2018年12月 1日 (土)

好きだ「アイーダ」 それは愛だ!

イタリアオペラやヴェルディの本当に好きな通の方にとってはヴェルディの傑作といえばやはり「オテロ」や「ドン・カルロ」なのでしょうが、僕は「アイーダ」が大好きなのですね。
管弦楽や合唱の美しさが比類なく、オペラ作曲家の枠を超えているように感じるからです。
そんなわけでこの作品を本当に愛していて、今でも相変わらず良く聴いています。
10年前にUPした記事に愛聴ディスクを追記しましたので、ご興味がありましたら覗いてみてください。

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2018年11月14日 (水)

ドヴォルザーク チェロ協奏曲 カザルスとフルニエ両巨匠の歴史的ライブ

ドヴォルザークのチェロ協奏曲は掛け値なしの名曲だと思いますし、溺愛している曲の一つです。今年は夏ごろに良く聴いていました。チェロの技巧を駆使したヴィルトゥオーゾ的な要素も聴き応えが有りますが、チェコ音楽に特有の素朴で爽やかな雰囲気に加えて、ほの暗い抒情性がなんとも魅力的です。

この曲の愛聴盤については、過去に「ドヴォルザーク チェロ協奏曲 名盤」の記事を書いていますが、その後も色々な演奏を加筆していますので良かったらご覧になられてください。

しかし今日は二人のいにしえの大チェリスト、カザルスとフルニエのライヴ録音盤についてご紹介したいと思います。

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パブロ・カザルス独奏、アレクサンダー・シュナイダー指揮プエルトリコ・カザルス音楽祭管(1960年録音/グリーンドア盤) 
ライナーノートを書いた浅岡弘和氏によれば、1960年にカザルス音楽祭を全演目ステレオ録音した米エベレスト社が唯一リリースしたのがこのドヴォルザークとのことです。しかし希少なLPのために店頭から直後に回収されたという憶測もあったらしいです。それほど貴重な音源で、しかも日本国内では正式に発売もされなかったようです。それがこうしてCD化されましたが、そのCDさえも今では貴重品となっているわけです。
この演奏当時カザルスは84歳でした。60年代になると指揮はしていましたがチェロの演奏はかなり減っていたはずです。この演奏も現代のチェリストと比べれば正確な技術面で相当聴き劣りするのは確かです。しかしここに存在する音楽の実在感は一体何なのでしょう。単なる「表現力」などという言葉ではあてはまらない凄まじいまでの魂の燃焼が有ります。それはカザルスが晩年に指揮をした管弦楽団とのあの一連の演奏の凄さと正に共通しています。
1950年代にスペインで隠遁生活をしていたカザルスを説得して音楽祭開催の立役者となったシュナイダーの指揮するオーケストラも、あたかもカザルスが乗り移ったかのように熱く素晴らしい演奏を繰り広げています。それはシュナイダーが、あのブダペスト四重奏団の一員(私が思うにこの人は世界最高のセカンドヴァイオリン奏者!)だったことも無関係ではないでしょう。

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ピエール・フルニエ独奏、イシュトヴァン・ケルテス指揮ルツェルン祝祭管(1967年録音/AUDITE盤) 
カザルスがいかに偉大だとしても、フルニエの弾くチェロの音色と奏でる演奏は本当に素晴らしいと思います。ロストロポーヴィチのような豪快さこそ有りませんが、比類の無い格調の高さを持つからです。音楽そのものの充実感は全く遜色有りません。
ドヴォルザークの協奏曲も数種類の録音が残されていて、中でも定評のあるセル/ベルリン・フィルとのグラモフォン盤は歴史的な名盤と呼べます。それとクーベリック/バイエルン放送響とのプライヴェート盤がベストを争う素晴らしさでしたが、それに新たに若くして水難事故でこの世を去ったイシュトヴァン・ケルテスとの共演盤が登場しました。1967年のルツェルン音楽祭でのライブですが、オールドファンにはたまらない組み合わせですね。更に嬉しいことにステレオ録音で音質も時代を考慮すれば大変優れています。
フルニエも正に全盛期にあり、ライブでも技術的な破綻がほとんど有りません。スケールの大きな音楽というスタイルでは無いのですが、実演による気迫は充分、フレーズ毎の歌い回しにも心がこもり切っていて、聴いていて胸にじわじわと迫ってきます。
ケルテスの指揮するオーケストラも非常に素晴らしいです。臨時編成の弱さを感じさせることもなく、集中力の高い音で独奏チェロを十全に支えています。大好きなこの曲に新たな名盤が加わったことは嬉しい限りです。

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2018年10月18日 (木)

神野千恵 ファースト・ソロアルバム 「ショパン/バラード&スケルツォ」 ~憧憬のショパン~

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ノーザンライツレコード・クラシックスから、中堅の実力派ピアニスト神野千恵さんのCDアルバム「ショパン/バラード&スケルツォ」が新しくリリースされました。といってもレーベルも演奏家もほとんどの方は初めて耳にする名前だと思います。

それもそのはず、これは私が某録音エンジニアと協力して一昨年立ち上げたCD制作プロジェクトで、主に若手や中堅音楽家の為に良質で本格的なCDを制作しましょうというコンセプトで運営しています。

和楽器の業界で最高の尺八の制作者として評価の高い三塚幸彦氏は尺八の演奏家、更には録音エンジニアの”三刀流”として知られます。三塚氏が運営する音楽レーベル「ノーザンライツレコード」は、これまで和楽器やアコースティック楽器、あるいは歌手のCDを多数リリースしてきましたが、そこに私がサポートをして新たに立ち上げたのがクラシック専門のレーベル「ノーザンライツ・クラシックス」です。録音の音質の良さには是非とも注目して頂きたいと思います。

さて、ここで新しくCDをリリースした神野さんについてざっとご紹介します。

<ピアニスト神野千恵プロフィール>

桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部を経て、同大学音楽学部研究科修了。ジュネーヴ音楽院ソリストディプロマ課程修了。在学中に(財)ローム・ミュージックファンデーションより奨学金を得る。
エルネスト・ファッラ国際コンクール(イタリア)第1位及び特別賞、ブレスト国際ピアノコンクール(フランス)第4位、マリエンバート国際ショパンコンクール(チェコ)入賞、安川加壽子記念コンクール第3位ほか、国内外のコンクールにて入賞。第28回・第35回霧島国際音楽祭賞をそれぞれピアノ、室内楽(ピアノトリオ)にて受賞。 日本ショパン協会主催によるリサイタルシリーズの出演(05年、11年/第227回・第256回例会)をはじめ、現在ソロ、室内楽を中心に各地の音楽祭への出演や定期的なリサイタルの開催等、精力的な演奏活動を展開している。
2018年6月、ノーザンライツレコードクラシックスより初のソロアルバムとなるCD「ショパン/バラード&スケルツォ」をリリース。 桐朋学園大学附属子供のための音楽教室ピアノ実技講師。

以上ですが、彼女はこのアルバムに「憧憬のショパン」と題したライナーノートを書いています。

『ショパンはピアニストにとって、憧れの象徴のような存在です。心に寄り添う優しい旋律には親しみを、しかし内に秘めた情熱と緻密で繊細なピアニズムには孤高を感じさせる、儚くも圧倒的なその姿。共感と畏怖を同時に感じてしまうほどの神聖な美しさを持つ珠玉の名曲たちに、私も叶わぬ恋のような想いを抱いています。皆さまとご一緒に、ショパンを少しでも近くに感じられるような幸せな時間を過ごせたらと思っております。』

このCDにはバラードとスケルツォの全曲、そして最後にノクターン第2番がディスク1枚にフルに収録されていますが、肝心なのはその演奏の質の高さです。もちろん世界的に著名な演奏家のCDを聴くのも良いのですが、もっと身近な存在で、しかし素晴らしい演奏を体感するのもとても楽しいものです。

このCDはどの曲でも彼女の演奏技術の高さとショパンに対する憧れがひしひしと感じられるとても素晴らしい演奏です。このCDをお聴きになられてお気に入られましたら、次はぜひとも彼女の演奏会を聴きに行かれてください。

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2018年10月17日 (水)

県央音楽家協会設立二周年記念コンサートが開催されました

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県央音楽家協会の設立二周年記念コンサートが10月12日(土)、神奈川県の海老名市文化会館にて開催され、活動3年目となる今年も新メンバーが加わり盛大に終えることが出来ました。

バラエティに富んだプログラムと充実した演奏は、ご来場くださったお客様に大変ご好評でした。今後も地元神奈川県の音楽文化発展のためにメンバー一同頑張ります!

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2018年9月25日 (火)

「県央音楽家協会 設立二周年記念コンサート」のお知らせ

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私が事務局長を務めている県央音楽家協会は、神奈川県で活動をする音楽家の団体ですが、来月10月6日に「設立二周年記念コンサート」を開催致します。

当公演には会員の多数が出演を致します。指揮は海老名市民の第九を指揮されている乾健太郎先生です。

内容をご紹介しますと、

モーツァルトの三大オペラ名曲集(歌と室内合奏団)
和楽器(尺八、筝)と弦楽四重奏の共演
日本歌曲(和楽器伴奏)
外国歌曲(ピアノ伴奏)
フルートの名曲
弦楽四重奏の名曲

という大変盛り沢山のプログラムです。
お近くの方、是非聴きにいらしてください。

日時:2018年10月6日(土)13:30開演(13:00開場)

会場:海老名市文化会館 小ホール
出演:県央音楽家協会員他ゲスト

入場料:2500円(全自由席)

お問い合わせ&チケットお申込み
県央音楽家協会 事務局(朝倉)
 電話:090-6009-7213
 メール:asakura_haru@nifty.com
海老名市文化会館 
電話:046-232-3231(8月1日より公演日前日まで)

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2018年9月23日 (日)

N響C定期 シベリウス「クレルヴォ」作品7

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昨日22日のこと。NHKホールでN響C定期を聴きました。プログラムはシベリウスの「クレルヴォ」作品7、それに「フィランディア」他でした。
指揮はパーヴォ・ヤルヴィですが、目玉はソプラノにヨハンナ・ルサネン、バリトンにヴィッレ・ルサネンのフィンランド人歌手を揃え、エストニア国立男性合唱団を招いたことです。
「クレルヴォ」は若きシベリウスが民族叙事詩「カレワラ」から題材をとった壮大な管弦楽作品ですが、民族的な色合いを強く漂わせる音楽が本当に素敵で溺愛しています。
ところが滅多に演奏されないので今日初めて実演で聴くことが出来て感激しました。
「フィンランディア」も素晴らしかったです。この曲は誰が何と言おうと男声合唱団が加わる演奏が最高です。
今日、もう一つ嬉しかったのは、ブログでちょうど10年のお付き合いとなる”オペラファンさん”が香川からはるばるお越しになり、長年の念願が叶って初対面出来たことでした。ブログの上でこのような素晴らしいお付き合いが出来ることは決して多くありませんが、人と人との素晴らしい関係は必ずしも形を選ばないという証ですね。 <関連記事> シベリウス 「クレルヴォ」 名盤 ~幻の傑作

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2018年9月20日 (木)

イヴ・アンリ教授 レクチャーコンサート「ショパンからドビュッシーへ」

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もう先週12日のことになりますが、汐留ベヒシュタインサロンに行きフランスのピアニスト、イヴ・アンリ氏のレクチャーコンサートを聴きました。

「ショパンからドビュッシーへ」をテーマに、ショパンがその後フランス印象派の作曲家に与えた影響を解説を交えながら演奏されました。パリ音楽院の教授でもあるアンリ先生の解説は非常に興味深かったですが、その演奏の素晴らしさには感嘆しました。ベヒシュタインから引き出される音色は底光りのするような美しさで、特に繊細な弱音には言葉を失います。音色が多彩に変化するのは正に魔法のようです。「月の光」では満天の夜空からスターダストが本当にキラキラと降り注いでくるようでした!

アンリ先生はピアノの音の色彩の変化やハーモニーについて長い時をかけて深く研究されていらっしゃるようです。多くの日本のピアノの先生は果たしてこれだけ音色にこだわりを持ち生徒さんに教えていらっしゃるものでしょうか。

ご縁が有って今回の来日記念盤CD「A Life with CLUDE DEBUSSY」を我がノーザンライツレコードのレーベルでリリースさせて頂く名誉を頂きました。音源はフランスで録音されましたが、日本でパッケージングと最終製作を行ったものです。ユーロピアノ(株)さんから近日発売ですのでご期待ください!

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終演後のホワイエにてアンリ先生と私

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2018年8月28日 (火)

レスパス弦楽四重奏団のコンサート ~シューベルト弦楽五重奏曲他~

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先週の土曜日25日のこと。横浜吉野町市民プラザで開催されたレスパス弦楽四重奏団のコンサートを聴きに行きました。

桐朋学園大学出身の若手奏者を中心に結成されたこのカルテットは第1ヴァイオリンの鍵富弦太郎さんを核にしてとても良く練り上げられた演奏を行うので大変気に入っています。

メンバーは鍵富弦太郎(第1ヴァイオリン)、小形響(第2ヴァイオリン)、福井萌(ヴィオラ)、湯原拓哉(チェロ)というメンバーです。
そしてこの日はシューベルトにチェロの荒井結子がゲスト参加しました。

プログラムを演奏順にご紹介しますと、

・ハイドン : 弦楽四重奏曲第17番ヘ長調

・ドビュッシー : 弦楽四重奏曲ト短調
     ―休憩―
・シューベルト : 弦楽五重奏曲ハ長調
です。
もちろん前半の2曲も名作ですし楽しめましたが、目玉はなんといっても後半のシューベルト。五重奏と聞いて「ます」と間違えることなかれ。シューベルトが余命いくばくもない中で完成させた屈指の傑作ですね。
この50分にも及ぶ大作を素晴らしい演奏で堪能しました。有名な団体の演奏で聴いても必ずしも満足できないこの曲ですが、今日の演奏には僕がいつも求めたいと思っている古く良き時代のウイーンの素朴な情緒感が感じられたのが嬉しかったです。それは、やはり鍵冨さんの音楽的センスの良さが大きいのでしょうが、他のメンバーやゲストの荒井さんの実力とが一体となって初めて成り立つのは間違いありません。
彼らの次回の演奏会が今から楽しみです!
(下記写真は彼らのブログから)
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2018年8月11日 (土)

ドヴォルザーク 交響曲第5番へ長調op.76 名盤 ~続・ボヘミアの草原にて~

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ドヴォルザークの交響曲は作曲年代を追うごとに充実して行きますが、それでは滅多に演奏される機会のない第5番までの作品がつまらないかと言えばそんなことはありません。

作品番号の付いていない第1番からして既にドヴォルザーク好きにとってはグッとハートを惹きつけられる魅力が有ると思います。ただ、その割には第2番と第3番に関してはもうひとつ魅力が足りなくは感じています。

第4番以降については文句無しで、諸先輩作曲家達から受けた影響が完全には拭い去れないものの、ドヴォルザーク自身としての音楽の魅力が大きく感じられます。

今回上げた第5番も最初に楽譜出版されたそれ以降の作品の中に有って非常に楽しめる秀作交響曲だと思います。作曲者自身はこの曲に作品番号Op.20を付けたのですが、こともあろうに楽譜出版を行ったジムロックが勝手にOp.76と付けてしまいました。そのために長い間第6番、第7番よりも後に書かれた作品だと誤って考えられていました。

しかし裏を返せば、この第5番がそれだけ魅力的だったということなのでしょう。個人的にも第6番よりもむしろこちらを好んでいます。

第1楽章はアレグロ・マ・ノントロッポで、第6番とも共通したボヘミアの陽光の牧草地をイメージさせる大変美しい楽章です。時折アルペンホルンらしい音も聞こえて爽やかなことこの上ありません。 

第2楽章アンダンテ・コンモートは主部のほの暗く情緒的な旋律の美しさにはドヴォルザークファンならずとも魅了されることでしょう。スラヴの哀愁が一杯に漂っています。

第3楽章スケルツォ楽章ですが、主部はスラブ舞曲風で快活なリズムが印象的です。中間部も明るく幸福感に満ち溢れています。

第4楽章アレグロ・モルトは極めてエネルギッシュであり、その荒々しさは同じスラヴでもむぢろロシア的な印象です。畳みかけるリズムと金管と打楽器の迫力にいやでも興奮させられます。

それでは僕の愛聴盤のご紹介です。

41841syprrlヴァ―ツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1972年録音/スプラフォン盤) ノイマンのチェコ・フィルとのドヴォルザーク交響曲全集の旧録音盤に含まれます。写真はその全集盤です。チェコ・フィルの持っている温かく素朴な響きがこの曲にピタリと合っています。ノイマンの指揮はいつも通り、わざとらしさの無い自然体なのですが、終楽章辺りでも、スラヴの迫力を必要十分にしっかりと引き出していて物足りなさは皆無です。ティンパニの切れの良さは印象的です。各楽器の音が明瞭に聞き取れる優れたアナログ録音であるのも嬉しい限りです。 

711lltp5pwl__sl1087_ズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキア・フィル(1978年録音/オーパス盤) オーパスレーベルに録音された交響曲全集はノイマンの新旧の全集盤と並ぶ素晴らしい金字塔です。コシュラーとスロヴァキア・フィルのコンビはよほど相性が良いのか、どれもが素晴らしい演奏で驚きます。スロヴァキア・フィルの弦楽の優秀さや管楽の音色の素朴な美しさなど魅力の点ではチェコ・フィルを上回るのではないかと思わせるほどです。コシュラーの全集盤は恐らく日本では僅かにしか流通しなかったと思われますが、単独盤で現在入手できるとすれば英国のライセンスレーベルRegis盤でしょう。明瞭で広がりが有り優秀なリマスターが施されています。 

Dvorak_61j5fwzynl_sy355_ ヴァ―ツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1982年録音/スプラフォン盤) 旧録音からわずか10年後の再録音盤です。写真は単独盤ですが、自分が所有しているのは全集盤です。ノイマンのドヴォルザークは旧盤と新盤のどちらを取るかは毎回迷うところですが、演奏はほぼ同じと言って良いです。新盤はデジタル録音ですが、オフマイクなので客席で聴いているような印象を受けます。各楽器が身近に感じられる旧盤とどちらを好むかは聴き手次第です。個人的にはわずかでも音楽に円熟味を増した感のある新盤を取りたいような気がします。 

Dvorakcci00055ズデニェック・コシュラー指揮チェコ・ナショナル響(1994年録音/ビクター盤) コシュラーは晩年にチェコで新しく創設された楽団を指揮してドヴォルザークのシンフォニーを5、7、8、9の4曲を録音に残しました。この5番はライブ録音ですが優秀な奏者を集めたと言われるだけあり素晴らしい演奏です。しかし長い時間をかけて練り上げられたようなスロヴァキア・フィルの音色の魅力にはまだ僅かに及ばない印象です。しかしスロヴァキア盤が入手するチャンスがほとんど失われた現在、このチェコ・ナショナル盤でコシュラーの素晴らしさを是非味わって頂きたいと思います。

Dvorak_717tis6tkyl__sl1200_イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル(2012年録音/DECCA盤) 最も新しいチェコ・フィルによる全集盤ですが、今は亡きビエロフラーヴェクが最晩年に残した最上の遺産です。DECCAによる録音は客席で聴くような臨場感があります。ビエロフラーヴェクの指揮は奇をてらうようなことは全く無く、チェコの伝統的でオーソドックスなスタイルを踏襲しています。スメタナやドヴォルザークはやはりこうでなくては魅力を損なってしまいます。第2楽章の主部の情緒感が今一つの気がしますが、その分終楽章の迫力ある充実感は聴きごたえ十分です。

さてどれもがこの曲の魅力を伝えているのですが、強いて好みで絞ればノイマン/チェコ・フィルの新旧両盤となります。しかしその差はほとんど無いに等しいです。

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2018年8月 9日 (木)

ペーター=ルーカス・グラーフのリサイタル

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今週5日のことでしたが、世界的フルーティスト、ペーター=ルーカス・グラーフのリサイタルを聴きに新百合ヶ丘のユリホールへ行きました。ピアノは田原さえさんです。 

昔からこの人のフルートは大好きで、特にモーツァルトのカルテットやコンチェルトなど何度繰り返して聴いたか分かりません。堅実で王道を行く演奏でありながら、決して派手にはならない華を感じられるのが好きでした。

今回のプログラムは以下の通りでした。 

G. F. ヘンデル:ソナタ op.1-11

J. ラウバー:3つのフモレスク フルート・ソロのための

F. シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ イ短調 より 第1楽章(編曲:P.L.グラーフ)

A. ルーセル:笛吹きたち

福島和夫:冥 フルート・ソロのための

Ph. ゴーベール:ノクターンとアレグレットスケルツァンド

 

それにしてももう89歳になるそうですが、年齢による衰えなど微塵も感じさせず、その演奏の素晴らしさ、風格に唖然とさせられました。若くして世界の超一流になった人が長年積み上げてきた芸格はとてつもない領域に達しますね。先日同じくここで聴いたジェラール・プーレさんのヴァイオリンもそうでした。

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2018年8月 7日 (火)

ブログ開設10周年記念オフ会風景

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拙ブログの開設10周年を記念してオフ会を開きました。

会場は自由が丘にある民間コミュニティ、シェア奥沢です。

こちらのオーナーである堀内先生がこのブログに訪れて頂いたのがご縁で、こちらでレコード鑑賞会を私が企画することになりました。4年前のことです。

それはじきに生演奏のコンサートに変わってゆきましたが、それがはずみとなり私の地元の神奈川で音楽家の団体を立ち上げることになりました。つまり現在の私のリアル音楽活動はここから始まったのです。

そういう意味からも記念オフ会を開くのにこれほど相応しい場所は有りませんし、今回もまた先生に全面的にご協力を頂くことが出来ました。

特に想い出に残る記事を幾つか選びスクリーンに映し、エピソードをお話ししながらお気に入りの演奏を皆さんに聴いて頂きました。そして鑑賞会の後には楽しい交流会となりました。

シェア奥沢さん、そしてこの日ご参加下さった皆様には心からお礼申し上げます。

そして会にご参加は出来なくても、日頃ご声援を頂いている全ての皆さまへ深く感謝致します!

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2018年8月 3日 (金)

ブログを開設してからちょうど10年が過ぎました

このブログを開設してからちょうど10年が過ぎました。
その10年前の今日書いた最初の記事がこれです。
本当に月日が経つのは早いものですね。このときには何年続くかどうかなんて考えもしませんでした。
実はこのブログのヒントは今は亡き音楽評論家、宇野功芳先生の著書「クラシックの名曲・名盤(講談社現代新書)です。あの小さな新書で紹介された名曲の数々はこれからクラシックを聴いてゆきたいと思う人には最適な道案内だと思ったからです。推薦CD、それ以外のCDを片っ端から聴いて、結果「自分はそうは感じない、こう感じる」という具合に思ったことをこのブログに書いてきました。
なにせアマチュアの音楽愛好家が書くことですから、専門性に乏しい内容なのはご容赦頂くとしても、どこかで『評論家気取り』なんて批判を受けたような気がします。これは本物の評論家諸氏に申し訳ないですね。
しかし評論家といえども評論には自分の考え、好みが大きく出るわけで、本質的には何ら変わらないというのが僕の考えです。
アマチュアリスナーの僕らも全員が評論家を気取るべきです。そう、あたかも自分が評論家になったつもりで、愛聴曲、愛聴盤、愛聴演奏家を見つけてゆくべきです。
これはクラシック愛好家の大いなる楽しみなわけですから。愛好家にかかってはたとえホロヴィッツといえども「嫌いだ」で済ませて何のお咎めも受けません。(笑)
さて、このブログはこれからまた10年先まで続いていけるでしょうか。もしも続いていたときには今日の記事を読み返すことにします。
明日は自由が丘のコミュニティ、シェア奥沢で記念のオフ会を開きます。きっと楽しい集いになることと思います。
まだ参加を受け付けていますが、食材調達の都合上、本日中(8/3)にご連絡ください。

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2018年7月17日 (火)

ドヴォルザーク 交響曲第6番ニ長調op.60 名盤 ~ボヘミアの草原にて~

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いよいよ全国的に猛暑の到来ですが、記録的な大雨による災害に合われた西日本各地の方々には心よりお見舞い申し上げます。 

さて毎年6月から今頃まで梅雨時から真夏にかけて聴きたくなってしまうのがスメタナやドヴォルザークなどボヘミアの音楽です。もちろん聴感上の”冷却効果”なら北欧の音楽ということになるのでしょうが、それではなにか冷房の効いた室内にいるような気分になってしまいます。そこへゆくとボヘミア音楽からは屋外、それもボヘミアの草原で爽やかな自然の風に当たるような爽快感が得られます。これはあくまで個人的なこだわりです。 

そこで今回はこれまで取り上げていなかったドヴォルザークの交響曲第6番です。ドヴォルザークの交響曲は第7番以降の三曲が断然素晴らしいのですが、それに次いでは6番と5番が優れているので是非聴いて頂きたいと思います。 

ドヴォルザークの交響曲は最初に現在の第5番から第9番の5曲が出版されました。そのためにその5曲は当初、第1番から5番の番号が付けられました。しかも番号が作曲順では無かったために少々ややこしくなってしまいました。 

出版時の第1番 ⇒ 現在の第6番
      第2番 ⇒ 現在の第7番
      第3番 ⇒ 現在の第5番
      第4番 ⇒ 現在の第8番
      第5番 ⇒ 現在の第9番「新世界より」

最初に出版されたのが第6番であったために、これが当時の第1番とされました。もちろん現在の番号は作曲された順番ですので後期の5曲がやはり作品として充実しており聴き応えが有ります。 

よくドヴォルザークの第7番はブラームスの交響曲第3番の影響を受けたと言われていますが、この第6番はブラームスの交響曲第2番の影響を受けているのが明らかです。この両曲に共通するのは、温かな日差しを一杯に受けているような穏やかで明るい雰囲気を持ち、牧歌的な美しさに溢れている点です。 

第1楽章はアレグロ・ノンタントで、広々と広がるボヘミアの牧草地や遠くの山並みなどをイメージさせます。とても幸福感に包まれています。 

第2楽章アダージョは静けさの中に詩的な抒情性を持つ大変美しい楽章です。 

第3楽章プレストはスケルツォ楽章ですが、スラヴ舞曲の中でも最も急速なフリアントが置かれています。血が沸き立つような魅力が有ります。 

第4楽章アレグロ・コン・スピーリトで、軽やかなリズムで楽しさいっぱいです。第7番以降のシンフォニーの迫力ある終楽章とはまるで異なります。 

それでは僕の愛聴盤のご紹介です。

51p5zwdrwklカレル・アンチェル指揮チェコ・フィル(1966年録音/スプラフォン盤) アンチェルのセッション録音らしい端正な演奏です。1960年代のチェコ・フィルの演奏は素朴さが有り良いです。ただ、これもアンチェルの特徴ですが、響きが凝縮され過ぎている印象で、この曲には、もう少しふくよかな柔らかさが感じられる方が良いと思います。その割に3楽章の切迫感がいま一つです。写真は国内の新リマスター盤ですが、実際に所有しているのは旧リマスター盤です。音質の比較はしていません。 

41841syprrlヴァ―ツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1972年録音/スプラフォン盤) ノイマンのチェコ・フィルとのドヴォルザーク交響曲全集のこれは最初の録音盤です。写真は所有する全集で、現在では単独盤は廃盤かもしれません。ノイマンのゆとりと広がりがあり、温かな味わいが、この曲の持つ楽想とピタリ一致した素晴らしい演奏です。3楽章の切迫感はいくらか物足りなさを感じますが、終楽章のまったり感は独特の魅力です。録音からはだいぶ経ちましたが各楽器の音が明瞭に聞き取れる優れたアナログ録音です。 

711lltp5pwl__sl1087_ズデニェック・コシュラー指揮スロヴァキア・フィル(1977年録音/オーパス盤) 交響曲全集としてオーパスレーベルに録音されましたが、ノイマンの全集に一歩も引けを取らないどころか魅力の点で上回る点が多々あります。コシュラーとスロヴァキア・フィルのコンビは本当に最高でした。コシュラーの高い音楽性を支える弦楽の優秀さ、管楽の音の味わいなど惚れ惚れとする魅力を感じます。所有するのは写真の英国のライセンスレーベルRegis盤です。当時国内ライセンスを所有したビクター盤よりも音が柔らかい印象ですが、明瞭で広がりもあり優秀なリマスターが施されています。 

1982_51x10n830nl_2ヴァ―ツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル(1982年録音/スプラフォン盤) 上記のチェコ・フィルとの全集録音からわずか10年後の再録音盤です。所有しているのは全集ですが写真は単独盤です。演奏そのものはテンポといい解釈といい旧盤とほぼ同じと言って良いです。デジタル録音となりましたが、オフマイクなので客席で聴くような印象です。各楽器が近く感じられる旧盤とどちらを好むかは聴き手により左右されるでしょう。当時のチェコ・フィルの生音はむしろこちらに近いようにも思いますが、あくまで再生録音で楽しむ前提としては旧盤を好みます。 

Dvorak_717tis6tkyl__sl1200_イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル(2012年録音/DECCA盤) 最も新しいチェコ・フィルの全集録音盤ですが、ここにはビエロフラーヴェクの到達した円熟の境地の姿が在ります。といっても実に生命感に溢れ、3楽章の速いテンポの切迫感など最高です。終楽章も速く情熱的なのでノイマンのまったり感の対極にあります。好みは別として、これは大変に素晴らしい演奏です。DECCAによる録音も客席で聴くような臨場感があります。数年前に実演で聴いたチェコ・フィルの美音を味わえて、この全集は今は亡きマエストロの最上の遺産となりました。 

さてどれもがこの曲の魅力を伝えているので絞り込む必要はないと思うのですが、強いて好みで上げればノイマン/チェコ・フィルの旧盤とコシュラー/スロヴァキア・フィル盤というところです。

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2018年5月30日 (水)

ショパン 「練習曲集」(エチュード) 名盤

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ショパンの練習曲(エチュード)集は作品10の12曲、作品25の12曲、作品番号無しの新練習曲の3曲と全部合わせて27曲が楽譜に残されていますが、一般的には作品10と作品25が圧倒的に有名で、この24曲だけでレコーディングされることも多いです。

作品10が発表されたのはショパン23歳のときで、フランツ・リストに捧げられました。
これらの作品はその名の通り”練習曲”として書かれていますが、極めて難易度の高い演奏技術の鍛錬を目的としています。その反面、音楽的にも大変優れているのでコンサートピースとして広く演奏されています。
作品10と作品25では幾らか性格が異なり、高度な技術的要素が前面に現れる作品10に対して、作品25では高度な技術要素を越えた充実した音楽内容が一層感じられます。しかし作品10にはあの美しい名曲「別れの曲」(原題はTristesseで本来は”悲しみ”と訳されます)が有りますし、中々に甲乙は付けにくいです。

それでは愛聴盤をご紹介してみます。
 
Chopin_51htoorwail_sy355_アルフレッド・コルトー(1933-34年録音/EMI盤)(1942年録音/EMI盤) 所有しているBOXセットには2種類の録音が含まれています。録音時期に10年近くの開きがあるので再録音盤は音そのものは明確なのですが、サーフェイスノイズが大きいのがマイナスです。肝心の演奏は似たり寄ったりで、現代の奏者と比べると多くの箇所で指がもつれているように聞こえます。どちらか言えば旧録音盤のほうがまだ良く弾けている印象です。それでも全体がコルトーらしい濃い情緒感に覆われているのはさすがですが、技術的な側面がどうしても前面に出てくるエチュード集はショパンの曲の中では余りコルトー向きでは無いようです。

Chopin71lt58iq8yl__sy355_ サンソン・フランソワ(1959年録音/EMI盤) 残念なことにモノラル録音で音質に古めかしさを感じられるのが残念です。天才フランソワのショパンには常に一定の型にはまらない自由な閃きを感じますが、奇異な印象やあざとさを感じることは有りません。テクニック面でもその後に登場してくる世代と比べてもさほど見劣りすることは有りません。静かな曲での繊細な美しさは見事なものですし、逆に作品25の11、12などでは腹の底まで響き渡る凄みある音を聞かせてくれます。この人もやはり演奏史に残る偉大なショパン弾きだったと思います。

Chopin230028497 ウラディーミル・アシュケナージ(1971-72年録音/デッカ盤) もちろんアシュケナージは指折りのテクニシャンですし、ポリーニ盤とほぼ同時期にリリースされたエチュードでしたが、話題性ではポリーニに負けたように記憶しています。いま改めて聴いてみても高速アルぺジオの音の粒立ち、リズムの堅牢性などでやはりポリーニが一枚上かなと思います。もしもの話、ポリーニ盤が存在しなければ名盤として君臨することでしょうが事実は異なります。もっともポリーニ盤は鑑賞の上で余りに緊張の持続を強いられるので疲れてしまうという方にはアシュケナージ盤はお薦め出来ると思います。

Chopin61okwcttual__sl1096_ マウリツィオ・ポリーニ(1972年録音/グラモフォン盤) 発売当時のLP盤の帯に「これ以上何をお望みですか?」という吉田秀和氏の有名な言葉が印刷されていたのを知らないオールドファンは居ないと思います。ポリーニが18歳でショパンコンクールを制したのちに10年間もの沈黙を守り、再び楽壇に登場して録音をした衝撃的なアルバムでした。10年間の研鑽がそのまま結晶化したかのような演奏は「果たして人間にこのような演奏が可能なものか」と言葉を失わせる演奏でした。この演奏の凄さは正にアポロン芸術の極致で、あたかも情緒の入り込む隙間が無いほどの完璧な演奏なのですが、それでいて無味乾燥では無く、澄み切った空気感が確かに存在することです。もしもケチを付けるとすれば作品25の11、12に関しては制御が聴き過ぎているのでもっと羽目を外して荒々しく終わるほうが好みなぐらいです。これはエチュード集のみならずあらゆるピアノ演奏の五指に入る歴史的な録音だと思います。

Chopin11tbkwi1al__sl1050_ルイ・ロルティ(1986年録音/シャンドス盤) ロルティもまたグールドと同じカナダが輩出した素晴らしいピアニストです。テクニックに優れ、音の粒立ちの良さ、テンポの堅牢さはポリーニ並みですが、ポリーニほどの緊張感を強いられることは無く、むしろ澄み切った叙情性すら感じさせます。全体的にかなり速いテンポなのにもかかわらず上滑りすることなく落ち着いた印象なのは音楽が完成されていて、この難易度の高い曲の演奏にも余裕を持ち合わせるからでしょう。録音も優秀でピアノの音も幾らかオフ気味ですが非常に綺麗です。

Chopin アンドレイ・ガヴリーロフ(1985-87年録音/EMI盤) ガヴリーロフもユニークな演奏を残しました。特に作品10の大半の曲を超快速(音速か?)でかっ飛ばすのにはただ唖然とするばかりです。しかしここにはポリーニのような微動だにしない堅牢なアポロン芸術というよりはスポーツ的な快感を感じます。それでも「別れの曲」や作品10-6の静寂な雰囲気や作品10-11や25-1の粒立ちの良い光り輝く音など耳を傾ける箇所も多いです。また作品25-11以降の迫力も圧巻です。この曲集を原点の「エチュード」だと考えればポリーニに並び立つ演奏だと断言出来ます。もちろん鑑賞用としても非常に楽しいです。

Chopin51tmn0kd6gl__sy355_ スタニスラフ・ブーニン(1998年録音/EMI盤) あれだけ一般の人気の高かったブーニンですが、マニア筋には必ずしも評価が高かったわけでは無いようです。この演奏はポリーニの透徹したアポロ的な演奏とは反対に感情表現豊かなディオニソス的な演奏と言えます。もちろん技術的にも高いレベルに有ります。ポリーニやロルティのような完全無欠のアルペジオと比べればほんの僅かに劣る感じは有りますが、そもそもブーニンはこの人特有の非常にロマンティックで深い音楽をめざしているために全く気になりません。全体のゆったりと大きなスケール感も特筆ものです。これは中々にユニークな名盤だと思います。

Chopin51qnfz4bmil__sx355_マレイ・ペライア(2001年録音/SONY盤) ペライアがショパンをこれだけ弾けるのかと驚きました。ポリーニのアポロンタイプに僅かにディオニソステイストを加えたようなスタイルです。全体的に速めのテンポで颯爽と進みますが、曲によっては中々の迫力を聞かせます。この人もまた高いテクニックを持ちますが、作品10-4のような曲ではスケールが幾らか不安定のような印象を受けます。もっともそれはポリーニと比較してとお断りしておきます。録音も新しく音質も優れます。

<作品25のみ>
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グリゴリー・ソコロフ(1995年録音/NAIVE盤) 現代の幻の大ピアニスト、ソコロフのエチュードの録音は残念なことに作品25しか有りませんので番外扱いにはなりますが、ライブでこの曲の正規盤を出すのは凄いです。作品25-6のキラキラと輝く光の粒は実に綺麗ですし、25-7の詠嘆の表出には恐ろしく深みが有ります。そして25-10以降の3曲も聴き応えは充分です。決して力で押し切るわけでは無く、迫力ある音の中にも細部までコントロールされ尽くした美しさを感じさせます。作品10の録音が無いのが非常に残念です。但し、ソコロフとしては「プレリュード集」や「葬送ソナタ」の演奏の方が更に出来栄えが上だと思います。

というわけで、作品10と25の24曲をどれか一つだけ選ぶとなればポリーニ以外の選択肢は考えられません。しかし気分に応じて取り出すのは、むしろロルティ、ガヴリーロフ、ブーニンが多いです。「これ以上」を望まなくても「別のもの」を望むことは有るのですね。

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2018年5月23日 (水)

「ハルくんの音楽日記」 10周年記念オフ会開催のお知らせ

皆さま、いつも「ハルくんの音楽日記」にいらして頂きまして誠に有難うございます。実は以前からも触れていましたが、今年の8月3日で拙ブログの開設からちょうど10年になります。一音楽愛好家の趣味ブログが長く続きましたのも全て皆様のおかげです。

つましては開設記念日の翌日8月4日(土)16時より東京自由が丘のコミニュティ”シェア奥沢”にて記念オフ会を開催することに致します。

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昭和の古民家シェア奥沢はこのオーナーさんから依頼を受けてレコード鑑賞会を手掛けたことから、のちに生演奏会のプロデュース活動を始めるきっかけとなった特別な思い入れのある場所です。

今回もオーナーさんのご厚意でオフ会を開催させて頂きます。詳細は検討中ですが、過去のブログ記事から特に気に入っているものを幾つかピックアップしてご紹介し、その曲の名演奏をハイファイオーディオ装置で鑑賞する予定です。
そのあとはシェア奥沢のキッチンマスター手作りによる軽食とドリンクを楽しみながらの交流会となります。

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◎日時:8月4日(土)16時より17時半 鑑賞会
             17時半より20時 交流会
※基本は通しですが、ご都合でどちらかのみのご参加もOKです。

◎会場:シェア奥沢 (東急自由が丘駅もしくは奥沢駅より徒歩7分前後) http://share-okusawa.jp/map/

◎参加費用:鑑賞会¥500
        交流会¥1000

◎参加人数:最大30名程度

※ご参加のお申込みはこちらへメールで⇒
   asakura_haru@nifty.com (朝倉)
・お名前 ・ご連絡先電話番号を必ずご記載ください。

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