2019年3月18日 (月)

シューベルト 歌曲集「美しき水車小屋の娘」 名盤 ~さすらい人の子守歌~

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歌曲集「冬の旅」で絶望と孤独感に満ちた若者の心象風景を描いたシューベルトですが、その4年前に書き上げた歌曲集「美しき水車小屋の娘」では希望に胸を膨らませて、さすらいの修行の旅に出る若い粉ひき職人が主人公でした。

若者はさすらいの旅が楽しくて仕方が無く、見るもの聞くものに新鮮な驚きと喜びを感じます。やがて立ち寄った水車小屋で美しい娘と出会い、甘い憧れの恋に落ちます。ところがやがて狩人が現われて彼女を奪われてしまいます。打ちひしがれた若者は小川に苦しい心のうちを語りかけますが、ついには川の水に誘われるように身を投げてしまいます。小川は若者を水で包み込み、せせらぎをまるで子守歌のように優しく聞かせます。

この歌曲集は全部で20曲から成りますが、どの曲をとっても抒情的で美しい名曲ばかりです。とりわけ第8曲から第10曲ではシューベルト歌曲の魅力が極まった傑作が連続していて息つく間もありません。そこから若者が娘を奪われてしまう恐れ、苦しみを経て最後の小川の慰めに至るまでの展開と音楽は何物にも代え難いです。

この歌曲集も元々テノール歌手に献呈されましたし、そもそも主人公は若き旅人ですので、テノールで歌われるのがイメージ的にベストです。バリトンで歌われると、どうも娘に恋して憧れる青年には聞こえにくい気がします。あのFディースカウも「冬の旅」と違って「水車小屋」を晩年までレパートリーとすることは有りませんでした。この作品はテノールが歌うのが本来の姿だと考えていたようです。

ということでテノール歌手はこの作品をこぞって歌っていますし、所有CDも自然と多くなりますので、ここはズバリ本命のテノールからご紹介したいと思います。

Schubert_mullerin51jde2pgcwl アントン・デルモータ(T)、ヒルダ・デルモータ(Pf)(1953年録音/DECCA盤) ウイーンのオペラ界で活躍した往年の名テノール歌手デルモータの録音です。それにしても、まあ何というおおらかな気分にさせてくれる歌唱なのでしょう!現代の緻密で彫琢の限りを尽くしたようなスタイルとはまるで世界が異なります。やはり時代の違いなのでしょうね。もっともそれは楽器の世界でも同じです。こういう人間の柔らかな肌の温もりを感じる演奏というのはやはり捨てがたいです。時々思い出しては聴きたくなります。ピアノを弾くヒルダは奥様です。

Schubert_mullerin230073054 フリッツ・ヴンダーリッヒ(T)、フーベルト・ギーゼン(Pf)(1966年録音/グラモフォン盤) 不世出のドイツリート歌手ヴンダーリッヒの代表盤です。とにかく声の美しさ、歌のきめ細かさ、力強さ、情感、どれをとっても最高ですし、その大きく伸びやかな歌い回しはドイツリートの”ベルカント”とでも称したくなります。後にも先にもこんな歌を聞かせるリート歌手は居ません。ここでは”さすらう若者”に成り切った歌を聞かせてくれます。これこそは本当の”不滅の名盤”です。ところがこの人は若くして不慮の事故で命を落としてしまいます。なにもそこまで成り切らなくても良かったのですが。

Schubert_mullerin_haefli エルンスト・ヘフリガー(T)、エリック・ウェルバ(Pf)(1967年録音/SONY盤) ヘフリガーも美声で日本でとても人気が有りました。この壮年期の録音は、とても端正で清潔感に溢れる歌唱を聞かせます。さすがは名エヴァンゲリストとしての面目躍如というところでしょうか。しかし個人的には少々真面目過ぎる印象を感じてしまします。主人公の若者に成りきるというよりは、客観的に物語を語っているかのようです。ストレートな歌い方とのギャップが有るように思います。テンポに関してはこの時代にしては随分と速めで軽快です。

Schubert_mullerinzap2_g2778616w エルンスト・ヘフリガー(T)、イェルク・エーヴァルト・デーラー(Hf)(1982年録音/クラーヴェス盤) ヘフリガーが既に60歳となった時の録音ですが、驚くことに声の美しさや若々しさが全く失われておらず、むしろ声には艶やかさが増しているほどです。歌い方も主人公の若者に成り切ったような主体的な印象が強くなりました。これは旧盤との大きな違いです。やはりこの方が聴き手の心に直接届くような気がしてなりません。それでも古楽器の伴奏ということもあり、全体的にはとても古典的なスタイルを感じます。

Schubert_mullerin51vs3dco8el_sy355_ ペーター・シュライヤー(T)、ワルター・オルベルツ(Pf)(1971年録音/Berlin Classics盤) シュライヤーの若い時代の録音で、ゆったりとしたテンポで過度な表情付けは全く見られず、とてもシンプルで美しく歌い上げています。声質も若々しい主人公に近い印象ですが、この人は声が賢過ぎて、どうも常に知性が勝っているようなイメージが有ります。作品によっては足を引っ張るように思います。この作品でも、とても失恋でこの世を捨てるような青い若者には聞こえないのですが、皆さんは如何でしょう?

Schubert_mullerina1fxqwv4mcl_sl1416 ペーター・シュライヤー(T)、アンドラ―シュ・シフ(Pf)(1989年録音/DECCA盤) シュライヤー壮年期の録音では表現主義的な歌唱となり、そのオーバーな表情付けが余り好みではありません。演出臭さというまでは感じませんが、何かリートというよりもオペラを聴いているような印象です。声の質がインテリ臭いのもこの歌曲集にはマイナスです。個人的にはタミーノ王子とかの役では大好きなのですが。但しシフのピアノは全体的に素晴らしく、特に終曲は白眉です。小川の水が若者を包み込み静寂に流れゆく様をこれほど美しく弾いた人を知りません。この曲ではシュライヤーも最高です。

Schubert_mullerin910 クリストフ・プレガルディエン(T)、アンドレアス・シュタイアー(Hf)(1991年録音/ハルモニアムンディ盤) プレガルディエンは宗教曲で鍛えられた真摯さ、敬虔さが滲み出る歌唱が素晴らしいです。作りものめいた表情は一切なく、しかし無表情ということでは無く、ここぞという部分ではかなり大胆に攻めています。インテリ臭く感じることもなく、さすらいの修行にひたむきな若者そのものを感じられるの声の質がとても好ましいです。シュタイアーのピアノも素晴らしく、時にギターを思わせるようなアルペジオを奏でていてユニークです。

Schubert_mullerin41sgkhppmel ヴェルナー・ギューラ(T)、ジャン・シュルツ(Pf)(1999年録音/ハルモニアムンディ盤) これもまた素晴らしいシューベルトです。声質で言えばヴンダーリッヒの次に好みます。歌い回しも非常にセンスが良く、わざとらしさやインテリ臭さ、また神経質な感じも皆無で、粉屋の修行にひたむきな若者のイメージにピッタリです。シュルツのピアノも特筆もので、これだけ上手く音楽的な伴奏ピアノは中々聴いたことが無いかもしれません。

Schubert_mullerin51vcvomoygl_sx355_ イアン・ボストリッジ(T)、内田光子(Pf)(2003年録音/EMI盤) 二人の細かい表情の変化が驚くほどですが、余り演出臭さは感じません。どれだけ入念な準備をしたのでしょうか。内田光子のピアノも立派で聴き応えが有ります。ボストリッジの声質は澄んでいてとても綺麗ですが、人物のキャラクターがひ弱そうに感じられます(声そのものではなく、あくまでイメージがです)。第1曲目から、この若者に果たして修行の旅が務まるのだろうかと思えてしまいます。もっとも狩人に恋人を奪われて、傷心して川に身を投げてしまうあたりは、むしろ『らしい』のかもしれません。

ここからはバリトンですが、どうしても保有ディスクの数は少なくなります。

Schubert_mullerin1e8hdd092l ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1961年録音/EMI盤) Fディースカウはこの作品の録音を4回行いましたが、代表盤としては後述のDG盤かこのEMI盤になります。声の若々しさは理想的ですが、元々バリトンで声に風格が有り過ぎるのと、第15曲「嫉妬と誇り」など速い曲での発声が余りに歯切れが良すぎて可笑しくなるほどです。ゆったりとした曲での情感は見事ですが、既に演出臭さがかなり感じられるのが好みでは有りません。ムーアのピアノの録音が不明瞭なのもマイナスです。

Schubert_mullerinzap2_g6403339w ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1971年録音/グラモフォン盤) 世評に高い録音で、Fディースカウのというよりも「水車小屋」のベストに選ぶ方も多いです。確かに全盛期のディースカウの歌唱は驚くほどの上手さで、どんなに些細な部分でも意味のない歌われ方は有りません。ムーアのピアノも正に同様のことが言えて最高の歌曲伴奏ですので、両者はある意味で究極の演奏です。しかし好みというのは難しいもので、「ディースカウは余りに上手過ぎるのが鼻につく」と感じられる天邪鬼?も世にはおられるでしょう。何を隠そう、自分もその一人ではあります。演出臭さも拭い去ることは出来ませんが、それは聴き返すうちに抵抗感が減りはします。

4127pzs4xglクリスティアン・ゲルハーエル(Br)、ジェラルド・フーバー(Pf)(2003年録音/Arte Nova盤) 正統的なドイツリート歌唱として安心して鑑賞することが出来ます。ピアノも手堅いです。録音も良いので、廉価で1枚購入したいと思う方にはお薦め出来ます。但し数ある名盤の中でこれを真っ先にお薦めしようとまでは思いません。声も立派ですし、欠点のない演奏ではありますが、閃くような感動を与えてくれることは少なくとも自分に対しては有りません。

Schubert_mullerine40884e841ce07dddb マティアス・ゲルネ(Br)、クリストフ・エッシェンバッハ(Pf)(2008年録音/ハルモニアムンディ盤) バリトンの中ではFディースカウの1971年盤と並んで愛聴しています。演出臭さを全く感じさせない、しっとりとした歌い方と声そのものの質ではゲルネの方をずっと好みます。しかもエッシェンバッハのピアノの見事さにはとことん魅了されます。歌曲の伴奏としてはムーアが完璧だと思いますが、ピアニストとしての表現力と風格ではエッシェンバッハに軍配が上がると思います。

以上、マイ・フェイヴァリットは何を置いてもヴンダーリッヒ盤です。次点としてはギューラ盤を上げたいです。
バリトンでもFディースカウの1971年盤とゲルネ盤は上げておきたいと思います。

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2019年2月26日 (火)

シューベルト 歌曲集「冬の旅」 名盤 ~死に向かう旅~

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歌曲王シューベルトの三大歌曲集と言えば、いわずとしれた『冬の旅』、『美しき水車小屋の娘』、『白鳥の歌』ですが、その中でも『冬の旅』は特に人気が高いですね。レコーディングも昔から数多く行われてきました。

これより4年前に作曲された『美しき水車小屋の娘』と同じ、ドイツの詩人ヴィルヘルム・ミュラーの詩集によりますが、『水車小屋』が若者の希望に満ちた旅立ちから始まり、甘い恋と失恋を経て、最後の自殺までを描いた作品だったの対し、『冬の旅』では最初から失恋した若者が登場します。彼は追い払われるように街を出て、さすらいの旅を続け、そして慰めとしての「死」を求めゆくという、はなはだ絶望的な作品です。

この当時、シューベルト自身も梅毒に感染してからは健康が回復する見込みもなく、次第に死について考えるようになっていたのは間違いありません。

『冬の旅』は全部で24曲から成りますが、初めに作曲されたのは前半の12曲です。というのはミュラーの詩集が初め出版されたのもその前半分だけだったからです。完成後にシューベルトは友人たちの前でこの12曲を自分で歌いましたが、その音楽の暗さに皆が驚いたそうです。

シューベルトはその後、詩集の続編の存在を知り、後半の12曲を完成させました。但し彼の生前に出版された楽譜は前半のみです。

全24曲では非常に長い作品にもかかわらず、暗い曲調が連続するために、聴いていて楽しくなることはありません。人によっては聴くのが最も苦痛な作品かもしれません。にもかかわらず、この作品には悪魔に(死神に?)引き寄せられるがごとき強烈な魔力(魅力?)が有ります。

この作品が聴き手にとってどのような位置を占めるかは聴き手自身に委ねられますが、これだけ広く愛聴されている事実は、やはり誰しもが決して逃げることのできない「死」という大きなテーマに向き合っているからかもしれません。

全体を覆う暗闇の中にも、うっすらと光が見える「菩提樹」「春の夢」「郵便馬車」など数曲にはとても心が癒され、それが束の間の夢のような幸せに感じられます。

『冬の旅』には多くのCDが出ていますが、「決定盤」や「お奨め盤」などは余り意味が有るとは思えません。声楽は器楽と違い「声」そのものを好きかどうかが大きな決め手となるからです。

この曲集をシューベルトは最初にテノール用に書いていますが、それが自分の声に合わせて書いたのかどうかは知りません。しかし「主人公の若者」はシューベルト自身の投影でもあるので、若者らしい声で歌われるのは一つの理想です。確かに曲の暗さを表すにはバリトンの声質の方が向いていますが、反面バリトンではどうも若者っぽくなくなり、「さすらう中年」といった印象になることが多いです。ですので個人的にはこの曲集はテノールで聴くのを好みます。もちろん実際は、語りかけるように歌うのか、劇的に歌い上げるのか、流麗に歌うのか、様々な歌い方が有って、それを自分の耳や心がどう受け止めるかで印象は大幅に変わります。必ずしもテノールなら良いということではありません。

の所有CD盤をご紹介はしますが、余り当てになさらず、興味ある演奏を実際にお聴きになってご評価されてください。

では本命のテノールは後にして、まずはバリトン盤からご紹介します。しかしFディースカウは質量ともに圧倒的です。

Schubert51zaojdudkl_sy355_ ゲルハルト・ヒッシュ(Br)、ハンス・ウド・ミュラー(Pf)(1933年録音/EMI盤) もちろん第二次世界大戦前の録音ですので、音の擦り上げなどが目立つ古めかしい歌唱に聞こえます。けれども何と人間的で温かな味わいに溢れているのでしょう。この時代の演奏は器楽奏者も楽団も皆共通していますね。ここでは主人公と同化して悶え苦しむというよりも、若者を慈愛の心で見守っているような優しさを感じてしまいます。録音は古いですが、それが逆に郷愁を誘います。

Schubert81bkj9dfhtl_sy355_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ジェラルド・ムーア(Pf)(1962年録音/EMI盤) Fディースカウはこの曲集を何度も何度も録音しましたが、最初のステレオ録音であり、Fディースカウとしても完成の域に達した歌唱だと思います。それまでの情緒綿々と歌われる声楽界のスタイルから遥かにスタイリッシュで細部まで完璧にコントロールされた歌唱を成し遂げました。同じムーアとの後年の録音と比べても遜色は有りませんが、EMI録音の音の鮮度が余り良いとは言えません。

Schubert61whbvol9ol ハンス・ホッタ―(Br)、ハンス・ドコウピル(Pf)(1969年録音/ソニー盤) ホッタ―にはモノラルとステレオによるスタジオ録音盤が有りますが、これは60歳の時の東京文化会館でのライヴ盤です。深い情感の表現は圧倒的で、その歌にはただならぬものを感じさせます。ただ元々深い声質が若者のイメージでは無く、どうしても「年老いた旅人」に聞こえてしまいます。従ってこのディスクをファーストチョイスに選ぶことは有りませんが、偉大な歌手の記録として是非とも聴いて貰いたいです。

Schubert61joyjyqiml_sy355_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ダニエル・バレンボイム(Pf)(1979年録音/グラモフォン盤) ムーアとの盤に並ぶFディースカウの頂点に立つディスクだと思います。この盤の決め手はやはり共演のバレンボイムです。ムーアとは違い独奏家のピアノですが、何も自分勝手な演奏をしているわけでは無く、様々な部分で「冬の旅」のドラマを雄弁に語ります。

Schubert61yn6xofgll_sy355_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ダニエル・バレンボイム(Pf)(1979年録音/グラモフォン盤) ムーアとの盤に並ぶFディースカウの頂点に立つディスクだと思います。この盤の決め手はやはり共演のバレンボイムです。ムーアとは違い独奏家のピアノですが、何も自分勝手な演奏をしているわけでは無く、様々な部分で「冬の旅」のドラマを雄弁に語ります。 

Schubert41kvn0t7cbl_sl500_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、アルフレッド・ブレンデル(Pf)(1985年録音/フィリップス盤) Fディースカウの声が絶頂期を過ぎてからの録音は総じて彼のファンには余り評価されないように感じます。けれども自分のようにこの人の歌唱の上手さが必ずしも好きに感じられない人間にとってはむしろこの録音が向いていると思います。ブレンデルの結晶化したようなピアノも素晴らしいですし録音の良さがそれを万全に捉えています。 

Schubert51flnlzqttl_sy355_ ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、マレイ・ペライア(Pf)(1990年録音/ソニー盤) Fディースカウが最後に残した録音ですが世評は最悪です。確かに全盛期の声の輝かしさは見る影も有りません。では何故そんな録音を行ったのかということですが、それまでと大きく変わっている点は弱音でのつぶやくような歌い方です。それはまるで主人公に成り切って絶望や孤独を声にならない声で吐露しているみたいです。そう思うとこの録音にはある種の共感を覚えてしまいます。ただこの人の代表盤とするには無理が有ります。

Schubert12zfmrdajl クリスティアン・ゲルハーエル(Br)、ジェラルド・フーバー(Pf)(2001年録音/ArteNova盤) 廉価盤ですがゲルハーエルの三大歌曲集はどれも侮れない良さが有ります。バリトンとして声の良さを感じますし、過度にならない自然な歌いまわしには共感が持てます。過去の多くの名盤を凌駕するまでには思いませんが、さしあたり三大歌曲集を聴いてみたいという方には安心してお勧め出来ます。

Schubert315ktwx79fl マティアス・ゲルネ(Br)、アルフレッド・ブレンデル(Pf)(2003年録音/DECCA盤) ゲルネとしてもブレンデルとしても二度目の「冬の旅」の録音ですが、これはロンドンの室内楽の殿堂ウィグモアホールでのライヴです。録音が柔らかいので、演奏がやや平たく聞こえますが、両者とも力みなく、しっとりとしたシューベルトの抒情を表現しています。ゲルネの声質が深いので若者の印象は受けませんが、分析でなくストレートな歌唱には曲を追うごとにぐいぐいと引き込まれてゆきます。

ここからは本命のテノール盤です。

Schubert51s4tl5jdl_sx355_ エルンスト・ヘフリガー(T)、イェルク・エーヴァルト・デーラー(Hf)(1980年録音/クラーヴェス盤) 晩年の録音ですのでロングブレスで息が続かない箇所が幾らか見受けられます。しかし声質は非常に美しく若々しいのでまるで若者が歌っているように感じます。その表情は適度な豊かさを持ちますが、伴奏に古楽器のハンマーフリューゲルが使われ、速めでキビキビと演奏されているのでロマン派の濃密さを回避した古典的な印象を受けます。

Schubert41x5a5kncdl_sy355_ ペーター・シュライヤー(T)、スヴャトスラフ・リヒテル(Pf)(1985年録音/フィリップス盤) ゼンパーオパーにおけるリヒテルとの共演ライヴ録音です。リヒテルはさすがに大ピアニストで、ことさらに力まなくても存在感が抜群です。得意のシューベルトの独奏を聴いているような深さと充実感を感じます。力が入っているのはシュライヤーで、やや力こぶの入り過ぎな歌唱に聞こえますが、元々尋常な歌曲集では無いですし、ライヴであればこれぐらい思い入れの入った歌唱が楽しめると言えなくもありません。演奏記録としても充分過ぎる価値が有ります。

Schubert41rkkoesuil ペーター・シュライヤー(T)、アンドラ―シュ・シフ(Pf)(1991年録音/DECCA盤) シュライヤーのこちらはセッション録音なので当然完成度は高いです。その反面リヒテルとのライヴ盤のようなスリリングさは無くなります。ピアノがシフであることもその理由でしょう。どちらも好きですが、リヒテル盤の後に聴くと物足りなさを感じられるかもしれません。しかしテノールの「冬の旅」としては極めて優秀な演奏だとは思います。

Schubert516t9j56dfl_sy355_ クリストフ・プレガルディエン(T)、アンドレス・シュタイアー(FPf)(1996年録音/TELDEC盤) 落ち着いた声で低域も深いテナー、プレガルディエンも大好きです。古楽器のフィルテピアノを弾くシュタイヤーの演奏も素朴でよくマッチしていると思います。過度にドラマティック、ロマンティックにならないスタイルにむしろ新しさを感じます。古典的なシューベルトを感じさせる優れた演奏だと思います。

Schubert71jv1yvtgkl_sy355_ イアン・ボストリッジ(T)、レイフ・オヴェ・アンスネス(Pf)(2004年録音/EMI盤) イギリス出身ですがシューベルトやリートを得意とするボストリッジは、声の質が細身でどことなく弱そうな男の印象を与えるのが、この物語の主人公の若者にピッタリです。感情表現が豊かですが、それが自然なので作り物めいた演出臭さを感じることも有りません。長いこの曲集を少しも飽きずに自然に惹き込まれてしまいます。但しうるさい人には発音がいま一つドイツっぽく無いのがマイナスかも知れません。アンスネスのピアノも上手く美しいのですが、EMIの録音がやや焦点ボケした感じなのが勿体ないです。しかしトータルでは非常に良い演奏で大好きです。

Schubert51vswt2c8l_sx355_ ヨナス・カウフマン(T)、ヘルムート・ドイチェ(Pf)(2013年録音/ソニー盤) オペラ界のスーパースター、カウフマンはリートにも取り組を見せていますが、オペラほどの世評の高さは得られていないようです。確かに余りにオーバーでオペラティックな歌い方が根っからのリートファンには余り受けが良くないのかもしれません。かくいう自分も例外ではなく、この歌唱はどうも好みません。これはあくまでもカウフマンのファンのためのディスクだと思います。

ということで、本命のテノールからは、最も主人公のイメージに近いボストリッジ/アンスネス盤をマイ・フェイヴァリットに上げます。対抗としては対照的に劇的なシュライヤー/リヒテル盤です。

バリトンではやはりFディースカウですが、個人的好みでブレンデルとの盤、完成度でムーアとの盤(グラモフォン)、バレンボイムとの盤、この三つを上げます。もう一つ加えるとすればゲルネ/ブレンデル盤でしょうか。

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2019年2月25日 (月)

「第7回せんがわピアノオーディション受賞コンサート」 三原未紗子 ピアノリサイタル

49521167_2106047819452789_706941539 調布市せんがわ劇場に「第7回せんがわピアノオーディション受賞コンサート」を聴きに行きました。演奏者は最優秀賞を受賞された三原未紗子さんです。

プログラムは前半がクララ・シューマン「3つのロマンス」より第1番、JSバッハ=ラフマニノフ「無伴奏ヴァイオリンの為のパルティータ」より、ベートーヴェン「ワルトシュタイン」で、後半がリゲティ「ピアノのための練習曲」より、ブラームス「6つの小品」作品118です。

三原さんに感心するところはどんなジャンルも幅広くこなし、しかもどれもが無理なく自然に仕上げられていることです。「ワルトシュタイン」では力強く堂々とした壮年期のベートーヴェンを堪能させてくれました。しかし僕がこの日最も感銘を受けたのはブラームスの作品118です。半年前に三原さんが「一番弾いてみたい曲」だかの話のときにこの曲をあげていたのが印象的でしたが、その演奏を早くも聴けるのかと胸が躍る思いでした。しかしその期待をずっと超える素晴らしい演奏でした
大好きなブラームスのこの曲を、演奏者が心から曲に共感し一体化して音となっているのが感じられて胸に迫りました。何と素晴らしいブラームス!
個人的には三原さんのロマン派の曲の演奏が特に好きですが、中でも深い情感を溢れるほどに湛えたブラームスの演奏に最も惹かれます。この曲はこれから何度も弾いて欲しいし、他の晩年の小品もいずれ弾いてくれたらと願います。
今日は会場に知り合いが大勢来ていましたが、皆さん同じように感銘を受けていたように感じました。

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2019年2月14日 (木)

イヴ・アンリ 最新CD「A LIFE WITH CLAUDE DEBUSSY」 

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フランスの名ピアニストにしてパリ高等音楽院教授であるイヴ・アンリ氏をご存知でしょうか。本国では非常に有名で、日本の演奏家でもフランスで学んだ人には良く知られています。過去にショパンやリストのCDを多数録音しています。

そのアンリ氏が母国でピアノの名器ベヒシュタインを弾いて録音した音源をもとに、ご縁があって私たちのノーザンライツレコードがCDを制作しました。大変に素晴らしいドビュッシーアルバムですのでご紹介します。 

アンリ氏が来日したときに実際の生演奏を聴いていますが、その指先から紡ぎだされるピアノの音色がまるで万華鏡のように多彩に変化するのは正に魔法です。

このCDからもその音の変化が良く聴き取れるので、是非1曲づつじっくりと味わって頂きたいです。

販売元であるベヒシュタイン・ジャパンさんで入手可能ですが、ノーザンライツレコードのTAKE 1 WEBストアでもお取り扱いしております。(一番下のリンクからご参照下さい)


「A LIFE WITH CLAUDE DEBUSSY 
イヴ・アンリ(YVES HENRY) ピアノ

01. 夢想

02. アラベスク第1番

03. アラベスク第2番

04. 月の光(ベルガマスク組曲)

05. 牧神の午後への前奏曲 レオナルド・ボーウィック編曲

06. トッカータ(ピアノのための組曲)

07. 喜びの島

08. 水の反映(映像第1集)

09. 金色の魚(映像第2集)

10. ゴリウォーグのケークウォーク(子供の領分)

11. 小さな羊使い(子供の領分)

12. 小さな黒ん坊

13. 沈める寺(前奏曲第1巻)

14. ミンストレル(前奏曲第1巻)

15. 亜麻色の髪の乙女(前奏曲第1巻)

16. 風変わりなラヴィーヌ将軍(前奏曲第2巻)

イヴ・アンリ(YVES HENRY)

17. ノアンの蒼い旋律


ノーザンライツレコード TAKE 1 WEBストアへは こちらから

 

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2019年2月11日 (月)

西山舞音&三原未紗子 デュオリサイタル ~至福の演奏会~

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もう一週間前になりますが、2月2日に「西山舞音&三原未紗子 デュオリサイタル」を川崎市高津の小黒恵子童謡記念館にて開催しました。私の企画で県央音楽家協会の主催です。

主催者ですので贔屓の引き倒しになってはいけませんが、お二人の演奏は本当に素晴らしかったので、お客様から絶賛のご感想を沢山聞けたのが何よりの喜びです。

西山舞音さんはもちろん2018ブラームス国際コンクール、ヴァイオリン部門の第二位受賞者ですので技術的に上手いことは初めから分かります。驚かされたのは、その演奏から醸し出される”音楽”そのものです。それを「当たり前だ」と言われることなかれ。どんなに上手い若い演奏家でも、音楽の本当の深さを感じさせる人というのはごく稀です。それを18歳の西山舞音さんは明らかに持っています。シューマンやブラームスは本当にロマンの香りがほとばしるような演奏でした。特にブラームスのヴァイオリンソナタ第3番では終楽章での燃え上がる炎と化すような熱く情熱的な演奏も圧巻でしたが、個人的にはむしろ第二楽章の情感の深さが忘れられません。いったい誰が18歳でこのような人生の甘さも苦さも知り尽くしたようなブラームスを演奏することでしょう!

しかし忘れてならないのは、そんな演奏が生まれたのも共演者の三原未紗子さんのピアノが有ればこそです。実際に音楽全体を支えていたのも三原さんだと言えます。実は三原さんもその前の年のブラームスコンクールのピアノ部門セミファイナリストとなり、審査員特別賞を受賞しました。昨秋にベルリン、ザルツブルグの名門音楽大学をどちらも首席で卒業して帰国されたばかりです。技術の確かさはもちろんですが、そのピアノからは類まれなる豊かな音楽性のほとばしりを強く感じます。

西山さんのヴァイオリンの豊かな音と濃密な音楽が、三原さんの弾くウイーンの名器ベーゼンドルファー・インペリアルの美音と溶け合って、あのレトロな雰囲気のホール一杯に響き渡るのは正に至福の時でした。出来ればマネージメントのことを忘れて一聴衆として聴きたかったと思ってしまいます。

このお二人のお名前を是非覚えておいてください。近い将来にきっとクラシック音楽界を背負って立つ存在になることは間違いないのですから。

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2019年1月25日 (金)

西山舞音&三原未紗子 デュオ・リサイタルへのお誘い

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本当に素晴らしい若手演奏家のリサイタルを企画することが出来ました。先週金曜日のFM東京「シンフォニア」の放送でも紹介をされました。

昨年のブラームス国際コンクールのヴァイオリン部門で第二位を受賞した若き逸材、西山舞音さんの一時帰国に合わせてコンクール受賞記念コンサートが実現します。
かのジネット・ヌヴーに最も傾倒しているという彼女ですが、11歳で渡欧留学、16歳でウイーン国立音楽大学に合格して現在18歳のその実力を是非とも聴いてください。
共演されるピアニストはベルリン芸術大学、ザルツブルクモーツルテウム音楽大学大学院をどちらも首席で卒業して昨年帰国、その類まれな深い音楽表現力に魅了されるファンが急増中の三原未紗子さんです。

会場の小黒恵子童謡記念館の所蔵するピアノ、ベーゼンドルファー製97鍵盤のインペリアルは特別な装飾の施された日本に3台しかない記念モデルで、その深く柔らかい音色は木造りの記念館の響きと美しく溶け合って言葉を失うほどです。三原さんの奏でるこの銘器に西山さんがどんな音を重ねてくれるか今から期待が膨らむばかりです。

♪ 予定曲目♪

エルガー:愛の挨拶
シューベルト:ピアノとヴァイオリンのためのソナチネ イ短調 D.385
バッハ=ラフマニノフ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータBWV1006 ホ長調よりプレリュード、ガヴォット、ジーグ
クライスラー:レチタティーヴォとスケルツォ・カプリス Op.6
クララ・シューマン:3つのロマンスOp21より第1番
ブラームス:ヴァイオリンソナタ第3番 二短調 Op.108
クライスラー:ウィーン奇想曲 Op.2

☆記念公演の概要
2019 2月2日(土)19:00開演(18:40開場)
会場:小黒恵子童謡記念館 東急田園都市線高津駅より徒歩約10分
前売券 3000円 (当日3500円)
 
お申込み&お問い合わせ 県央音楽家協会(朝倉) 
TEL:090-6009-7213    
E-mail: asakura_haru@nifty.com
 
☆出演者プロフィール
西山舞音 Maine Nishiyama (ヴァイオリン)
2000年、神奈川県相模原市生まれ。現在、ウィーン国立音楽大学3学年在籍。 5歳でヴァイオリンを始め、2011年に11歳でウィーンに留学。 バッハシューレやムジークギムナジウムで学び、2016年、16歳でウィーン国立音楽大学に合格する。
これまでに大原康子、佐久間礼子、アレキサンダー・アレンコフ、ボジダラ・クズマノヴァ、エリザベス・クロップフィッシュの各氏に師事。
2010年 鎌倉音楽コンクール第2位、 2016年 オーストリアESTAトーナメント パガニーニ部門第1位、 2017年 ユネスコクラブ ヴァスコ・アバジエフ国際ヴァイオリンコンクール第1位、 2018年 ヨハネス・ブラームス国際コンクール ヴァイオリン部門第2位。
18歳という年齢を感じさせない楽曲への深い洞察力、高い演奏技術と表現力が持ち味で将来を大いに嘱望されている。
 
三原未紗子 Misako Mihara (ピアノ)
神奈川県藤沢市生まれ。桐朋学園大学音楽学部、同研究科を修了。ドイツ国立ベルリン芸術大学を最高位で卒業。平成29年度文化庁新進芸術家在外研修員としてオーストリア国立ザルツブルグ・モーツァルテウム音楽大学大学院に在籍し首席卒業。2018年完全帰国。
これまでにジャック・ルヴィエ、ズラータ・チョチエヴァ、二宮裕子、小森谷泉、土肥由美子、山本光世の各氏に師事。
2015年第24回ABC新人コンサート・オーディション最優秀音楽賞を受賞。2016年第62回マリア・カナルス国際コンクールにて審査員よりメダルを受賞。グランド・プライズ・ヴィルトゥオーゾ‘ザルツブルグ’国際音楽コンクール 2016第1位。第12回ルーマニア国際コンクール ピアノ部門第1位、併せて日本ルーマニア音楽協会理事会賞を受賞。2017年第24回ヨハネス・ブラームス国際コンクールセミファイナリスト、審査員特別賞を受賞。第5回アルコバッサ国際室内楽コンクールにて第2位最高位、併せてポルトガル作品最優秀演奏賞を受賞する。2018年第7回せんがわピアノオーディションにて最優秀賞を受賞し、2019年2月にリサイタル予定。2016年第24回ABCフレッシュコンサートにて飯森範親氏指揮、日本センチュリー交響楽団と共演し、その模様とインタビューがABC朝日放送によりドキュメンタリー番組として放送された。2017年文化庁/日本演奏連盟主催 新進演奏家育成プロジェクト・リサイタルシリーズTOKYO61に選出され東京文化会館にてリサイタルを開催。2018年日本ショパン協会パウゼシリーズリサイタルに出演。在ドイツ日本国大使館でのリサイタルの他ドイツ、オーストリア、オランダなどヨーロッパ各国でリサイタルを開催し好評を得る。日本財団ランチタイムコンサート、日本ブラームス協会例会、第82回読売新人演奏会、期待の音大生によるJTアフタヌーンコンサート、第20回JMCコンサート、ヤマハサロンコンサートin GINZA 2012に出演。ベルリン芸術大学主催Corporate Concert、 Konzert für die Nationen、Fête de la musique、モーツァルテウム音楽大学主催Futures Mastersに推薦される他、アルコバッサ国際音楽祭2018(ポルトガル)、オーフォード国際音楽祭(カナダ)、マコン夏の音楽祭(フランス)、エクサンプロヴァンス・ピアニストたちの夕べ(フランス)に出演する。現在、ソロ・室内楽と幅広く活躍している。

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2019年1月 2日 (水)

2019年 謹賀新年 ~猪突猛進!~

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皆様、明けましておめでとうございます!

昨年はおかげさまで「ハルくんの音楽日記」ブログ開設10周年記念のイヴェントも開催することが出来ました。これもすべて皆様のおかげです。

ここ数年は地元音楽家協会の運営、コンサートの主催、CD制作など、リアル音楽活動が大変忙しくなってしまい、中々新しい記事のアップが出来ずにアップアップです。しかし通勤中の音楽鑑賞は毎日続いていて、ピアノ曲、室内楽、声楽曲やオペラなど記事にしたいテーマは沢山あります。これからも地道に続けてゆきます。

戌年から亥年に変わったことですし、今年の抱負は『猪突猛進』です。
我が家の愛犬もイノシシに成りました。

本年もどうぞよろしくお願い致します!

2019年 正月
ハルくん

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2018年12月28日 (金)

県央弦楽四重奏団がいよいよコンサートデビューします!

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今から3年前、神奈川県の県央エリアにおけるクラシック音楽の興隆を志し、県内に在住するプロ演奏家達に声をかけて設立したのが県央音楽家協会です。

そして、このほど協会に所属する優れた弦楽器奏者により県央弦楽四重奏団を結成し、コンサート活動を行うことになりました。

そのデビューコンサートとして海老名市文化会館でニューイヤーコンサートを開催します。

プログラムには新年に相応しい有名曲を選びましたが、レスピーギの「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲」のように普段あまり弦楽四重奏では聴く機会の無いような曲目にも挑戦します。

新年にあたり皆様に多くの幸せがもたらされることを祈りつつ、メンバー全員一生懸命演奏を致しますので、お近くの方はどうぞ会場へいらしてください。

県央弦楽四重奏団 ニューイヤーコンサート2019

日時:2019年1月12日(土)14:00開演(13:30開場)

会場:海老名市文化会館小ホール

入場料:¥2500 

演奏:県央弦楽四重奏団
    杉浦清美(Vn1&2)、小野 唯(Vn1&2)、霜島恵(Va)、藤塚紗也香(Vc)
 

※チケットのお申込み・お問い合わせ: asakura_haru@nifty.com までメールにてお願い致します。

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2018年12月22日 (土)

やっぱり年末は第九でしょー!♪

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「やっぱり年末は第九でしょー!♪」

すみません。記事のアップがすっかり滞っていたのにこんなありきたりの内容で(苦笑)。
でもですね、やっぱり刷り込みというかなんというか、晩秋にブラームスを聴いた後の年末に第九というのはやはり理屈抜きでイイですよ。
というわけで今月は色々と第九のCDを聴き続けています。過去の第九の記事にそれらをまとめて追記しましたので、良かったら覗いてみてください。

明日は女房を連れて第九の演奏会を聴きに行きます。毎年恒例というほどではないのですが、昨年はN響、今年は読響です。

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2018年12月 1日 (土)

好きだ「アイーダ」 それは愛だ!

イタリアオペラやヴェルディの本当に好きな通の方にとってはヴェルディの傑作といえばやはり「オテロ」や「ドン・カルロ」なのでしょうが、僕は「アイーダ」が大好きなのですね。
管弦楽や合唱の美しさが比類なく、オペラ作曲家の枠を超えているように感じるからです。
そんなわけでこの作品を本当に愛していて、今でも相変わらず良く聴いています。
10年前にUPした記事に愛聴ディスクを追記しましたので、ご興味がありましたら覗いてみてください。

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2018年11月14日 (水)

ドヴォルザーク チェロ協奏曲 カザルスとフルニエ両巨匠の歴史的ライブ

ドヴォルザークのチェロ協奏曲は掛け値なしの名曲だと思いますし、溺愛している曲の一つです。今年は夏ごろに良く聴いていました。チェロの技巧を駆使したヴィルトゥオーゾ的な要素も聴き応えが有りますが、チェコ音楽に特有の素朴で爽やかな雰囲気に加えて、ほの暗い抒情性がなんとも魅力的です。

この曲の愛聴盤については、過去に「ドヴォルザーク チェロ協奏曲 名盤」の記事を書いていますが、その後も色々な演奏を加筆していますので良かったらご覧になられてください。

しかし今日は二人のいにしえの大チェリスト、カザルスとフルニエのライヴ録音盤についてご紹介したいと思います。

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パブロ・カザルス独奏、アレクサンダー・シュナイダー指揮プエルトリコ・カザルス音楽祭管(1960年録音/グリーンドア盤) 
ライナーノートを書いた浅岡弘和氏によれば、1960年にカザルス音楽祭を全演目ステレオ録音した米エベレスト社が唯一リリースしたのがこのドヴォルザークとのことです。しかし希少なLPのために店頭から直後に回収されたという憶測もあったらしいです。それほど貴重な音源で、しかも日本国内では正式に発売もされなかったようです。それがこうしてCD化されましたが、そのCDさえも今では貴重品となっているわけです。
この演奏当時カザルスは84歳でした。60年代になると指揮はしていましたがチェロの演奏はかなり減っていたはずです。この演奏も現代のチェリストと比べれば正確な技術面で相当聴き劣りするのは確かです。しかしここに存在する音楽の実在感は一体何なのでしょう。単なる「表現力」などという言葉ではあてはまらない凄まじいまでの魂の燃焼が有ります。それはカザルスが晩年に指揮をした管弦楽団とのあの一連の演奏の凄さと正に共通しています。
1950年代にスペインで隠遁生活をしていたカザルスを説得して音楽祭開催の立役者となったシュナイダーの指揮するオーケストラも、あたかもカザルスが乗り移ったかのように熱く素晴らしい演奏を繰り広げています。それはシュナイダーが、あのブダペスト四重奏団の一員(私が思うにこの人は世界最高のセカンドヴァイオリン奏者!)だったことも無関係ではないでしょう。

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ピエール・フルニエ独奏、イシュトヴァン・ケルテス指揮ルツェルン祝祭管(1967年録音/AUDITE盤) 
カザルスがいかに偉大だとしても、フルニエの弾くチェロの音色と奏でる演奏は本当に素晴らしいと思います。ロストロポーヴィチのような豪快さこそ有りませんが、比類の無い格調の高さを持つからです。音楽そのものの充実感は全く遜色有りません。
ドヴォルザークの協奏曲も数種類の録音が残されていて、中でも定評のあるセル/ベルリン・フィルとのグラモフォン盤は歴史的な名盤と呼べます。それとクーベリック/バイエルン放送響とのプライヴェート盤がベストを争う素晴らしさでしたが、それに新たに若くして水難事故でこの世を去ったイシュトヴァン・ケルテスとの共演盤が登場しました。1967年のルツェルン音楽祭でのライブですが、オールドファンにはたまらない組み合わせですね。更に嬉しいことにステレオ録音で音質も時代を考慮すれば大変優れています。
フルニエも正に全盛期にあり、ライブでも技術的な破綻がほとんど有りません。スケールの大きな音楽というスタイルでは無いのですが、実演による気迫は充分、フレーズ毎の歌い回しにも心がこもり切っていて、聴いていて胸にじわじわと迫ってきます。
ケルテスの指揮するオーケストラも非常に素晴らしいです。臨時編成の弱さを感じさせることもなく、集中力の高い音で独奏チェロを十全に支えています。大好きなこの曲に新たな名盤が加わったことは嬉しい限りです。

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2018年10月18日 (木)

神野千恵 ファースト・ソロアルバム 「ショパン/バラード&スケルツォ」 ~憧憬のショパン~

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ノーザンライツレコード・クラシックスから、中堅の実力派ピアニスト神野千恵さんのCDアルバム「ショパン/バラード&スケルツォ」が新しくリリースされました。といってもレーベルも演奏家もほとんどの方は初めて耳にする名前だと思います。

それもそのはず、これは私が某録音エンジニアと協力して一昨年立ち上げたCD制作プロジェクトで、主に若手や中堅音楽家の為に良質で本格的なCDを制作しましょうというコンセプトで運営しています。

和楽器の業界で最高の尺八の制作者として評価の高い三塚幸彦氏は尺八の演奏家、更には録音エンジニアの”三刀流”として知られます。三塚氏が運営する音楽レーベル「ノーザンライツレコード」は、これまで和楽器やアコースティック楽器、あるいは歌手のCDを多数リリースしてきましたが、そこに私がサポートをして新たに立ち上げたのがクラシック専門のレーベル「ノーザンライツ・クラシックス」です。録音の音質の良さには是非とも注目して頂きたいと思います。

さて、ここで新しくCDをリリースした神野さんについてざっとご紹介します。

<ピアニスト神野千恵プロフィール>

桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部を経て、同大学音楽学部研究科修了。ジュネーヴ音楽院ソリストディプロマ課程修了。在学中に(財)ローム・ミュージックファンデーションより奨学金を得る。
エルネスト・ファッラ国際コンクール(イタリア)第1位及び特別賞、ブレスト国際ピアノコンクール(フランス)第4位、マリエンバート国際ショパンコンクール(チェコ)入賞、安川加壽子記念コンクール第3位ほか、国内外のコンクールにて入賞。第28回・第35回霧島国際音楽祭賞をそれぞれピアノ、室内楽(ピアノトリオ)にて受賞。 日本ショパン協会主催によるリサイタルシリーズの出演(05年、11年/第227回・第256回例会)をはじめ、現在ソロ、室内楽を中心に各地の音楽祭への出演や定期的なリサイタルの開催等、精力的な演奏活動を展開している。
2018年6月、ノーザンライツレコードクラシックスより初のソロアルバムとなるCD「ショパン/バラード&スケルツォ」をリリース。 桐朋学園大学附属子供のための音楽教室ピアノ実技講師。

以上ですが、彼女はこのアルバムに「憧憬のショパン」と題したライナーノートを書いています。

『ショパンはピアニストにとって、憧れの象徴のような存在です。心に寄り添う優しい旋律には親しみを、しかし内に秘めた情熱と緻密で繊細なピアニズムには孤高を感じさせる、儚くも圧倒的なその姿。共感と畏怖を同時に感じてしまうほどの神聖な美しさを持つ珠玉の名曲たちに、私も叶わぬ恋のような想いを抱いています。皆さまとご一緒に、ショパンを少しでも近くに感じられるような幸せな時間を過ごせたらと思っております。』

このCDにはバラードとスケルツォの全曲、そして最後にノクターン第2番がディスク1枚にフルに収録されていますが、肝心なのはその演奏の質の高さです。もちろん世界的に著名な演奏家のCDを聴くのも良いのですが、もっと身近な存在で、しかし素晴らしい演奏を体感するのもとても楽しいものです。

このCDはどの曲でも彼女の演奏技術の高さとショパンに対する憧れがひしひしと感じられるとても素晴らしい演奏です。このCDをお聴きになられてお気に入られましたら、次はぜひとも彼女の演奏会を聴きに行かれてください。

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2018年10月17日 (水)

県央音楽家協会設立二周年記念コンサートが開催されました

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県央音楽家協会の設立二周年記念コンサートが10月12日(土)、神奈川県の海老名市文化会館にて開催され、活動3年目となる今年も新メンバーが加わり盛大に終えることが出来ました。

バラエティに富んだプログラムと充実した演奏は、ご来場くださったお客様に大変ご好評でした。今後も地元神奈川県の音楽文化発展のためにメンバー一同頑張ります!

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2018年9月25日 (火)

「県央音楽家協会 設立二周年記念コンサート」のお知らせ

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私が事務局長を務めている県央音楽家協会は、神奈川県で活動をする音楽家の団体ですが、来月10月6日に「設立二周年記念コンサート」を開催致します。

当公演には会員の多数が出演を致します。指揮は海老名市民の第九を指揮されている乾健太郎先生です。

内容をご紹介しますと、

モーツァルトの三大オペラ名曲集(歌と室内合奏団)
和楽器(尺八、筝)と弦楽四重奏の共演
日本歌曲(和楽器伴奏)
外国歌曲(ピアノ伴奏)
フルートの名曲
弦楽四重奏の名曲

という大変盛り沢山のプログラムです。
お近くの方、是非聴きにいらしてください。

日時:2018年10月6日(土)13:30開演(13:00開場)

会場:海老名市文化会館 小ホール
出演:県央音楽家協会員他ゲスト

入場料:2500円(全自由席)

お問い合わせ&チケットお申込み
県央音楽家協会 事務局(朝倉)
 電話:090-6009-7213
 メール:asakura_haru@nifty.com
海老名市文化会館 
電話:046-232-3231(8月1日より公演日前日まで)

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2018年9月23日 (日)

N響C定期 シベリウス「クレルヴォ」作品7

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昨日22日のこと。NHKホールでN響C定期を聴きました。プログラムはシベリウスの「クレルヴォ」作品7、それに「フィランディア」他でした。
指揮はパーヴォ・ヤルヴィですが、目玉はソプラノにヨハンナ・ルサネン、バリトンにヴィッレ・ルサネンのフィンランド人歌手を揃え、エストニア国立男性合唱団を招いたことです。
「クレルヴォ」は若きシベリウスが民族叙事詩「カレワラ」から題材をとった壮大な管弦楽作品ですが、民族的な色合いを強く漂わせる音楽が本当に素敵で溺愛しています。
ところが滅多に演奏されないので今日初めて実演で聴くことが出来て感激しました。
「フィンランディア」も素晴らしかったです。この曲は誰が何と言おうと男声合唱団が加わる演奏が最高です。
今日、もう一つ嬉しかったのは、ブログでちょうど10年のお付き合いとなる”オペラファンさん”が香川からはるばるお越しになり、長年の念願が叶って初対面出来たことでした。ブログの上でこのような素晴らしいお付き合いが出来ることは決して多くありませんが、人と人との素晴らしい関係は必ずしも形を選ばないという証ですね。 <関連記事> シベリウス 「クレルヴォ」 名盤 ~幻の傑作

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