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2009年6月

2009年6月28日 (日)

~ハンガリーへの旅~ リスト 「ハンガリー狂詩曲」第2番

Parliament

さてオーストリアをぶらり旅していたフーテンのハルくんはお隣の国ハンガリーへと足を延ばしました。ハンガリーはマジャール民族の国。元々は遠くモンゴルの遊牧民族がトルコあたりを流れて最終的に行き着いたのが現在のハンガリーなのです。要するにさすらうジプシー民族の国。フーテンのハルくんも情熱的なジプシー風女性には大いに惹かれます。えっ、女性には皆惹かれるんだろうって?実はそうなのです。特に情熱的な女性には滅法弱いんですよ。(笑)

ところでハンガリー民族はヨーロッパの中に有ってアジア民族に似た特徴を多く持つのだそうです。マジャール語は言語学的にはアジアに近いのだそうですし、氏名の呼び方についても、名字が前で、名前が後ろなんです。それにアジア民族の赤ん坊のお尻にできる蒙古斑。これも欧米民族で出来るのはハンガリー人だけだとか。音楽の特徴も独特です。激しいリズムと哀愁漂うメロディ。特にあのジプシー風の音楽にはとても共感を覚えます。ブラームスの書いた「ハンガリア舞曲集」も好きですが、ハンガリー人の書いた音楽にも好きな曲が有ります。フランツ・リストの「ハンガリアン・ラプソディー(ハンガリー狂詩曲)」とかね。この第2番は大変有名ですし、昔から大好きなのですよ。とは言え、ポピュラー管弦楽曲集なんかに入っていますが、余り真剣に聴くようなことも有りませんでした。ところが思わず耳を傾けてしまう本場物の素晴らしい演奏が有りますので是非ご紹介します。

Cci00047 マーティアス・アンタル指揮ハンガリー国立交響楽団(1988年録音/ナクソス盤) 世界的廉価レーベルのナクソスは、正直言ってマイナーな演奏家のものがほとんどです。コストを切り詰めるためです。ところが中には結構良い演奏も存在するので侮れません。例えば、この「ハンガリアン・フェスティバル」というタイトルのCDです。ハンガリーのこの楽団は、以前小林研一郎が首席指揮者を務めていた名オーケストラですが、実際に僕も10年前ほど前に素晴らしいコンサートを東京で聴いています。この「ハンガリアン・フェスティバル」のCDで指揮をしているのはやはりハンガリーの指揮者で、全て自国の演奏家で固めたこのCDは曲目もとても良いのです。コダーイ「ハーリヤーノシュ」組曲、リスト「ハンガリー狂詩曲1番、2番、6番」、フバーイ「ヘイレ・カティ」からチャルダーシュ、ベルリオーズ「ハンガリー行進曲」です。まさにハンガリアン・フェスティバルではありませんか!

ハンガリー狂詩曲第2番ですが、前半の哀愁漂う旋律を歌う木管や弦の味わいはちょっと他の国の楽団では聞けません。さほど大げさではないのに実に心に染み入ってくるのですよ。そして中間部のヴァイオリン独奏はいかにもジプシー風で最高です。こうでなくてはね。他のいずれの曲も楽しめます。フバーイもやはりジプシーヴァイオリンが素晴らしいですし、ベルリオーズの「ハンガリー行進曲」は同じハンガリー出身のジョージ・セルのお得意のアンコール曲目でしたが、このCDの演奏もフランスの楽団のきらびやかな音色とは違ってまた魅力的です。こういうCDが1000円程度で買えるのは実に素晴らしいことだと思います。

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2009年6月21日 (日)

ストラヴィンスキー バレエ「春の祭典」 ライプチッヒ・バレエ団DVD 他

Cci00043_3ウヴェ・ショルツ振付/ライプチッヒ・バレエ団(2003年収録/Euroarts盤)

このところ仕事が忙しかったのと、その他にもあれやらこれやらで記事のアップがなかなか出来ませんでした。そこで今日は、今年の春に出た「春の祭典」のバレエDVDについてお話をしようかと思います。

振り付けは5年前に45歳で亡くなったドイツ人ウヴェ・ショルツ。バレエ団はライプチッヒ・バレエ団。オーケストラはゲヴァントハウス管弦楽団です(2003年収録)。ストラヴィンスキーのこのバレエ音楽は言わずと知れた20世紀の大傑作です。コンサートピースとしてあらゆる国で日常的に演奏され、CDの数に至ってはどれくらい有る事か分らない位です。ですがこの曲は元々はバレエ音楽なのです。皆さん「あたしそれぐらい知ってるわよん。」とおっしゃられることでしょう。(女性の場合。オカマではありません。) では、このバレエを実際にご覧になった経験が有りますか?公演を観たことのある方は相当少ないはずです。なにせ滅多にやらないのですから。昨年、東京バレエ団がモーリス・ベジャールの追悼公演としてこの演目をやりましたが、僕も観たのはそれが初めて。でも残念ですが生オーケストラ演奏ではなくて録音テープでした。舞踏はとても素晴らしかったのですが。

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このバレエはDVDで観た方もほとんどいらっしゃらないと思います。何しろ今までこれといったディスクが発売されていなかったからです。ですので、今回のDVDは正に待望のものでした。このDVDにはオーケストラ伴奏版と2台のピアノによる伴奏版と二種類のバージョンが収録されているのも楽しいです。ピアノ伴奏版のほうは、男性ダンサーがたった一人で現代ダンスを踊るのですが、ステージの後方にはスクリーンが設置されていて、様々な映像が踊りとシンクロして映しだされます。その映像がパロディも有りで、なかなかに面白いのです。たとえば、白鳥の湖のジークフリート王子とオデットの湖畔のシーンかな、と思っていると、急に王子がオデットを襲って木々の間を執拗に追い掛け回して彼女が必死に逃げ回ったりとか、あるいはお城の寝室のシーンでは、可憐なお姫様が大胆にも王子のモッコリ股間にぐっと手を伸ばしたりとか、ドキッとさせられます。オケ版のほうはそれに比べると衝撃性は少ないですが、それでも生贄を捧げるシーンでは女性ダンサーがおっぱいをポロリとしたりで結構楽しめます。(って、どうもビデオの種類を勘違いしているような・・・) 主役の日本人ダンサー、木村規予香さんもハルくん好みの日本人らしい端正な体型の美人なので、彼女を見ているだけでも楽しめます。ただ全体としてはベジャール振り付けのほうが好きかなぁ。いずれにしても、この貴重なDVDを是非一度ご覧になってみて下さい。

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それにしても、この演目を20世紀の初めにパリで初演して大きな衝撃を与えたディアギレフ率いるロシアバレエ団の凄さといったら無いですね。当時は社交界の娯楽に成り下がっていたパリのバレエ界に、最高の舞踏と最高の音楽でセンセーションを巻き起こしたのですから。天才男性ダンサーのニジンスキーは「ジャンプしたまま空中にそのまま止まる」と評されました。書き下ろしの音楽はストラヴィンスキーの「火の鳥」や「春の祭典」です。なんという芸術の質の高さなのでしょう。それに比べて果たして現代のバレエ界は当時のロシアバレ団の志を越えていると言えるのでしょうか。などと、素人の私が偉そうに言うのもどうかと思うのでこのあたりで止めておきます。

このDVDの映像をご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

ところで「春の祭典」はもちろん音楽だけをCDで聴いても楽しめますので、僕の気に入った演奏をいくつかご紹介します。

Cci00042 ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管(1999年録音/Philips盤) もう10年近く前ですがこのコンビの「春の祭典」は東京で生演奏を聴いています。その時はどちらかいうとスマートな印象(席が遠かったせいかも)だったのですが、その頃に録音されたCDでは随分と荒々しさを加えて素晴らしい出来栄えです。精緻さとバーバリズムの共存というこの曲の正に理想的な名盤となりました。いたるところでロシアの大地の雰囲気を感じさせるのもやはり自国の楽団ならではです。たったひとつベストCDを選ぶとすれば迷うことなくこのゲルギエフ盤です。100点満点。

5111kaaeapl__ss500_ コリン・ディヴィス指揮アムステルダム・コンセルトへボウ管(1976年録音/Philips盤) このCDはアナログ録音でありながら非常に音が良いです。というか逆に優秀なアナログ録音だからこそコンセルトへボウの分厚い音の響きを充分に捉えられたのかもしれません。まさに圧倒されるようなパワーなのですが少しもうるささを感じません。これはデイヴィスの指揮と楽団の優秀さのせいでしょう。弦楽や管楽の各パートの上手なことはまさに特筆ものです。ただし前半はややおとなしめ。「春のロンド」あたりから音の厚味を増して本領発揮は後半です。90点。

41spkgnk6sl__ss500_ ピエール・ブーレーズ指揮クリーヴランド管(1969年録音/Sony盤) 一世を風靡した歴史的名盤ですね。よく言われることですが各楽器の音が全て聞こえる分離の良い演奏は録音技術によるものであって、生のステージでは有り得ないでしょう。しかしこの切れ味鋭い演奏はやはり素晴らしいです。ブーレーズはずっと後にベルリンフィルと再録音をしていますが、聴いていて面白いのは断然このクリーヴランド盤のほうです。85点。

Cci00042b レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークフィル(1958年録音/Sony盤) ヤング・レニーのかつてのベストセラーなのですが、何故かCDは後年のロンドン響との再録音のほうばかりが販売されていてニューヨーク盤は廃盤状態が続いています(僕のもレニーのエッセンシャル盤です)。なんでやろね?デビュー直後のレニー/NYPの演奏は随分と荒削りではあっても若々しい情熱に溢れていて実に魅力的なのです。彼こそは本物の「青春の巨匠」ですよ。この演奏も出だしはなんだかつたなくてヨロヨロしていますが、「春のロンド」あたりから突然アクセルがかかってノッてきます。そういえば曲が「ウエストサイドストーリー」みたいだものね。いや影響を受けたのは作曲家レニーのほうなのでした。これはやっぱり時々聴いてみたくなる演奏です。75点。

というわけで、推薦CD「ハルの採点」でした。おあとがよろしいようで。

<関連記事>
ストラヴィンスキー バレエ音楽「春の祭典」 名盤
(上記以外のCDも含めて御紹介しています)

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2009年6月 4日 (木)

モーツァルト ミサ・プレヴィス集 ~ハルくんのザルツブルクへの旅~

さて、フーテンのハルくんのオーストリアの旅ですが、このままリンツでブルックナーを聴き続けようかどうしようか迷いましたが、結局は西への車窓の旅を選択しました。到着したのはザルツブルクです。実はハルくん、この街には3年前に一度訪れていますので、この記事は実話に基づきます。
(写真はクリックしてもらうと大きくなります)

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モーツァルトの生れた街として有名なザルツブルクですが、夏に開催される音楽祭もまた余りに有名ですね。街中を挙げて、というよりは国を挙げて盛り上がりますので、それこそ世界中から大勢の音楽ファンが集まって来ます。ですがハルくんの訪れたのは晩秋でしたので、そんな盛り上がりは見られませんでした。ザルツブルク駅から地図を見ながら歩いて30分ぐらいでしょうか、街の真ん中を流れるザルツァッハ川の向こう側に旧市街が見えてきます。モーツァルトが生れたのはこの旧市街です。そしてこの旧市街は街ごとユネスコの世界遺産に登録されています。

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街の中に入ってみるとあらゆる建物が昔の姿のまま保存されているのですが、まあ何というかまるで「おとぎの国」なのです。有名な観光地だけあって、この時は音楽祭でもクリスマス市でも無いのに通りは相当な数の観光客が歩いていました。市場には多くの屋台が並んでいましたので、ハルくんは地元の食べ物とビールをたらふく味わってすっかりご機嫌となりました。

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街のほぼ中心部にモーツァルトの生家が有ります。黄色の建物で壁に「Mozarts Geburtshaus」と書いて有りますが、もちろん住んでいたときには書かれてなかったのでしょうね。建物の中はそのまま博物館になっていて彼が使ったピアノや楽器、一家の家具なんかを見ることが出来ます。おまけにカフェまであるので、甘いものにも目が無いハルくんはここでザッハトルテとウインナカフェを頂きました。なかなか美味しかったです。

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それから訪れたのはザルツブルク大聖堂(Dom zu SALZBURG)です。ロココ調の美しい建物で、中に入りじっくりと周りの装飾を眺めていると時の経つのも忘れます。そして生れて間もないモーツァルトがここで洗礼を受けたのかと思うと正に感無量です。モーツァルト・ファンがこの街を訪れたらここだけは絶対に外せないですよ。

大聖堂の他には聖ペーター寺院もありますし、モーツァルトはこの街での少年時代に多くの宗教曲を書きました。それはバッハと同じように教会の式典やミサの為に書いたものです。決してコンサート用に書かれたものでは無いのですよ。この時代の作品でハルくんが特に好きなのは、全部で8曲のミサ・プレヴィスです。ミサ・プレヴィスというのは「小さなミサ曲」という意味で、教会の少年合唱団がごく小さな編成の伴奏で歌っていたのです。ですので、このような曲は純真素朴な少年合唱が歌わないと絶対に雰囲気が出ません。たとえばアーノンクールがモーツァルトの宗教曲全集でプロの合唱団を指揮して録音していますが、どんなに合唱が上手くても素朴さに欠けるので僕の好みとは幾らか異なります。

全8曲は作品順に以下の通りです。

ト長調K49
ニ短調K65
ヘ長調K192
ニ長調K194
ハ長調「雀のミサ」K220
ハ長調「シュパウル・ミサ」K258
ハ長調「オルガン・ソロのミサ」K259
変ロ長調K275

そして、愛聴盤のご紹介です。

Cci00041 ラインハルト・カムラー指揮アウグスブルク大聖堂少年合唱団聖歌隊(1990年録音/ハルモニアムンディ盤) モーツァルトの父、レオポルドの生れた街アウグスブルクはミュンヘンのすぐ隣りの町ですが、その少年合唱団が素晴らしい歌声を聞かせてくれます。本当に教会で聴いているような素朴な合唱に感動します。やっぱりこうでなくてはね。ミサ・プレヴィス集のCDは意外に少ないので、このような全8曲の素晴らしい録音が残されたことを心から歓びたいと思います。中ではK220の「雀のミサ」が良く知られていますが、自分はむしろ最後の変ロ長調K275を好んでいます。清らかなボーイ・ソプラノが何という素晴らしさなのでしょうか!

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