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2008年9月13日 (土)

ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」 ~スメタナ四重奏団の忘れられない思い出~ 

Dvorak ドヴォルザークには、もう1曲どうしても外せない我が心の名曲が有ります。それは弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」です。

この曲は、ドヴォルザークが祖国チェコからアメリカに渡って作曲しました。ですので曲名が「アメリカ」です。曲には黒人霊歌やインディアンのメロディの影響が有り、ボヘミア民謡の影響とが上手く融合されています。この曲は、とてもノスタルジックで心を和ませてくれますので、仕事に疲れて家に辿り着き、ようやく落ち着いた時に一人で心静かに聴くには一番の、宝物のような曲なのです。

ところで、僕には忘れられない思い出が有ります。チェコの名カルテット、スメタナ弦楽四重奏団は、かつて何度も日本に来ましたが、僕は幸いにも二度聴くことが出来ました。その二度目のコンサートが一橋大学講堂での学園コンサートだったのですが、この時に彼らの「アメリカ」の生演奏を聴くことが出来たのです。それは本当に素晴らしい体験でした。

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ところが、それから数日後に、たまたま日生劇場でヤナーチェックのオペラ「利口な子狐の物語」公演が有って観に行ったのですが、何とそこに彼ら4人が一緒に観客として来ていたのです。僕はすかさず駆け寄って、彼らの学園でのコンサートを聴いたことを(下手な英語で)伝えると、とても喜んでいました。僕は当時、大学のオーケストラでヴィオラを弾いていたので、ヴィオラ奏者のミラン・シュカンパさんにそれを話すと、嬉しそうに大きな手で握手してくれました。このことは本当に忘れられません。

Cci00029彼らは「アメリカ」を全部で5回録音しています。時代と共にスタイルは少しだけ変りますが、全て名演です。中でも特に素晴らしいのは4回目の1980年の日本ツアーの際の神戸文化会館でのライブ盤です。技術の衰えは感じませんし、時に大きなルバートや音のタメが見られる、彼らとしては最もドラマティックに歌わせた演奏なのです。とは言っても、いつもの彼ららしく基本的に端正で、決して過剰に弾き崩したりをしません。彼らの演奏を聴いていると、他のアンサンブルがもっと歌って弾き崩した演奏(たとえばアマデウスSQのように)を聴いても、どうもしっくり来ません。このDENON録音のCDはこともあろうに廃盤扱いですが(メーカーは何を考えているのでしょう!)、中古店で時々見かけますので、「アメリカ」やスメタナ弦楽四重奏団がお好きな方には是非ともお聴き頂きたいと思います。

41zm8h2t6al__sl500_aa300_ それ以外の彼らの演奏としては、僕は1966年のEMI録音も愛聴しています。非常にスタイリッシュな演奏で、80年の神戸ライブのようなルバートや音のタメは有りません。従ってドラマティックさは余り感じません。けれども音が非常にしなやかですし、切れの良さや流れの良さが格別です。メンバーの技術的にも最も完璧です。ですので80年のライブと合わせて僕の大好きな演奏です。

307 彼らは、晩年の1987年にプラハの芸術家の家でスタジオ録音を行いました。80年の神戸ライブに比べると、技術的にだいぶ衰えを感じます。特に第1ヴァイオリンのノヴァークにそれを感じます。アンサンブルとしても明らかに結晶度が落ちています。けれども、つまらない演奏かと言えば決してそんなことは無く、80年ライブが無ければ充分に素晴らしい演奏ですし、他の多くの団体の演奏に比べても遥かに好みます。彼らのドヴォルザークの演奏は、本当にどれもが素晴らしいと思っています。

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ドヴォルザーク(室内楽)」カテゴリの記事

コメント

ハルくんさん、saraiです。
いやー、懐かしいですねー!
私も当時、スメタナSQの大ファンで、学生時代、お金もないのに無理して、来日したスメタナSQを京都会館で聴きました。もちろん、アメリカです。
今でも、その演奏の素晴らしかったことはまざまざと覚えていますよ。
特に印象に残ったのは、演奏している彼らの姿で、真ん中の中声部の二人、とりわけ、ミラン・シュカンパさんが眼光鋭く、アンサンブルに気を遣っていることでした。
あのCDは廃盤になったのですか。幸いに昔買っておきました。ただ、残念なことにその際にLPは処分してしまいました。今思うと、なんてことをと思います。
しかし、古い話ですね。そのあと登場したABQも昨年がサヨナラコンサートでしたね。
では、また。
(リンクの件は相互リンクでよろしくお願いします)

投稿: sarai | 2009年7月23日 (木) 13時13分

saraiさん、こんばんは。

スメタナSQの「アメリカ」はどれも名演だと思いますが、やはり全盛期のこの頃が一番優れていると思います。ベートーヴェンの演奏なんかは今では当時ほどには評価が高くない気がしますが、僕はとても好きなのですよ。
シュカンパさんのあの豊かな音も忘れられません。楽器が非常に良く鳴っていました。本当に懐かしく思います。

PS.相互リンクの件、どうぞ宜しくお願いします。

投稿: ハルくん | 2009年7月23日 (木) 23時07分

ハルくんさん、こんばんは。

スメタナQの「アメリカ」好きです。私が聴いてきたものは87年録音のもののようです。

ハルくんさんお薦めのライブ盤は、現在廃盤になっているんですね。いつものように 中古店での出会いを気長に待つことにします。

投稿: ANNA | 2010年4月12日 (月) 17時35分

ANNAさん、こんにちは。

またまた古い記事へのコメントをどうも有り難うございます。

スメタナSQの「アメリカ」はどれも大好きです。ANNAさんのお持ちの87年のものは晩年の円熟味がとても魅力的だと思います。一方で66年のEMI盤なんかも若々しい良さがとても好きです。
でも、この曲とスメタナSQがお好きな方にはマイベストということで80年盤を是非お薦めしたいと思います。

投稿: ハルくん | 2010年4月13日 (火) 00時14分

ハルくん様

morokomanです。

これから書くことは、「釈迦に説法」どころか、「キリストに福音を説く」ような気持を抱きながら、おそるおそる書くことになります。

このところ「夏のボヘミア音楽特集」と「ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲」と続いていますので、両者にちなんでのことです。

ハルくん様は、ドヴォルザークの弦楽四重奏曲全集をお聴きになったことはありますか?

もしおありでしたら、さすがです。
ならば、将来開催されるであろう『ハルくんの秋の個展』のBGMですが……この個展をもし8月末から9月いっぱいに開催するのであれば、ぜひドヴォルザークの弦楽四重奏曲(どれでも可。できれば全曲)をおかけになることをお奨めいたします。

会場の空気が、良い意味で乾いたさわやかさに満たされることは請け合いです。

もし、個展を10月はじめから11月いっぱいまで行うのであれば、従来どおりブラームスの室内楽をかけることをお奨めします。

すでにお聴きになっていたのなら、同意いただけるのではないか、と思っております。

もし、お聴きになっていないようでしたら、私が申した8月末から9月いっぱいまでの期間にぜひお聴きいただければ良いかと存じます。

もちろん、ハルくん様のスケジュールの都合もありますでしょうから、強いてお奨めはいたしません。変なプレッシャーを与えてしまうのは、私の本意ではありませんから。

ちなみに、私は


         シュターミッツ弦楽四重奏団


の演奏で聴きました。値段も安く、中古で入手できれば、更にお安くなると思います。

それとあわせて、ピアノ五重奏曲などもこの時期にBGMとしてはお奨めかと思います。

「ボヘミア音楽」を夏の涼とされる、ハルくん様の何らかの助けになればと思い、紹介をさせていただきました。

投稿: morokoman | 2013年8月12日 (月) 21時11分

morokomanさん、こんばんは。

ドヴォルザークの室内楽も佳曲が揃っていますね。
但し弦楽四重奏曲の全集はまだ手に入れていません。中々余裕が無いと言うのが現実です。
今後の購入候補としては第一にプラハSQ、第二にパノハSQと考えていましたが、シュターミッツSQも良さそうですね。

個展の計画については現在完全に頓挫しています。新たに他の目標が出てきたので、当分手が回りそうにないためです。
とはいえ、色々とご親切にありがとうございます。

投稿: ハルくん | 2013年8月13日 (火) 22時45分

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