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2008年9月23日 (火)

プラハ室内歌劇場 2008日本公演 モーツァルト「魔笛」 

Pic169v_835e83c83g838b89e6919c8fe38日曜日に上野文化会館までプラハ室内歌劇場の来日公演を観に行きました。演目はモーツァルトの歌劇「魔笛」です。「魔笛」の実演を観に行くのはたぶん二十年以上ぶりです。昔は家でレコードを(CDでは無く)良く聴きましたし、ビデオ(DVDでは無く)でも良く観て楽しみました。最近は滅多に聴くことが無くなりましたが、生の公演に接するのはやはりとても楽しみでした。

指揮はマルティン・マージク。チェコ出身のまだ若い世代の指揮者ですが、歌劇場を主体に活躍しているようです。日本にも過去来日したことが有るようですが自分は知りませんでした。舞台演出はマルティン・オタヴァで、やはりチェコの演出家です。バイロイトでも演出を手掛けた(但しモーツァルト)経歴が有るそうですががやはり知りませんでした。

さて、いよいよあの胸躍る序曲が始まりました。古楽器使用のオケでは無いのですが、ビブラートを極力抑えた所謂「古楽器的な弾き方」です。その意味ではこの室内オケは中々に良いです。ただ最初のうちは音がまだまとまりに欠けていました。

Pic169v_835e83c83g838b89e6919c89e82舞台に次々に出てくる歌い手はチェコ出身の歌手がほとんどでしたが、これはまずまずでした。演出が奇をてらったものでないので自然に楽しめるところが嬉しいです。僕は最近はやりの前衛的な演出はどうも苦手だからです。夜の女王は第一幕の最高音がかすれたりはしましたが、全般的にまあまあというところ。他の歌手もまあまあ楽しめはしました。

ところが、休憩をはさんで第二幕に入ってからは、にわかにオケの音が美しく溶け合うようになり、歌手の出来も随分と良くなったので、すっかり舞台に惹きこまれました。歌手の誰かが突出して優れていることも無い代わりにデコボコが無く、自分としてはみな合格点と言って良いです。最後はすっかり「魔笛」を楽しめました。やっぱり「魔笛」は良いなぁ~!

943_3そして一日置いて家で「魔笛」のCDを久々に聴いてみたくなり、取り出したのは一番好きなスイトナー/ドレスデン歌劇場盤(オイロディスク/DENNON)です。最近主流の早いテンポの演奏を聴いた後だと意外にゆっくりに感じます。昔はこれでも随分早く感じたものなのですが。しかしこの演奏は好きです。きりりとしているのに楽器が溶け合って音が実に柔らかいのです。さすがはドレスデン。特にヨハネス・ワルターの吹くフルートは絶品です。このオペラではフルートは非常に重要な役割ですが、ワルターのフルートときたらまさに魔法の笛です。この人はいつも驚くほど大きくビブラートを効かせますが、音が実に柔らかく、まるでフラウトトラヴェルソみたいです。当時のドレスデンのトップ奏者の音の魅力はウイーンフィル以上だったと思いますが、中でもワルターは本当にほれぼれするほど上手です。この録音は歌手陣が決してベストとは言えないですし、皆歌い方が真面目すぎるとも感じます。けれどもオケも歌手も合唱も皆ひとつに溶け合って、実に伝統的で魅力的な演奏を聞かせてくれます。ですのでやっぱり一番好きな演奏です。

でも他にも好きな演奏はいくつか有りますので揚げておきます。

・ベーム/ベルリンフィル盤(DG)。ドイツオペラを得意とするベームの指揮は造形が立派で素晴らしいのですが、なんと言ってもドイツの名テナー、フリッツ・ブンダーリッヒの歌うタミーノが聞けるだけでかけがえが無い演奏です。ブンダーリッヒの歌はドラマティックで凛々しくて、本当にほれぼれします。

・サヴァリッシュ/バイエルン歌劇場盤(EMI)。オケの音がかっちりし過ぎて時々無機的に聞えるときもありますが、歌手全体はこれが一番好きです。パパゲーノのワルター・ベリーが最高だと思います。シュライヤーもタミーノを何度も歌っていますが、この頃が一番だと思います。夜の女王のエッダ・モーザーも抜群に良いです。

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モーツァルト(歌劇)」カテゴリの記事

コメント

いよいよ魔笛ですか!しばらくチェコ方面に話題がいっていましたがやっとパパゲーノの出番ですね!文館で魔笛とはGREAT!そもそもこのオペラは不思議ですね。いわゆる筋書きがありそうでない。フリーメーソンの精神性を表現したということだが、人生の機微をこれほど豊かに表現した芸術作品が他にあるだろうか!だからパパはいつもこのオペラについては演奏を語らない。その指揮者、歌手、合唱団や楽員一人ひとりまで人生を語ってほしいなぁと思います。夜の女王の扱い方もはじめは悲劇のヒロインですが、あとでそれが悪者になって滅びてしまいます。でもパミーナも含めて「女の性(さが)」を感じます。女は恐ろしいですがかわいいものですね!

投稿: パパゲーノ | 2008年9月23日 (火) 16時05分

もうイッチョいっちゃいます。ところでパパは今クラシックギターをたしなんでいるのですが、ギターの有名な曲に「魔笛の主題による変奏曲」というのがあるんだけど知っていますか?Fソルが書いたものが一番有名ですが、当時は作曲家が好んで取り上げたようで、ジュリアーニやカルリ、カルカッシまでもが同じ素材で変奏曲を書いています。かのベートーベンもチェロ曲で第一幕後半のパミーナとパパゲーノの有名な二重唱「恋を知るほどのお方なら」を主題に変奏曲を書いていますがソルの主題はどこかと考えてもなかなかでてきません。有名なアリアが山ほどあるのにソルはパミーナを救いにいったパパゲーノがモノスタトスと出会い、びっくりしたときの直前の軽い音楽を取り上げています。どうしてこんな一瞬のメロディーを取り上げたのでしょうか疑問が残ります。ジュリアーニはパパゲーノの「妙なる鈴の音」から変奏曲に仕立てています。当時流行したこのオペラからの引用はおそらく相当な数に上ったため、このようなちっぽけな旋律にして、「魔笛」の威光を借りることにしたのではないでしょうか。そのほうが楽譜が売れるもんね。このモーツァルト最晩年の力作はそれほど世界中の音楽家から愛されたのです。メロディーのまさに宝庫ですね。ところで私の愛聴盤はオットークレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団、ワルターベリーのパパゲーノが抜群。DVDではサヴァリッシュの名演、アライサのタミーノがまさに王子!でもハルくんのように生で見たいものです。うらやましい!

投稿: パパゲーノ | 2008年9月23日 (火) 16時26分

さすがはパパゲーノさん。「魔笛」の話題になったら大登場ですね!(笑)

ザラストロの一派が果たして愛と真実を唱える世界平和団体(フリーメーソン)なのか、あるいは単なる新興宗教団体なのかは判りません。しかしザラストロが生娘を拉致してなんだかんだと理屈を並べて母親の元に返さないのは事実です。ですので夜の女王が、わが子の人さらいの教祖を憎しみ恨むのは大いに理解できます。
それに、娘との婚姻までを約束してもらい救出に向かったはずなのに、コロッと裏切る王子のなんと言う節操の無さ!これでは昼メロ連ドラ以下ではないでしょうか?この話の人生模様というのはそんなものです。さすればモノスタトス君も端役として実にいい味を出していますよね。

クレンペラー盤はノーマークでした。ここでのワルターベリーのパパゲーノも是非一度聴いてみたいですね。ところでこの録音はセリフ無しではなかったですか?ジングシュピールにセリフが無いというのはちょっと抵抗有るかなぁ。

投稿: ハルくん | 2008年9月23日 (火) 22時13分

私はベーム指揮ベルリンフィル盤(何と言ってもヴンダーリッヒのタミーノ)を横目で見ながらサヴァリッシュ盤をよく聴きます。
パパゲーノやフィガロはどうしてもヘルマン・プライが我が国では評価が高い様ですが
私は両方の役もワルター・ペリーが上と思っています。1966年のザルツブルグ音楽祭でのベーム指揮「フィガロの結婚」のDVDで見る事の出来るフィガロ役の男っぷりの素晴らしさ!
クレンペラー盤はクレンペラーのスケールの大きい指揮振りも聴き物ですが3人の侍女役にシュヴァルツコップ、ルートヴィッヒ、ヘフゲンというレコードならではの贅沢さを味合うことが出来ます。

投稿: オペラファン | 2008年9月25日 (木) 00時07分

ヘルマン・プライはもちろん素晴らしいですが、ワルター・ベリーはもっと評価されていいですよね。

クレンペラーという指揮者と(ニュー)フィルハーモニア管というオケにはこれまで惹かれる演奏が割と少なかったので、「魔笛」や「フィガロ」に興味は有りながらも未だに聴いていません。そんなに良ければ是非聴いてみないといけないですね。

投稿: ハルくん | 2008年9月25日 (木) 22時26分

ハルくんさま

おはようございます。
ブログへのコメントありがとうございました。
私はただ好きというだけの音楽ファンですが、それだけに音楽を語る喜びもひとしおです。
早速"お気に入り"に登録させて頂きました♪
今日はこれから一日出掛けますので、また改めてお邪魔させていただきます。

まずはお礼まで。

投稿: aosta | 2008年10月 9日 (木) 07時47分

aostaさん、こちらこそありがとうございます。
音を楽しむからこそ「音楽」です。音楽を愛好する者どうしの語らいは本当に嬉しいものですよね。
こちらからも度々お邪魔させてもらいますのでどうぞ宜しくお願い致します!

投稿: ハルくん | 2008年10月 9日 (木) 21時32分

ハルくんさん、こんにちは。
毎年、12月になると聴きたくなる作品って、"第9"、"くるみ割り人形"、"メサイア"、"マーラー4番"等々 色々ありますが、"魔笛"もこの時期 聴きたくなる作品です。
このオペラは昔からストーリーが問題視されますが,私は「大人達の 汚く、醜い 権力争いに巻き込まれてしまった若者達の物語」として鑑賞しています。
登場人物では、悪い大人達の口車に すぐ感化される(まるでネットやテレビ報道に感化される どこかの国の国民みたいですね(笑))、世間知らずの旅の王子タミーノや箱入り娘のパミーナよりも、なんだかんだ言いながら自分の意見を持って行動している パパゲーノが大好きです。
愛聴盤は 定番の サヴァリッシュ盤とスイトナー盤ですが、このオペラは やはりウィーン・フィルで聴きだいと思い カイルベルト盤を入手し 聴いています。このライブは ヴンダーリヒとワルター・ベリーが共演している 現在唯一の録音なので 興味のある方は聴いてみてください。(他の方々のレビューを見ると 二人以外の歌手がボロボロだそうですが 私は十分楽しめました。)

投稿: ヨシツグカ | 2013年12月 8日 (日) 10時05分

ヨシツグカさん、こんばんは。

そうなのですよね。僕もウイーン・フィルで聴きたいと思って、カラヤン、ベーム旧盤、ショルティ旧盤と聴いてはみたのですが、どれも気に入らない。唯一ショルティの新盤が良かったように思います。
カイルベルトは「魔笛」を得意にしていたようですね。色々と録音が有りますものね。残念ながら聴いたことはありません。ウイーンPO盤もです。興味はありますが、音質はどうなのでしょうか?

投稿: ハルくん | 2013年12月 8日 (日) 23時22分

ハルくんさん、こんばんは。
確かに「魔笛」はウィーン・フィルの録音に恵まれていないように思います。
私はLPでショルティの旧盤を持ってましたが、CDに買い替えようとは思いませんでした。カラヤン、ベーム、レヴァイン盤も あまり聴いてみたいとは思いません。
今回たまたま このライブ盤を見つけて、ライブならと 入手しました。
音質ですが,1960年のザルツブルク音楽祭の録音なので 当然、(笑)モノラルで会場ノイズもかなり入りますが,独唱、合唱、オーケストラ共に 私のようにヘッドホンで聴く分には、聴き苦しさはあまり感じません。むしろ、音をいじってないので好感が持てます。
まぁ これは私個人の感想ですので、ご参考まで。(笑)
私のオーディオ機器です。
SACD/CDプレーヤー:DENON DCD1500SE
ヘッドホンアンプ:CIAUDIO VHP-2
ヘッドホン:beyer dynamic T1

投稿: ヨシツグカ | 2013年12月 9日 (月) 21時48分

ヨシツグカさん、こんばんは。

「魔笛」がドイツ語によるジングシュピールだからという訳でも無いのでしょうが、どうもドイツ人がドイツオーケストラを指揮した演奏の方が好きなものが多いです。
もしかしたら予想外にウイーンフィルの良さが出難いのでしょうか?

カイルベルトの音質のご説明有難うございます。参考になりました。

それにしても凄いヘッドフォンをお使いですね。自分は基本的にスピーカー派なので、ヘッドフォンはそこまで高級なものは使っていません。AKGのそれなりのものです。

投稿: ハルくん | 2013年12月 9日 (月) 23時20分

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