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2009年2月22日 (日)

傑作オペラ映画「ラ・ボエーム」

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先週公開されたオペラ映画「ラ・ボエーム」を観に行きました。マスコミでも結構取り上げていますが、何といっても私がイタリアオペラの中で最も愛する作品ですし、主役が絶世の美人歌手アンナ・ネトレプコにローランド・ビリャソンのコンビとあっては見逃すわけには行きません。プッチーニ生誕150周年記念というこの映画はドイツ・オーストリアの合作です。監督はロバート・ドーンヘルム、音楽はベルトラン・ド・ビリー指揮、バイエルン放送響です。

さて、その映画ですが、幕が上がって(じゃなくて上映が始まって)いきなりスクリーンに目を奪われます。美しい!オペラの舞台では無く完全な映画として撮影されているのですが、19世紀のパリのうす汚れた部分、美しい部分がそっくり再現されています。映像そのものが詩情を表現していて本当に素晴らしいのです。そして、この映画は完璧にオペラの楽譜通りに進行しますが、音とシーン、演出が有機的に結合していて実に自然です。「映画」として見事に完成されているのです。

ミミ役のネトレプコは大スクリーンに映し出されると、正直ちょっと齢を取ったかな、という感じです。但しそれは若い娘役として見た場合であって、彼女の美しさ、色っぽさは今だ健在であり、演技ぶりも立派なものです。おじさん的には実にそそられてたまりません。歌の方も、その美貌で大幅にポイント加算されるので問題ありません。そしてルドルフォ役のビリャソンが本当に素晴らしいのです。見た目も役柄にぴったりだし、演技がまた驚くほど上手いし、おまけに歌の方も抜群です。これは過去の名歌手達と比べても充分並び立つ素晴らしさです。他の脇役達もとても達者で感心することしきりです。僕の大好きな第1幕の若い2人が恋に落ちるシーンの感動、終幕のミミの息絶えるシーンの悲哀さなどは観ていて涙がこぼれるほどです。

また、この映画は音楽伴奏にも手を抜くことなく、オペラの得意なビリーの指揮するバイエルン放送響の演奏が素晴らしい表現力で酔わせます。これはCDとして聴いても充分満足出来る演奏ではないかと思います。

この映画は恐らくは過去のあらゆるオペラ映画を越える完成度でしょう。どんなに素晴らしいオペラ公演とも違った音と映像とドラマの魅力を伝えてくれると思います。いずれDVDにも成るでしょうが、是非とも劇場の大スクリーンの迫力でご覧になられることをお薦めしたいと思います。しかしこれほどの名画が現在東京では新宿のタイムズスクエア1館のみの上映というのは寂しいものです。もっとも土曜午後というのに空席が目立っていましたから興行的には致し方ないのでしょうね。

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映画(音楽映画)」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん、こんばんは
この映画はBSハイビジョンで放送になり、私もしっかりAVCRECでDVDにとってあります(ところで、ロドルフォ役、もうちょっとハンサムな方がいいと思いません?)。
この曲、私のところにも幾つかの演奏録音がありますが、テバルディとベルゴンツィのものが今でも一番好きです。有名な「私の名はミミ」の前に歌うテノールのアリアで、一番高い音に声を上げる時の感じがベルゴンツィのものが好きですが、これは元々声の低いベルゴンツィの工夫の結果なのかもしれません。

投稿: HABABI | 2009年2月22日 (日) 21時10分

HABABIさん、こんばんは。

ロドルフォのビリャソンは確かにモンチッチのように見えなくもないですが、余り絵に描いたような美男子だと真実味が薄れるので私は適役だと思いましたよ。そもそも美女は撫男に惚れるものと相場が決まっていますし。(笑)

テバルディ&ベルゴンツィですか。セラフィン盤ですよね。私もあれが一番好きですね。最高です。もうひとつゲオルギュー&アラーニャのシャイー盤もお気に入りです。こちらは美男美女でおまけに夫婦というまるで嘘くさい組み合わせですが…(笑)

投稿: ハルくん | 2009年2月22日 (日) 21時26分

私も、昨年11月NHK・BSハイビジョンの特集「まるごとプッチーニ」での放送をDVDに録画して、よく楽しんでいます。
ドイツ・グラモフォンから発売されたサウンド・トラックのCDも持っていますが、映像が加わると全く印象が違います。
第3幕の雪の降る中での別れのシーン、そして第4幕の最後は胸に迫るものがあります。
おっしゃるとおり、オペラ映画として最も成功した一本だと思います。
映画なので一度は映画館の大きなスクリーンで見てみたいものです。

投稿: オペラファン | 2009年2月23日 (月) 13時43分

オペラファンさん、こんにちは。

我が家にはまだハイビジョン受信機が普及していないために、今回初めてこの作品を観ました。いずれDVDが出るから待とうかと多少は考えましたが、大スクリーンで見ておくのも悪くないかと思って劇場に足を運んだ次第ですが、やはり大スクリーンと大音響で鑑賞して良かったですよ。
それにしてもキスシーンにベッドシーンとネトレプコ・ファンにはたまらない演出でした。クソっ、ビリャゾンめ~!(笑)

投稿: ハルくん | 2009年2月23日 (月) 22時02分

こんにちは。

「ラ・ボエーム」は大好きなオペラです。
映画「ラ・ボエーム」があることを先日知り、見たいなと思っています。
でも僕は片田舎に住んでいるので、近くに映画館がありません(悲)。またBSでの放送も知りませんでした。

今回の記事とコメントを読ませていただくと何としても見たいと思うようになりました。

DVDが早く出ないかなと心待ちにしています。

投稿: よんちゃん | 2009年2月28日 (土) 11時32分

よんちゃんさん、はじめまして!
ようこそお越しくださいました。

ボエームは本当に良いですよね。映画は全国主要都市を順番に回るのでしょうから比較的お近くに来た時にご覧になれるといいですね。
DVDも必ず出るでしょう。私も購入してまた観たいと思っています。

それでは今後ともよろしくお願いします!

投稿: ハルくん | 2009年2月28日 (土) 20時08分

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