ブラームスの室内楽 ヴァイオリン・ソナタ集 名盤
ブラームスの室内楽特集なのですが、「ピアノ三重奏曲」の次であれば「ピアノ二重奏曲」ということになるのですが、そのような呼び名は存在しませんので、「ヴァイオリン・ソナタ」あるいは「チェロ・ソナタ」や「ヴィオラ・ソナタ」がそれに該当することになります。
「ヴァイオリン・ソナタ」は正式に訳せば「ヴァイオリンとピアノの為のソナタ(Sonata for Violin and Piano)」です。それはチェロ・ソナタも、ヴィオラ・ソナタも同様です。どれも合奏曲の原型としての「ピアノ二重奏曲」です。などと言うと、なんだかへ理屈をウジウジ言っているように思われるでしょうが、まあこういうところがブラームジアーナーの性ということでご容赦頂きたいと思います。
さて、何故その中で最初にヴァイオリン・ソナタを選んだかと言いますと理由は簡単、ポピュラリティだけです。自分の好みで言えばあるいはヴィオラ・ソナタという線もあります。ただこの曲はクラリネット・ソナタの改作ですし、チェロ・ソナタにしても少々渋過ぎます。それに両者は作品が2曲づつですがヴァイオリン・ソナタは3曲有ります。2対2対3となればこれは変則タッグマッチ戦になりますから、数で有利なヴァイオリン・ソナタが最後は体力勝ちするのは間違い無いところです。まあこれは妥当な勝負判定でしょう。
ヴァイオリン・ソナタ第1番ト長調op.78 <雨の歌>
実に穏やかな佳曲です。ブラームス特有のドロドロさが無く、爽やかな印象なので若い時代の作品かと思いそうですが、れっきとした円熟期の作品です。それにしてもなんという詩情に溢れた音楽なのでしょう。<雨の歌>というタイトルは別としても、この曲を聴いていると、なんだか自分が詩人にでもなった気がしてきます。この曲の試演会には不倫恋人のクララ・シューマン夫人が同席したというが、ブラームスの彼女への恋慕心が曲に垣間見えるようです。
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調op.100
この曲もやはり穏やかな美しい旋律に満ち溢れた佳曲です。それもそのはずでブラームスがスイスの美しい自然の中で過ごした時に書かれた作品なのです。更にはこの頃ブラームスは歌手のヘルミーネ・シュピース嬢に恋していたそうです。(またか!)そんな心境が反映されているのでしょう。第1番と第2番を続けて聴くと最高のBGMになります。
ヴァイオリン・ソナタ第3番二短調op.108
この曲は1番、2番とはだいぶ曲想が異なります。穏やかさは影を潜めて、暗く内省的な部分と激しく高揚する部分とが交錯する、まさにブラームスの本領発揮の曲です。構成も4楽章でスケールが大きく、聴き応え充分です。なのでこの曲はちょっとBGMには不向きですね。
当然CDには3曲をまとめた物とそうでない物とが有りますが、まずは3曲揃ったディスクからご紹介させて頂きたいと思います。
<第1番~第3番>
ゲオルグ・クーレンカンプ(Vn)、ゲオルグ・ショルティ(Pf)(1947、48年録音/DECCA盤) クーレンカンプは戦前のドイツの名ヴァイオリニストで、本国ではアドルフ・ブッシュと並び人気が高かったのですが、録音が少ないせいか現在ではほとんど忘れ去られています。やはりドイツの伝統的なロマン性を存分に感じさせる演奏なのですが、ブッシュのいささか古めかしいスタイルと比べれば幾らかスタイリッシュな印象です。ピアノ伴奏がショルティというのはご愛嬌ですが、演奏は決して悪くありません。
シモン・ゴールドベルク(Vn)、アルトゥール・バルサム(Pf)(1953年録音/テスタメント盤) この人はフルトヴェングラーに認められ、20歳でベルリンPOのコンマスに就任したことで知られますが、戦前のバイオリニストにしては、非常に端正な弾き方をします。ビブラートもボルタメントも控え目です。技術をひけらかすような弾き方はしません。音楽にひたすら奉仕するようです。この3曲ではどれも緩徐楽章に惹かれます。情感が心に沁み入ります。しかし第3番の緊迫感も充分で、決して優しいだけの演奏ではありません。バルサムのピアノもとても良いです。この録音はDECCAによるものらしく、音質は優れています。(更に詳しくは<関連記事>を参照のこと)
レオニード・コーガン(Vn)、アンドレイ・ムイトニク(Pf)(1955,56年録音/Archipel盤:メロディア原盤) 歴代のヴァイオリニストで最も”音の切れ味と凄み”を感じるのがハイフェッツとコーガンです。しかし、このブラームスでは心行くまで楽器をたっぷりと鳴らして”歌うヴァイオリン”の魅力を味合わせてくれます。ロシアンスタイルそのものですが、ブラームスの音楽には、元々ジプシーのテイストが含まれていますので、決して場違いな演奏には感じません。1番、3番がモスクワのライブ、2番がロンドン録音ですが音に大きな差は無く、全てモノラルながら明瞭です。
ユーディ・メニューイン(Vn)、ルイス・ケントナー(Pf)(1956-57年録音/EMI盤) メニューインはある時期から音はカスれ、テクニックはヨレヨレでしたが、聞こえてくる音楽には説得力が有り、心に訴えかけて来ます。このブラームスは何とも人間的です。3曲の中では、第1番と第2番の穏やかな曲想は、メニューインに実に適しています。ブラームスの音楽の味わいを満喫できます。しかし曲想の激しい第3番も意外に素晴らしいです。暗い情熱を余すところなく表現しています。ピアノはハンガリー出身のルイス・ケントナーという人で、メニューインとはしばしば共演をしていました。録音は最初期のステレオ録音ですので優れているとは言えません。(更に詳しくは<関連記事>を参照のこと)
ヴォルフガング・シュナイダーハン(Vn)、カール・ゼーマン(Pf)(1957、60年録音/独グラモフォン盤) この人はウイーン出身の代表的なヴァイオリニストですが、バリリやボスコフスキー、ウェラーといったいかにもウイーン的な柔らかい音というよりは、だいぶドイツ的な音に近いように思えます。この演奏も謂わばウイーン/ドイツ折中型のイメージですので、ブラームスの音楽にとても自然にマッチしています。ただしゼーマンのピアノは重厚な純ドイツ風です。
ジョコンダ・デ・ヴィート(Vn)、エドウイン・フィッシャー(Pf)(但し2番のみティート・アプレア)(1954、56年録音/テスタメント盤) 純粋なイタリア娘(この時は既に47歳のおばさんですが)の弾くブラームスもなかなかに魅力的です。イタリアといっても北イタリアの生まれですのでスイスにほど近く、南国の脳天気な風土とはだいぶ異なったのかもしれませんね。事実この人はブラームスを得意にしていたそうで、この演奏でも違和感など感じさせないどころか、とても味わい深くブラームスを弾いています。フィッシャーのピアノは立派ですが少々ヨレているところもあります。
ヘンリク・シェリング(Vn)、アルトゥール・ルービンシュタイン(Pf)(1960年録音/RCA盤) 幸運にも僕はシェリングの弾く第1番の実演を東京で聴いた経験があります。それは柔らかくて澄み切った非常に端正で美しい音でした。CDで聴くともう少し硬い音に聞こえますが、それでもこの録音は素晴らしいです。ルービンシュタインが母国ポーランド出身の破格の実力を持つ無名ヴァイオリニストを世に紹介して2年後の再セッション録音ですが、ルービンシュタインが普段にも増して真剣に弾いていて、シェリングがそれに十二分に応える見事な演奏をしています。特に第1番と第3番が非常に素晴らしい出来ばえです。
アイザック・スターン(Vn)、アレクサンダー・ザーキン(Pf)(1960年録音/CBS SONY盤) シェリングと同じ年にスターンも録音を行っています。彼はウクライナ出身のユダヤ系のアメリカ人ですが、若い頃は端正な中にも力強い演奏をした素晴らしいヴァイオリニストでした。ですがこのブラームスのソナタの演奏に於いてはシェリングの完成度の高さと比べると、大きく水をあけられています。それでも第3番は中々に良い演奏だと思いますが、これは作品の曲想がスターンに向いている為だと思います。
グスタフ・シュマール(Vn)、ギュンター・コーツ(Pf)(1970年録音/Berlin Classics盤) これこそは本当の隠れ名盤です。ヴァイオリン愛好家の友人から東独エテルナのLP盤(1番&2番)を借りて知り、聴いたところ非常に気に入りました。戦後に旧東独として他国からの影響を受けずに伝統的な”いぶし銀”と称される音色を守り抜いていた時代そのものの演奏だったからです。これほど虚飾が無く地味なブラームスは聴いたことが有りません。しかし無性に心に沁みて来ます。コーツのピアノもぴったりです。エテルナによる音は未だ愛好家に支持され続けるだけあり、古雅な音色がCDからでも十分に伺えます。
ピンカス・ズーカーマン(Vn)、ダニエル・バレンボイム(Pf)(1974年録音/グラモフォン盤) ズーカーマンが26歳、バレンボイムが32歳の時の録音です。二人とも若く、飛ぶ鳥を落とす勢いの頃でしたので、この演奏には青春の息吹に溢れた清々しさが感じられます。ブラームスの円熟した渋さは有りませんが、旋律を美しく伸び伸びと歌い、ロマンティシズムが迸ります。しかし青臭さは微塵も見られずに、落ち着いた風格さえ感じられます。二人の相性も抜群です。今でも魅力が少しも減じることの無い素晴らしい演奏です。
イツァ―ク・パールマン(Vn)、ウラジミール・アシュケナージ(Pf)(1983年録音/EMI盤) 全体的にゆったりとしたテンポで耽美的なまでの美音を用いてたっぷりと歌わせるのはパールマンの真骨頂です。往々にして”哀しみ”よりは”幸福感”を強く感じさせるこの人のブラームスには以前は余り食指を伸ばされませんでしたが、最近では結構楽しめます。第3番での程良い緊張感と落ち着きのバランスの良さも光ります。アシュケナージのピアノも正にピッタリです。
オスカー・シュムスキー(Vn)、レオニード・ハムブロ(Pf)(1980年代録音/英Nimbus盤:米MusicMasters原盤)
ロシア系アメリカ人のシュムスキーは、戦前はソロや室内楽で活躍しましたが、戦後は教育者となり目立たなくなりました。ところが’81年に楽壇に本格復帰して数多くの録音を行うと再び脚光を浴びます。特にバッハの「無伴奏」は名盤として知られています。このブラームスも全体的に小気味よいテンポでありながら、味わい深く良く歌わせています。ピアニストも無名ながら堅実でとても良いです。
ゲルハルト・ヘッツェル(Vn)、ヘルムート・ドイチュ(Pf) (1992年録音/CANYON盤) ウイーン・フィルの名コンサートマスターだったヘッツェルがアルプスの山から転落して亡くなったのは悲劇でした。この人のソロ曲の録音は決して多く有りませんが、その最高の遺産と言って良いのがこの録音です。基本表現は美しく端正ですが、時にすっくと立ち上がるような勇壮さを感じさせます。男っぽいブラームスですが、心の中は優しさで一杯というイメージです。ピアノを弾くドイチュも堅実で非常に素晴らしいです。(更に詳しくは<関連記事>を参照のこと)
チョン・キョンファ(Vn)、ペーター・フランクル(Pf)(1995年録音/EMI盤) 韓国出身の突然変異の天才ヴァイオリニストです。この人も実際の生演奏に接したことがあります。彼女は若いときから基本的に端正な弾き方をしますが、時に彼女独特の粘りを見せます。それはアウアー流派の豊穣な音の粘り気では全くなく、例えば多分に精神的な朝鮮民族の「恨(ハン
ヨセフ・スーク(Vn)、パウル・バドゥラ‐スコダ(Pf)(1997年録音/チェコLOTOS盤) スークはとても端正な演奏スタイルで、曲によっては時に物足りなさを感じます。ブラームスのソナタは、若い時代のカッチェンとの録音、パネンカとの2番/3番の録音がありましたが、68歳になって、バドゥラ‐スコダと組んで全曲を再録音しました。若いころはビブラートの小さい細身の音でしたが、それが幾らか大きめになった結果、音が柔らかく太くなった印象です。しかし端正な歌い方は変りません。ウイーン出身のバドゥラ‐スコダのピアノも素晴らしいです。両者は若手の奏者には真似のできない大人の雰囲気を一杯に醸し出しています。(更に詳しくは<関連記事>を参照のこと)
ここからは3曲揃っていないディスクの紹介となります。
<第1番、第2番のみ>
アドルフ・ブッシュ(Vn)、ルドルフ・ゼルキン(Pf)(1931、32年録音/EMI盤) 古き良きドイツロマン派の伝統を受け継ぐ最後の偉大なヴァイオリニストが、幸運にも第1番と第2番の録音を残してくれました。いささか古めかしいポルタメントを多用したスタイルなのですが、逆に現在では絶対に聴くことの出来ない貴重な演奏なのです。これを単に「古い」と片付けてしまっては絶対にいけません。シューマン~ブラームス直系のこの限りなく深いロマンを心から味いたいと思います。第1番の終楽章では大きく揺れるように歌い上げていて白眉です。
ギドン・クレーメル(Vn)、ヴァレリー・アフェナシエフ(Pf)(1987年録音/グラモフォン盤) この鬼才コンビは実際には3曲を録音していますが、僕の持っているのは第1番と2番だけの1枚ものです。第1番では囁くような弱音で始終聴かせる極めて個性的な演奏であり、流石はこの二人と感心します。第2番も基本的に同様なスタイルです。こちらは元々曲想が静かですので驚きは小さめですが、それでもやはり普段聴いている演奏とは一味も二味も違います。
<第1番、第3番のみ>
ヨゼフ・シゲティ(Vn)、ミエチスラフ・ホルショフスキー(Pf)(第1番:1951年、第3番:1956年録音/MYTHOS盤) シゲティのブラームスのソナタは後述のフィリップス録音の2番は知られていますが、米コロムビアに録音した1番と3番が有ります。このディスクは初期LP盤からの復刻ですが、音質の良さに驚きます。柔らかく厚いヴァイオリンの音色がアナログそのものです。1番の人間味溢れる表情はどうでしょう。ボルタメントも小賢しさとは無縁で、自然な情感が心からにじみ出ます。2楽章のたっぷりとした歌は、聴き手の胸を打つことこの上ありません。3楽章も遅いテンポで、まるでエレジーのように哀しく聞こえたのは初めてです。第3番では、バイオリンの哀しい音色に惹かれます。ボルタメントが「泣き節」につながるのは、ハンガリーの演奏家に共通している点です。(更に詳しくは<関連記事>を参照のこと)
<第1番のみ>
イザベル・ファウスト(Vn)、アレクサンドル・メルニコフ(Pf)(2007年録音/ハルモニアムンディ盤) これは第1番だけの録音ですが、とても面白い1品があります。ホルン・トリオでもご紹介したイザベル・ファウスト嬢の最新録音盤です。これもバイオリンにはガット弦を使用していますし、メルニコフの弾くピアノは19世紀製のベーゼンドルファーです。どちらも素朴な音色で、果たしてブラームスの時代に響いていた音はこのようなものであったのかと思うと興味津々です。もちろん、こうした音のブラームスを好むか好まないかは聴き手次第です。
<第2番のみ>
ヨゼフ・シゲティ(Vn)、ミエチスラフ・ホルショフスキー(Pf)(1961年/Philips盤) これは第2番だけの録音ですが、僕がLP盤時代から愛聴している演奏です。その演奏の素晴らしさは正に比類がありません。何しろシゲティの師匠は第3番の初演を行ったハンガリーの大ヴァイオリニスト、フーバイです。つまりはブラームスの直伝のようなものなのです。いつもながら弓がかすれる部分も度々有りますが、音楽の余りの深さに圧倒されてしまい全く気になりません。ホルショフスキーのピアノもまた実に味わい深いです。よく評論家はシゲティの演奏を一般向きでないと言うことが多いですが、真の芸術を世に広め伝えるのが彼らの使命なのではないでしょうか。本当に良いと思うならもっと自信を持って薦めて欲しいものです。
ダヴィド・オイストラフ(Vn)、スヴャトスラフ・リヒテル(Pf)(1972年録音/メロディア盤) これも第2番だけのディスクで、モスクワ音楽院大ホールにおけるライブです。二人の巨匠は数多くの共演のどれもで、持てる力をぶつけ合うような白熱した演奏をしていますが、この愛すべき曲ではそれが両者が寄り添い合い、音楽を慈しむように優しく演奏しているのが印象的です。ただ、さしものオイストラフもシゲティの深さには及ばないように思います。メロディアの録音は音が硬いですが、明晰さは有ります。
ダヴィド・オイストラフ(Vn)、スヴャトスラフ・リヒテル(Pf)(1972年録音/オルフェオ盤) これは、前述の同じコンビの同じ年の録音ですが、モスクワ・ライブが3月で、このザルツブルグ音楽祭でのライブは8月です。従って基本の演奏解釈は変わりませんが、一層ゆとりが増していて、両者の音楽への慈しみが深まっているように感じられます。また、ORFの録音はメロディアよりも音に潤いが有り、この曲にはプラスに思います。従って、どちらを好むかと言えば、迷わずオルフェオ盤を選びます。
<第3番のみ>
ヤッシャ・ハイフェッツ(Vn)、ウイリアム・カぺル(Pf)(1950年録音/NAXOS盤:原盤RCA) 魔人ハイフェッツと超人カぺルの共演という歴史的な演奏ですが、期待に違わず凄まじい演奏で、壮絶さで言えば後述のオイストラフ/リヒテルと互角です。しかしハイフェッツの颯爽と小股の切れ上がった音と弾き方が、ブラームスのあのウジウジした暗い音楽との間にやや隙間を感じます。ロマンティックで懐古的ではあるのですが、これは聴き手の感じ方次第かもしれません。これはアナログ盤からの板起こしですが、サーフェイスノイズも少なく素晴らしい音質です。
ダヴィド・オイストラフ(Vn)、スヴャトスラフ・リヒテル(Pf)(1968年録音/メロディア盤) これは第3番だけのディスクです。第2番以上に二人の巨匠に向いているのは3番のほうだと思います。LP盤時代には気に入ってよく聴きました。ですが今改めて聴くと、ロシアの巨人同士の演奏はブラームスの音楽にはちょっと規格外のような気がします。弾き方がオーバー過ぎるように感じますし、終楽章のバリバリと弾く迫力などは尋常でありません。これがコンチェルトだったらまだ良いのかもしれませんが。
さすがにブラームスのバイオリン・ソナタは名曲だけあって実に多くの名盤が揃っています。中でも僕が特に好きなのは、3曲揃えた組み合わせですと総合点でシェリング/ルービンシュタイン盤、いぶし銀のシュマール/コーツ盤、それに晩年のスークとバドゥラ=スコダの共演盤、メニューイン/ケントナー盤、ズーカーマン/バレンボイム盤あたりです。
分割であれば、第1番/第3番と第2番とが分かれますがシゲティ/ホルショフスキー盤で決まりです。
さて、皆さんのお好きな演奏はいかがでしょうか?
<関連記事>
ゲルハルト・ヘッツェル盤、ヨゼフ・スーク再録音盤
ヨゼフ・シゲティの1番と3番、シモン・ゴールドベルク盤
ユーディ・メニューイン盤
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コメント
ハルくんさま お早うございます
ブラームスのヴァイオリン・ソナタも、本当に多くをお聴きになっていますね〜。
私は、好きなヴァイオリニストの一人であるスークのCDを持っているくらいです。
いずれの演奏も、その演奏が思い浮かぶように、上手く書かれていて、読んで楽しかったです。
私としては、ブッシュ・ゼルキン盤、シェリング・ルービンシュタイン盤に興味があります。少しずつ集めて行ければと思っています。参考にさせていただきます。
ミ(`w´彡)
投稿: rudolf2006 | 2008年12月19日 (金) 08時23分
rudolfさん、こんにちは。
コメントをどうもありがとうございました。
ブラームスのVnソナタはCD1枚で3曲楽しめるものが多いので、つい手が出てしまうのですよ。本当はまだまだ聴きたいものが有るのです。特に80年代以降の奏者は余り聴いていないので結構良いものを逃していると思います。古い演奏家の方がたいてい好みなのは確かなのですけれど。
お持ちのスークはDECCA盤ですか?スークの音は線が細過ぎに感じることが多いのですが、その凛々しさが逆に魅力なのですよね。実はそのCDも欲しいなぁと思っています。
投稿: ハルくん | 2008年12月19日 (金) 12時45分
おはようございます。
これらの曲は、最初、オイストラフの演奏で聴きました。今でも、多分一番好きな演奏だろうと思います。意外といい演奏だと思うのは、ムターとワイセンベルクのものです。ピアノがバラバラと弾く中で、大柄な感じのヴァイオリンが歌って行きます。二人のテンポ感がピッタリ来るのか、それぞれマイペースなのでしょうが、変に息があっています。ゆったりした雰囲気の中で、曲と演奏者の個性を感じながら時間が過ぎて行きます。
投稿: HABABI | 2008年12月20日 (土) 08時56分
HABABIさん、コメント頂きありがとうございました。
オイストラフはあれほどの演奏ですからね。好き嫌いは有るにしてもちょっと忘れることの出来ない演奏です。
ムター/ワイセンベルク盤は変に(?)息が合って意外に(?)良いですか。(笑)
ムターは昔はカラヤン伴奏(主奏?)のVn協奏曲や二重協奏曲などを良く聴きましたが、いつ頃からか全く聴かなくなってしまいました。でも久々にその後の録音を聴いてみたい気がしました。
投稿: ハルくん | 2008年12月20日 (土) 10時46分
ハルくんさん、こんばんは!
ブラームスのヴァイオリン・ソナタはうぐいすも好きです。比較的頻繁に聴くのは1番あたりでしょうか。デ・ヴィートの明快かつ抒情的な音色や、シェリング/ルービンシュタインの端正な演奏もいいですね。オイストラフ/リヒテルのは若い頃よく聴きましたが、最近は聴かないです。あと、ここに挙げられてないものでは意外とデュメイ/ピリスのも悪くなかったです。また、妖しい魅力のクレーメル/アファナシエフはたま~に聴くとなかなか面白いです。いつも聴くのはちと疲れますが(苦笑)。
投稿: | 2008年12月20日 (土) 18時23分
あっ、名前が抜けた・・・
もっ、申し訳ありません・・・
投稿: うぐいす | 2008年12月20日 (土) 18時25分
うぐいすさん、こんにちは。
コメント頂きありがとうございました。
私は80年代以降の最新盤?には聴きたいものが多く残っています。デュメイ/ピリス、クレーメル/アファナシエフ盤などは筆頭ですね。でも古いものでもコーガンやゴールドベルクなども聴きたいし…。
お金と収納スペースがほしいよ~!(笑)
投稿: ハルくん | 2008年12月21日 (日) 08時41分
私もrudolfさんと同様に持っているこの曲のCDの種類が少なく、スーク(Decca)とムローヴァ(Philips)の2種類のみです。
私は結構ムローヴァの演奏が好きで、このCDを聴く機会が多いです。ただ純ドイツ的表現からは対極の表現だと思うので、ハルさんが数多く挙げられているCDの中から1つ選んで聴いてみようかと思います。やはりブッシュが一番純ドイツ的な表現でしょうか?
曲自体がブラームスにしては明るいので、晩秋に聴くよりも初夏頃に聴くと気分が爽やかになっていいですね(特に第1番は)。
投稿: たろう | 2008年12月21日 (日) 11時50分
たろうさん、コメントありがとうございました。
ブッシュは録音、表現が古いのと3番が欠けていますのでドイツ的というならシュナイダーハンの方をお薦めします。
ですが私の一押しはやはりシェリング盤です。彼は子供の頃にドイツでカール・フレッシュからヴァイオリン技法を徹底的に叩き込まれていますから、もっと広い意味で正にヨーロッパの伝統を引き継いだ名手と言えます。
投稿: ハルくん | 2008年12月21日 (日) 12時03分
ハルさん、オススメのCDを教えて頂き、有り難うございます。
確かに正統なドイツの表現を伝えているのはシェリングかもしれませんね。
べートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のCDを聴いているとそれがよくわかります。
今度シェリングの演奏を聴いてみようと思います。
ありがとうございました。
投稿: たろう | 2008年12月21日 (日) 12時46分
ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集では、
シモン・ゴールドベルク(Vn)とアルトゥール・バルサム(Pf)コンビ(テスタメント)も、ぜひ、紹介する候補にお加えください。
ぐっと胸にくる演奏です。初めて聴き終わったとき、言葉を失いました。
当家の王座にながく君臨する名盤です。
投稿: ViolinPaPa | 2011年4月 9日 (土) 20時01分
Violin PaPaさん、ようこそお越し下さいました。
ゴールドベルクとバルサム盤は試聴したことは有りますが、良い演奏だという印象でしたね。以前から機会あれば購入してちゃんと聴きたいと思っていました。貴重なコメントをありがとうございます。
最近気に入っているのは、この記事の後に購入した、ヨゼフ・スークのデジタル再録音盤です。これは大穴名盤だと思いました。http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-1d54.html
投稿: ハルくん | 2011年4月 9日 (土) 20時12分
コメントありがとうございます。
ヘンリク・シェリング(Vn)、アルトゥール・ルービンシュタイン(Pf)の演奏も、とっても好きです。愛聴しております。
オススメのスークのデジタル再録音盤や、ゲルハルト・ヘッツェル(Vn)&ヘルムート・ドイチュ(Pf)盤はぜひ、聴いてみたいと思います。(ヘッツェルさんは大好きな演奏家でした。) 貴重なコメントありがとうございました。
投稿: ViolinPaPa | 2011年4月10日 (日) 11時47分
ViolinPaPaさん、こちらこそありがとうございます。
ブラームスのソナタは3曲とも名曲中の名曲ですからね。良さそうな演奏は色々と聴きたくなってしまいますよね。
今後ともお気軽にコメント頂ければ嬉しい限りです。
どうぞよろしくお願い致します。
投稿: ハルくん | 2011年4月10日 (日) 12時11分
ハルくんさん、こんばんは。 最近、ブッシュとゼルキンの シューマンの ソナタが聴きたくて Music&Artsの4枚組CDを購入したのですが、シューマンはもちろん、そのほかの バッハ、ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスの演奏も素晴らしくて ここのところ毎日、この4枚組CDを聴いています。(笑) 特に ブラームスの第3番が聴けるのが嬉しいです。(しかも 39年と49年の 2つのライブ演奏) 私は ブラームスのヴァイオリン・ソナタは シェリング/ルービンシュタイン盤で聴いていたのですが、ブッシュで聴くと より深く、ブラームスの心の内が分かるように感じました。第2楽章など この二人にしか出せない味わいとオーラがあります。 私は ますますブッシュとゼルキンが大好きになりました。
投稿: ヨシツグカ | 2012年11月 5日 (月) 21時55分
ヨシツグカさん、こんばんは。
ブッシュとゼルキンのMusic&Artsセットを購入されましたか。非常に気に入られたご様子で良かったですね。
ブラームスのソナタ3番は僕は聴いていません。聴いてみたいですね。
シェリング/ルービンシュタインはリファレンスとして素晴らしいと思いますが、ブッシュとゼルキンの強烈な個性はやはり凄いですよね。
投稿: ハルくん | 2012年11月 5日 (月) 22時34分
こんばんは。
貴blogに紹介されてるのを知らず、昨日中古屋でオイストラフ/リヒテルという銘柄に魅かれ試聴→購入。チャイコフスキーVn協奏曲みたく、芯の在る音色で大変気に入りました。
>弾き方がオーバー過ぎるように感じますし、終楽章のバリバリ弾く迫力などは尋常~
シェリングの太くて艶の在る音色が大好きですし、ルービンシュタイン盤も探します。
投稿: source man | 2012年11月18日 (日) 22時45分
source manさん、こんばんは。
オイストラフ/リヒテル盤は凄い演奏ですね。ただ、記事にも書きましたが、これでは余りに凄過ぎるように感じます。
個人的にはやはりシェリング/ルービンシュタイン盤が好きです。
ともかくは色々と聴き比べてみて下さい。
投稿: ハルくん | 2012年11月18日 (日) 23時55分
ハルくんさん、こんばんは。
最近、友人に頼まれてヴァイオリン・ソナタ第2番の第1楽章を練習しています。ヴァイオリンよりもピアノの方が何倍も難しいです。ほとんどピアノ・ソナタです(笑)。徹底的にすれ違うヴァイオリンとピアノが楽章の最後で初めて重なり、デュエットを歌う愛の曲ですね!弾いていると幸せな気持ちが溢れてきます。
シェリング&ルービンシュタインは僕も持っています。いい演奏ですね。他にもいくつか持っているんですが、ピアノとヴァイオリンそれぞれが奏でる音楽に最も違いが少ないのがこの2人の演奏でした。この頃の室内楽は本当に素晴らしいと思います。
それにしても、ハルくんさんの聴き込み量は凄いですね!ブラームスがお好きなんですか?
投稿: ぴあの・ぴあの | 2013年7月17日 (水) 00時20分
ぴあの・ぴあのさん、こんばんは。
ブラームスのピアノ入り室内楽作品は、大抵ピアノパートが難しく書かれていますね。ブラームス自身が名ピアニストだったからでしょう。
第2番の第1楽章、イイですよね。正に「愛の歌」ですね。ホントに幸せな気持ちになります。
シェリング&ルービンシュタインは大好きですよ。3曲の出来栄えが非常に揃っているという点でも最右翼だと思います。
ブラームスは非常に好きですね。自称ブラームジアーナーですから(笑)
毎年秋になるとブラームスをまとめて聴くことにしています。この人の音楽はやっぱり秋に一番似合うと思っていますので。
投稿: ハルくん | 2013年7月17日 (水) 01時02分
DG原盤のまだ若かりし頃の、ズッカーマン&バレンボイムの全集、割りに好んでおります。青臭い、しみじみとした深味に乏しいと評される方もいらっしゃるかとは、存じます。でも、この録音に盛り込まれた瑞々しい感性、伸びやかに繰り広げられる弾きっぷり、惹かれるものが在ります。
投稿: リゴレットさん | 2020年5月10日 (日) 19時54分
リゴレットさん
ズッカーマン&バレンボイムはむしろヴィオラ・ソナタ集を昔愛聴していました。枯れた感じよりもロマンティックさが強く感じられて好きでしたね。ヴァイオリンは良くは憶えていませんが、本業ですしやはり良いでしょう。
改めて聴き直してみたい演奏の一つです。
ありがとうございます。
投稿: ハルくん | 2020年5月14日 (木) 10時55分