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2009年3月 8日 (日)

シベリウス 交響曲第1番ホ短調op.39 名盤

よくシベリウスの交響曲は3番あるいは4番以降の作品が良くて、1番、2番は不出来などという意見が多く見られます。果たして本当でしょうか?もちろん後期の作品が充実していることに疑いの余地は有りません。けれどもその論法から言ったら、ベートーベンは3番以降が価値が有り、1番、2番には価値が無いと言う様なものです。ベートーヴェン好きな人が果たしてそのような言い方をするものでしょうか?愛好家、ファンを自認する人というのは、例え少々未熟な面を残してはいても、若書きの魅力というものを初期の作品から感じとるものでは無いでしょうか。世の音楽評論家の中にさえも、「シベリウスは大好きだ」と言っていながら、一方で第2番を「駄作」「不要」などと決め付けるような人が居ますが、そんな人の言葉を僕は信用したくありません。

さて、それはさておき、この第1交響曲はシベリウス33歳の作品です。作品番号からも分かるように彼はそれまでに交響詩などの幾つもの管弦楽作品を作曲した上で、満を持してこの交響曲第1番を手がけました。従って既に自分の音楽というものを確かなものにしています。よく「ロシア音楽の影響を受けている」とも言われますが、僕は正直余り感じません。大体、作品7の「クレルヴォ」で既に自国フィンランドの民族的な音楽書法を生かした大作を書き上げた人が、当時ロシアの統治化にあって国民運動が沸き起こっていた時代にわざわざロシア音楽に影響された曲などを作ろうと思うでしょうか。「ロシア的な」演奏を聴きなれた人が勝手にそのように思い込んでいるだけだと思います。むしろ金管をとても息長く吹かせたり長い保持音が頻繁に現れるあたりはブルックナーの影響をよほど感じます。

この曲は第1楽章の冒頭、クラリネットの音がまるで深い森の中から聞こえてくるように神秘的に始まります。その後も息の長い旋律が実に感動的です。第2楽章は北欧のロマンとでも言いたい静寂の調べに魅惑されます。第3楽章は原始的な舞曲のようですがこれも楽しいものです。そして終楽章では北国の厳しさ荒々しさを経た上で再び息の長い旋律を感動的に歌い上げて曲を閉じます。僕はこの曲がとても好きです。チャイコフスキーの1番も大好きですが、負けないぐらいに好きです。それでは愛聴盤を順番に聴いていきましょう。

51xbpaqnqql__ss400__2 パーヴォ・ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィル(1986年録音/EMI盤) ヘルシンキ・フィルはシベリウスの交響曲の1番から6番までを初演しました。だからという訳では無いですが、音楽が楽員の身体に染み付いているのです。それを3度も全集録音をやろうという指揮者が振れば悪いはずが有りません。表現は自然でやり過ぎたところが皆無です。音符の一つ一つが正にかくあるべしというように感じるのです。人によっては1番の演奏としては物足りなく思うかもしれません。ですがそれが本来のシベリウスなのだと思います。とにかく弦も管も澄み切ったハーモニーが実に美しく、これはちょっと他のオケでは真似が出来ないと思います。

026 レイフ・セーゲルスタム指揮ヘルシンキ・フィル(2002年録音/ONDINE盤) ベルグルンドに比べるとかなりダイナミックな表現です。ある意味「伝統的なロシア風」な演奏に近いのかもしれません。それでも本物のロシアの楽団に比べればずっと節度を持った表現ですのでぎりぎりの所で踏みとどまっています。その危うさが魅力かもしれません。それに流石はヘルシンキ・フィルで美しい部分はとことん美しいです。後半楽章のスケールも大きく、1番の演奏としてはベルグルンドよりもセーゲルスタムを好む人はきっと多いと思います。録音も優秀です。

Cci00021m渡邉暁雄指揮ヘルシンキ・フィル(1982年録音/TDK盤) ヘルシンキ・フィル初来日の時の福岡サンパレスでのライブ録音ですが、流石はTDKで非常に優秀な録音です。ベルグルンドのEMI盤あたりと比べても余り差を感じません。それより何よりも演奏の素晴らしさに感激します。アケさん(渡邉暁雄はそのように親しみを込めて呼ばれていました)はこれ以前にも既に8回くらいこのオケを振ったことが有ったそうです。このCDの余白にはこの時のリハーサルの録音が収録されていますが、フィンランド語で楽員に細かく指示するアケさんへの尊敬の念はかなりのものだったそうです。この時この楽団のクラリネット奏者であったオスモ・ヴァンスカは後年そのように述べています。ゆったりと優しさに溢れた演奏ですが、とりわけ第1楽章と終楽章の息の長い旋律がこれほど感動的な演奏は他に知りません。

249 ユッカ=ペッカ・サラステ指揮フィンランド放送響(1993年録音/FINLANDIA盤) ライブ録音なので始めのうちは演奏が何となくパリッとしないのと、録音が幾分こもり気味なのが欠点ですが、聴き進むうちに感興がどんどん高まってきて思わず引き込まれます。特に終楽章は感動的で、アケさんと並ぶ程です。余計なことですが、この演奏を聴かされたサンクトべテルブルクの聴衆は果たしてこの演奏の真価を理解してくれたでしょうか。

369 オスモ・ヴァンスカ指揮ラハティ響(1996年録音/BIS盤) この演奏もシベリウスとしてはセーゲルスタム以上にダイナミックな表現です。音の素朴さではヘルシンキフィル以上ですが、時折木管楽器がしみじみと吹くのが大変に魅力的なのはやはりヴァンスカが木管奏者だったからなのでしょう。全体的に非常にロマンティックで表情豊かに細部にこだわりを見せるのはヴァンスカならではです。荒々しい部分ではかなり徹底していますが、やはり紙一重で行き過ぎた踏み外しをしない(多少している?)のもさすがです。

以上はどれも好きなのですが、特に僕が個人的に好んでいるのは、最も優しさを感じて感動的な渡辺暁雄/ヘルシンキ・フィルのTDK盤とダイナミックで表情の豊かなヴァンスカ/ラハティのBIS盤です。

この他の1番の演奏では、LP時代に聴いたロジェストヴェンスキー/モスクワ放送響はロシア的でワイルド、繊細さの無い演奏だったので好みではありませんでした。CDでは上記以外でネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ響が結構気に入った演奏でした。サカリ・オラモ/バーミンガム響は響きが無機的に聞こえる所が多くて余り好きでは有りません。バルビローリ/ハレ管は決して嫌いでは無いのですが、北欧の空気感がいまひとつなのとEMIのリマスターが高音が強調されていて聴き辛かったです。エールリンク/ストックホルム・フィルなんてのも有りましたが録音も古いしほとんど印象に残っていません。最後に渡辺暁雄が日本フィルを振った演奏の方はオケが非力過ぎて通常の鑑賞には向いていません。

この他に皆さんがお気に入りの演奏が有ればぜひ教えて頂きたいと思います。次回は順番で第2番です。

<関連記事>
「若き日のオッコ・カムのシベリウス」

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シベリウス(交響曲)」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。

シベリウスの交響曲を初めて聞いたのは(記憶に間違いがなければ)C.デイヴィス/ボストン響による1番でした。その時エアチェックしたカセットテープを何回も聞いたものです。それ以来1番は好きな曲で、シベリウスの交響曲中聞く頻度は高いです。

今回紹介のCDは聞いたことがないのでみんな聞いてみたいと思っています。

投稿: よんちゃん | 2009年3月11日 (水) 10時15分

こんばんは

シベリウスの交響曲では1番、2番までしか拙者には分かりません。
3番以降の作品になると難解です。でもハルくんさんのような方が後半の作品の方が充実しているというのですから、そうなんでしょうけど。じっくり聴いてみても拙者には難解でした。

投稿: kurt2 | 2009年3月11日 (水) 21時24分

よんちゃんさん、こんばんは。
コメント頂きましてありがとうございます。

1番いいですよね!Cデイヴィスも定評有りますね。私の場合はどうしても自国演奏家中心に選んでしまいますが、そうでなければやはりデイヴィスは良いでしょうね。
色々お聴きになられましたら是非ご感想を教えてください。楽しみにしています。

投稿: ハルくん | 2009年3月11日 (水) 22時10分

kurt2さん、こんばんは。
コメント頂きましてありがとうございます!

そうですねぇ。結構耳の肥えた方でも3番以降になかなか馴染み難いケースは多いみたいです。比較的親しみやすいのは5番、ついで6番ではないでしょうか。馴染んでしまえばホントに味わい深い名曲なのですが、なにかきっかけは必要なのかもしれないですね。

投稿: ハルくん | 2009年3月11日 (水) 22時19分

>特に第2番を「駄作」などと決め付ける自称「シベリウスファン」は私は信用したくありません。

おそらく、これは私のことなのでしょうね。ただ誤解されたくないのはシベリウスの交響曲の場合、4番以降の作品のあまりにも宇宙的といえる深過ぎる世界を知れば知るほど私自身、第2番と距離があいてしまうというのが本音でしょう。ただ第2番が駄作とは思っていませんので誤解されたくないものです。ベートーヴェンの交響曲に関したも全くの同感です。

第1番は大好きな作品です。第1楽章の北欧の深い森を思はせるようなクラリネットの序奏から始まり第4楽章のクライマックスまで北欧の雰囲気満載と言うべきでしょう。
北欧の独特の暗さ、そして深い自然賛歌が無かったらシベリウスはシベリウスで無くなるでしょう。私はバーンスタインやC・ディビスの録音も持っていますが指揮者の演奏に粘りがあったりして個性が出すぎていて、どうも好きではありません。
その中でベルグルンド指揮ヘルシンキフィルの交響曲全集は私にとってシベリウス演奏のバイブルと言っても過言ではありません。

投稿: オペラファン | 2009年3月12日 (木) 11時50分

オペラファンさん、誤解をさせてしまったようで大変申し訳ありません。決してオペラファンさんのことでは無いのですよ。確かに2番と後期の作品との出来栄えの差についての御記事は覚えています。ですがその点は私も全く同感なのです。
実はあれは正直言いますと、著名音楽評論家のU先生を指しているのです。ご本人とは面識も有りますので、記事の中では余りはっきりは書きたくなかったのです。U先生は「シベリウスがとても好きだ」と言っている反面、堂々と「2番は駄作である」とも言っています。シベリウス入門者向けに最適なこの曲をそんな風に烙印を押してしまっては、入門者がいきなり後期の曲にチャレンジして理解できずに結果シベリウスから離れていってしまうのでは無いかと危惧しているのです。自分の嫌いな作曲家を何と言ってもそれは構わないのですが。

ベルグルンド/ヘルシンキ盤は本当に理想的な全集です。まずはこれをとことん聴いた上で、他の演奏を楽しむのが良いでしょうね。

投稿: ハルくん | 2009年3月12日 (木) 12時43分

こんばんは

シューオタ同盟のハイデルベルクこと
kurt2です。
シューオタ同盟ということで、
相互リンクを貼りたいのですが
いかがでしょうか?

投稿: kurt2 | 2009年3月12日 (木) 23時21分

kurt2さん、こんばんは。

相互リンクぜひお願いします。
と言うよりも、こちらは勝手に既にリンクさせて頂いていました。事後報告になってしまいまして大変失礼致しました。(苦笑)(^^)
シューオタ同盟のよしみで今後とも宜しくお願い致します!

投稿: ハルくん | 2009年3月12日 (木) 23時32分

こんにちは。冒頭の主題、うんと寒い日には霧も出ませんので、私の感覚では夜明け前の凍り付いた森といった感じでしょうか。クラリネット奏者としては、死ぬまでに一度はやってみたい曲の一つが1番です。演奏の機会など一生ないかもしれませんが・・でも指揮者がクラ奏者だったらやりにくいこともありそうです。(Cデイヴィスもクラ奏者ではなかったでしょうか?)

まあ個人的な(楽器上の)思い入れは別として、1,2番と3番以降で様式が違うことは確かでしょう。1番は導入動機が終楽章でも再現されるところをはじめ、「形だけで見れば」ドヴォルジャークやチャイコフスキーの交響曲に似ていますよね、それがシベリウスの音楽を盛るにふさわしい器だったかどうかは別として。「ロシアの影響」ではなく時代の影響だと思います。

しかし響きからいえば、ハルくんさまの言われるようにブルックナーに近いところもありますし、さかのぼればワグナーとの近さも感じられるでしょう(複雑な和声進行、繋留音、保続低音、執拗な反復音型など)。でも技法的には似ているにもかかわらず、どうしてシベリウスが書くとこうも冷たい響きになるのか(これは褒め言葉)・・・と、同じ北海道出身のフルート奏者と首をひねったものです。祭りや舞踊など人間的な匂いのする主題が少なく、ひたすら大いなる自然を感じさせるところも、特徴の一つだと思いますが。

投稿: かげっち | 2009年3月14日 (土) 12時25分

かげっちさん、こんにちは。

1番の冒頭「夜明け前の凍り付いた森」のイメージには全く同感です。
それにしてもシベリウスの音楽の雰囲気は独特ですね。1番は「時代の流れ」の影響かもしれませんが、2番以降といったら時代の流れからも隔絶していますからね。年代から言って「20世紀の音楽」というくくりにはとてもあてはめられないと思います。
人里はなれて瞑想しながら作曲するからこのような雰囲気になるのでしょうかねぇ。

投稿: ハルくん | 2009年3月14日 (土) 14時18分

こんばんは。初めてのコメントとなります。
勿論、ベルグルンドのEMI「全集」は持ってます。「クレルボ交響曲」が併録された完全版と言うべきでしょう。めったに演奏されない「管弦楽曲」(一部フィルハーモニア管)も併録され、クオリティの高いアルバムです。
さて、カムが挙がっていますが、若き日にドイツ・グラモフォンでヘルシンキ放送響で録ったものもあります。(こちらはドイツ輸入盤であり、入手不可能)彼もベルグルンド同様、バージンです。若々しくて好印象。ヘルシンキ・フィルによる演奏版が出るくらい再評価されているのが嬉しく思います。

投稿: eyes_1975 | 2009年3月14日 (土) 21時43分

おひさしぶりです。

仕事で神保町へ行ったので、昼休み久しぶりに古書店街を歩きました。岩波ホールから靖国通りの左側を歩いて数軒目の古賀書店はご存じですか?音楽書&楽譜専門なのですが、そこでシベリウスの1番のポケットスコア(新品に近い)を1500円で見付けました。クレルヴォも買おうか迷いましたが諦めました。いまならまだあるかもしれませんよ。

投稿: かげっち | 2009年5月22日 (金) 22時59分

かげっちさん、こんにちは。
東京に来られたのですね。

古賀書店ですか?行ったことが有りません。東京に住んでそのような店を知らないとは我ながらモグリでした。(苦笑)

それにしても「クレルヴォ」のスコアとはまた大そうなものが有りましたね!

投稿: ハルくん | 2009年5月23日 (土) 19時08分

「岩波ホール」の名前を見て、たいへん懐かしさを感じました。今も健在なのですね!あの当時、岩波ホールで上映される映画は「エキプド・シネマ」と呼ばれていましたが現在はどうなんでしょうか?東京での大学生生活を送った4年間、よく通いました。もう約30年前のことです。
「古賀書店」も記憶があります。古い音楽雑誌を購入したはずです。
仕事の関係で卒業後も東京はたびたび訪れていますが神田界隈は全くご無沙汰状態です。機会があれば一度、歩いてみたいものです。

投稿: オペラファン | 2009年5月25日 (月) 00時28分

オペラファンさんこんにちは。

「エキプド・シネマ」というのはフランス語で「映画の仲間」という意味だそうですが、
いまでも岩波ホールの会員制度はこの名前で呼んでいるようでですね。

私も学生時代に神田界隈は良く歩きましたが、変わった面と変わらない面と半々といった印象です。でも古書の街という雰囲気はまだまだ有りますね。

投稿: ハルくん | 2009年5月25日 (月) 05時42分

ハルくん様

morokomanです。

私が住んでいる田舎では、一昨日、カエルの合唱が止みました。代わってジージーゼミが鳴き始めました。

自然音楽界の「春の象徴」であるカエルが退場し、「夏の象徴」であるセミにバトンタッチした感じです。

さて、私にとって「春」はシベ5ですが、「初夏」となるとシベ1の季節なのです。ハツラツとした、若々しい曲想が初夏のイメージに合うからです。

個人的に最高だと思っていたのはベルグルンド/ヘルシンキPO。それから同じベルグルンド/ヨーロッパ室内管ですが、最近、改めて素晴らしさに開眼しているのが渡辺/ヘルシンキPOですね。

何度も聴いているはずなのですが、今になってより良くわかります。ベルグルンドよりもおおらかな感じなのですが、それがかえってほどよいスケール感を醸し出し、この曲の「壮大さ」や「劇的さ」を余すとこなく表現しています。

今になって気づくなんて……。私の理解も深くなったのだと思います。

どなたの言葉だったのか忘れてしまいましたが、「渡辺暁雄は凄い指揮者だった。嘘だと思うのならこの演奏を聴いてみるがいい!!」という評価は、けだし名言だと思います。

投稿: morokoman | 2013年7月 9日 (火) 21時58分

morokomanさん、こんばんは。

人の感じ方というのは面白いですね。
僕は第5番が「早春」、第1番は更にその前の「晩冬(こんな言葉あったかしらん?」に思えます。どちらにしても良い曲ですけどね。

渡辺暁雄/ヘルシンキPOは感動的ですね。やはり一番の愛聴盤です。あと、ヴァンスカ/ラハティ響、それにネーメ・ヤルヴィ/エーテボリの新盤と旧盤も素晴らしいですよ。

投稿: ハルくん | 2013年7月 9日 (火) 23時00分

レスありがとうございます。

>人の感じ方というのは面白いですね。
僕は第5番が「早春」、第1番は更にその前の「晩冬(こんな言葉あったかしらん?」に思えます。

これは面白い! 
ただ、私の場合は「初めて聴いて、感動した時期が初夏だった」ことがそう思った原因になったと思います。

高校二年生の夏休み。今と同じ時期、うだるような昼の暑さにぐで~となっていました。

やることがないので、FMラジオのスイッチを入れたら、なにやら涼しげな音楽が聴こえてきました。

その音楽は私の心を「澄み切った大気と豊かな森林、そして険峻な自然」へと連れ去ってくれました。第2楽章は、これまた澄み切った水をたたえた湖が眼前に現れ、乾いた私の心に潤いをもたらしてくれました。

自然の舞踊のような第三楽章を経て、切なさと憧れの思いを雄大な自然に込めたような最終楽章へ! 

その間、ずっと音楽の「涼しさ」は相変わらず。暑さを忘れて聴きほれてしまいました。

音楽が終わったあと「ただいまの曲はシベリウスの交響曲第1番。演奏はクルト・ザンデルリンク指揮ベルリン放送交響楽団でした」とのアナウンスがありました。

私が初めてシベリウスの交響曲と出会った瞬間でした。

当時はザンデルリンクよりもバーンスタイン&ニューヨーク・フィルのLPの方が入手しやすかったので、早速買い求めました。

今の価値観からすると、バーンスタインの旧全集はさしずめ二部リーグ盤だと思いますので、お薦めはしませんが、最初から二部リーグだと割り切って聴く分には良い演奏だったと思います。

バーンスタインの新選集は「シベリウスのマーラー化」を試みているようで、私は認めることはできません。

旧全集の方が、彼の人並み外れた集中力がプラスに働き、更にニューヨーク・フィルの銀色のような音色がシベリウスの曲想にマッチして、思わぬ効果を上げていました。

ザンデルリンク盤は、私をこの世界に誘ってくれたという点で、非常に思い出深い演奏なのですが、やはり二部リーグ盤だと思います。

当時は北欧系の演奏は存在せず、独墺&米英の演奏を、ありがたがって一生懸命聴いていました。これらは後年、北欧系の演奏が普及する中、急速に魅力を失ってしまいました(しみじみ)。


>ヴァンスカ/ラハティ響、それにネーメ・ヤルヴィ/エーテボリの新盤と旧盤も素晴らしいですよ。

ヴァンスカ/ラハティ響と父ヤルヴィ/イェーテボリ旧盤は良いですね! 二つとも持っていたのですが、今は失われてしまいました
(涙)。ヤフオクなどで取り戻そうと思っているのですが、まだ果たせません。

父ヤルヴィの新盤はもっと良い出来でしょうね。これはまだ聴いていませんが、いつか聴きたいものです。

お返しに、私からも紹介いたします。
ベルグルンドの最も古い録音、ボーンマスSOとの演奏は、やはり二部リーグ盤ではありますが、だからと言って逃してしまうには惜しい演奏です。

全体の温度は高く、ひんやりした情感には欠けますが、音色はさしずめ夕日のようなオレンジのイメージです。ですがオーケストラに異様な熱気があり、それがこの曲の持つ「壮大さ」と「劇的さ」にうまく結びついていると思います。

先日、久しぶりに聴いて、改めて感動しました。二部リーグ盤ではあっても、再評価を求めたい演奏ですね。(^^)

(EMIは昔の録音を今の技術でリマスターした方が、音は良いと思います)

投稿: morokoman | 2013年7月11日 (木) 22時39分

morokomanさん、コメントを再びありがとうございます。

バーンスタインはチャイコフスキーが?だったのでシベリウスも?かなと思い聴いていません。
ザンデルリンクは5番のLPを持っていましたが、ベルリン響の音が固くて(というか自然音に聞こえない)余り好きではありませんでした。
それに比べれば、ベルグルンド/ボーンマス響はずっと良いと思いますが、ヘルシンキPOの名盤が有る以上、自分にとってはそれほど聴きたいという気にはならないのです。

現在、聴きたいと思うのは、カムがラハティ響と全集を録音したらです。サロネンも全集で聴いてみたいですね。

投稿: ハルくん | 2013年7月11日 (木) 22時55分

ハルくん様、再度レスをいたします。

>それに比べれば、ベルグルンド/ボーンマス響はずっと良いと思いますが、ヘルシンキPOの名盤が有る以上、自分にとってはそれほど聴きたいという気にはならないのです。


ご存知だったのですか……(^_^;)A
これは失礼いたしました。
上記の記事を読むとボーンマスSOの感想が書いてなかったのですので、てっきりご存知ないかと思ってしまいました。

確かに、自分もヘルシンキPOの演奏を聴いた後では、「もうボーンマスSO盤は役目を終えたな」と思っていたものです。

でも、何年かぶりに引っ張り出して聴いてみると、意外に良かったので、もしハルくん様がご存知ないならお薦めできるな、と思った次第でした。


>現在、聴きたいと思うのは、カムがラハティ響と全集を録音したらです。サロネンも全集で聴いてみたいですね。


そうですね~。(^^)
カムは絶対BISで父ヤルヴィに続く『交響曲&管弦楽曲全集』を出して欲しいですね。

もうCDバージョンでは父ヤルヴィ&ヴァンスカが出しているものですから、SACDというメディア初の全集を出す! というスタンスで、BISには取り組んで欲しいものです。

近々、第1弾の『テンペスト&タピオラ』のSACDを購入する予定です。とても期待しています。

サロネンも北欧のオーケストラで全集を録音してもらいたいものです。

投稿: morokoman | 2013年7月12日 (金) 21時42分

第4楽章コーダが大円団ではなく悲劇的に終わってしまう。いまだにこの謎はとけません。カラヤンは雄弁にすぎ、オーマンディは第2番の方が印象的、バルビローリはバルビ節の方を強く感じてしまう。バーンスタインのDG盤は確かにマーラー的、コリンデービスはイギリス的なシベリウスに聞こえる。最近手に入れたマルコムサージェントが意外と聞けます。やはりフインランドにゆかりのある指揮者でないとこの曲の魅力はひきだせないのかな?と思います。チャイコフスキーの影響をまだ受けている曲といわれていますが、メロデイは十分に北欧的です。

投稿: k | 2014年10月11日 (土) 21時35分

Kさん

シべリウスの曲はフィンランドの指揮者とオーケストラの組み合わせが一番ですね。百歩譲っても他国指揮者とフィンランドのオケとの組み合わせです。オケが英国も含めて他国の団体ではどうもいただけません。

投稿: ハルくん | 2014年10月12日 (日) 15時46分

お早うございます。
昨日、渡辺暁雄/ヘルシンキを入手し夜に早速。

序奏のクラリネットからして「むむっ」。←

こういう録音で聴いてしまうと、ベルグルンド盤の音質はパリっとしないというご意見が理解できます。TDKは良い仕事してます。

シベリウスの肝は、繊細さと録音に在ると感じるので、日本人指揮者に向いてると思うし、もっと知られる作曲家になって欲しいものです。

繊細な日本人と母方の血筋...渡辺暁雄さんは振るべくして...。

中古屋を探し回り、1番とあと1枚を計¥1,500で買えました。何番かは書き込みをお待ち下さい笑。

投稿: source man | 2014年12月28日 (日) 09時31分

source manさん、こんにちは。

渡辺暁雄とオッコ・カムのヘルシンキ・フィル日本ライブは本当に素晴らしいです。TDKがよくぞ全曲の録音を行なってくれたものと感涙です。
同時購入されたもう1枚の方のご感想も楽しみにしています!

投稿: ハルくん | 2014年12月29日 (月) 17時33分

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