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2009年7月11日 (土)

ドヴォルザーク 交響曲第9番ホ短調「新世界より」op.95 名盤

Dvorak2

スメタナがチェコ国民楽派の開祖なら、ドヴォルザークはそれを集大成した偉大な音楽家です。昔から僕はこの人の作品が大好きなのですが、特に「新世界より」は自分が一番最初にハマったクラシック音楽なので大変に想い出の深い曲です。
第1楽章の序奏が静かに始まり、徐々に高揚して主部に移るまでの展開にはドキドキしますし、中間部での落ち着きから再び終結部に向って追い込みをかけてゆく緊張感は本当に素晴らしいです。
第2楽章の主題には歌詞が付けられて「家路」として有名ですが、望郷の念が一杯に溢れる旋律が胸に染み入ります。特に中間部の寂寥感溢れる部分は言葉にならないほどです。「お兄さん、失恋した後にはね、これは涙無しにゃ聞けないよ。あんたわかるかい?」(フーテンの寅さん風)
第3楽章のスラブ舞曲風のスケルツォも楽しいですが、第4楽章の勇壮な主題は最高です。これぞオーケストラを聞く醍醐味だと言えるでしょう。後半の展開は少々単調になりますが、これはご愛嬌ということころでしょう。

何度も書いていることなのですが、僕はこの手の国民楽派の曲は、同じ国の演奏家以外にはどうも興味が湧いてこないのです。かつてはバーンスタインや、カラヤン、セルやケルテスといった指揮者の演奏も聴きましたし、一般的にはケルテス盤などは非常に良い演奏だと思います。ですが最近は、本当にボヘミア人がボヘミアの楽団を指揮した演奏ばかりを好んで聴いています。それによって失うものも有るかもしれませんが、逆にそれにより新たに見えてくるものが有ると思っています。ということを前置きしたうえで「新世界より」の愛聴盤をご紹介してゆきます。

Cci00050 ヴァーツラフ・ターリッヒ指揮チェコ・フィル(1949年録音/スプラフォン盤) チェコ・フィルを世界的な名楽団に育て上げたターリッヒの代表盤と言える名盤です。この時代にしては極上の音質なのも価値を失わない理由でしょう。現代の多くの演奏がいわば機械造りの陶器だとすれば、これは名人の手による逸品という趣で、造形の崩れは有りませんが手造りならではの味わいに満ちています。多くのチェコの後輩指揮者達が影響を受けた、その原点となる演奏だと言えます。

Cci00050b ヴァーツラフ・ターリッヒ指揮チェコ・フィル(1954年録音/スプラフォン盤) 何故か前述の’49年盤が何度も再発売されてきた影に隠れてしまった新録音盤なのです。音質は更に優れていますが、管楽器や打楽器が前に出て聞こえるのはむしろ’49年盤です。なので一聴すると’49年盤のほうが迫力が有るように感じられます。けれども音楽の深さと言う点では’54年盤のほうが更に数段優れています。現在はターリッヒ・エディションという海外盤のみしか出ていませんが、これは24Bitのマスタリングが高音強調で音質的に感心できません。中古店で根気よく旧盤を探されることをお薦めします。

Dovorak41v70vchl ラファエル・クーベリック指揮ウイーン・フィル(1956年録音/DECCA盤) クーベリックの最初のステレオ録音ですが、いかに英デッカといえども音に古さは感じます。しかし弦と木管をメインにした録り方は当時のウイーン・フィルの音の素朴さを味わうのには向いているのかもしれません。ボヘミア的では無く、あくまでウイーン的ですが、素朴で田舎っぽい音がむしろ懐かしい郷愁を感じさせます。個人的には少なくともグラモフォンに録音したベルリン・フィルとのものよりは好みます。

Dv-51tw2lcmcil_2 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管(1959年録音/SONY盤) 冒頭をサラッと流し、主部を速いテンポで颯爽と飛ばします。各パートが緻密で正確無比、最高の切れ味で聴き手を圧倒します。全く何というオーケストラでしょう。けれど演奏に血が通っていないことは無く、熱い血潮が流れています。2楽章もテンポは速めでも情感豊かで哀愁が迸ります。セルはハンガリー人ですが、母親がスロヴァキア生まれなので影響が有るのかもしれません。3楽章の切れ味は最高、4楽章は更に高揚感が増してゆきます。イン・テンポでも、ここぞというところでテンポを落すのが効果的です。(更に詳細は下記<「新世界より 再聴盤」>を参照)

Dovorak61e5ppftwvl フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン・フィル(1959年録音/グラモフォン盤) テンポの伸縮の幅が大きく、遅い部分では驚くほどゆっくりと歌わせます。一転フォルテではベルリン・フィルの金管が咆哮して圧倒します。ドラマティックな演奏の最たるものですが、それが外面的なこけおどしに陥らないところにこの人の良さが有ります。しかしこの濃厚なロマンティシズムはドヴォルザークの音楽との間にはやや隙間を感じてしまいます。ですので凄い演奏には違い無いのですが手放しで気にっているという訳ではありません。

Dvorak-51ei6y5ngl_ac_ コンスタンティン・シルヴェストリ指揮フランス国立放送管(1959年録音/EMI盤) ルーマニア出身のシルヴェストリは1956年にパリに移り、仏EMIと契約をして数多くの録音を残しますが、55歳で他界した為に次第に忘れられてゆき、EMIの販売戦略からも外れて行きます。「新世界より」は二度録音をしていて、1回目の1957年録音は仏ADFディスク大賞を受賞しましたが、モノラルであった為に2年後にステレオで再録音します。これはシルヴェストリの代表盤となり、1、4楽章では大きな表情づけや劇的な追い込みが凄まじく、2楽章も極めて味わい深いです。金管の響きがかなり明るく、初めは違和感も感じますが、そのうちに不思議と許せるようになります。特筆大書すべき演奏です。

Cci00051 カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル(1961年録音/スプラフォン盤) これはステレオ時代の古典的名盤です。アンチェルは名指揮者であるにもかかわらず、歴史の荒波に押し流された人生を過ごしました。しかしこの「新世界より」の録音は正にこの曲のリファレンスといえる名盤です。この演奏を聴かずしてこの曲は絶対に語れません。全盛期のチェコ・フィルの音が聴けるという点で非常に価値が高いですが、実はCDによって随分音質が異なります。正直一番良いと感じるのはやはりアナログ盤です。以前記事にしたことが有りました。CDで選ぶとすればやはり最新リマスターのXrcd盤ということになるのでしょうが、価格が高いのがちょっと難です。案外アナログの柔らかい音に近くて良いのは旧リマスターで、日本コロムビアの国内盤、スプラフォンの海外盤のどちらもお薦めできます。最も気に入らないのは現在のDENONの24Bit盤です。高音が非常に強調されていてチェコ・フィルでは無くまるでアメリカのオケのように聞こえるからです。

D9c67c4a4785d17698e9935639e45552 カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル(1958年録音/aura盤) 一応は、アンチェル/チェコ・フィルのライブ録音にも触れておきますと、自分の知る限り2種類有ります。ひとつは1963年ザルツブルクのライブ(オルフェオ盤)です。演奏そのものはスタジオ盤以上に素晴らしいのですが、モノラル録音で音がパリッとしないのでどうもチェコ・フィルの音に聞こえません。ですので一般的にはお薦めしたいのは写真の1958年スイスのアスコーナでのライブ盤です。非常に激しい演奏で、実演でのアンチェルの本領発揮です。金管や打楽器の強奏、強打ではバランスが崩れかかっていますが、その迫力に圧倒されます。スイス=イタリア放送によるモノラル録音ですが、年代を考えると非常に明瞭で優れた音質です。

Dv-orak_59377 イシュトヴァン・ケルテス指揮ウイーン・フィル(1961年録音/DECCA盤) かつて、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍をしていたケルテスの代表盤のひとつで、現在でも人気の高い演奏です。テンポの大きな変化、ダイナミクスの巾の大きさは計算され尽くした演奏である印象を受けます。チェコ出身の指揮者はここまで自在な指揮はまずしませんが、好みは別として”天晴れ”です。当時のウイーン・フィルの音色は都会的でなく田舎臭さを大いに残しているのは魅力です。弦の音も美しいシルクの印象を与えます。デッカの録音は古めかしさを感じないばかりか、アナログ的な柔らかさを心地良く与えます。(更に詳細は下記<「新世界より 再聴盤」>を参照)

Dv-orak_mi0001008202_2 レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル(1962年録音/CBS盤) 昔アナログ盤で愛聴した演奏でしたが、テンポが遅い部分と速い部分の差が非常に大きいので、現在聴くとそのアクセルとブレーキの切り替えの多さに車酔いを起こしそうです。たたみ掛ける迫力は凄いですし、ダイナミクスの変化も大きいので、正に山あり谷ありのバーンスタイン・ワールドというところです。マーラーならともかく、ドヴォルザークではもう少しシンプルな進行が望ましい気はします。ニューヨーク・フィルも、ここでは幾らか雑な仕上がりに聞こえる部分も有ります。(更に詳細は下記<「新世界より 再聴盤」>を参照)

Dv-orak_mi0000980904 ヴァーツラフ・スメターチェク指揮プラハ放送響(1966年録音/PRAGA盤) 故宇野功芳先生の一押しの推薦盤でした。スメターチェクは元々ストレートで思い切りの良い直情的な演奏をしますが、そこに熱い血潮が感じられるのが宇野先生の好みであったようです。この演奏はプラハでのライヴなのでその傾向は明確です。洗練されていないオーケストラを熱くドライブさせて楽しませます。しかしオケの響きが薄く、その割にティンパニを強打させるので、バランスが良いとは言えません。これを果たして「迫力」に感じるか、「貧弱」に感じるかは微妙ですが、それでもこの演奏には捨てがたい魅力を感じます。(更に詳細は下記<「新世界より 再聴盤」>を参照)

Image_20210215084901 ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1971年録音/PRAGA盤) ノイマンはチェコフィルとこの曲に複数の録音を残しています。いずれもこの人らしい手堅く素晴らしい演奏ですが、この1971年のプラハでのニューイヤーライブは驚くほどの気合が入り熱気が前面に出ています。にもかかわらず、引き締まった造形を保っています。リズムは切れ良く、情感をこめて歌い正に理想的です。録音も優れ、この時代のライブ録音としては最上です。ノイマンのこの曲のベストというよりも、あらゆる「新世界より」の中でもナンバーワンかもしれません。(更に詳細は下記<新世界より 隠れ名盤>を参照)

Dvo583x5111639731564qno4ye97595 ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1972年録音/スプラフォン盤) ノイマンは70年代と80年代にドヴォルザークの交響曲全集を二度録音しました。これは最初の全集盤からの分売です。当時はノイマンは前任のターリッヒ、アンチェルと比べると個性に乏しく演奏も生ぬるいように感じましたが、イメージを一新させたのは東京で聴いた実演でした。その時は8番を聴いたのですが、非常に瑞々しく美しい音による素晴らしい演奏でした。この9番もアナログ録音らしく柔らかく良い音を味わえます。欠点はティンパニーの音がこもっていることですが、全体としては非常に素晴らしい出来です。

P1010072ズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキア・フィル(1973年録音/ビクター盤) コシュラーは都響に度々客演しましたので日本にとって馴染み深いですが、この人は実に素晴らしい指揮者でした。この演奏を初めて耳にしたアナログ盤を当時はアンチェルやノイマン盤以上に気に入っていましたが、それを手放してからは長い間聴いていませんでした。ところが最近、CDを入手して改めて聴いてみると、余りの素晴らしさにかつての感動が甦りました。テンポの微妙な加減が絶妙です。第2楽章のどこまでも沈み込んでいくような情緒の深さも底知れません。それに、スロヴァキア・フィルはチェコ・フィルとは違って完全にローカル・カラーの素朴な音色であるのが何とも魅力的です。但し注意点として、原盤元の海外オーパス・レーベル盤は第3楽章の冒頭の音が欠落しています。従って国内のビクター盤で入手するべきです。

Cci00054b ズデニェック・コシュラー指揮チェコ・フィル(1979年録音/Panton盤) コシュラーが最も魅力的な演奏をするのはどうもスロヴァキア・フィルとのコンビのように思います。チェコ・フィルとのライブともあれば大いに期待したいところでしたが、どうも今ひとつ自分の表現をし尽していないのです。名門オケへの遠慮があったのかどうかは判りませんが、ともかくスロヴァキア・フィル盤のような個性と深みが出ていません。むろん悪い演奏とは思いませんが別の指揮者が振ったのと余り変わらない気がします。

41dhcdxdhzl_ac_ キリル・コンドラシン指揮ウィーン・フィル(1979年録音/DECCA盤) コンドラシンは一昔前のロシア人指揮者の中では西洋音楽を最も正統的に演奏できる人だと思っています。この「新世界より」も、ことさらに大上段に構えるわけでは無く、極めて自然体で曲の美しさをじっくりと味合わせてくれます。同じこのオケを指揮したケルテス盤の表現意欲旺盛過ぎの演奏よりも個人的にはむしろ好ましいです。3楽章のみリズムが幾らか重めに感じますが、それも充実した終楽章に入ると忘れてしまいます。DECCAの録音がウィーン・フィルの美音を忠実に捉えているのも嬉しいです。

Cci00055b ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送響(1980年録音/オルフェオ盤) クーベリックはもちろんチェコ出身ですし、チェコ・フィルとの歴史的な録音も残されています。またベルリン・フィルとの演奏も有名ですが、カラヤン全盛時代のオケが派手な音で鳴り響き過ぎていて全然良いと思いません。その点、長き手兵であったバイエルン放送響との演奏は非常に充実していますが、決して過剰なところが有りません。チェコ指揮者+チェコ楽団の純血の組み合わせ以外では一番好ましい演奏です。

51iqvpughll ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1981年録音/スプラフォン盤) ノイマン2度目のデジタル録音盤です。72年盤と比べた場合、バランスの良さと造形感では優れますが、演奏の覇気はやや劣る印象です。どちらもオーソドックスな名演なのでなかなか優劣は付け難く、結局は聴き手の好み次第だと思います。実際に僕も以前は新盤が良いと思っていましたが、今回聴き直すとオケの音色の点で旧盤のほうにより惹かれました。

Dovorak61dm3ktcj2l ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウイーン・フィル(1985年録音/グラモフォン盤) カラヤンのベルリン・フィルとの録音は重たるいリズム感と威圧的な音が全く好みに合いませんでしたが、その点このウイーン・フィルとの晩年の録音は、ウイーン的な美感を生かした音に抵抗感が有りませんし、全体的にゆったりとした構えが切れの良さは損なっているものの、逆に場面場面での情緒的な味わいを生んでいてとても楽しめます。非ボヘミア系の演奏の中では注目しておきたい一品と言えます。

Cci00053b オンドレイ・レナルト指揮ブラティスラヴァ放送響(1987年録音/Amadis盤) レナルトもかつての新星日響に客演していたので日本では馴染みが有るかと思います。でも大変地味な存在ですね。このCDは海外盤ですが日本で何枚販売されたのでしょう。相当少ないでしょうね。ところがこの演奏は実に素晴らしいのです。派手さとは無縁の地味な指揮者の滋味溢れる演奏ですが、終楽章は充分な迫力も見せます。録音も良いですし、オケの響きがスロヴァキアフィル以上に田舎臭いのがとても魅力です。(更に詳細は下記<続・隠れ名盤>を参照)

Cci00053 イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル(1989年録音/スプラフォン盤) ビエロフラーヴェクは僕がまだ大学生の頃に日フィルに客演した生演奏を聴いた記憶があります。ところがどんな演奏だったかを全然憶えていません。なので、さほど興味の有る指揮者では無かったのですが、この「新世界」の演奏は中々に良いのです。極めてオーソドックスで安定感が有ります。特別な天才の閃きこそ感じませんが、常にゆとりが有るので安心してこの名曲を味わうことが出来ます。ある意味でノイマン以上にリファレンス的かもしれません。録音も優秀です。

Dvorak-p2_g5920386w ラファエル・クーベリック指揮チェコ・フィル(1991年録音/DENON盤) クーベリックが西側へ亡命後、40年ぶりに祖国に帰還して指揮した「我が祖国」は歴史的な演奏でした。そしてその翌年に再びプラハで指揮をした演奏会のライブです。1楽章では主部に入ってからの速めのテンポが前のめりでやや不安定ですし、統率力の緩さが感じられる部分も見られます。しかしライブならではの感興の高さは充分に感じられてやはり心惹かれます。2楽章は更に深い情感が胸に響きます。3、4楽章でも統率力不足は見られるものの、一度引退をしていたマエストロの貴重な演奏なので批判するだけ野暮でしょう。

Dvorak-20180728_2447977 小澤征爾指揮ウィーン・フィル(1991年録音/フィリップス盤) ウィーンのムジークフェラインにおけるライブですが、小澤さんとウイーン・フィルの録音は少ないので貴重です。ウィーンは東欧に近く、ボヘミア風では無いとしても、都会的でない音色がこの曲には好ましいです。1楽章は緩急とディナーミクの巾が広く、中々に聴き応えが有ります。2楽章は遠くから聴こえてくる主題には寂しさというよりも懐かしさを覚えます。3、4楽章は流石にライブらしい高揚感と迫力が有ります。

Cci00055 ズデニェック・コシュラー指揮チェコ・ナショナル響(1994年録音/ビクター盤) コシュラーが初代音楽監督になった新生オーケストラとの演奏です。コシュラーは若い時から天才的な演奏をしたかと思うと、個性の無い演奏をしたりと出来不出来の多い指揮者だというのが僕のイメージです。この円熟期の演奏も決して悪くは無いのですが、オケがまだ熟成したわけでもなく、かといってローカル色が強いわけでもなく、少々魅力の乏しさを感じてしまいます。やはり僕としてはスロヴァキア・フィルと再録音を行って欲しかったというのが正直なところです。 

Cci00052b ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1995年録音/CANYON盤) ノイマンはこの僅か2年前の93年にもライブ録音を残していますが、個人的には最後の95年録音を好んでいます。最晩年のかなり枯れた演奏なのですが、力みの一切無いところが逆に何とも言えない風情を醸し出しています。まさか「新世界より」でこんな”白鳥の歌”のような演奏が実現可能だとは思いもしませんでした。但し一般的に、特に若い世代のファンに受け入れられるかはちょっと分かりません。キャニオンの録音は臨場感が極上です。

Mackerras_dvorak_0 サー・チャールズ・マッケラス指揮プラハ響(2005年録音/スプラフォン盤) マッケラスは、オーストラリア人ながら、チェコの音楽に造詣が深く、チェコ・フィルの首席客演指揮者の時期も有ります。そのマッケラスが亡くなる5年前のドヴォルザークの第8番、9番のライブ盤です。解釈はオーソドックスで、まるでチェコ人が指揮しているような安心感を感じます。演奏の高揚感は充分に有りますが、過剰な金管の強奏やハッタリの要素はどこにも有りません。プラハ響の音には人間的な肌触りや素朴さを感じます。弦楽も木管も美しさを持ち、金管も濁らずにふっくらと広がる響きが素晴らしいです。録音は会場の臨場感を感じさせる優れたものです。(更に詳細は下記<「8番&新世界より」マッケラスのライブ盤>を参照)

Dvorak-4526977004194 小林研一郎指揮チェコ・フィル(2008年録音/オクタヴィア盤) コバケンは「新世界より」をチェコ・フィルとプラハでセッション録音しましたが、これはその直後のチェコ・フィル定期演奏会のライブです。どこにも奇をてらった表現は無く、チェコ伝統のドヴォルザーク解釈なのが好ましいです。しかしそこにはコバケンのライブならではの劇的さが加わっています。1楽章のフィナーレや終楽章では特に熱量が増していて圧倒されます。コバケンの唸り声もご愛敬です。また2楽章ではチェコ・フィルに自然に委ねていますが、非常に美しく、深い情感が滲み出ています。日本スタッフによる録音は極上の仕上がりで、チェコ・フィルの美しい音色を心ゆくまで味わえます。

Dvorak_51xj1q9ogblイルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル(2013年録音/DECCA盤) ビエロフラーヴェクのチェコ・フィルとの新録音の全集から分売されました。非常に録音が良く、柔らかく広がる音が心地が良いです。中低域に厚みがあるので重心が低く安定感が有ります。金管が弦楽器と良くブレンドされているので、響きが美しい反面、人によっては迫力不足に感じられるかもしれません。ビエロフラーべクはアゴーギクを微妙に加えて曲想の変化を感じさせることに成功しています。と言ってドラマティックでわざとらしい変化は少しも見せません。あくまでも自然な範囲です。

以上、「新世界より」の愛聴盤でしたが、その中でも特に気に入っているのは、ターリッヒ/チェコ・フィルの1954年盤、アンチェル/チェコ・フィルの1961年盤、ノイマンの1971年ライブ盤、コシュラー/スロヴァキア・フィルの1973年盤、コバケン/チェコ・フィル盤、ビエロフラーヴェク/チェコ・フィルの2013年盤などで、次点として残したいのはレナルト/ブラティスラヴァ放送響盤です。非チェコ系ではシルヴェストリ盤が断トツです。

<補足>コシュラー/スロヴァキア・フィル盤の記事を海外盤から国内盤に書き替えました。
クーベリック/ウイーン・フィル盤およびチェコ・フィル盤、フリッチャイ/ベルリン・フィル盤、シルヴェストリ/フランス放送盤、コンドラシン/ウィーン・フィル盤、小澤/ウイーン・フィル盤、コバケン/チェコ・フィル盤、ビエロフラーヴェク/チェコ・フィルの2013年盤を新たに追記しました。

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ドヴォルザーク(交響曲)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。この曲は私にとっても、最初に聴き込んだ交響曲です。いい曲ですよね。まあ7,8番も好きですけど。
ハルくんさんと同様、私も「作曲者と同じ国の演奏家を推す」という基本方針なのですが、この曲に限っては最初の愛聴盤だったバーンスタイン*ニューヨークフィル(1962年?)の印象が強烈で、今でも一推しなのです(上記クーベリックが二番手)。1楽章のAdagioからAllegroへ突進する迫力、寂寥感あふれる2楽章中間部、勇壮な4楽章主題、個々のプレーヤーの水準、どこを聴いても満足がゆきます。
ドイツ系の木管の響きが好きな自分としては、チェコのオケの木管はフランス的な響きなのでソロが出てくるたびにずっこけてしまう、というのが真相です。

投稿: かげっち | 2009年7月12日 (日) 18時42分

かげっちさん、こんばんは。

いま都議会投票から帰ってきました。って関係無いですね。(苦笑)

バーンスタイン盤は最初に買ったLP盤でした。手放して以来聴いていませんが、CBS時代の録音は時を経てCD化されて聴くと思わぬ発見が有ったりします。

僕にはチェコの木管はあくまでボヘミア調にしか聞こえないのですが。。。逆にドイツの楽団の演奏するチェコ音楽は音が重たくて頂けません。シベリウスと違って好みが割れましたね。

投稿: ハルくん | 2009年7月12日 (日) 19時48分

なるほど。個人的に違和感が大きいのはクラリネットで(自分が吹くから気になるのは仕方ない)フランス的にヴィブラートをかけまくるのがチェコフィルの特徴なので、時にソプラノサックスのように聞こえます。好きになれません。でも弦楽器に限ればチェコの楽団は極上だと思いますよ。3楽章みたいに超ボヘミア的な部分も、よその奏者には真似できない演奏になって当然ですし。

投稿: かげっち | 2009年7月13日 (月) 12時29分

かげっちさん、こんにちは。

管のビブラートと言えばホルンやトランペットのそれも派手ですね。「チェコフィルの入団テストにはどれぐらいビブラートがかけられるかを試される」とかいう冗談が有りました。まんざら冗談とも思えません。(笑)
演奏のネイティヴ志向が非常に強い僕の場合は、ドイツ音楽はドイツの楽団で、チェコ音楽はチェコの楽団で、北欧音楽は北欧の楽団で聴くのが好きなだけなのです。いたって単純なのです。だって讃岐うどんはやっぱり香川県のものが一番ですし、長崎ちゃんぽんは長崎ですよ。音楽の味わいと食の味わいは同じだと思うのですよね。

投稿: ハルくん | 2009年7月14日 (火) 08時53分

そんなオーディションが(笑)なぜチェコフィルの管楽器にそういう伝統があるのか知りたいものです。
チェコフィルに比べプラティスラヴァのほうが、木管は好きですね。あ、仕事でプラティスラヴァから来た女性に会ったことがあるのを思い出しました(そればっか)音楽祭があるからよく知ってる、行ってみたい街だと言ったら、日本では京都のような古都だとおっしゃっていました。
ところで4楽章に一発しか出てこないシンバルをモティーフにしたTVドラマはご覧になったことがありますか?

投稿: かげっち | 2009年7月14日 (火) 12時39分

かげっちさん、こんばんは。

プラティスラヴァから来た女性ですと!?
で齢の頃は?美人でしたか?(こればっか)

シンバルをモティーフにしたTVドラマって何か有りましたね。僕は観ませんでしたけど面白かったですか?

投稿: ハルくん | 2009年7月14日 (火) 22時18分

20代末くらいの美しい方でしたよ。公共の場の会話だったので突っ込んだ話はできませんでしたが。

ドラマはHBCという北海道の放送局の制作で、ディレクターは私の高校オケの先輩です。かつて一応は打楽器奏者でプロオケに在籍してたが、現在は上手い団員が続々入ったので引退し田舎暮らしをしていた男性に、ある日この一発のシンバルだけのためにエキストラの依頼がある、という話です。久しぶりのプロのステージ、田舎の村人もみんな「あの男がクラシック?」と半信半疑ながら、みな札幌の会場に詰めかけます。彼は緊張の余り一発を鳴らしそこねるのですが、村人はそれにも気づかず「クラシックもいいもんだなあ」と喜ぶ、という物語。

投稿: かげっち | 2009年7月15日 (水) 12時38分

主演のフランキー堺が、いい味出していました。村人の関心が、彼が何を鳴らすかということから、これはどういう音楽かということに移ってゆくのがよかったですね。私の故郷の街の懐かしいホール、楽団員の役にも私の知人が出ていました。
実際には3楽章のトライアングルと持ち替えになるので、シンバル一発だけの奏者ということはあり得ないのですけどね。
チューバは2楽章の冒頭にしか出てこないし、実は不思議の多い曲です。

投稿: かげっち | 2009年7月15日 (水) 12時41分

かげっちさん、こんばんは。

TVドラマのご紹介を詳しく有り難うございました。ふる里の製作でお知り合いが出演しているとあってはこれは楽しいですね。
内容自体もなかなか面白そうですので、再放送が有れば今度は是非とも見たいですが、実現するかどうかはちょっと分かりませんね。

投稿: ハルくん | 2009年7月15日 (水) 20時18分

再放送はどうかわかりませんが、DVD出ているようです。倉本聡ですからね。
http://www.tvdrama-db.com/qzcms-drama/drama_info/p/id-14643

ハルくんさんにとって、この曲の季節感はいかがですか?私はお盆の頃に北海道で奏いた記憶のせいか、夜のとばりと肌寒さを連想します。北国の早い秋という感じです。

投稿: かげっち | 2009年7月15日 (水) 22時10分

かげっちさん、こんばんわ。

DVDのご紹介有り難うございます。機会有れば是非。

「新世界より」の季節感というと初夏から秋にかけてというところでしょうか。時間帯は夕暮れから晩頃ですね。やはり「家路」のイメージは影響有りますよ。「夕焼け小焼け」の歌にも通じます。

投稿: ハルくん | 2009年7月17日 (金) 00時01分

こんにちは。
貴blogによりコシュラー化された耳なので笑、スロヴァキアとの「新世界」をずーっと探していて、恐らくビクターが80年代後半に発売した音楽全集に入っていたモノがバラ売りされていて¥350でした。3楽章の冒頭は切れてませんし、opusやⓅ1986の刻印。

VPOで聞かれる上手さや伸びは感じませんが、こういった素朴な音(←荒さ!?笑)にハマってしまうと、他では満足できなくなり...。

投稿: source man | 2014年2月22日 (土) 10時07分

source manさん、こんにちは。

チェコ・フィルの演奏するお国もののドヴォルザークやスメタナというのは本当にかけがえのないものなのですが、洗練されたチェコ・フィルに対して、もっとローカル色豊かなスロヴァキア・フィルの音は同じようにかけがえがありませんね。ブラティスラヴァ放送響の音もそれに匹敵します。
こういう音を知ってしまうと、ドイツやアメリカのオケの音ではどうしても違和感を感じてしまいます。郷土料理の味わいのようなものですね。食も音も文化なのだと思います。

投稿: ハルくん | 2014年2月22日 (土) 14時50分

やはり東側の演奏が並びましたね。確かにチェコフィルの演奏を聴いてしまうとBPOやVPOの演奏だと洗練されすぎている様にも思えてしまいますね。
ただ、私は西側の演奏も好きなので、王道とは違うと思いながらもフリッチャイBPOやジュリーニシカゴも愛聴しています。
1番はアンチェルですが。

投稿: ボナンザ | 2014年4月 7日 (月) 00時52分

ボナンザさん

はい、「やはり」でした。スミマセン。(笑)

もちろんフリッチャイ/BPOは良い演奏で好きですけど、例えてみれば、ハンガリー人のシェフが出したドイツのレストランでチェコ料理を食べるような、そんな印象を受けてしまいます。チェコ料理はチェコのレストランで食べたいというのが自分の好みなのです。
でも、ケルテス/VPOなんかも好きですよ。

投稿: ハルくん | 2014年4月 7日 (月) 06時44分

こんにちは。
アンチェル/チェコ'61年を。85年発売28C37-1をワンコインで。

旧盤の音質が世評も高いので先に聴いてみたくて、XRCDは未だ棚にステイ笑。

冒頭、弦楽器から「ムムっ」。重心が低く厚みの在る音色。驚きました。おまけの「モルダウ」も最高。

一方で管楽器がブワっと鳴るのが引っ掛かります。音を上手く拾えてないのか、XRCDでは改善されてるのか...。

でも改めてチェコフィルの底力を感じました。

投稿: source man | 2015年3月27日 (金) 11時41分

source manさん、こんにちは。

アンチェル/チェコPO盤は1961年録音にしては音質、バランス共に非常に優れていますが、流石に限界はありますね。
当然再生装置による違いも有りますが、オーディオ的に聴くのはやめて、全体の味わいを感じ取るのが良いと思います。でも旧盤とXrcdの比較は楽しいです。

最近はさらにローカル色濃厚のスロヴァキアの団体の演奏を好みますが、チェコPOの魅力はやはり捨てがたいものです。

投稿: ハルくん | 2015年3月27日 (金) 12時40分

再びこんにちは。

>オーディオ的に聴くのはやめて

ギクっ笑←
懐深く聴かないと、ですね。

>最近はさらにローカル色濃厚の

ボクも聴いてソレを感じてます。

・・・
今夜の代表戦が楽しみです。カウンター主体へ転換、所属先でレギュラーでなければ呼ばない、と海外組に通達したのを支持します。世界では当然なのですが、前々監督が酷過ぎただけに、今朝新聞を読んで嬉しくなりました。

投稿: source man | 2015年3月27日 (金) 13時52分

source manさん

今夜の新監督初戦楽しみです。
ただ、フィギュア世界選手権もあるし、プロ野球も開幕ですし、どれを見てよいやら・・・

投稿: ハルくん | 2015年3月27日 (金) 14時23分

初めまして。
和歌山の“なりくん”と申します。

ブラームスのピアノ協奏曲第2番・名盤の記事にコメントを書いて、早速こちらの記事にもコメントを書いて恐縮です。


ブラームスのピアノ協奏曲第2番を最近聴き始め、この曲の良さを改めて認識し、他のCD(演奏者・指揮者)も聴いてみたいと思い、インターネットで検索して見つけたのが、ハルくんさんのこのブログです。(数ヶ月間にこのブログ記事を見つけ、以来毎日のように、訪問し、気になる曲の記事を少しずつ拝読しております。)

凄い。

どの楽曲、あるいは、演奏者、指揮者に対しても、愛にあふれる内容のある記事、優れた鑑賞文ばかりで、感心しております。

J-POPや洋楽に流れていた時期もあったのですが、最近、いろいろな偶然?が重なり、クラシック音楽に目覚めました。

ブラームスのピアノ協奏曲第2番をひょんなことから聴き直し始めたのは、もちろん。
テレビで、クーベリック指揮のドヴォルザークの交響曲第9番を熱く語る人の話。
ドヴォルザークの交響曲第6番の演奏をテレビで観賞し、その美しさに感動。
また、スメタナの「わが祖国」をFMでたまたま聴き(全曲です)、こんな美しい曲だったんだと感動。
カリンニコフの交響曲第1番を聴き…といった具合です。


そして、ブラームスのピアノ協奏曲第2番と同様、このドヴォルザークの「交響曲第9番」も聴きたいと思い、このブログ記事を見つけました。

スメタナの「わが祖国」も有名なところしか聴いたことがなく、こんな素晴らしい曲だったんだと(第6曲の冒頭、第5曲との流れでなど、です)。

クラシックを聴き始めの自分は、当然のように、この交響曲第9番もそうです。

全楽章を通して聴くと、(当然ですが)聴こえてくる楽曲の雰囲気、見えてくる景色が全然違いますね。

いや〜、いい。
なんといますか、哀愁といいますか。
たまらないです。
語彙が貧弱ですね…。申し訳ないです…。

ブログで紹介されているCDせっせと買いすすめ、クーベリックはもちろん、アンチェル、ノイマンにもどっぷりつかりました。

こんなに指揮者によって違うものなんだと。

毎日の癒しとなっております。


まだまだ、クラシック初心者でありますが、どうぞよろしくお願いします。


P.S.
こんなに立て続けに購入すると、怒られるかも知れませんが、なにせクラシック音楽のCD(やレコード)は、すぐに廃盤になったりしてしまうので、「在庫があるうちに買う」を優先し(もちろんなるべく予算の許す限りではありますが)、ぼちぼち買っております。


スメタナ「わが祖国」、ブラームス交響曲第1番・第4番、ドヴォルザーク交響曲全集、ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲(この曲も好きになりました。それもハルくんさんのこのブログのおかです。感謝。)、同じく、チェロ協奏曲、ベートーベンの「運命」「第九」(ここ辺りは、初心者ですね)、などなどです。


今は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲にも興味がわいております。
(こちらは、まだ買えず、動画で我慢です…)

ハルくんさんの記事はもちろん、コメント欄の諸先輩方の意見・感想も、クラシック音楽初心者にとっては、たいへんありがたいです。
ほんとうに、ありがとうございます。


長々と失礼しました。

では。

投稿: なりくん | 2016年8月21日 (日) 15時51分

なりくんさん、ご丁寧なコメントを誠にありがとうございました。

随分と色々と聴かれていて、しかも指揮者の違いが感じられれば、もう決して初心者などではありませんよ。
ドヴォルザークの「哀愁」、正にその通りです!この曲の第二楽章など本当に哀愁そのものですよね。

シベリウスも良いですよ!動画でも十分に魅力が伝わると思いますが、いずれは是非CDでじっくりと味わってください。

それではまた、いつでもお気軽にコメント下さい!

投稿: ハルくん | 2016年8月21日 (日) 23時11分

こんにちは。

いまさら、いい大人が「新世界交響曲」で議論してもしょうがないですが(笑)、ハルくん様の「作曲者と同じ国の演奏家を推す」という基本方針に敬意を表した上で、この曲には「ニューヨーク・フィルハーモニック協会管弦楽団による初演が大成功だった」という歴史的事実があり、「ブラームス作品の研究によって培われた西欧式の古典的交響曲スタイルへの昇華」といった側面もあり、演奏者の側に立てるハルくん様もよくご存じのように、「ジムロック社が初版の校訂を作曲者ではなくブラームスに依頼したことによる、楽譜の混乱が膨大にあり、様々な解釈が可能」といった、アニアにとっては知的好奇心をくすぐられる面もあります。

私は、誰でも知っている人類の遺産ともいうべき超名曲(通俗名曲という言葉は使いたくない)だからこそ、聴き飽きないためにも、あえてボヘミア情緒だけに留めず、いろいろな国の演奏者で、多面的に、かつ知的に楽しみたいです(デュトワ&モントリオールSOによるフランス趣味のチャイコフスキーのバレエ音楽が充分楽めたようにも)。

投稿: 犍陀多 | 2021年1月21日 (木) 17時01分

犍陀多さん

仰る通りです。たとえばドヴォルザークは圧倒的に本国の演奏が好きですが、別にアメリカの団体を拒絶するものでは有りませんよ。
再聴盤あれこれという記事も書きました。
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2017/02/post-f93e.html

そのうえで好みの演奏タイプが自然に絞られるのは、これはもう致し方ありませんからね。

投稿: ハルくん | 2021年1月21日 (木) 17時28分

ありがとうございます。
大丈夫です、そちらの記事も既に愛読いたしております。「愛読者」ですから(笑)。

ところで、私の愛聴盤をご紹介しないと卑怯ですよね(笑)。

直近のお気に入りは、知る人ぞ知るチェコの名匠だった、ラドミル・エリシュカ(1931年4月6日-2019年9月1日)による指揮 札幌交響楽団による2012年4月27日と28日、第538回定期演奏会、KitaraでのライヴCDです。これは大変な名演で感動しました。

当然「楽器聴き」もしますが、ここでの札響の第二楽章のイングリッシュホルンがまた、絶品でした。

投稿: 犍陀多 | 2021年1月21日 (木) 18時49分

犍陀多さん

エリシュカ氏と札響は一時話題になっていましたね。CDも色々と出ましたが残念ながら聴いていません。
機会有れば是非聴いてみたいと思います。
ご紹介ありがとうございました!

投稿: ハルくん | 2021年1月23日 (土) 13時53分

著名な演奏家の分だけ、ディスクの数が存在すると言う点では、フランクの『Vnソナタイ長調』と双璧では、ないでしょうか。ターリッヒ&チェコ・フィル、確かに絶品ですね。聴きましたのは日コロのLP、OW-7703(¥1500盤)なのですが、本番物にも拘わらず、ローカル・カラーを売り物にしない、純音楽的な佳演に聴こえました。後は1970年代後半に日本ビクターから、Opusレーベルで発売された、コシュラー指揮スロバキア・フィルの旧譜も、是非試聴してみたい演奏です。

投稿: リゴレットさん | 2021年4月21日 (水) 11時06分

リゴレットさん

Opus録音のコシュラー/スロバキア・フィルの「新世界より」は本当に素晴らしいです。
素朴なボヘミアスタイルの演奏としては最高の一つだと思います。

投稿: ハルくん | 2021年4月22日 (木) 22時13分

2度目のコメントです。つい最近まで、この曲のチェコの演奏をほとんど聞かなかったのですが、アンチェルチェコフィル盤を聞いて、衝撃を受けました。スタイリッシュでありながら、チェコの音楽としてのドヴォルザークの良さが、ものすごく感じられました。ムラヴィンスキーのチャイコフスキーに通じるものを感じました。あと、世界の車窓からというテレビ番組のBGMで、ノイマンチェコフィルの演奏で、第2楽章が流れていたことがありました。それが心に染み入る大変美しい演奏に感じられました。今では、チェコの演奏が大好きです。と言っても、ターリッヒ、アンチェル、ノイマンしか聞けていませんが。コシュラースロヴァキアフィルは、是非、聞いて見たいです。今後も名盤の紹介よろしくお願い致します。

投稿: やすくん | 2022年7月 3日 (日) 15時38分

やすくんさん、こんにちは。
お返事が遅くなりました。

それは良かったです。
演奏者をことさらお国ものにこだわらない方も多いのですが、自分はかなりこだわります。国民楽派のような、民族的な音楽の要素を持つものは特にですね。
コシュラ―/スロヴァキアは素晴らしいのですが、廃盤となって久しく、入手がかなり難しいのが残念です。どうか気長にお探しになられてください。

投稿: ハルくん | 2022年7月 7日 (木) 15時07分

ハルくんさん、こんばんは。

この曲は私にとって、クラシック音楽という途轍もなく広大深遠な世界に誘ってくれた大恩ある作品です。小学校の音楽の授業で聴かせてもらった第4楽章に雷に打たれるような衝撃を受け、嗚呼、なんてカッコイイ音楽なんだろう!と感動したのがキッカケでした。以来、約半世紀に亘りこの趣味は途絶えることなく続き、未だに更なる深みへズブズブとハマっているのですからホント、やめられませんね。

昔からこれだけ有名で常に人気の高い当作品ですので、膨大な数の名盤に恵まれていますが、意外なことにこちらではまだ触れられていない古典的名盤をこの場をお借りして推したいと思います。

それは、かの故宇野功芳氏も推薦されていたコンスタンティン・シルヴェストリ指揮フランス国立放送o.による演奏です。本場物からは遠い組み合わせである本盤ですが、意外な程に違和感が全く感じられず、覇気と熱気と深い情感に満ちた素晴らしい演奏であると思います。

フランスのオケでありながら、その熱気の凄さは尋常ではありません。第2楽章以外はまさに一気呵成、直球勝負の凄さに思わずエキサイトしてしまいますが、第2楽章のたゆとうようなノスタルジーにも魅せられます。木管群のチャーミングさは流石フランスのオケで、しなやかで雄弁なソロが素敵です。
そしてこの演奏の最大の聴きどころは何と言ってもフィナーレの序奏!この地の底から湧き上がるようなエネルギーの凄まじさは何度聴いても全身総毛立ち戦慄を覚え、体を駆け巡る血が沸き立つのを感じます。この部分だけでもこの演奏は不滅だとさえ思える程で、是非ともその凄さを味わってほしいです。

チャイコフスキーとかの演奏ではあざとさやわざとらしさを感じたシルヴェストリですが、この新世界では一切そんな恣意的な所は感じさせず、見事なまでのオーケストラ・ドライブに舌を巻きます。気まぐれなフランスのオケが夢中になって一心不乱に終結に向かって一気に駆け抜けるその快感、熱量に圧倒されます。

かねてよりこの演奏の仏本国アナログオリジ(この録音はパテ・マルコーニによるもの)が凄まじいまでのオーディオファイルだと聞いておりましたので、最近ようやく入手して聴いたら思わず仰天、アナログ・デジタル録音を問わずおそらくこれは新世界の最高音質だと思います。どこまでも広がって部屋を突き抜ける音場、リミットレスでどんどん伸びてゆく響き。ダイナミクスが何のストレスもなく聴き手を包み込んで揺らすその快感。これはもう好みの問題というレベルを遥かに超越しており、聴く人をきっと虜にしてしまう、そんな音、そして音楽です。いやぁ参りました。

いつもながらCDは未聴なので申し訳ございませんが、本場物でなくとも一聴の価値のある演奏だと思います。個人的には演出過多なケルテス盤より好みです。

投稿: げるねお | 2024年3月22日 (金) 00時45分

げるねおさん

私もこの曲はクラシック音楽開眼のきっかけですね。高1のときに好きだったロックを聴いていて、キース・エマーソンというキーボード奏者の率いるナイスというバンドが、この曲を編曲演奏したのです。
そのタイトルが「アメリカ」で、この曲の4楽章の主題をベースに途中からバーンスタインの「アメリカ」に移ってゆきます。なんとお洒落な編曲でしょうね(笑)
それでオーケストラの演奏を聴いたところすっかりハマりました。
今でも飽きないですし、恐らく一番数多く聴いた曲かなぁ。

シルヴェストリは好きな指揮者タイプのはずですが、ほとんど聴いていません。
私の国民楽派作品の自国演奏嗜好はご存じの通りでしょうが、げるねおさんがそこまで言われるなら聴いてみます。ウイーン・フィルとの7番も気に成りますね。

投稿: ハルくん | 2024年3月24日 (日) 10時49分

げるねおさん

ご紹介のシルヴェストリ盤を聴きました。二度も録音しているのですね。確かに個性が良い方に生きていると思います。自分の好きなチェコ王道タイプとはもちろん違いますが、非常に楽しめます。今回8、9番を入手したので、7番も楽しみです。
ご紹介ありがとうございました!

投稿: ハルくん | 2024年3月29日 (金) 12時22分

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