ボリショイバレエ「白鳥の湖」公演
今夜は来日中のロシア国立ボリショイバレエの「白鳥の湖」を観に行ってきました。会場は上野の東京文化会館です。寒い冬になってチャイコフスキーのバレエを生の舞台で観るのは楽しいものです。年末に「白鳥の湖」を観るのはこれで3年連続となりますが、一昨年はマリインスキー劇場バレエ、昨年はモスクワ音楽劇場バレエでした。
今年のボリショイのお目当ては何といってもプリマのスヴェトラ・ザハーロワです。C社のデジカメのTVCMでオデットを踊っているので御馴染みでしょう。さてその姿は予想を遥かに越えて美しかったです。すらりと伸びた肢体は白鳥というよりもフラミンゴか丹頂鶴みたいでした。それにしても何て細くて長い手足なのでしょうか。そしてあの繊細極まりない表現!オデットの役は彼女の為にあると言っても過言で無いのじゃないでしょうか。いやー素晴らしい!ジークフリート王子のウヴァーロフも背が高くがっちりしていて実にカッコいいので、彼がオデットを高々とリフトすると何とも見栄えがするのです。
ボリショイの舞台はもちろん老舗の素晴らしさなのですが、個人的には昔話の絵本をそのまま舞台にしたようなマリインスキーの方が好みです。コール・ド・バレエ(群舞)もマリインスキーにはちょっと適わないと思います。オーケストラは専属の楽団だったのは良いですが、随分と荒っぽい音でした。まあロシア的と言えないことも無いのかもしれませんが、もう少し繊細にやって欲しかったです。
ちなみに最後は悪魔がオデットを連れ去ってしまい王子が一人呆然とするという悲劇の終わり方のほうでした。私は「最後に愛は勝つ」(^^)のハッピーエンドが好きなのだけどなぁ。カーテンコールは盛り上がって凄かです。熱烈なファンがステージの前に殺到して拍手が鳴り止まず。さすがにザハーロワは本当に人気が高いですね。
さて、私が家で「白鳥の湖」を楽しむ場合にはDVDとCDの両方ですが、普段鑑賞しているディスクをご紹介させて頂きます。
マリインスキー劇場のDVD(2006年収録) これは指揮がワレリー・ゲルギエフ。オデットはロパートキナ。小柄の彼女は可愛いので好きです。ゲルギエフの振るテンポは完全にコンサート向きなので、ダンサーにとっては速すぎたり遅すぎたりと随分踊りにくそうな部分も見うけられます。なので純粋なバレエファンには必ずしも評判は良くないのだそうです。だが、私は純粋なバレエファンでは無いので大好きです。何故ならこれほど音楽的に素晴らしい「白鳥の湖」は無いからです。薄明るく淡い色彩の舞台も本当に美しいです。そしてマリインスキーのコール・ド・バレエの美しさ。これは生の舞台に接すると言葉にならないほどなのですが、DVDでも充分美しいです。話の最後も王子が見事に悪魔をやっつけてハッピーエンドの終わり方なので私は満足。この素晴らしいDVDは普段バレエを見ないクラシック音楽ファンにこそ是非観てもらいたいお薦め品です。
パリ・オペラ座バレエのDVD(1992年収録) マリインスキー、ボリショイと肩を並べられるのはパリオペラ座でしょう。ジョナサン・ダーリントン指揮。オデットはマリー=クロード・ピエトロガラでジークフリートはパトリック・デュポンという素晴らしい組み合わせです。10年前くらいはピエトロガラはシルヴィ・ギエムと並んで非常に人気が高かったけれど最近はどうなのでしょう。この上演版は最後に王子がオデットを抱いて湖に沈み天国へ登るという終わり方です。デュポンの演技が見事ですし演出もドラマティックで素晴らしいです。指揮とオケの方についてはパリのオケには最初から無理な相談なのですが、チャイコフスキーだけに本来は演奏にロシアの味わいが欲しいところです。
CDで「白鳥の湖」を聴く場合に、よく全曲盤は長過ぎると言う人が居ますが、私はそうは思いません。全曲で無いと聴いた気がしないのです。確かに単なる繋ぎの退屈な曲が無いとは言いませんが、何しろこの曲は数多くの魅力的なメロディの宝庫ですので絶対に全曲盤で聴くべきだと思います。
ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管のCD(2006年録音フィリップス盤) これはDVDとは別の録音なのですが、やはり素晴らしい演奏です。「白鳥の湖」をこれほど美しく詩情豊かに演奏した録音はかつて聴いた覚えが有りません。ド迫力を求めるファンも居るようですが、このいじらしい程に繊細な演奏を聴いてどうして感動できないのでしょうか。私には不思議でなりません。
ゲンナジ・ ロジェストヴェンスキー指揮USSR RTV Rarge Symphony Orchestra(早い話がモスクワ放送響)(1969年録音メロディア盤) 全盛期のロジェヴェン/モスクワ放送のコンビの演奏だけあってなかなか凄いです。耳をつんざく金管、躍動感溢れる切れの良いリズムが最高です。そしてミヒャエル・チェルニャコフスキーのヴァイオリン独奏がとても良いのです。コテコテのロシア節で土臭く弾いてくれて味わいが最高だからです。元々この曲の独奏パートはコンチェルトかと思うほどに技術的に難しく、並みのバレエ楽団のコンマスでは手に負えないのですが、この人はオイストラフかと思うくらいに上手に弾いています。こういう演奏を聴いてしまうと私はこの曲はロシアの楽団以外ではちょっと聴こうという気が起きなくなります。
以上は決してバレエ鑑賞が専門ではない私の勝手な意見ですので、その道の専門家から見たらおかしく思えることも有るかもしれません。その点はどうぞご承知置き下さい。
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コメント
スヴェトラ・ザハーロワの「白鳥の湖」を見る事が出来たとは何と幸運なのでしょう!
私は、彼女が2004年ミラノ・スカラ座に客演した時の映像のDVD(以前私のブログで紹介したはずである)を持っています。彼女の美しさを何と言葉で表現したらよいのでしょうか!第3幕で黒鳥オディールに扮して王子を見つめる眼の表情の凄さは何度観てもノックアウトされます。
投稿: オペラファン | 2008年12月 8日 (月) 00時17分
ハルくんさま お早うございます
「白鳥の湖」観られたんですね
一度だけバレエの伴奏をしたことがあります。「胡桃割り人形」でしたが〜。オケストラはもの凄く難しいです;; シンフォニーと比べると、チャイコフスキーはより熱が籠もっているように思います。
私も全曲盤の方が良いと思います。といってもスベトラーノフの全曲盤しか持っていないのですが〜。オーマンディ・フィラデルフィアの抜粋盤もよく聴きますが、やはり全曲盤の方が面白いですよね〜。
バレエは、全幕をまだ観たことがありません。これからの分野です(山ほどの分野が残っていますが〜)。
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 | 2008年12月 8日 (月) 06時11分
オペラファンさんコメントありがとうございます!
さすがはオペラファンさんですね。
実に細かいところまで見ておられる!
私などはあの長い手足ばかりに目が行ってしまいます。(苦笑)
おっしゃられるとおり黒鳥オディールに扮した彼女は本当に魅力的です。世の男性が理性を失ってしまうのもよく分かります。ジークフリート王子ならずとも騙されて惚れてしまいますよ!
えっ私?オディールでなくともすぐに騙されてしまいますが…(笑)
投稿: ハルくん | 2008年12月 8日 (月) 06時11分
rudolfさん、こんばんは。
いつもコメントありがとうございます。
バレエはイイですよ~。特に「白鳥の湖」が楽しいです。「くるみ割り人形」も良いですね。「ロミオとジュリエット」なんてのも。やはり音楽の充実しているプログラムのほうが観ていて飽きません。
スベトラーノフの全曲盤は聴いてみたいと思っているディスクです。まだ聴いていないのですよ。
投稿: ハルくん | 2008年12月 8日 (月) 21時47分
本日はお招きに預かり、厚く御礼申し上げます。
......ということで初登場です。緊張します。
一人だけへなちょこコメントですが、よろしくお願いします。
ザハーロワさん、本当にきれいでしたよね。思い出すだけでうっとりです。
こうして思い返すとオデット/オディールばかり目に浮かびますが、鑑賞中はひたすら王子の物語として観ていました。オデットが心から惹かれているのかどうか判らなくなるほど、王子の内面が深く掘り下げられていたように思います。
ハルくん様はハッピーエンドの方がお好みですか。
私は今回のラストが、物語としてはとても好きです。作品としてはちょっと尻切れとんぼな感じがしませんでしたか? こちらでは客席に「あれ、これで最後? 幕が下りたから終わり....かな」という一瞬の戸惑いがありました。
DVDではオペラ座のルテステュ&マルティネズ版がお気に入りです。でも今回のボリショイを見てこのグリゴロ版新演出の映像が欲しくなり、探しているところです。
ご、ごめんなさい! 調子に乗ってべらべらと....。
次は年明けのレニングラード国立バレエです。
投稿: すい | 2008年12月 9日 (火) 20時11分
すいさん、こんばんは!
お越し頂いてありがとうございます。へなちょこコメントだなんてとんでもないですよ。大体私のコメントが一番いい加減なんですから(^^)
そうですね、これはジークフリート王子の心の変化の話ですものね。ザハーロワさんばかりに目が行き過ぎてはいけませんね(反省…)
よく思い出せばウヴァーロフ君もさすがにボリショイのNo.1だけあって演技が素晴らしかったですね。(なんだ今ごろ!反省…)
私も同じように最後には戸惑いました。すぐにもういちど幕が上がるような気がしたほどです。
私はやっぱりハッピーエンドが好きです。これは満たされない現実の反動からの憧れかもしれません(苦笑)(^^)
オペラ座のルテステュ&マルティネズ版ですか?観たことありません。調べてみようかな。
レニングラードバレエにも行かれるのですね。バレエ三昧ですねー。ブログの感想楽しみにしています!
投稿: ハルくん | 2008年12月 9日 (火) 22時54分
オペラファンさん、TBを頂きましてありがとうございます!
ピエトロガラ/デュポンのオペラ座DVDもブルイメステル版ですし、そもそも昨年観たモスクワ音楽劇場はブルイメステル版の初演劇場なのですが、実際には同じ版といっても細かいところでは随分違います。それら色々の公演やDVDを見比べるのはバレエ鑑賞の醍醐味だと思いますが、観てみたいものがたくさん有って困ってしまいます。
投稿: ハルくん | 2008年12月10日 (水) 08時19分
残念ながら「白鳥の湖」の全曲はビデオやDVDでは持っていますがCDは持っていませんので、お恥ずかしい限りです。ハイライト盤は2枚あるのみです。ボニング指揮ナショナルフィル(デッカ)とモントゥー指揮ロンドン響(フィリップス)の2枚ですが、けっこう2枚とも気に入っています。
ボニング盤は全曲盤からの抜粋ですが、なかなかの演奏です。日本では評価の低い指揮者なので全曲盤が廃盤のままなのは残念です。このCDはジャケットのイラストが幻想的でたいへん美しいものでした。
モントゥーはフランス物で有名ですが、私はけっこう彼のロシア物が気に入っています。たいへん上品な演奏で大指揮者の棒にかかるとこうもちがうのかと思います。またモントゥーにはデッカに「眠りの森の美女」(抜粋)の録音もあり、私の大好きな録音です。しかしながら「くるみ割り人形」の録音がないのが残念です。
投稿: オペラファン | 2008年12月11日 (木) 16時43分
オペラファンさん、またまたコメントありがとうございます。
ボニングは聴いていません。モントゥーはチャイコフスキーも評判が良いしファンが多いですよね。ただ私はどうも偏執的なくらいに本場物が好きなので、チャイコだとどうしてもロシア演奏家に向いてしまいます。
投稿: ハルくん | 2008年12月11日 (木) 23時21分