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2008年12月 4日 (木)

ブラームス 交響曲第3番 クルト・ザンデルリンク/ウイーン響の新盤

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ブラームスの室内楽特集を続けている途中ですが、先日クルト・ザンデルリンクがウイーン交響楽団を指揮したコンサートのライヴCDが発売されました。もっとも新盤といっても、これは1997年の録音です。なにしろ、僕にとっては『ブラームスといえばザンデルリンク。ザンデルリンクといえばブラームス。』と言えるほどの存在ですし、この人のシュターツカペレ・ドレスデン(ドレスデン国立歌劇場管)との全集盤が昔からどれほど好きかは以前の記事でお話しした通りです。ザンデルリンクのブラームスは、この他にもベルリン交響楽団を指揮した1990年の全集録音が有ります。しかし僕は、ドレスデン盤のほうが遥かに好きなのです。そしてドレスデン盤の中でも3番と4番の演奏は特に優れていると思います。ですので、今回新盤が出るとはいえ、正直あのドレスデン盤を越える可能性は99%無いだろうなとは思っていました。それでも聴くのを非常に楽しみにしてしまうのがファンたる所以です。

こうして、新盤をいよいよ聴いてみましたが、最初の十数小節でほぼ答えは出たようです。「うーん、これは駄目だ・・・」
ウイーン交響楽団がドイツの楽団のような分厚い響きを出すとは思いませんが、中音部が痩せていて金管とヴァイオリンが目立ち過ぎます。これはいつものザンデルリンクでは有りません。テンポもベルリン盤と同じくらいのはずなのに、いやに遅く感じます。ベルリン盤でも遅過ぎてもたれると思いましたが、あれは聞きようによってはスケールの大きさを感じないでもありません。ですが、このウイーン響盤は本当にもたれます。響きにも充実感が余り感じられません。恐らく有機的なハーモニーに成っていないからでしょう。これなら、まだベルリン盤のほうが良いと思います。それにしても不思議なのは、同じ1997年にはエレーヌ・グリモーが独奏を弾くピアノ協奏曲第1番の録音が有りますが、あの演奏はシュターツカペレ・べルリンが分厚く充実した音を出していて凄かったです。ですから、単に「年老いた」とかいうことでは説明が付かないのです。オケの違い?なのかもしれません。ウイーンの楽団は第2番を除いては決してブラームスの音に向いていないと思うからです。この新盤はザンデルリンクのファンの人には余り期待して聴いて欲しくはありません。ドレスデン盤の素晴らしさを知っている人は恐らく期待を裏切られると思うからです。

でもそれはそれとして、第3番は本当に良い曲です。どこを取っても渋い響きで最もブラームスらしいのでは無いでしょうか?第1楽章や終楽章の内向的な秘めたる情熱の燃え上がりも素晴らしいですが、第2楽章の静かな歩みのほの暗いロマンや第3楽章の哀愁漂う名旋律もたまりません。個人的にはブラームスの交響曲の中では最も好きかもしれません。

<後日記事>
ブラームス 交響曲第3番 名盤 ~ブラームスはお好き~

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ブラームス(交響曲第1番~4番)」カテゴリの記事

コメント

私はふだんクーベリック/VPOで聴いてますよ。他にヴァントも悪くないと思います。クライバーの3番が出ていればなあ、と思ったりもします。でも、この曲そのものが好きなので、誰の演奏でもいいや、というのも正直なところです。4番と甲乙つけがたいと思っていたのですが、年経るごとに3番が恋しくなってきました。この曲は本当に「ヘ長調」と名乗ってよいのか?なぜ短調で終わるのか?だんだん近い気持ちになってきた感じです。「クリスマス初見大会」というイベントでやったことはありますが、ちゃんとした演奏をする機会が死ぬまでに一度でもあるだろうか・・・と思ってしまうほど愛しい曲です。

投稿: かげっち | 2008年12月 4日 (木) 13時08分

かげっちさん、いつもコメントありがとうございます。

>この曲そのものが好きなので、誰の演奏でもいいや、というのも正直なところです

ええ、自分の記事を後で読み返したら随分ケチばかりつけているなぁ、とあきれ返りました。(苦笑)
おっしゃるとおりに、どの演奏でも良さをみつけて味わう余裕を失ってはいけませんね。少々反省をしております。
でもザンデルリンクとイッセルシュテットは良いですよ~(コラっ、また始まった!)(笑)

投稿: ハルくん | 2008年12月 4日 (木) 20時14分

こんばんは。初めてコメントさせていただきます。

ザンデルリンクのブラームスは本当に最高ですね。SKDもBRSOも大好きです。

クナは56年と63年の演奏はいかがでしょうか?私はお挙げになっている若い頃の演奏よりもはるかに深みがあり、特に63年の演奏は他の追随を許さない名演だと思っています。
http://dokuoh.blog35.fc2.com/blog-entry-205.html

ところで、シューリヒトのブラ2などいくつかTBさせていただきましたが、反映されていないようです。もう一度試してみます。

投稿: dokuoh | 2008年12月 5日 (金) 00時10分

dokuohさん、お越し頂きましてありがとうございます!これから宜しくお願いします。

56年はSKDでしたね。クナにしてはだいぶ普通の演奏に近く抵抗感は少なくなりました(オケのせいかも)。ただそれでも特に好きな演奏と言うほどでは有りません。
実は63年は聴いていないのですよ。それ以前の3番、4番の演奏を聴いて私の中ではクナのブラームスは好みで無いと決めつけていた為です。でも考えてみれば1960年辺りから後の演奏はクナが最も素晴らしくなる時期ですから改めて聴かなければいけないですね。

シューリヒト他のTBは大変嬉しいです。是非もう一度試みて下さい。お願いします!

投稿: ハルくん | 2008年12月 5日 (金) 06時03分

dokuohさん、追伸です。
63年RSOS盤をさっそく購入して聴きました。但しヘンスラー盤です。
正直言いまして、聴後の感想は基本的にそれ以前の演奏と変わりませんでした。ワグナーやブルックナー演奏のように部分部分の積み重ねの手法なので造形感が生まれません。ある意味フルトヴェングラーのブラームスの場合と同じです。巨大であって巨大でない。遅いテンポがもたれます。全体に寂寥感が増しているのは非常に良いのですが、金管の咆哮は従来と変わらないですし、やはりワーグナーを聴いている気分になります。
以上、私の個人的な感想です。クナのワーグナーやブルックナーは最高だと思っているのですけれども。

投稿: ハルくん | 2008年12月 6日 (土) 23時50分

久しぶりにコメントを書かせて頂きます。
恥ずかしながら、このブログでこの新譜(ザンデルリンク=ウィーン響のブラームス)を知りました。
ハルさんがこの演奏を聴かれて、失望をされているのは、実際にこのCDを聴かなくても(本当はきちんと聴くべきですが・・・)何となく想像できます(笑)。
ザンデルリンクという指揮者のCDは、当たり外れが多いな、と個人的に思います。
以前、購入したフィルハーモニア管とのベートヴェンの『英雄』は、かなり期待し、意気込んでCDを聴きましたが、オケの響きの薄さにがっかりした覚えがあります。
この指揮者は、オケとの相性が大切ですね。
指揮者によってはオケが一流だろうが、二流だろうが、お構いなしにその指揮者の個性がにじみ出る人(例えば、シューリヒト)がいますが、ザンデルリンクはどうもそういうタイプではないようですね。

私のブラームスの第3交響曲の愛聴盤は、やはりザンデルリンク=SKDです。

投稿: たろう | 2008年12月14日 (日) 22時47分

たろうさん、お久しぶりです!

お好きなブラームスなのにコメントがしばらく無かったので心配していました。お元気そうで何よりです。(笑)

おっしゃるようにザンデルリンクは曲やオケとの相性が結構有るようです。このウイーン響盤もウイーンの楽団の澄んだ音色の好きな方なら気に入るかもしれません。しかし私は以前にも書いたように、ブラームスに関しては絹ごし豆腐の味わいのウイーンフィルよりも木綿豆腐の味わいのドレスデンの音色が好きな人間なのでこの演奏は今ひとつなのです。

投稿: ハルくん | 2008年12月14日 (日) 23時03分

おはようございます。昨日はブロムシュテットのブラームス2番と3番を聴きにいきました。N響定期公演です。3番と4番の組み合わせではなく2番と3番の組合せ、しかも私の大好きな3番が休憩の後に演奏されるという私としては小さな音で終わる曲でコンサートを終える仕掛けは大好きなのであります。ブロムシュテットは両曲とも録音していないはずでその意味でも大変興味深いものでした。しかし86歳でこんなに若々しいブラームスが聴けるだけでもありがたいことです。2番には大変感心したものの3番はいい演奏ですが私の思いとは違っていました。やはり硬派の演奏なのです。家に帰ってから5種の演奏を聞き直し私にはスイトナーの演奏が一番に感じられました。同種の演奏としてはバーンスタインとバイエルン放送交響楽団のものがあります。どちらも暖かい演奏で優しさが全面に引き出ているのです。いやあ、ブラームスの3番のシンフォニーって本当に難しい曲であり演奏するのもむずかしいのですねえ。そのことが身に染みた今日の演奏会でした。長文になってしまいすみませんでした。

投稿: まつやす | 2013年9月23日 (月) 10時36分

まつやすさん、こんにちは。

自分もブロムシュテット/N響のブラームスは聴きたかったのですが、今週は都合がつかずに残念でした。

3番のほうは「硬派」の演奏でお気に召しませんでしたか?ザンデルリンクやイッセルシュテットの演奏が好きな自分の好みには合いそうな気がします。でも、しなやかさのあるスイトナーも素晴らしいですね。

地味で渋さの濃い3番の演奏は難しいでしょう。その分、ブラームスファンにとってはたまらない曲なのですが。

投稿: ハルくん | 2013年9月24日 (火) 12時20分

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