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2008年8月12日 (火)

素晴らしいブラームスのCD ベロフ、ヨッフム/シュターツカペレ・ドレスデン

795 最近興味深いCDが出たので早速聴いてみました。

ミュンヘン・フィルとのあの超名演のブルックナー9番の正規録音盤がやっと出たばかりのオイゲン・ヨッフムが、今度はシュターツカペレ・ドレスデン(SKD)を振ったブラームス・チクルスです(WEITBLICK SSS0085/86-2)。 演奏は1979年で、ピアノ協奏曲第2番と交響曲第4番という最高のプログラムです。ピアノ独奏はミシェル・ベロフ。ブラームスを聴きこんだ人ならこれらのキーワードに胸が高鳴ることと思います。

クルト・ザンデルリンクがこのオケを指揮したブラームス交響曲全集(ベルリン交響楽団との新盤ではありません)が示すとおりに、SKDの純ドイツ音楽への適正は正に比類が有りません。また、ヨッフムもエミール・ギレリスの独奏でP協1番、2番の録音をDGに残しておりブラームスを得意としています(個人的にはその演奏は好みでは無いのですが)。

ということで、まずは今回のP協第2番。何しろ曲が素晴らしいです。演奏によっては50分を越えることもある並みの交響曲真っ青の壮大な、かつ繊細な曲想を併せ持った大傑作です。ベートーヴェンのP協5番が「皇帝」なら、こちらはさしずめピアノ協奏曲の「王様」です!第1楽章と第2楽章はオケが豪快に鳴り響き、ベロフが深い打鍵で荒々しいほどに弾ききった壮絶な演奏です。それでもさすがSKDなのは、DG盤のベルリン・フィルのように鳴り過ぎでうるさくなったりすることは有りません。続く第3楽章では一転して、深く沈み込んでゆく趣がなんとも魅力的であり、音楽をとことん堪能することが出来ます。最後の第4楽章(この曲は3楽章では終わらない!)も充実した演奏で聴き応え充分です。ライブならではの些細な傷は結構有りますが、そんなことは全然気にならないほど強く惹きつけられる演奏でした。この曲は随分色々な演奏を聴いてきましたが、この演奏はバックハウス/ベーム=ウイーン・フィル(DECCA)、ルービンシュタイン/ロヴィツキ=ワルシャワ・フィルの1960年ワルシャワライブ(MUZA)に続く位置を占めそうです。欠点は音質が高音を強調したカサカサした音であること。本来のSKDのいぶし銀のサウンドが2割も再現されていないでしょうか。僕のオーディオではトーンコントロールで高域をカットする調整が必要でした。

第4交響曲については、以前に海賊盤(METEOR)が出ていましたので、同様に凄い演奏であることは知っていました。今回は正規盤でどれぐらい音質が改善されたかに期待していましたが、残念なことにこちらも同じく高音強調の最悪のマスタリングでした。AAD(アナログ=アナログ=デジタル)マスタリングの海賊盤のほうがよほどSKDらしく聞えます。最新リマスタリングの悪しき例です(案外とよく有ることですけれど)。しかし演奏そのものは千変万化のロマンティックな素晴らしい演奏です。ザンデルリンクとはまた違った濃密なブラームスを味わえます。それでいてフルトヴェングラーのような極端な踏み外しは有りませんので安心です。

このCDはマスタリングが悪いのが返す返すも残念ですが、それでもこの素晴らしい演奏はこれからも繰り返し聴きたくなると思います。

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ブラームス(協奏曲:ピアノ)」カテゴリの記事

コメント

シュターツカペレ・ドレスデンのサウンドは本当に素晴らしいですね。
私は今日、ルドルフ・ケンペ指揮でリヒャルト・シュトラウスの歌劇『ナクソス島のアリアドネ』CDを購入し、早速自宅で聴きましたが、オケの響きが曲にとてもマッチしていて感動しました。

録音は1968年ですが、1970年代後半に掛けけてのシュターツカペレ・ドレスデンの演奏は何れも素晴らしいですね。

ブラームス、シューマン、リヒャルト・シュトラウスを演奏させたら、当時のシュターツカペレ・ドレスデンに勝るオケはなかなか見つからないでしょう。

投稿: たろう | 2008年8月12日 (火) 23時16分

シュターツカペレ・ドレスデン、古いファンにはドレスデン国立歌劇場管弦楽団の名前が馴染み深いでしょうか。なんといっても400年も前に宮廷楽団から始まったわけですから、酒場のバンドオケから始まったベルリンフィルあたりとは歴史が違います。昨年聴いたオペラハウスの来日公演も伝統の響きが素晴らしかったです。

シューマンの交響曲全集にはサヴァリッシュが振った最高の名盤が有りますね。リヒャルト・シュトラウスの場合はウイーンフィルが唯一同格かそれ以上の適正を見せます。

投稿: ハルくん | 2008年8月13日 (水) 01時47分

はじめまして。
さっそくおじゃまします。
これはなかなか内容が濃くて、かんたんに読み切れるものではありません。
仕事がお休みの日にじっくり読みます。
すっごい情報量に感謝です。
バリリ・デームスのブラームスやはりいいんですね。
わたしはシューマンを持っているのですが大好きなんです。。。
アルゲリッチとクレーメルとマイスキーというのもすっごいですね。すごい個人技合戦なんですね。
でもクレーメルのヴァイオリン・ソナタを聴いてシューマンにハマった私はクレーメルには感謝です。でもあまり評判良くないのですが。。。。
個人的にはクレーメルとファナシエフのブラームスはすごく良かったです。
いろいろ教えて下さいね。

投稿: はるりん | 2009年2月26日 (木) 23時57分

はるりんさん、さっそくお越しいただいたのですね。ありがとうございます。

バリリSQとデームスのブラームスは良いですよー。シューマンの四重奏と五重奏も最高ですね!どちらか言えばシューマンの方がより向いている気がします。

クレーメル/アルゲリッチのシューマンも素晴らしいですね。私は他にイザベル・ファウストも気に入っています。一番好きなのは古いブッシュなのですが。

クレーメル/アファナシエフのブラームスもきっと良いでしょうね。実はまだ聴いていないのですけど。(苦笑)

今後とも是非宜しくお願いします!

投稿: ハルくん | 2009年2月27日 (金) 23時22分

フルネのブラームスの3番に感動したので同じ日に演奏されたピアノ協奏曲2番を聴きたくなり伊藤恵のピアノでのものをゲットしてきました。
伊藤恵は朝比奈隆との1番の協奏曲が有名(まだ聴いていません)ですが2番も
大変な名演奏でありました。日本でそれもフランス人指揮者で日本の演奏団体でこれだけの名演奏が可能なのですねえ!フェアウエルコンサートを日本でやった際のモーツァルトの24番やブラームスの2番にもそれほど感動しなかった(ビデオを見ただけです)もののこの日の2曲は極上でした。
優しさを全面に出した演奏でありながら力強いものとなっているのです。この2曲の組合せの演奏会プログラムはそうたくさん無いのではないでしょうか?交響曲を後に演奏するのもまさに正解です。それからアラウとハイティンクとコンセルトヘボウのものも極上でした。しかしコンセルトヘボウのものもはどれもこれも素晴らしくハイティンクのブラームスの交響曲と協奏曲の全集もアマゾンしてしまいました。いやあ、フルネに戻しますがもっともドイツ人らしいフランス人指揮者(シューリヒト)だそうで今後フルネの録音をもっと聴いてみたいと思います。

投稿: まつやす | 2013年10月20日 (日) 11時15分

まつやすさん、すっかりブラームスにハマっておられますね。軒下を貸して母屋を取られそうです。(笑)

伊藤恵は人気が高いですね。余りじっくりと聴いたことは無いのですが。いやフルネのほうが良かったのかな?
フルネは昔、都響の第九を聴いて、それ以外にも何度か聴いたと思うのですが、意外に記憶に残っていません。なんでかなぁ?
優しさが前面に出ることで、ともするると中庸に聞こえてしまうからでしょうか。

ハイティンク/コンセルトヘボウのブラームスの響きは確かに魅力的ですね。シンフォニーなんかも改めて聴き直してみたいです。

投稿: ハルくん | 2013年10月20日 (日) 11時36分

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