) 18時58分

こんにちは、まつやすです。
ドボルザークにはまってしまいました。交響曲第5番のブログ記載リクエストをお願いします。最近1番から5番までをよく聴いています。今は特に2番が最ものお気に入りなのですが、今回お願いしたいのは第5番。わたし今日はこの曲でお願いしたいのです。少し前にムーティがバイエルン放送交響楽団を指揮したビデオを見てことごとく気に入ってしまいましたが、昨日コシュラーのチェコナショナル響のライブ録音を聴いて益々気に入ってしまいました。こういうのを牧歌的というのでしょうか。チェコの優秀な音楽家を集めたこのオケを初めて聴きましたがなかなか良い音をだしていますし、音楽づくりが丁寧です。てなわけで是非とも第5番のブログ記載をお願いします。それからペシェクにもはまってしまいました。まずはヴァージンから出ているチェコ組曲とアメリカ組曲 チェコフィルとリバプールフィルということでどんなものかと思いましたがこの二つの組曲はぜひとも聴いてもらいたいと思います。ドボルザーク好きには答えられないほどのいい曲ですので。
少々長くなりました、ではこのへんで。

投稿: まつやす | 2014年4月13日 (日) 11時34分

まつやすさん、こんにちは。

ドヴォルザークいいですよね。
初夏も近いですし、聴くのに良い季節ですね。

6番以前の交響曲も好きですが、2番はそれほど聴かないですね。5番は名曲だと思います。
ただ、ノイマンの2種以外には、そのコシュラー/チェコ響ぐらいしか有りませんので記事にできるかどうか・・・。ちょっと考えてみます。

チェコ組曲はいいですね。確かノイマンの名盤が家に有ったと思うので記事にしてみたいですね。

投稿: ハルくん | 2014年4月15日 (火) 14時23分

昔ラジオでビェロフラーベクの第6番を聞き曲の解り易さに感動し石丸電気の外盤コーナーでノイマンの旧全集の分売を購入しました。家に帰ってターンテーブルに乗っけて針を落とし、ワーグナー張りの管で始まる曲に思わず苦笑い…間違えて第5を購入したのです。でもすごく良い曲でした。後年のだめカンタービレ(アニメ版)でこの曲が流れ思わず苦笑い…後年の789番よりも中期の456のほうがドボルザークらしさが出ているような気がするのは僕だけでしょうか?4番はラジオでジェームズコンロンの演奏で聞きすっかりはまりました。

投稿: k | 2014年9月26日 (金) 18時58分

Kさん

7、8、9番が4、5、6番よりもドヴォルザークらしいとは思いませんが、円熟する前の一種の初々しさは魅力ですね。ドヴォルザークファンにとっては、やはりたまらないですね。

投稿: ハルくん | 2014年9月26日 (金) 22時10分

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